米国でジェネリック医薬品の価格談合で捜査

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Bloomberg は11月4日、司法省がジェネリック医薬品の価格談合で捜査をしており、年末までに起訴 するだろうと報じた。

司法省の独禁法違反捜査は2年前に始まり、今では捜査範囲は10社以上、20以上の医薬品に広がっている。

心臓治療薬や抗生物質が捜査対象となっており、召喚令状が出た企業は、Mylan NV やTeva Pharmaceutical Industries、Actavis (Teva がAllergan Plc から買収), Lannett 、Impax Laboratories、Covis Pharma、Sun Pharmaceutical Industries、Mayne Pharma Group、Par Pharmaceutical Holdings(Endo International 子会社)、Taro Pharmaceutical Industries など多数。

今後、自動車部品カルテル(46社が合計28億ドルの罰金を払い、65名が起訴され、うち 31名が禁固刑)のようになるのではとの見方がある。

米国では昨年、医薬品の値上げが大問題となった。

Mylanが、命の危険がある急性アレルギー反応「アナフィラキシー」を緩和するために用いられる注射薬「EpiPen」の価格をかつての5倍にまで引き上げ、不当に利益を得ているとして非難を受けた。

カナダのValeant Pharmaceuticals が2種類の心疾患治療薬を大幅に値上げしたことをめぐり、米議会下院の監視・政府改革委員会の民主党委員らが問題視した。

2016/8/30 Mylanの医薬品 EpiPenの値上げに対する批判

Turing Pharmaceuticalsの経営者Martin Shkreli はAIDS治療薬「Daraprim」の権利を他社から取得した上で、販売価格をこれまでの13.5ドルから750ドルに、いきなり55倍もの大幅な値上げを断行し、Hillary Clintonから非難を受けた。

Martin Shkreliは、買収した企業の資産を使って自分が前に買収した企業の買収資金を返済をするという行為を繰り返しており、証券詐欺(日本の特別特別背任罪)の容疑で逮捕された。

これまではブランド医薬品が注目されたが、司法省はジェネリックに注目した。

ジェネリック医薬品は米国では処方箋の88%を占め、2015年の米国での売上高は700億ドルに達する。

今回、テトラサイクリン系抗生物質のDoxycycline と心不全治療薬 Digoxin が問題になっている。

Mylan とPar はDoxycyclineで調査を受けている。他にActavis、Sun、Mayne、Lannett が製造しているが、調査を受けているかどうかはノーコメントとしている。

Digoxin については、Impax、Lannett、Par、Sun が製造している。Mylan はこれのブランド品を生産しているが、調査は受けていない。

Digoxin の価格は下図のとおりで、2013年10月に Lannettがそれまでの 0.17$ から一気に 1.185$に値上げし、その6日後にImpax が0.14$から1.185$に値上げした。当時この2社が市場を抑えていた。

2014年1月にPar が1.185$で市場に参入、2015年3月にSun Pharma が追随値上げした。
(この価格はリストプライスで、値下げやリベートを織り込まないもの)


このほか、Impax は乾癬治療薬のCalcipotrieneでも聞かれたとしている。この薬はイスラエルのTaroも生産している。


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