オバマケア代替法案撤回

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オバマケア代替法案の撤回が決まった。政権発足後最初に取り組んだ重要法案でのつまずきは、トランプ政権にとって大きな打撃となる。

米下院は3月23日、同日中に予定していた医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案の採決を延期した。

野党・民主党に加え、共和党内の保守強硬派などの反対が強い。

下院は共和党が237議席、野党・民主党が193議席を占め、法案の可決には過半数216票が必要となる。共和党から21人超が造反して反対に回ると、可決は難しいが、共和党の26人が反対票を投じる意向で、さらに4人が反対を検討している。

共和党は24日の採決を予定したが、可決の見通しが立たず、トランプ米政権は同日、オバマケアを見直す代替法案の下院本会議での採決を見送り、法案を事実上撤回すると表明した。

大統領は直前のTwitter で、法案可決に期待を示していた。
 "After seven horrible years of ObamaCare (skyrocketing premiums & deductibles, bad healthcare), this is finally your chance for a great plan!"

法案撤回後も、「オバマケアは破裂する。国民のための素晴らしい医療保険制度案を作るため、我々は結束していく。心配は無用だ」と強気である。
 "ObamaCare will explode and we will all get together and piece together a great healthcare plan for THE PEOPLE. Do not worry!

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Trump大統領はオバマケアの廃止を公約としていた。

米上院は1月12日、オバマケア撤廃に向けた法案の策定を各委員会に指示する決議案を可決した。翌13日に下院も賛成多数で決議した。

大統領は1月20日の就任当日に最初の大統領令を出し、オバマケアの撤廃に向け、各省庁に現行制度による経済的負担を軽減するよう指示した。

米上院本会議は2月10日未明、トランプ大統領が厚生長官に指名した、オバマケアに反対する急先鋒のTom Price下院議員の人事を賛成52対反対47の僅差で承認した。

米下院の共和党議員らは3月6日、低所得者向け医療費補助制度の拡張などを含む医療保険制度改革法(オバマケア)を廃止する法案を発表した。

同法案によると、オバマケアで拡張した医療費補助制度への登録を2020年1月1日に凍結する。
同制度拡張を実施した州では、2019年末まで保険購入者の登録を認め、政府からの補助金を受け取ることができるが、法案通過後は補助金を制限する。

加入促進や保険料補助をやめ年齢に応じた税額控除に変える。高所得者層には上限を設ける。

オバマケアが課した税金のほとんどを2018年1月に廃止するほか、保険購入を強いられている個人や事業者に対するペナルティを即時撤廃する。

既往症がある人の加入を保険会社が拒否できない規定や、26歳までの子が親の保険に加入できる仕組みは残す。

トランプ米大統領は3月7日、下院共和党のオバマケア代替案を支持する立場を示した。
合わせて、医薬品の価格を下げる制度に取り組んでいるとも表明。「製薬業界に競争をもたらす新たな制度に取り組んでいる。米国民が支払う価格は大幅に下がる」とし、薬価引き下げに再び意欲を示した。

民主党は、税金廃止や税額控除で富裕層が恩恵を受け、数百万人の中低所得者層から保険を奪うとして反対を表明した。

共和党保守派は代替案をオバマケアの「焼き直し」などと批判、オバマケアの完全な廃止を求めた。

代替法案では保険購入者向けの「税額控除」という形で、オバマケアの政府補助金が実質的に維持されていると反発。


超党派の議会予算局(CBO)は3月13日、法案が成立すれば保険加入者数は2018年に現行より約1400万人、2026年には約2400万人減るとの見通しを発表し、ショックを与えた。

オバマケアを現行のまま維持した場合に予想される未加入者は2026年に2800万人だが、代替法案が通れは5200万人に達すると試算。

罰金規定の廃止などで、保険に加入しない健康な人が増えて保険料が上昇し、加入をやめる人が出ると指摘した。
保険料は2018年と2019年に15~20%上がるが、2020年以降は下落すると試算。
連邦政府の赤字は今後10年間で3370億ドル削減されるという。

民主党のシューマー上院院内総務は試算によって「『トランプケア』が多くの米国民に深刻な害悪をもたらすことが明らかになった」と批判を強めた。
プライス厚生長官は、CBOの報告書は規制改革や他の医療保険改革の取り組みなどを考慮していないとし、
代替法案により「より多くの個人」が「より低いコスト」で被保険者になると反論した。

トランプ米大統領は3月21日、与党・共和党の下院指導部らと非公開で協議したが、大統領は、「これをやり遂げなければ、あなた方の多くは 2018年の中間選挙で議席を失うだろう」と述べ、法案に反対している党内の保守強硬派を強くけん制した。

付記

法案撤回後の3月30日の大統領のTwitter

"The Freedom Caucus will hurt the entire Republican agenda if they don't get on the team, & fast. We must fight them, & Dems, in 2018! "
(Freedom Caucus
は、すぐにチームに加わらなければ、すべての共和党員の政策合意を傷つけることになるだろう。2018年の中間選挙で我々は彼らと民主党を相手に戦わなければならない)

Freedom Caucusは共和党保守派のグループで、オバマケア代替法案の可決を阻止した。

23日の採決に向け、法案に反対する与党共和党の保守強硬派などから同意を取り付けようと土壇場の調整が続いた。

大統領は、23日には保守強硬派をホワイトハウスに招いて、法案への賛意を呼びかけた。

それでも「過半数に10~15票足りなかった」(トランプ氏)といい、下院共和党(237議席)の30人前後はかたくなに反対姿勢を貫いた。

大統領は、「次は税制改革に取り組む」とするが、共和党の「国境税」を含む税制改革案には反対意見が多い。
オバマケア見直しに伴う歳出減で捻出する予定だった財源も見込めなくなり、
Ryan下院議長は会見で「税制改革は困難になったが、不可能ではない」と微妙な物言いをしている。


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