英国が北海の石油生産業者向け減税発表

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英国のOsborne 財務相は、3月16日に議会に提出した2016 / 17 年度 (2016年4月〜17年3月 ) 予算案で、北海沖で石油生産を行うエネルギー会社向けの減税措置を明らかにした。

石油収入税(Petroleum Revenue Tax)を事実上、廃止するとしたほか、石油・ガス生産業者に対する追加費用税(Supplementary Charge Tax)を20%から10%に半減する。本年1月1日に遡って適用する。

減税効果は2016 / 17 年度から2020 / 21年度の5年間で約10億ポンド(14億ドル)に上る見込み。

原油相場の急落により、とりわけ北海沖での石油生産が盛んなスコットランド北東部の雇用が大きな打撃を受けているほか、同地方の財政も圧迫していた。

オズボーン財務相は「スコットランドの主要産業と雇用を支援する」と表明した。

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Petroleum Revenue Tax、北海での石油操業の利益に対して英国が油田単位で課している特別税。

第一次石油危機を契機とする原油価格の高騰を受け、政府の税収増加と北海での石油操業における石油会社の過剰利益吸い上げを目的として、1975 年に導入した。

所得税課税前の収入に課せられ、所得税計算上は公租公課として経費処理される。

税率は当初 45 %であったが、1978 年に 60 %、1979 年に 70 %、1983 年以降は 75 %になった。
その後、50%になっていたが、2016年から35%に引き下げられた。今回、これを事実上廃止する。

Supplementary Charge Tax は、石油生産業者に対する法人税の追加税で、2015年1月からは20%となっているが、今回、これを10%に引き下げる。

なお、英国(UK and on the UK Continental Shelf) の石油・ガスの開発及び生産事業から得られた収益に対する法人税は、通称 Ring Fence Corporation tax と呼ばれる。

同一企業で石油事業以外の収益がある場合、石油事業の利益(ring fence profit)で他の事業の損失を消すことは認められない。
石油事業の損失を他の事業の利益で消すことは認められる。

一般の法人税率は、2015年4月以降、課税所得に関わらず20%となった。
2017年4月以降 19%に、2020年4月以降18%に引き下げられる予定。

これに対し、Ring Fence Corporation taxの税率は30%である。

石油事業の税率は下記の通り。

一般事業

石油事業

従来

現状 改正後

表面

net 表面 net 表面 net
Corporation tax 20% 30% 15% 30% 19.5% 30% 30% Petroleum Revenue Taxを控除した所得に課税される。
Supplementary Charge Tax 20% 10% 20% 13.0% 10% 10%
Petroleum Revenue Tax 50% 50% 35% 35.0%  0% 0%
合計 20% 75% 67.5% 40%



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