リトアニアがユーロ導入

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バルト3国の1つ、リトアニアが2015年1月1日にユーロを導入した。

リトアニア政府は、2007年1月からのユーロ導入を目指したが、その時点ではユーロ導入の要件の一つであるインフレ率が基準を上回り、ユーロ導入が認められなかった。

欧州委員会は2014年6月発表の収斂報告(2014 Convergence Report)でリトアニアが、GDP比での公的債務60%以下と財政赤字3%以内、低インフレと低金利の基準を満たしており、ユーロ導入の基準に合致しているとの結論を示し、7月23日にEUの財務大臣会議で正式に承認した。

収斂(Convergence )基準はマーストリヒト条約で決められたユーロの参加条件で、マーストリヒト基準ともいう。

① 物価:

加入検討の前年の消費者物価上昇率が、EU加盟国の中で最も消費者物価上昇率の低い3カ国の平均値の±1.5%以内であること。

2006年では、欧州委員会はリトアニアのインフレーション率が基準よりも0.06パーセントポイント高いとしてユーロ導入の延期を勧告した。

② 政府財政:

実質、計画の双方において、年間財政赤字額の対GDP比が3%以下であること。但し赤字率が3%に近い水準に達している場合、例外的または一時的な3%以上の赤字の場合、赤字率が3%に近づいている場合は除く。

また政府債務残高が対GDP比で60%を超えないこと。但し負債の割合が十分に減った場合、十分なペースで60%に近づいている場合は除く。

③ 為替レート:

加入検討時点以前の2年間、欧州為替相場メカニズムで定められた変動幅を超えてはならない。
他のERM加盟国の通貨に対して自発的な切り下げを行っていないこと。

リトアニアは2002年2月、1ユーロ=3.4528リタスのユーロ・ペッグ制を導入した。

④ 利子率:

加入検討の前年の政府長期債における利回りが、EU加盟国の中で最もインフレ率の低い3カ国の政府長期債における利回りの平均から2%以上乖離しないこと。

ーーー

2014 Convergence Reportではブルガリア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スウェーデン、そして初めてクロアチアも審査したが、リトアニアのみが全ての基準を満たした。

ただ「持続可能な水準で低インフレを維持するのはリトアニアの課題」と指摘した。

欧州連合加盟国は収斂基準を満たして単一通貨を導入することが義務付けられている。
ただし、イギリスとデンマークは EC条約第122条の適用除外規定(Opt-Out)で導入しないことが認められている。

これまで近い将来のユーロ圏加盟を目指してきた各国が方針を変更しつつある。
ブルガリアは2011年には基準を満たしたが、ブルガリア側からユーロの導入計画を無期限に凍結した。

2011/9/15 ブルガリア、ユーロ導入を無期限に凍結


これでユーロ導入は19カ国(約337百万人)となった。

    EU加盟 Euro採用
1 フランス 1952 1999
  ドイツ
  イタリア
  オランダ
  ベルギー
  ルクセンブルグ
7 英国 1973  
  アイルランド 1999
  デンマーク  
10 ギリシャ 1981 2001
11 スペイン 1986 1999
  ポルトガル 1999
13 オーストリア 1995 1999
  フィンランド 1999
  スウェーデン  
16 エストニア 2004/5 2011/1
  ラトビア 2014/1
  リトアニア 2015/1
  ポーランド  
  チェコ  
  スロバキア 2009/1
  ハンガリー  
  スロベニア 2007/1
  キプロス 2008/1
  マルタ 2008/1
26 ブルガリア 2007/1  
  ルーマニア  
28 クロアチア 2013/7  
  合 計 28カ国  19カ国

 

 

参考  2010/5/10 統一通貨ユーロの危機







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