志賀原発に雨水流入、「安全機能、失う恐れも」

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停止中の北陸電力志賀原発2号機の原子炉建屋に 6.6トンの雨水が流れ込み、非常用照明の電源が漏電する事故が9月28日に発生した。

原子力規制委員会は10月19日、北陸電力に原因究明と再発防止を求めた。田中俊一委員長は「これほどの雨が流入するのは想定外だった。安全上重要な機能を失う恐れもあった」として、新規制基準に基づく再稼働の審査を見直す可能性を示唆した。

背景は下記の通り。

・ 2号機原子炉建屋北東エリアにおける地下式軽油タンク設置工事に伴い、当該エリア付近で道路の側溝(排水路)の付け替え工事を実施していた。

・ 雨水は、工事中の排水路に集まった後、仮設排水ポンプで排水することとしていたが、仮設排水ポンプの排水能力は大雨には対応できないものであった。

・ 道路脇のピットの上蓋から仮設ケーブルを引き込んでいた。


9月28日の状況

当日の雨量は1時間あたり最大 26ミリだった。

排水路が道路工事で一部ふさがれていたため、道路が雨水により冠水し、仮設ケーブルを通すため蓋が一部開いていたケーブル配管に雨水が流れ込んだ。

水は更にハンドホールを通じて、開閉所共通トレンチに流入し、トレンチ内から原子炉建屋のケーブル貫通部を経由して建屋地上1階に流入した。

地上1階にある非常用照明の電源設備などが被水し、漏電した。

さらに雨水は、床のひび割れなどを通って地下2階まで達した。
地下1階には、地震などで外部電源が失われた際に使われる最重要の蓄電池があるが、その真上の場所にも水が来ていた。

福島第一原発は、津波で非常用電源が失われて事故につながった。

このため、新基準は防潮堤で津波を防ぎ、建屋に水密扉をつけて浸水を防ぐなどの対策の強化を求めているが、配管から雨水が流れ込むことは重視されてこなかった。
志賀原発は近くに川などがないため洪水対策は不要とされ、配管は密封されていなかった。

北陸電力は審査の申請で、志賀原発2号機は洪水が起きる地形ではないため洪水対策について必要ないとしていた。

規制委は今後、志賀2号機の再稼働に向けた審査で対策を求めていく方針。
また、今回の問題が志賀原発固有の問題か、他原発の審査にも広げる必要があるかどうか、北陸電の報告を待って検討するという。



 
運転開始 型式 能力
万KW

申請

状況 
北陸電力
 志賀
① 1993/7/30 BWR
(Mark-I改)
54.0 2016/4/27
原子炉建屋直下の断層について、「活断層と解釈するのが合理的」とした有識者会合の報告を受理。
② 2006/3/15 ABWR 135.8 2014/8/12 2016/4/27
重要設備直下に活断層の可能性
2016/6/10
北陸電力 活断層でないと主張


金沢地裁が2006年、北陸電力志賀原発2号機の運転停止を命じた判決を下した。
2009年に名古屋高裁で原告逆転敗訴、2010年 最高裁で上告棄却


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