インドのサンファーマ、米の眼科薬メーカー InSite Vision を買収

| コメント(0)

インド後発薬最大手のSun Pharmaceutical Industries は9月15日、米国子会社が眼科薬メーカーのInSite Vision Inc. を買収する契約を締結したと発表した。
100%子会社が1株 0.35ドル(30%のプレミアム)でTOBを開始する。債務込みで約48百万ドルでの買収となる。

InSite Visionの2015年上半期の業績は、売上高が380万ドルで純損失は750万ドル。

InSite Vision は新規の眼科薬の開発に特化しており、現在3つの新薬開発の最終段階にある。

これとは別に、Sun Pharma は本年6月に米子会社に防腐剤不要の点眼液 Xelpros™ (Latanoprost BAK-free)をライセンスしており、今回のInSite Vision 買収で米国での眼科薬事業を確立する。

* BAKは塩化ベンザルコニウムで、点眼液に用いられる代表的な防腐剤

InSite Vision はDuraSite® とDuraSite2® というdrug delivery システムを開発した。

眼表面上での点眼薬の滞留性をよくするドラッグデリバリーで、点眼回数を減らし、また、薬剤の効果を高めるもの。一日一回点眼まで減らせるとされる。

米国ではこの技術を使って、眼局所の細菌性感染症に対する治療薬として、同社のパートナーのAkorn, Inc.が AzaSite® 1% を、Bausch & Lomb がBesivance® 0.6%を販売している。

日本では千寿製薬が2014年6月にDuraSite®技術を応用し開発したアジスロマイシン点眼薬(米国でのAzaSite® 1%)の日本における独占的な開発・販売に関し、ライセンス契約を締結した。

この技術を使って申請中の製品は下記の通り。

  BromSite™ (0.075% bromfenac)   白内障手術での炎症治療、痛み防止
  DexaSite™ (0.1% dexamethasone)  非細菌性の眼瞼炎の治療
  AzaSite Plus™             細菌性眼瞼炎、炎症眼瞼炎の治療薬

ーーー

Sun Pharma は眼科薬事業のほかに、皮膚病分野も米国での事業の候補としている。

同社は2012年11月8日、米国のDUSA Pharmaceuticals, Incの買収契約を締結した。買収額は約230百万ドル。

DUSA日光角化症を治療する光線力学的療法(photodynamic therapy)で使うアミノレブリン酸(Levulan®)を開発、販売している。

日光角化症は慢性の紫外線曝露により誘発される皮膚病変で、日光曝露を受けやすい顔面,耳介,前腕,手背部の皮膚に好発する。
皮膚癌の前駆病変だが、実際に上皮内癌や浸潤癌に発展する例は数パーセントに止まる。

光線力学的療法は生体内の病巣組織に親和性のある光増感性物質を投与した後、可視光線を照射し、組織内で生成した活性酸素種を用いて、病巣組織のみを選択的に破壊する治療法で、アミノレブリン酸は光増感性物質として使われる。

ーーー

Sun Pharma は2015年4月に第一三共からRanbaxy Laboratories の持株全てを買収している。

第一三共は2014年4月、子会社 Ranbaxy Laboratories をインドのSun Pharmaceutical が株式交換により吸収合併することでSun Pharmaと合意したと発表した。

第一三共はRanbaxy株式の約63.4 %を保有しているが、合併により Sun Pharma株式の約9%を取得した。

  2014/4/10 第一三共、ランバクシーを実質売却 

Lanbaxyの2013年の売上高は18億ドル、Sun Pharmaの売上高は25億ドルで、統合後のSun Pharmaは売上高43億ドルで世界5位の後発薬メーカー、インド最大の医薬品メーカーとなったが、新薬にも注力する。

Sun Pharma は本年3月にGSKから豪州での鎮静剤事業を買収し、9月1日に豪州 Port Fairy とLatrobe の工場を統合している。

コメントする

月別 アーカイブ