BASF、Gazpromとの資産交換計画を断念

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BASFは12月18日、「現在の厳しい政治情勢を踏まえ」、年内に予定していたGazpromとのガス資産の交換計画を断念すると発表した。

ロシアと西側諸国の間で緊張が高まったことが背景にある。
 

BASFは2013年12月23日、Gazpromに天然ガスのトレーディング事業を譲渡し、交換で鉱区権益を取得すると発表した。


譲渡するのは、

1)BASF子会社Wintershall とGazpromの50/50JVの天然ガスのトレーディングと貯蔵会社、WINGASとWIEH のWintershall 持分

   両社はGazprom 100%となり、WIEWIEHの100%子会社のWIEE もその結果、Gazprom に移る。

WINGASとベルリンに本社を持つWIEH(Wintershall Erdgas Handelshaus) はドイツのみならず、ベルギー、フランス、英国、オーストリア、オランダ、チェコなどに天然ガスを供給している。

WIEWIEHの100%子会社のWIEE (Wintershall Erdgas Handelshaus Zug) はスイスに本拠を置き、ルーマニアとブルガリアを中心に天然ガスを供給している。

2)  北海で石油の開発を行っているWintershallの子会社WINZ(Wintershall Noordzee)の50%持分

代わりに譲り受けるのは、北極圏北海のUrengoyskoye 石油・ガス田のAchimov depositsの4A and 5Aブロックの開発権の25.01%。

Urengoyskoye 石油・ガス田は1966年発見で、北極圏のガス田で最大のもの。

今回取得する2鉱区は24億バレルの埋蔵量が見込まれ、2016年に生産が始まる予定であった。

Wintershall は長年、Gazpromと共同でシベリアのガス田を開発している。

交換中止により、WINGASとWIEH はWintershall とGazpromの50/50JVのままとなり、WINZはBASFグループの100%子会社のままとなる。

 

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BASF子会社のWintershallは、ロシアの欧州向けの天然ガスパイプライン、Nord Stream計画に参加している。

2005年9月、Gazpromとドイツの電力会社E.On、及びWintershallの3社契約文書に調印した。

現在の出資比率は、
Gazprom 51%、Eon 15.5%、Wintershall 15.5%、Gasunie 9%、 GDF SUEZ 9%となっている。

WintershallはSouth Stream 天然ガスパイプライン計画にも参加している。

2011/3/30  BASFがロシアの South Stream 天然ガスパイプライン計画に参加

2014/12/4  ロシア、South Stream 計画を取り止め


付記

2014年12月29日、WintershallはSouth Stream Transport の持株15%をGazpromに売却した。
この結果、出資は
Gazprom 65%、フランスのElectricite de France SA 15%、ENI 20%となった。



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