米議会、債務上限引き上げと予算案を承認、大統領署名

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米国では2016年予算案(2015/10~2016/9)が決まらず、ギリギリの9月30日に、12月11日までの暫定予算法案を可決した。
連邦債務を巡る法定上限の引き上げについては、2015年3月16日以降は18兆1000億ドルの法定上限を超過する借り入れはできなくなり、政府が持つ基金の金を活用するなどの特別な措置でやりくりしており、11月3日にもデフォルトが発生する懸念があった。

暫定予算も下院のJohn Boehner議長(共和党)が10月末での議長退任、下院議員辞職を表明し、ようやく通ったもの。

2015/10/15 米国、2016会計年度予算も暫定予算でスタート 

オバマ大統領は10月2日、債務上限問題について、解決する責任は議会にあるとして、野党共和党とは「交渉しない」と改めて表明。議会が上限を引き上げなければ、米国債のデフォルトが発生し「金融システムは危機に陥る」と警告した。 

これを受け、米政府と議会指導部は協議を続け、10月26日遅く、連邦債務上限の引き上げと2年間の予算案の概要で合意に至った。

合意した重要事項は以下の通り。

 債務上限引き上げ

米財務省は債務上限凍結が切れた2015年3月以降、緊急の資金繰り策によって債務残高を上限の18兆1000億ドル以内に抑えてきた。

今回、債務上限凍結を2017年3月15日まで再び延長し、それ以降については期限までに行った借り入れを含む金額を新たな上限として設定する。

 予算合意

2017年9月30日までの全体的な資金調達額が決まった。
共和党と合意した歳出の強制削減(シクエスター)による上限を上回る支出を認め、上乗せ額は軍事関連支出と非軍事支出について同額とする。
裁量的支出は2016年度(15年10月〜16年9月)予算で500億ドル、2017年度予算で300億ドルそれぞれ増額する。
共和党の最優先課題である軍事関連支出も増額する。強制削減の対象となっていない国防総省と国務省の軍事予算を2016、17年両年度について160億ドルずつ増やす。

 財源の手当て

今後2年間の裁量的支出増加分800億ドルの大半は、歳入増と数年余り実現していない歳出削減でカバーする。
農家が加入する穀物保険に対する補助金を削減し、30億ドルの資金を確保する。
戦略石油備蓄の一部売却を認め、今後10年で50億ドルを手当てする。

米議会下院は10月28日、2016、2017会計年度(2015/10~2017/9) の予算案と債務上限の引き上げを盛り込んだ法案を賛成多数で可決した。

上院も10月30日、可決した。

上院   下院
共和党 民主党 無所属 合計 共和党 民主党 合計
賛成 18 44 2 64 79 187 266
反対 35 35 167 167
棄権 1 1 1 1 2
合計 54 44 2 100 247 188 435

オバマ米大統領は11月2日、この法案に署名し、法案が成立した。
大統領は、「2年分の資金を確保することで、政府閉鎖の脅迫やギリギリの修正の繰り返しから解放されるだろう」と述べた。

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下院は10月29日、辞任を表明したJohn Boehner議長(共和党)の後任を選ぶ選挙を行い、同じ共和党の45歳のホープ、Paul Ryan 歳入委員長を選出した。

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