米国商務省、コンデンセート輸出を許可

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米国は1973年のアラブ石油禁輸(
Arab oil embargo)に伴い、 米国の石油資源を保護し、米国の消費者が値上げショックを受けるのを防ぐため、
1975年12月にEnergy Policy and Conservation Act:EPCAを成立させ、原油の輸出を禁止した。

現在もこの法律は生きており、ガソリンやディーゼルなど精製燃料は輸出できるが、原油そのものの輸出はできない。 

2014年6月25日、Pioneer Natural ResourcesとEnterprise Products Partners  は商務省がテキサスのEagle Ford Shaleの超軽質油を輸出する計画を承認したと発表した。

輸出するのはシェールガスに随伴して出る超軽質油(コンデンセート)で、蒸留装置を通すことで蒸気圧を下げ、揮発性の軽質炭化水素を除外する。

商務省では原油輸出についての方針に変更はないとし、Pioneerのやり方は「精製」というには足りないが、コンデンセートをもはや原油とは言えないほど変質させているとした。

コスモ石油が30万バレル分を購入、10月9日に入荷した。

2014/6/30 米国が原油輸出を一部解禁 

これが明らかになって米国内で論争が起こり、米上院議員が商務省に対し、商務省が少しだけ処理した原油の輸出を承認する権限があるのかとの質問状を送った。

商務省はその後の個別申請に対し、保留していた。

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米政府は2014年1230日、密かにコンデンセートの輸出を許可した。

商務省の産業安全保障局(Bureau of Industry and Security:BIS) は12月30日、websideのRegulation FAQ 欄に FAQs - Crude Oil and Petroleum Products を掲載した。

1. What are the restrictions on the export of crude oil?  では、原油輸出制限の根拠と、例外の輸出承認事例を記載、

2. How do I determine if my commodity is crude oil?  では、原油の定義(原油の蒸留塔を通す処理を未だしていないもの)をしている。

3. Is lease condensate considered crude oil?   では、タールサンド、天然アスファルト、オイルシェールからの"lease condensate" も原油と定義されるとしている

4. What is required in order for liquid hydrocarbons to have been "processed through a crude oil distillation tower"? が本件。

「原油の蒸留塔を通す処理をした」即ち、輸出禁止の対象にならないものの条件として6つを記載している。

(1) 原油を熱を使って蒸発、凝縮させ、入れた原油と化学的に異なる液体流(liquid stream)に変換したもの
(2) 原料と製品でAPI 比重が異なること
(3) 原料と製品で組成のハイドロカーボンの種類の構成比率が異なること。
(4) 蒸留塔を通す目的が、石化原料や溶剤やガソリンブレンドなどにするためのものであること。
(5) 蒸留プロセスの限定
(6) 蒸留塔の限定

2014年6月の承認時点では、コンデンセートをもはや原油とは言えないほど変質させているとしていたが、今回、輸出解禁が本格化するという前提で、輸出基準をより厳格にしたとの見方が一般的である。

政府はまた、企業の自己認証("self-certify")を認め、規則に合致すると考えれば、許可を求めずに輸出できるとしている。

Citi Research では、軽質油、超軽質油の生産は日量381万バレルを超えており、2015年末には輸出は日量100万バレルを超えると見ている。
逆に、重質原油とのブレンディング用としてコンデンセートの需要があり、それほど輸出は伸びないとの見方もある。

BHP Billiton では、テキサスの原油の輸出を検討しているとされる。




 

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