日産自動車、英国での投資継続で英政府と密約 ?

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日産自動車は10月26日の経営会議で、英国のSunderland 工場で現在生産しているSUV「Qashqai」の次期型車に加え、次期型「X-Trail 」を同工場で生産することを決定した。

Qashqai は日産自動車がかつて日本国内で製造・販売していた「デュアリス」で、フルモデルチェンジを受けて欧州その他で販売している。


日産はSunderland 工場への投資を増やし、同工場で働く 7,000人以上の雇用を確保、維持することになる。
同工場は7,000人以上の従業員に加え、サプライチェーンにおける 28,000人の雇用を支えている。

同社は発表で、本決定は、Sunderland 工場の競争力維持を公約する英国政府の表明を受けてなされたものとしている。

Carlos Ghosn社長は、「英国政府から支援と公約を得られたことで、Sunderland 工場での次期型Qashqaiと次期型X-Trail の生産決定につながった。Theresa May首相の、英国の自動車産業および産業戦略全体の発展に対する強い決意に敬意を表す」と語った。

ゴーン社長は10月14日にTheresa May首相と面会している。

面会後に社長は、「英国が事業を展開する上で競争的な場所であることを英政府が引き続き保証すると確信している」と述べた。
May首相は声明で「英政府は自動車業界にとり適切な環境を作り出し、支援することにコミットしている」との立場を示した。


日産自動車の投資継続の発表を受け、英紙 The Timesは10月27日、この決定が英国政府からの秘密の保証を受けてなされたと報じた。
May首相がゴーン社長に対し、英国で新しい自動車を生産する場合、日産はBrexitにより損をすることはない(not "lose out") と約束したとする。

更に28日には、Greg Clark ビジネス・エネルギー・産業戦略相が日産の経営陣に対し、「英国からEUへの自動車輸出に関税が生じる場合でも、日産が負担する必要はない」との内容の手紙を送っていたと報じた。

英国がEUから離脱し、WTOルールが適用された場合、自動車は欧州向けで10%の関税が必要となる。

日産がこの恩典を受ける場合、英国で生産するトヨタ、ホンダ、Vauxhall(GM子会社)などにも適用する必要が出てくるため、多額の財政支出となる。

Clark ビジネス・エネルギー・産業戦略相はBBCの番組に出演、日産に約束をしたのかどうか6回も聞かれたが、明確な回答はしなかった。

英国日産のSenior VP は、政府は日産に特定の補償を約束していないと述べた。

英国の野党は日産との約束の内容を明らかにするよう要求している。

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日本政府は9月に、英国のEU離脱決定をめぐり、日系企業に関税や通関手続きなど新たな負担がかからないよう求めた要望書を送っている。

2016/9/7 日本政府、Brexit で英国に警告 

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