ミャンマーのDawei 経済特区、ようやく前進

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ミャンマーの3つの経済特区(北部で中国が開発するチャウピー、日本が担当するヤンゴン南部のティワラ、タイが担当する南部のダウェー)のうち、遅れていたダウェーの開発がようやく動き出す。

初期開発段階で日鉄住金物産のタイ企業とのJVが参加する。

Dawei SEZは2008年にミャンマーとタイの両国が開発で合意した。

2010年にタイの大手建設会社Italian-Thai Development Corporation Limited (ITD) が250平方キロの土地について60年間の事業権利と75年間の租借権を得て、開発に着手した。
しかし、実際は1社では開発資金をまかないきれず、地元住民の移転や周辺土地と一部道路の整備程度しか進んでいない。

2012年7月のタイのインラック首相とテイン・セイン大統領との会談で、Dawei 開発の仕切り直しが行われ、両国政府が協力して進めることで合意、土地の開発権と租借権がItalian-Thai Development からDawai 開発の特別目的事業体(SPV)に移管された。

Dawei SEZの開発面積はThilawa SEZの10倍あり、港湾や発電所などのインフラ整備だけで1兆円とされる。

このため、タイ政府とミャンマー政府は日本にも参加を要請した。
但し、
両国はあくまでThilawa SEZ 優先ということで合意している。

2013/5/29 ミャンマーの経済特区 

安倍首相は2014年11月、ASEAN関連首脳会議へ出席のため訪問中のミャンマーの新首都ネーピードーでテイン・セイン大統領と会談を行った。

テイン・セイン大統領から、これまでの官民を挙げてのティラワ経済特区の開発支援に対する感謝表明があり、安倍総理から総額260億円の円借款3件の供与を決定したこと、これも活用して、中小企業向け金融、配電網、ティラワ港などの整備に協力したい旨述べた。

両首脳は、ダウェー開発についても今後、日本、ミャンマー、タイの3カ国間で協議していくことで一致した。

ティラワ経済特区の状況(2015/5) については下記参照
 http://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/mm/sez/pdf/thilawa_sez_7.pdf

2015年7月4日、東京で第7回日本・メコン地域諸国首脳会議が開催された。
これを機に同日、日本、ミャンマー及びタイの間で、ダウェー開発にあらたに日本が参加することについて覚書が署名された。
ミャンマーの情報相によると年内にも覚書に基づく開発が開始される。

覚書は「出資」「技術連携」「幹線道路建設」「環境・社会への配慮」など6章で構成され、出資については、ミャンマーとタイが設立した特別目的事業体(SPV)に、3カ国が均等出資する形で日本が参画の意図を表明。前提となるSPVの枠組み合意や株主合意の修正も進める。
開発を「初期開発事業」と「本格開発事業」に区別し、各段階でSPVの機能を明確化し、SPVの権限、ガバナンスを強化することでも一致した。

技術連携では、3年以内に本格開発に必要な技術的検討、設計・開発計画を策定し、既存マスタープランを精緻化させる。
日本政府は技術協力の意図を表明、SPVを支援し、プロジェクトを提案するためJICAの専門家を派遣する。

幹線道路建設では、日本政府は新規幹線道路の建設のあり方を探るプレFSを早期に実施すると表明した。

三井物産や伊藤忠商事が同特区開発への参画を検討、新日鉄住金やトヨタ自動車も関心を寄せている。

 

ミャンマー政府とタイ政府は8月5日、ダウェー経済特区の開発で、2年前に権利を取り上げたタイの大手建設会社Italian-Thai Development Corporation Limited (ITD) を含むコンソーシアムと初期開発権契約を締結した。

コンソーシアムは2015年2月に、この事業のため、MyanDawei Industrial Estate Holding を設立した。
コンソーシアムのメンバーは下記の通り。

・Italian-Thai Development Corporation(ITD) タイの大手建設会社

Rojana Industrial Park Public Co., Ltd.  :タイの工業団地の造成・分譲・運営会社

1988年5月にVinichbutr's Group(タイ)と住金物産(現 日鉄住金物産)のJVとして設立された。
現在はタイで上場しており、Vinichbutr's Groupが31%、日鉄住金物産が21%の出資となっている。

LNG Plus International Company Limitedタイのエネルギー会社

初期計画のうちのLNG受入基地の建設は、LNG Plus International が実施する。

ITDによると、初期開発の総開発費は17億ドルで、敷地面積が27平方キロメートルの工業団地や発電所などを整備する。
第一段階として、小規模港湾、火力発電所、タイへの2レーンの道路、LNG受入基地、居住地、電話線、労働集約産業の団地などを整備する。

世界銀行からの5億ドルの融資や、ミャンマー政府、タイの地場銀行からの融資で開発を行う。

初期開発段階では衣料品や食品加工のような労働集約産業の団地を整備するが、長期計画では自動車、鉄鋼、電子電器、ゴム、化学品、石油精製、肥料、プラスチック、医薬品などの誘致を考えている。

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住金物産(現 日鉄住金物産)はタイ国において長年に亘り、現地パートナーと合弁で工業団地の造成・分譲・運営 (Rojana Industrial Park Public Co., Ltd.)や天然ガス焚きによる発電事業(Rojana Power Co., Ltd.)を行い、同国におけるインフラ事業を推進してきた。

Rojana Powerは、Rojana Industrial Park 41%、KPICネザーランド(関電グループ) 39%、住金物産 20% の出資で、ロジャナ工業団地内に併設され、1999年の運転開始以来、天然ガス焚き発電を行い、タイ電力公社(EGAT)に電力を安定して卸販売するとともに、ロジャナ工業団地に入居する企業に電力と蒸気を販売して いる。



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