三井物産とCelanese、テキサス州でシェールガス利用の第二のメタノールJV設立で合意

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Celaneseは4月16日、三井物産との間でテキサス州 Bishop のCelaneseの工場でメタノールを生産するJVを設立する契約を締結したと発表した。

能力は130万トンで、両社の50/50JVがテキサス州Clear Lakeで建設中で2015年10月スタート予定の能力130万トンのメタノール工場の設計をそのまま利用する。
これにより、合計能力は260万トンとなる。

CelaneseはTexas Commission on Environmental Qualityに建設申請を提出済みで、メタノール市場の状況や建設コストなどを勘案して最終決定を行う。

なお、両社はClear Lake工場の完成後、三井物産の持分をCelaneseが5年間購入する契約を締結した。

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Celaneseは酢酸、ポリアセタールなどのメタノール誘導品の製造に強みを持ち、世界最大のメタノール需要家の1社。

一方、三井物産は既に2004年に稼働したサウジアラビアのInternational Methanol Companyに次ぐ第2の製造拠点を検討していた。
また、米国シェールガス・オイル革命により安定供給と価格競争力が期待できる原料ガスの優位性に着目し、世界第2位のメタノール市場である米国で事業参画の機会をうかがってきた。

両社は2013年5月15日、折半出資の事業会社を設立しテキサス州Clear LakeのCelanese工場内でメタノール製造を行うことで合意し、合弁契約書を締結したと発表した。

合弁契約書の概要

事業内容 メタノール製造事業
出資構成 三井物産:50%
Celanese:50%
所在地 米国テキサス州 Clear Lake
総プロジェクトコスト 約8億米ドル
年間生産量 約130万トン
稼働開始時期 2015年央 →2015年10月
出資形態 LLC
 

発表では、メタノールは両社が引取り、三井物産は主に米国内で販売し、Celaneseは自社の川下製品の原料として使用するとしていた。
今回の発表で、5年間は三井物産持分をCelaneseが購入する模様。

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米国発の「シェール革命」によってエネルギー地図は大きく塗り替えられようとしているが、三井物産は、2014年3月期中期経営計画において「ガスバリューチェーン強化」を重点施策の一つに挙げ、上流権益の取得によるエネルギーの安定供給を目指すとともに、三井物産の総合力を発揮し、増加する天然ガスの物流ニーズに応える液化事業、タンクターミナル事業、天然ガスを利用した化学品製造事業などバリューチェーン全体でさまざまなビジネスを展開している。

今回の決定はその一環。

三井物産の米国シェールガス戦略「ガスバリューチェーン」
 
シェールオイル/ガス開発生産プロジェクト

三井物産は2010年に、米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアで、米国の大手石油・ガス開発会社Anadarko Petroleum Corporationが開発・生産中のシェールガス事業に32.5%出資参画した。

2010/2/18  三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画

さらに、2011年には米国テキサス州のEagle Ford shale エリアでAnadarkoが開発・生産中のシェールオイル/ガス開発生産プロジェクトに出資参画した。(SM Energyから12.5%の権益を取得)

2011/7/4  三井物産、テキサス州のシェール開発に参加

なお、三井物産は2008年2月、Anadarko Petroleumがモザンビークに保有する石油・天然ガス探鉱鉱区(Area 1)の権益の一部を取得することで同社と合意している。

2013/1/10 モザンビークの天然ガス開発 


米国産LNG輸出プロジェクト

三井物産は2012年、米国ルイジアナ州のCameron LNG受け入れ基地で、LNG輸出プロジェクトを計画している米国のSempra Energyと共同で、日本向けを含めた米国産LNG輸出実現に向けた検討を開始、2013年5月に、天然ガス液化加工契約および合弁会社設立契約を締結した。

Sempra EnergyはCameron LNG受け入れ基地に新たに年間1,200万トンの液化能力を確保する計画で、三井物産はこのうち、年間400万トンを引き取る。

2012/4/20  三菱商事と三井物産、米国産LNGを輸入へ

2014/9/12 米エネルギー省、Cameron LNG にFTA非締結国向け輸出の最終承認


ダウ社との合弁による電解事業

化学品の製造事業においても化学品製造に必要な電力や、天然ガス由来の原料調達コスト低減など、シェール革命の影響が広がっているが、三井物産は2010年7月、Dow Chemicalとの間で、米国テキサス州 Freeportで新規電解事業を行う合弁事業会社 Dow-Mitsui Chlor-Alkali LLC を設立し、2014年には、電解プラントが本格的な商業生産及び出荷を開始した。

本電解プラントは、最新の技術を導入し、世界最大級の生産能力を擁し、年間生産量は苛性ソーダが約88万トン、塩素が約80万トンとなり、両社が生産量の50%を引き取って利用または販売を行う。

三井物産は苛性ソーダ約44万トンをダウ社に販売委託し、 40万トンの塩素からは55万トンのEDCを生産し、三井物産のネットワークを通じて世界のマーケットに販売する。

2010/7/2 三井物産とダウ、合弁でテキサスで電解事業 

なお、Dow はこのたび、クロルアルカリ事業をOlin Corp.に売却することとしたが、Dow-Mitsui Chlor-Alkali もこの対象となっている。

2015/3/30  Dow Chmeical、クロルアルカリ事業をOlin Corp.と統合

 

天然ガス輸送

2013年7月には、米国アリゾナ州Tucsonの既存の基幹パイプラインからメキシコ国境のSasabeまで約 100キロメートルの天然ガスパイプラインを敷設・運営する事業に、新規に出資参画することで、米国パイプライン運営最大手のKinder Morganおよびメキシコ国営石油会社Petróleos Mexicanos(PEMEX)と合意した。

Sierrita Gas Pipeline LLCに三井物産が30%、PEMEXが35% 出資する。

輸送能力は日量約2億立方フィートで、総事業費は約2億米ドルを見込む。



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