Saudi Aramco のアジア向け原油価格

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2016年7月のSaudi Aramco のArabian light 原油のアジア向けDD (Direct Deal)価格が43.48ドル/バレルと決まった。


Saudi Aramcoを含めた産油国のDD原油輸出価格は、当月の「指標原油」のスポット価格に「調整金」を加算したものとなっている。

Saudi Aramcoの場合、アジア市場、米国、欧州向けに別々の原油を「指標原油」として使っている。

アジア市場 Dubai とOman の平均値
米国 Argus Sour Crude Index
欧州 Brent


米国向けは従来、
WTI原油価格を指標価格として使用していたが、2010年1月1日から変更した。

Argus Sour Crude Index は米国メキシコ湾岸地域の中質サワー原油現物価格の指数で、メキシコ湾岸のMars、Poseidon、Southern Green Canyon原油の全ての取引の加重平均価格である。

WTI原油の価格は、WTI原油の受け渡しが行われるオクラホマ州Cushing 周辺での貯蔵能力の影響を大きく受けた。(当時はメキシコ湾岸への輸送パイプライン無し)
また、投機資金の影響で乱高下するなど、市場参加者からは、値決めの基準となる「マーカー原油」としての役割を疑問視する声が上がっていた。

2009/10/31 Saudi Aramco、米国向け輸出の原油価格決定で英Argus Mediaの指標を利用へ

注) 2014年3月時点ではメキシコ湾岸への3つのパイプラインが開通しており、Cusingでの在庫滞留は解消に向かった。

2011/11/17 WTI原油価格急騰 の付記参照


Saudi Aramco はこのたび、2016年9月の調整金を発表した。

アジア向けは前月比で1.30ドル引き下げ、-1.10ドルとなった。
米国向けは0.20ドル引き下げた一方、欧州向けは0.25ドル引き上げた。

アジア向けは2015年11月以降で最大の引き下げで、Bloombergは専門家の見方として、アジアの顧客企業を対象とした「市場シェア獲得競争」の一環で、特に2016年1月の制裁解除後に原油輸出を増やしているイランとの競合によるものとしている。

イランの生産量は日量360万バレル超と、制裁前の水準に回復しつつある。対抗するサウジは油田を増強、日量1000万バレルを上回る。(日経)

市場では石油製品の需要低迷が警戒され、原油先物の売りが加速したとの指摘があった。

8月2日の東京市場のドバイ原油スポット価格は40ドルを割り、39.10ドル/バレルとなっている。
(WTI原油も8月2日終値は39.51ドルとなった。)


この水準が続くと、9月のサウジ品Arabian light 原油価格は38ドルを割ることとなる。

 

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