タイ石炭大手のBanpu、米国のシェール開発に投資 

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タイ最大の石炭メーカーのBanpu Pcl は4月20日、米国ペンシルバニア州のシェールガス開発のChaffee Corners Joint Exploration Agreement の29.4%の権益を112百万ドルで取得したと発表した。

Marcellus Shale belt の北東部分にあり、Repsolが買収した Talisman Energy Inc が65.4%の権益をもって運営し、残り5.2%の権益をPassive Investorが持つこととなる。

Banpuの持分ベースで、確認埋蔵量はドライ天然ガス 156Bcf で、2016年の目標生産量を日量21百万cf としている。
天然ガスは全量米国市場(主に発電用)に販売する。

これはBanpuにとって最初の米国の天然ガス事業で、これまでアジア市場が中心であったのを是正する戦略の一つである。

Banpuでは、PTT Exploration and Productionの前CEOを取締役に起用し、上流のガス戦略についてアドバイスを受ける。

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Banpuは1983年にタイで設立されたタイ最大の石炭採掘会社だが、国内の炭鉱が枯渇したため、採掘は国外が中心である。
2001年以降、アジア太平洋地域で石炭をベースとするエネルギー企業となると決めた。

石炭採掘と石炭火力発電が中心だが、最近は太陽光発電にも乗り出し、日本にも進出している。

現在の石炭採掘事業の概要は下記の通り。

モンゴリアでは2011年にHunnu Coal Limited を買収した。

中国には2003年に子会社 Banpu Investment (China) (BIC) を設立し進出した。現在、Gaohe 鉱山を運営するShanxi Gaohe Energy に45%出資、またHebi鉱山を運営するHebi Zhong Tai Mining に40%出資している。

インドネシアには1991年に進出、同社の主力基地となっている。子会社のIndo Tambangraya Megah Tbk がカリマンタンで6つの炭鉱を運営している。

豪州では、2010年に9つの炭鉱を運営するCentennial Coal Companyを買収した。


発電事業の概要は次のとおり。

タイでは、Map Ta Phut コンビナートで1,434MW の石炭火力発電所を運営するBLCP Power の50%の権益を有する。
ラオスでは現地の電力会社や国営企業と合弁でHongsa Power Plant を完成させた。

中国では子会社BICを通じ2006年に火力発電に進出した。
現在、河北省に2つ、山東省に1つの発電所を持つ。
更に、山西省でShanxi Lu Guang Power Project を進めている。Banpuが30%出資し、山西潞安礦業と
格盟国際能源が35%ずつ出資する。

Banpuは2020年までに発電能力を3割増の240万キロワットに引き上げ、そのうちの2割を太陽光など再生可能エネルギーとする方針である。

日本でも太陽光発電事業に参入し、現在7箇所で事業を行っている。
2020年までに合計20万キロワット規模の発電能力を目指す。

むかわ:北海道鵡川町
ナリ会津:会津若松市の会津カントリーゴルフクラブのコース跡などに設置
Olympia:群馬県のパチンコ機製造のオリンピア伊勢崎三和工場

付記 日経(2016/4/30)によると岩手県一関市に25MWを建設する。

同社は2015年7月に子会社 Banpu Power 設立を発表した。

Power Business の日本関連の構造は下記の通り。

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