三菱ガス化学、カナダのシェールガス・LNGプロジェクトに参画

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三菱ガスは12月19日、マレーシアのPetronasがカナダ Britich Columbia州で推進するシェールガス開発・生産及びカナダ西海岸で検討中のLNG計画(Pacific Northwest LNG Project)に参画すると発表した。

本計画に10%の権益を有する石油開発資源(JAPEX)の子会社 JAPEX Montneyに10%出資するもので、合わせて年間12万トン(1200万トンx10%x10%)の引取権を取得する。

JAPEX Montney はJAPEXの100%子会社として設立したが、その後、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が50%を出資した。
今後はJAPEX 45%、JOGMEC 45%、三菱ガス子会社 MGC Montney Holdings が10%の出資となる。

同社では、シェールガス開発・生産・販売による収益獲得とともに、競争力をもつLNGを原燃料として同社の国内工場に供給し、国内事業強化を図るとしている。

日本の化学メーカーが原燃料の輸入を目的にシェールガス計画に参加するのは初めて。

しかし、石油や天然ガスを巡る状況は最近になって著しく変化しており、LNG計画が予定通り進むかどうか、明らかではない。

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計画概要は下記の通り。

シェールガス開発は、North Montney地域のAltares、Lily、Kahta鉱区で、Petronasが天然ガスを生産し、AECOハブ(西カナダの主要ガス市場)で販売していた。

当初、カナダのProgress Energy Resources Corporationが行っていたものだが、Petronasは2011年6月にシェール鉱区の権益の50%を取得し、その後2012年6月に、PetronasはProgressを55億カナダドルで買収することで合意し、年末に取得した。

LNG計画は、Petronasが計画したもので、Prince Rupert 市のLelu島で年1,200万トンプラントを建設する。上記の鉱区からガスパイプラインで結ぶ。

石油資源開発(JAPEX)は2013年3月、このプロジェクトに参画することで基本合意したと発表した。

2013/3/7   石油資源開発、カナダのシェールガス開発計画及びLNG計画に参画

Petronasはその後も参加者を募り、2013年12月にPetroleum Brunei がこの計画に3%の出資を行った。
2014年3月にはインド最大の石油会社 Indian Oil Corporation Limited (IOCL) が10%の参加を決めた。

2014/3/15   Petronas と石油資源開発のカナダのシェールガス開発・LNG輸出計画にインドとブルネイが参加

2014年4月にSinopec とパートナーの中國華電集團(China Huadian Corporation)の出資が決まった。

2014/5/6 Sinopec、Petronas のカナダのシェールガス開発・LNG輸出計画に参加


今回、三菱ガス化学は
JAPEXの子会社 JAPEX Montney に10%参加する。

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LNG計画(Pacific Northwest LNG Project) は当初、2018年末に生産開始の予定としていたが、大きく遅れる見込み。

Petronasは2014年10月7日、税金と環境コストが悪影響を与えており、現在の評価では利益はほとんど見込めないとし、州政府に対し、税金や規制面での特典を要請した。
10月末までに回答を求め、それまでに好回答がない場合、計画は10~15年遅れるだろうと警告した。

州の環境省は11月に計画を承認したが、連邦政府の承認など多くの手続きが残っている。


Petronasは12月3日、石油価格急落を踏まえ、このLNGターミナル建設計画を予定通り進めるかどうかの決定を先送りすると発表した。
LNGプロジェクトの収益見通しが悪化しており、さらに建設コストを引き下げる必要があると説明している。

JAPEXも、「連邦政府の許認可が遅れていること、パイプラインや液化施設の建設費用の更なる削減を図るべく協議を継続していることから、最終投資決定を延期した」と発表した。

 

 

 

 

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