日立製作所、ウラン濃縮技術開発から撤退

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日立製作所は2月1日、原発の燃料として使うウランを濃縮する新技術を米国で開発している事業から撤退し、2017年3月期の連結決算で約700億円の損失を計上する方針を明らかにした。

将来の需要増加を見込んでいたが、原発をめぐる事業環境は厳しく、想定通りの収益を見込めないと判断したもの。

売却することも選択肢で、3月末までに決定する見込み。


日立と米国のGEは原発事業で提携し、日米にJVを持っている。

半世紀にわたる原子力事業での豊富な実績を持つ両社の技術と経験を受け継ぎ、信頼性の高いモノづくりを進めながら、環境に配慮した原子力事業の発展に取り組んでいくとしている。

2010年6月9日発表の 「2012 中期経営計画」の実現に向けた7事業の戦略について で、ウランからの一貫体制をうたっている。

・ ウランについては、カナダ・サスカチュワン州に本社を置く、世界最大手のウラン鉱山会社のCameco Corp.と提携し、ウラン資源を確保
・ GE Hitachi Nuclear Energy子会社のGE Hitachi Global Laser Enrichment でウランを濃縮
・ 同じく子会社のGlobal Nuclear Fuel で核燃料に成形する。

GE Hitachi Nuclear Energy Global Laser Enrichment は2012年9月に、NRCからNew Carolina州にレーザー法濃縮設備の建設認可を受けている。

今回、Global Laser Enrichment の事業から撤退する。原発の建設や稼働が世界的に滞る中、事業の見通しは厳しくなっており、経営資源を他の事業にまわす。

東芝では撤退の理由について、「まだ実用化されていない技術で、今後の事業性を考えた」と述べた。

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なお、核燃料成形のGlobal Nuclear Fuel は、日本にも子会社を持つ。

この前身は日本ニユクリア・フユエルで、GE、東芝、日立製作所出資の原子力発電用燃料製造会社として、1967年に久里浜で操業を開始した。
1971年に国産初の燃料を供給して以来、燃料メーカーのパイオニアとしてこれまでに8万体を超える燃料を国内各地の原子力発電所に納入している。

2000年1月1日には出資3社から営業・設計・開発部門が移管され、新たにGlobal Nuclear Fuel Japan としてスタートし、燃料のみならず炉心管理技術他関連サービス、またMOX燃料の設計・品質管理も行っている。

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