Nord Stream 倍増計画

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2012年4月に2本目の敷設工事が完了、現在の能力は年間550億m3
となっている。


 ロシアのGazpromは、シベリアの天然ガスをサンクトペテルブルク北方のビポルクからバルト海海底約1200キロを通ってドイツ北東部グライフスバルトまで供給するNord Stream Pipelineの倍増計画に着手した。

Gazpromは6月18日、同計画での協力についての覚書を、Royal Dutch Shell、ドイツのE.ON、オーストリアのOMV との間で締結した。
GazpromではBASFとBASF子会社
Wintershall とも協議をしており、9月までに参加することを期待していると述べた。

付記 BASFは2015年7月31日、Wintershall の参加を発表した。

付記 2015/9/4 Shareholders' Agreementが調印された。新会社 New European Pipeline AGを設立する。

既存のNord Stream Pipelineは、Gazprom 51%、E.ON 15.5%、Wintershall 15.5%、Nederlandse Gasunie 9%、 GDF SUEZ 9% の出資となっている。
Gazprom は今回も51%を出資する予定。

付記 2015/9/4 出資比率決定

  Nord Stream -1 Nord Stream -2
Gazprom 51.0% 51.0%
E.ON 15.5% 10.0%
Wintershall 15.5%  10.0%
Nederlandse Gasunie 9.0%
GDF SUEZ 9.0%
Shell 10.0%
OMV 10.0%
ENGIE 
 仏
電気・ガス事業者
  9.0%

既存のNord Stream Pipelineは2011年11月に供給を開始した。

Nord Stream がドイツのLubminで地上に出たところからドイツとチェコの国境のOlbernhau までの全長470kmのOPAL natural gas pipelineと接続している。

 

2011/8/27 Nord Stream Pipeline、欧州ネットワークに接続 


今回は新しく2本のパイプラインを建設する。能力は
年間550億m3で、倍増となる。

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ロシアの天然ガスの欧州での販売については、EUが問題視し、クレームをつけている。

EUの欧州委員会は2015年4月22日、ロシアの天然ガス会社 Gazprom にEU競争法違反の疑いがあるとし、異議告知書を送付した。

欧州委員会はロシア産ガスに大きく依存する中東欧諸国のガス市場で、独占的な地位を乱用して競争を妨げたとの暫定的な判断を示した。
ブルガリア、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、スロバキアの計8カ国のガス市場で独禁法に違反したとみている。

2015/4/27 EU、ロシアのGazpromにEU競争法違反の警告    

ロシアは2014年12月1日、ウクライナを迂回してロシアから欧州南部に天然ガスを輸送するパイプライン South Stream の敷設計画を撤回した。
実際には、パイプラインの海底部分建設のための140億ユーロの調達がEUの制裁で困難になっていることがあるが、EUによる反対が口実となった。

EUは2013年12月4日、各国が締結したSouth Stream pipeline 建設契約はEUの法に違反しており、ゼロから再交渉する必要があるとした。

2007年9月に採択された第三次電力・ガス自由化パッケージではエネルギーの生産と輸送ネットワークの所有を分離することとしており、South Stream pipeline 建設契約がこれに反しているとした。

EU規則は2007年9月のものだが、2013年12月までは EUはSouth Stream 計画について何も問題視していない。

2014/12/4   ロシア、South Stream 計画を取り止め


ウクライナ問題で対ロ制裁が続く中、EUの対応が注目される。



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