SKグループ 崔泰源会長が代表復帰

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SKグループの崔泰源会長が2年ぶりに、グループ持株会社であるSK㈱の代表取締役に復帰した。

SK㈱は3月18日、定期株主総会を開き、崔会長の取締役選任などの主要案件を全て可決した。
崔会長は、株主総会直後に開かれた取締役会で代表取締役に選任された後、取締役会議長に就任した。

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崔会長は2003年、不正な株取引によってグループ会社に損失を与えたとして,背任容疑で逮捕された。前年3月に、グループ支配強化のため,ウォーカーヒル・ホテル株(非上場)とSK㈱の株式交換をした際,ウォーカーヒル・ホテルの株価を不当に高く評価して約700億ウォンの不当利益を得たというもの。

崔会長は一審で懲役3年の実刑判決を受け、7か月程服役したが、2審で執行猶予で釈放された。最終的に2008年に大法院で懲役3年・執行猶予5年を宣告されたが、直後に建国60年での特別赦免となった。

ソウル中央地裁は2013年1月31日、株式投資によって生じた損失を補填するため、グループ会社の資金を横領した特定経済犯罪加重処罰法違反の罪に問われたSKグループ会長の崔泰源被告に対し、懲役4年の実刑判決を言い渡し、身柄を拘束した。再犯 であることも考慮された。

韓国政府は2015年8月14日、光復節(独立記念日)65年を迎えて、2493人を特別恩赦、減刑、復権した。
崔泰源会長も再度恩赦となり、同日出所した。

2013/2/8 韓国SKグループ会長に懲役4年の実刑判決 

これに先立ち2015年4月20日に、SKグループはグループの事実上の持株会社のSK C&Cと持株会社のSKが合併すると発表した。

これまで、崔一族が大株主で、情報システム開発を手掛ける事業会社であるSK C&C が、持株会社のSKに3割超を出資するという形となっており、株式市場からは支配構造が分かりにくいとの指摘が出ていた。

両社は6月29日の株主総会で合併を承認し、8月1日に合併が完了した。

SK C&Cが新株を発行してSKの株式と交換する吸収合併方式をとるが、SKブランドの象徴性やグループアイデンティティ維持のため、合併会社はSK㈱になった。

合併後、崔泰源一家は合併持株会社の持分を30%以上保有する。

崔泰源会長の経営復帰を控え、グループ内の屋上屋構造を解消することにより支配構造を強化する一方で、財務構造の改善によって、新たな成長事業を積極的に推進できる足場を構築することになった。

崔会長は8月14日の出所直後にグループ経営陣に会い、グループの危機克服の現状や国家経済活性化への貢献策、創造経済革新センターの現状などについて報告を受け、事実上業務を開始した。

統合持株会社は、ITサービス、ICT融合、バイオ・製薬、半導体素材・モジュール、LNGバリューチェーンの5大新成長分野を集中的に育成して、2020年までに売上げ200兆ウォン、税引前利益10兆ウォンを達成するという経営目標を提示している。

崔会長はグループ強化に向け、急速に動き出した。

SKは2015年11月、半導体製造プロセスに不可欠な三フッ化窒素(NF3)世界1位のOCIマテリアルズの持分49.1%を買収し、半導体素材事業に本格的に進出できる基盤を作った。
また、国内カーシェアリング1位の「SOCAR」の株式20%を取得した。

SKテレコムはCJハロービジョンを買収し、ITサービス分野の強化に乗り出した。
LNG分野では
崔会長チェ会長が直接中国を訪問し、中国内で最大のLNG発電容量を保有している中國國電集團との合弁案を議論している。

またバイオ・製薬分野では、SKバイオテックを孫会社(SKバイオファーム子会社)から子会社に格上げし、増設計画を打ち出した。

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崔泰源会長(55歳)は昨年末に不倫を告白、隠し子もいることを明らかにし、妻との離婚意思を明かした。
妻は盧泰愚元大統領の次女で、離婚に応じない考えを示している。

ブルームバーグの世界の富豪リストによると、崔会長は世界367位、韓国5位の富豪で、資産総額は42億ドルとなっている。

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SKの起源は、1939年に日本資本の満綢緞(ジュウタン)が日本の都織物との合弁で作った「鮮京織物」で、1953年に崔鍾建が工場設備一切の払い下げを受け、1956年に法人化した。

1973年に鮮京油化を設立し石油精製に進出、その後、重化学工業部門や建設、ホテル・カジノ運営に進出し、1976年に本体の繊維部門が総合商社となって鮮京と改称した。
(1998年に社名をSKに変更)

1980年に韓国政府の民営化方針を受け、鮮京が大韓石油の政府とGulf Oil 持株を買い取り、100%子会社とした。一時、油公と改称、1997年にSKとした。

韓国では、政府が1962年に大韓石油を設立、1970年にGulf Oil が50%出資した。
子会社大韓油化は1972年に蔚山に韓国最初の石化コンプレックスをつくった。

油公は1987年にARCOとのJVのYukong ARCOを設立し、PO/SM併産プラントを建設した。1992年にARCOが撤退、Yukong ARCOはYukong Oxichemicalと改称、その後、SK Oxichemical 、SK Evertec を経て SKC となった。 

1994年には同じく国営の韓国移動通信の払い下げを受けて「SKテレコム」に改称、同社を韓国の携帯電話業界の最大手にまで成長させ、石油部門と並ぶグループの事業の柱を形成した。

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崔泰源会長が2年ぶりに SK㈱の代表取締役に復帰する一方で、CJグループのCJ とCJ 第一精糖の株主総会では、李在賢会長の取締役選任案件が上程されなかった。
李会長がグループ内の系列会社の取締役の肩書を一つも持たなくなったのは、1994年の就任以来初めて。

CJグループは第一精糖グループが1993年に三星グループから分離したもので、李在賢会長は三星グループ創始者の李秉喆の長男の息子。

ソウル中央地裁は2014年2月、横領、背任、脱税で起訴された李在賢会長に懲役4年、罰金260億ウォン(約25億円)の判決を言い渡した。

李会長は数千億ウォン台の不正資金を運用しながら546億ウォンを脱税し、グループの資産963億ウォンを横領したほか、会社に569億ウォンの損害を与えた背任の罪で2013年7月に在宅のまま起訴された。

李会長は現在、健康問題のため拘束執行停止の状態となっている。

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