米国、2017会計年度も暫定予算でスタート

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10月1日から始まる2017会計年度の予算について、12月9日までの暫定予算が決まり、オバマ米大統領は9月29日に署名し、成立した。

予算案を巡る与野党の対立は数週間続いていた。通年予算の成立は無理で、暫定予算となるが、共和党の一部は来年3月までの長期の暫定予算を要求した。

オバマ大統領は11月8日の大統領選後に、予算協議と合わせてTPPの承認を求める意向だが、来年3月までの暫定の場合、大統領の任期中に審議ができない可能性があった。今回の暫定予算決定で、大統領は任期中のTPP承認を目指す。

なお、TPPには反対が強い。上院でTPPを所管する財政委員会の委員長は、バイオ新薬のデータ保護期間を、大筋合意した8年から12年に延ばすよう強硬に主張している。TPPの修正には再交渉が必要だが、他の参加国全体が絶対反対の立場である。

最終的に12月9日までの暫定予算で妥協に達し、米上院は9月28日に可決、下院も同日可決した。

これにより大統領選挙の前の政府機関の一部閉鎖などは回避される。

米議会は休会に入り、大統領戦後の11月半ばに再開する。

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米国の予算の問題には、「予算案」そのものと「債務上限問題」がある。

オバマ政権では、予算については、与党民主党が少数のため、野党共和党の反対によりこれまで全ての年度で年度前に予算が成立せず、暫定予算でスタートした。

2014年度の2013年10月1日には暫定予算も成立せず、政府機関が一部閉鎖された。

2013/10/1 米国、予算成立せず、政府機関を一部閉鎖

2012年12月には、「財政管理法による政府支出の強制削減」と「大型減税期限切れ」による 「財政の崖」問題が発生したが、同年12月31日に当面の回避案で合意している。

  2013/1/4 米国、「財政の崖」問題を当面回避

直近の2会計年度の動きは次の通り。

2015
年度
2014/10 2014/12/11までの暫定予算
2014/12 総額1兆1000億ドルの包括的歳出法案を可決、但し、国土安全保障省は2015年2月までの暫定予算
 
2014/12/18 米国、包括的歳出法案が可決するも、問題を残す
2015/3/4  2015/3/6 米、国土安保省の予算可決
2016
年度
2015/9/30  
 
12月11日までの暫定予算
 
2015/10/15 米国、2016会計年度予算も暫定予算でスタート
2015/10/26 2年間の予算案の概要で合意(但し、細目決まらず)
 2015/11/4 米議会、債務上限引き上げと予算案を承認
2015/12/11 期限切れで短期暫定予算
2015/12/18 予算案可決
 2015/12/21 米議会、予算案を可決、原油輸出解禁、IMF出資比率見直しも 


債務上限問題(2012/10/8 米国経済の問題点 参照)では、「上限の引き上げ」や、「債務上限の適用の凍結」で対応しているが、与野党の協議が不調に終わり、上限に達したため、長期間、つなぎの資金繰りで対応したこともある。

現在は、2015年10月に債務上限凍結を2017年3月15日まで再び延長して、乗り切っている。

過去の経緯:

債務上限
2012/11/5 14.29兆ドル 上限到達。
2012/11/7 16.4兆ドル 上限引き上げ
  
2011/8/3 米国、債務上限引き上げ、デフォルト回避
2013/2 16.7兆ドル 上限引き上げ
2013/5 16.7兆ドル 上限到達、以降、つなぎの資金繰りで対応
  
2013/8/29 米国債、再びデフォルト懸念
2013/10/16 2014/2/7まで上限以上の国債発行を認める。
  
2013/10/17 米国、政府デフォルトを直前に回避
2014/2/7 17.2兆ドル 上限以上の国債発行の期限到来
2014/2/12 債務上限の適用を2015年3月まで凍結
  2014/2/14
米債務上限上げ法案可決 デフォルト回避確定
2015/3/16 18.1兆ドル 凍結期間終了、以降、つなぎの資金繰りで対応
2015/10/26 債務上限凍結を2017年3月15日まで再び延長
 
2015/11/4 米議会、債務上限引き上げと予算案を承認、大統領署名 

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