JX日鉱日石開発、米国で石炭火力発電所の排ガス活用による原油増産プロジェクトを開始

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JX日鉱日石開発は7月15日、米国のJX Nippon Oil Exploration (EOR) Limitedを通じて、米国で石炭火力発電所の燃焼排ガスから二酸化炭素(CO2)を回収するプラントを建設し、回収したCO2の油田への圧入により原油の増産を図るプロジェクトを開始したと発表した。

CO2回収事業は、三菱重工業と米国の大手建設会社The Industrial Company(TIC)によるコンソーシアムが建設する。


この計画は石炭火力発電所から大気中へ排出する温暖化ガス(CO2)の低減と老朽化した油田における原油生産量の飛躍的な増加を同時に実現するもの。


本プロジェクトは、米国の
独立系発電事業者(IPP)トップNRG Energy, Inc.の子会社と JX EORとの50:50の合弁事業会社Petra Nova Parish Holdings LLCを通じて実行する。

 

この合弁事業会社が、NRGが米国テキサス州に保有する米国最大の石炭火力発電所のW. A. Parish石炭火力発電所8号機に、燃焼排ガスからCO2を回収する世界最大規模のプラントを建設し、回収したCO2を同発電所の南西約130kmのテキサス州の老朽したWest Ranch油田の地下に圧入することで、原油の増産を図る。

このスキームを通じて、これまで同石炭火力発電所から大気中に放出されていたCO2を年間約160万トン削減する。

West Ranch油田の生産量は現在の日量約500バレルから日量約12,000バレルへと飛躍的に高まり、累計増産量は約6,000万バレルとなる見込み。
JXはJV のPetra Nova Parishを通じてWest Ranch 油田の25%権益を保有している。

 


 

 

本プロジェクトのCO2回収プラントは、三菱重工業と米国の大手建設会社The Industrial Company(TIC)によるコンソーシアムが建設する。
CO2回収能力は日量4,776トン、
CO2回収率は90%で、燃焼排ガスからCO2 を回収するプラントとしては世界最大となる。

CO2回収プラントは、排ガスの前処理設備(脱硫)、CO2吸収・再生設備、CO2圧送設備、ユーティリティー設備などで構成される。
三菱重工業はCO2回収技術ライセンスを供与、CO2回収プラントとその付帯設備建設のEPC(設計・調達・建設)はTICとのコンソーシアムが請け負う。

三菱重工業のCO2回収技術は、関西電力と共同開発した高性能な吸収液KS-1™を用いるKM CDR Process®と呼ばれるプロセスで、他の方式に比べエネルギー消費量が大幅に少ないのが特徴。

2016年第4四半期からCO2回収プラントの商業運転およびウェスト・ランチ油田へのCO2の圧入を開始する予定。

 

本プロジェクトは総額約10億米ドルの投資規模を見込んでいる。

本プロジェクトの必要資金については、温室効果ガスの排出量を削減しながら米国内の膨大な化石燃料を活用するという Clean Coal Power Initiative Programのもと、米国エネルギー省から補助金(167百万米ドル)が得られるほか、国際協力銀行およびみずほ銀行との間で、プロジェクト・ファイナンス方式での融資に合意している。
みずほ銀行の融資に対しては、独立行政法人日本貿易保険による保険が付保される。

 


 

 

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