三菱化学、日本合成化学にTOB、最大430億円

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三菱化学は8月5日、日本合成化学工業にTOBを実施すると発表した。1株当たり910円で買い付ける。完全子会社にすることを目指しており、買い付け額は最大で約430億円の見込み。

三菱化学は既に日本合成化学工業の発行済み株式の51.49%を保有しており、残りを買い付ける。
TOBは子会社の三菱化学ヨーロッパと共同で実施し、最終的に三菱化学が議決権を95%、三菱化学ヨーロッパが5%持つようにする。

三菱化学は、1963 年に日本合成化学と水島合成化学工業(現在は日本合成化学水島工場)を設立するとともに、資本参加するなど、長期にわたり提携関係にあった。

2009 年9月に連携強化のため、市場内取引によって株式を追加取得し、40.04%とし、連結子会社とした。
さらに、市場内にて株式を買い進めた結果、2013 年2月には議決権保有割合が過半数を超え、その後、2015 年8月に市場外取引によって取得した株式を含め、現時点では 51.49%を取得している。

日本合成化学は、1926年に木酢生産4社の共同研究によりアセチレンを原料とする酢酸の工業化生産技術を確立し、翌1927年に4社合同で日本合成化学研究所を設立したのに始まる。
1928年に日本合成化学工業に改称し、日本で初めての有機合成酢酸の工業化に成功した。

1936年には、日本で最初にアセチレン法による酢酸ビニルモノマーおよび酢酸ビニル樹脂の製造に成功した。

1963年に石油化学への原料転換のため水島コンビナートに進出を決定、三菱化成とのJVの水島合成化学工業を設立し、翌年アセトアルデヒドを原料とする酢酸及び酢酸エチルの生産を開始した。

現在の日本合成化学の主要製品は下記の通り。

商品 能力 世界シェア
PVOH
(ポリビニルアルコール)
「ゴーセノール」他 水島工場 40千トン
熊本工場 30千トン
合計   70千トン
PVOHフィルム 「OPLフィルム」他
(光学用)
大垣工場 2,500万㎡ / 年(2系列)
熊本工場 6,300万㎡ / 年(4系列)
合計   8,800万㎡ / 年(6系列)
大垣工場に第7系列(1,800万㎡)
2017年2Q完工予定
2位(約30%)
EVOH
(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)
「ソアノール」他 水島工場  10千トン
NOLTEX (米国) 38千トン
NIPPON GOHSEI UK 18千トン
合計    66千トン
2位(約40%)

NOLTEXは、DuPontのEVOHプラントを買収
NIPPON GOHSEI UK はBP工場敷地内にある。

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なお、三菱化学、三菱樹脂及び三菱レイヨンは、2017 年4月1日に統合する予定。

2015/12/10 三菱化学、三菱樹脂及び三菱レイヨンの統合 

現状
統合後

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