BASF、DuPontの全部又は一部の買収を検討 

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Dow Chemical と DuPont は12月11日、対等で経営統合すると発表した。 それぞれの取締役会が満場一致で賛成した。

2015/12/14 Dow と DuPont、経営統合を発表


しかし、BASFが数週間にわたりDowに対抗してDuPontの買収を検討していることが判明した。
Deutsche Bank とCitigroupを使って検討しており、正式なオファーはしていないが、DuPontに打診を行っている。

Bloomberg が3月4日に初めて報じ、Financial Times がこれに次いだ。


BASF は除草剤、殺虫剤、その他農薬ではSyngenta とBayer に次ぐ世界第三位で、DuPontを買収すれば、Bayer に並ぶ。

ソース http://www.sumitomo-chem.co.jp/ir/library/presentations/docs/20140919.pdf


DuPontは1999年に種子会社のPioneer Hi-Bredを買収した。
BASFは種子事業を持っておらず、もしDuPontを買収できれば、農業科学分野でのギャップを埋めることが出来るとともに、Monsantoに次ぐ世界第二位のメーカーとなる。

ソース http://mitsui.mgssi.com/issues/report/r1207i_matsuura.pdf

BASF はSyngentaの買収を真剣に検討したが、ChemChinaに取られた。

 2016/2/5 中国化工集団(ChemChina)、スイス農薬のSyngentaを買収


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BASFは、DuPont とDowの統合が発表される前に、DuPontに買収を提案していた。

DuPontは、Dowとの合併の是非を株主に問う目論見書で、"Company 2" との交渉について述べている。
これが、実はBASFであったことが判明した。

2015年11月にCompany 2 の会長がDuPont のCEOを訪問した。
会長はDuPontの事業について、一般的な、好意的な印象を述べたが、具体的な提案はしなかった。
その後、Company 2 はDuPontのアドバイザーのEvercore社に対し、DuPontの農業科学事業を現金で購入したいというおおまかな、予備的な提案を行うとともに、DuPontの他の事業についても話をする用意があると述べた。

2015年12月1日のDuPontの取締役会では、Company 2 との交渉は、「金銭上、戦略上、タイミングなどいろいろの理由で、問題がある」とし、Dowとの交渉を進めることとした。

その後12月10日にDuPont のCEOはCompany 2 の会長から、統合に関する予備的な話し合いをしたいとのレターを受け取ったが、12月11日にDow とDuPontの統合が発表された。

もし DuPontがDowとの契約を破棄する場合は、違約金19億ドルの支払が必要となる。


BASFのアドバイザーは、DuPont全体の買収は独禁法上で大きな問題があり、無理ではないかと見ている。

BASFのKurt Bock CEOは2月末の2015年決算発表の際に、大々的な買収の可能性を否定している。

「大きな買収の期待があるが、BASFでは買収については極めて冷静に見ており、むしろ、非コア資産の売却に焦点を当てたい」

しかしCEOは農業科学関連の分野で買収を検討していることは否定していない。


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