WHO、エボラ出血熱治療で未承認薬の使用容認

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WHOは8月12日、エボラ出血熱の患者が過去最大の規模で増え続けている事態を受け、安全性などが最終的に確認されていない未承認の薬の使用を一定の条件の下で認める方針を明らかにした。

富士フィルムのファビピラビルも候補になると思われる。

付記

田村厚労相は8月15日、インフルエンザ治療薬「アビガン錠200mg」(ファビピラビル)について、「今般の緊急事態とすれば、医師の裁量というか処方によって使うのは薬事法違反とは認識していない」と述べた。

 

菅官房長官は8月25日、WHOや医療従事者の要請があれば 「アビガン」を提供する用意があると表明した。

富士フイルムによると、「アビガン」2万人分の在庫を保有する。今後も連続的に生産・供給する体制が整っている。
サルを使った有効性試験実施の準備も早急に進める。
ドイツでの動物実験では、エボラ熱に感染したマウスにアビガンを投与したところ、生存率を高める効果があった。

 

具体的には、患者に薬のリスクなどを事前に説明したうえで本人の同意を得ることや、地元政府などの理解を得ることなどが必要だとしている。
また、実際に薬を使う場合は、患者の容体の経過や薬の効果などについてのすべてのデータを収集して公表するよう求めている。

発表文 http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2014/ebola-ethical-review-summary/en/


WHOが動物実験段階の未承認薬の投与を認めるのは異例で、エボラ熱について「制御が困難な状況に陥っている」としている。

WHOの判断は、米国が西アフリカのリベリアで感染した米国人2人に未承認薬「ZMapp」を投与したのを受けたもの。

米国人の医師 Dr. Kent Brantly はエボラ出血熱の発生以降はその治療活動に専念していて感染した。
同じキリスト教団体に所属する米国人女性、Nancy Writebolさんも、リベリアでの医療活動中に感染した。

Brantly 医師は7月22日の起床時に発熱に気付き、ただちに自分で隔離室に入った。Writebolさんの症状は3日後に現れ、血液検査で2人ともエボラ出血熱へ感染していた。

カリフォルニア州San DiegoのMapp Biopharmaceutical が開発し、Kentucky BioProcessing (Reynolds American Inc の子会社)が受託生産した「ZMapp」が冷凍状態でリベリアへ運ばれ、二人に投与された。

二人は特別機で米国に送られ、米疾病管理予防センター(CDC)と提携してエモリー大学病院に設置された特別チームのもとで治療を受けている。

二人は回復に向っているが、「 二人の症状回復は同薬物の投与と直接的な関係があるかどうかをまだ断定できない」とされる。


スペイン政府は「エボラ出血熱に感染したスペイン人患者にZMappを投与する」と発表した。
スペイン保健省は声明の中で「エボラ治療薬ZMappは、カトリック神父 Miguel Pajaresが隔離治療を受けている病院にすでに送られた」と述べた。


ZMappは、豪州系のタバコ(Nicotiana benthamiana) の葉の中で作られる3種類のヒト化モノクローナル抗体を混合した抗エボラウイルス薬である。

エボラウイルスのタンパク質とくっついて新たな細胞への感染を防ぎ、血液の中にあるウイルスを破壊する3種類の抗体を組み合わせたもの。ワクチンではない。

米疾病管理予防センター(CDC)がホームページにこれについてのQ&Aを掲載している。

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カナダのTekmira Pharmaceuticals が開発する「TKM-Ebola」も候補である。

病気の原因となるたんぱく質の生産を抑制する「RNA干渉」と呼ぶ原理を応用した薬だが、体内で分解されやすく開発は難しい。

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カナダ公衆衛生庁のテイラー副公衆衛生監は8月12日、エボラ出血熱の予防に使うため、最大で千回分のワクチンをWHOに提供する考えがあると表明した。

これは上記のTekmira Pharmaceuticals が開発する「TKM-Ebola」とは別のもの。

このワクチンは商業化のため米国のBioProtection Systems(Newlink Geneticsの子会社)にライセンスされている。人間へのテストはまだ行われていない。


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これらはいずれもヒトのテストが終わっていないだけでなく、供給能力が極わめて限られている。

多くの患者のうちの誰に適用するのかが問題となる。



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