パナソニック、リチウムイオン電池の生産会社を米国に設立

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パナソニックは10月1日、リチウムイオン電池セルを生産する新会社 Panasonic Energy Corporation of North America をネバダ州スパークスに設立した。

新会社は、同社とTesla Mortorsが連携して設置を検討してきた大規模電池工場ギガファクトリー内で、リチウムイオン電池の生産を行う。

この新工場の立ち上げにより、長い航続距離を実現するリチウムイオン電池パックの製造コストを削減し続けるとともに、Tesla Mortorsが計画している大衆向け電気自動車用に必要となる生産量を確保し、電気自動車の普及に貢献する。


Tesla Motors は2014年2月26日、転換社債によって16億米ドルを調達する計画を発表するとともに、米国南西部に「Gigafactory」と呼ぶ大規模なリチウムイオン電池工場を建設する方針を明らかにした。

同社が販売するEV 「モデルS」などに搭載されている 18650サイズ(直径18×長さ65mm)のリチウムイオン電池セルと、その電池セルを使った電池パックをこれまでにない規模で大量に生産する。2017年に稼働を開始し、2020年にはフル生産に入る計画で、フル生産時の年間生産規模は、電池セルで35GWh相当、電池パックで50GWh相当に達する。

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを用いて生産を行う方針。従業員数はフル稼働時で最大6500人を見込む。

総投資額は40億~50億米ドルになるが、Teslaが直接投資するのは20億米ドル程度にとどまり、残りは、パナソニックなどのパートナー企業が負担する。


Gigafactoryで生産する電池セル35GWhは2013年の全世界のリチウムイオン電池セル生産量を超えるものである。


パナソニックとTeslaは、EV用の次世代電池を開発、EV市場の拡大を加速するなど、これまで複数年に亘る協力関係を築いてきた。


パナソニックは2010年11月にTeslaに3000万米ドルを出資したと発表した。
Teslaは、Tesla製の先進的な電池パックにパナソニックのリチウムイオン電池を搭載しており、またEV用の次世代リチウムイオン電池を共同で開発するなどパナソニックとは親密な関係があり 、パナソニックを優先サプライヤーとして位置づけている。

パナソニック は、2013年6月でTesla Mortorsの高級EVセダン「モデルS」向けリチウムイオン電池セルの累計出荷1億個を達成した。

パナソニックとTesla Motorsは2013年10月30日、パナソニックがTeslaにEV用リチウムイオン電池の供給を拡大する契約を締結した。
パナソニックは2014年~2017年に約20億セルのリチウムイオン電池を供給する。
Teslaがパナソニックから購入する電池は、モデルSと同様に2014年末までに量産予定の多目的車のモデルXにも搭載される。

パナソニックとTesla Mortorsは2014年7月31日、米国においてギガファクトリーと呼ばれる大規模な電池工場の建設に関して、両社が協力することに合意した。

Teslaは土地、建物、そして工場設備を準備し、提供・管理する。
パナソニックは、双方同意のもと、円筒形リチウムイオン電池セルを生産・供給し、リチウムイオン電池セルの生産に必要な設備、機械、およびその他の治工具などに投資 する。

ギガファクトリーで必要な材料の前駆体は、パートナーサプライヤーで構成されるネットワーク内での生産を計画して おり、Teslaは、セルや他の部品を用いて電池モジュールおよびパックを製造する。

ギガファクトリーでは 2020年までに年間 35GWh 相当のセルと 50GWh 相当のパックを製造することを計画している。


付記

住友金属鉱山は10月20日、車載用二次電池の需要拡大に対応するために、二次電池用正極材料(ニッケル酸リチウム)の生産設備の増強投資を行うと発表した。

同社はパナソニックと共同で二次電池用正極材料の高性能ニッケル酸リチウムの開発に成功し、パナソニックに提供しているが、パナソニックのTesla Motors向け出荷が今後増加するため、磯浦工場他でニッケル酸リチウムの生産設備の増強を行う。

設備投資額は総額約150億円で、850トン/月から1,850トン/月に増設する。2015年12月完成を予定。

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パナソニックは2013年3月期までの2年間で計1兆5千億円の連結最終赤字を計上し、プラズマテレビからの撤退など構造改革を進めてきた。

2019年3月期に連結売上高を前期比約3割増の10兆円にする計画を掲げ、オートモーティブ関連事業(車載マルチメディア関連機器、環境対応車関連機器、電装品等)では2兆円をめざし ている。

2014年度事業方針(2014/3/27)


この一環として、パナソニックは9月30日、スペインのFicosa International S.A.と資本業務提携で合意した。49%を取得する予定。

Ficosaはバルセロナに本社を置く自動車用システムや部品の製造販売を行う Global Tier 1 サプライヤーで、全世界18カ国に拠点を持つ。
ミラー事業は最大の主力事業で、サイドミラーでは世界第3位のシェアを誇る。

パナソニックはFicosaが保有する欧米自動車メーカーへの強い販売力を活用し、Display Audio などの車載マルチメディア機器および車載用デバイスの事業拡大を加速させる。
Ficosaは
画像認識技術を持ち、自動運転関連技術の共同開発も視野に入れる。

Ficosaはパナソニックのルート(特に日系自動車メーカー)を活用し、カメラ洗浄システム(カメラの視界をさえぎる汚れ等を水や風圧で除去する機能)、テレマティックス制御視システム(車両と車両、車両と外部の無線通信を可能とする通信ユニット)、電子シフター(車両の変速機を電気的に操作するためのデバイス)などの販売を促進する。

 

 

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