Abbott、診断薬・機器の米Alere の買収で再合意

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Abbott Laboratories は4月14日、診断薬・診断機器メーカーのAlere Inc.の買収で再合意したと発表した。


Abbottは2016年2月1日、Alereを総額58億ドルで買収することで合意した。

その後、Alere側の問題を理由にAbbottが解約を申し入れたが、Alereがこれを拒否、法廷闘争に発展していた。

今回、買収条件を見直し、買収金額を53億ドルとすることで合意した。株主総会の承認や関係官庁の承認を受け、第3四半期末での取引完了を見込む。

両社は互いを相手とする訴訟を取り下げることで合意した。

買収により、Abbottは550億ドルの市場であるポイントオブケア検査(「患者の近いところ」で行われる検査で、簡単に、早く、正確に患者への対応ができる)部門でのリーダーの地位を確保する。

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2016年2月1日、Alereを総額58億ドルで買収することで合意した。

買収により、Abbottはポイントオブケア検査部門でのリーダーの地位を確保し、診断部門の売上高は70億ドルを超えると見込まれた。

しかし、2016年4月に入り、AbbottはAlereに対し、買収の解約を申し入れた。30~50百万ドル(Alere側の費用による)の違約金を払うとした。

理由として、買収契約により供与された経理情報の正確性に重大な懸念を持つとした。AlereがAnnual Report を期限内に提出しなかったことを重視した。Alereが Foreign Corrupt Practices Act 違反の疑いで司法省から喚問されたことも挙げている。

これに対し、Alereは4月29日に、これらが契約上の解約の理由にならないとして、解約の要請を拒否したことを明らかにし、取引完了に向け、両社が努力すると述べた。

しかし、Abbottは前日の4月28日に医療機器メーカーのSt. Jude Medical Inc. を250億ドルで買収すると発表している。
Abbottは、Alereの買収の代わりか?との質問に直接は答えず、AlereとSt. Jude Medicalの両方の買収資金はあると述べた。

AbbottとSt. Jude Medical はともに、カテーテル治療機器など心血管治療向けの医療機器に強い。St. Jude Medical は心房細動、心不全、器質的心疾患、慢性痛分野といった高成長市場に強みを持ち、Abbottの冠動脈インターベンションや僧帽弁膜症の領域でのリーディングポジションを補完する。
買収により、心血管治療のほぼ全領域をカバーでき、それらいずれの領域の治療機器でも業界首位または2位の座が得られる。

この買収は、2017年1月4日に手続きが完了した。

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Alereに関しては、いろいろな問題が発生した。

1) 2015年度決算のAnnual Report を期限内に提出できず、NY証券取引所から警告を受けた。

同社は、2013年~2015年のアフリカと中国における売上高計上時期の問題で調査を行っており、その完了まで報告ができない旨を明らかにしていた。

なお、同社は2016年度決算についても、報告が遅れており、2017年3月に再度警告を受けている。今回は、韓国と日本での売上計上時期の問題としており、特に韓国の子会社 Standard Diagnostics の不適切な処理を理由に挙げている。

2) 2016年3月に、Alereはアフリカ、アジア、ラテンアメリカでの販売慣行に関し、Foreign Corrupt Practices Act 違反の疑いで司法省から喚問されたことを明らかにした。

3) Alereは2016年7月、全血中のプロトロンビン時間の測定キットであるINRatioの自主回収を発表した。特定状況下で測定結果が他の方法での結果より低値傾向を示すことが判明したため。

 同社は2016年9月に製造中止、市場からの撤退を決めた。

4) Alereは2016年7月、患者のサンプルのテストの費用のMedicare やMedicaid 等への請求に関して、司法省から記録の提出を要求された。

5) Alereは2011年に糖尿病のテスト資材の供給者であるArriva Medical を買収し子会社としているが、Centers for Medicare & Medicaid ServicesがArriva Medical を資格停止した。
 Medicare やMedicaidでの治療に使用できないこととなる。 
  
 Arriva Medical は不当であるとして取り消しを求めている。査定に対して非常に多くの再審を要求したのが理由で、それに対する嫌がらせとしている。

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Alereは2016年8月、契約に基づき合併に関する独禁法の認可を取る義務を果たすことをAbbottに求める訴えを、裁判所に出した。

これに対しAbbottは、Alereが財務資料を提出するのを遅らせているのが原因だと反論した。

2016年10月20日、中国商務部が合併を承認した。

2016年10月21日、Alereの株主総会でAbbottとの合併が承認された。

2016年12月7日、Abbottは上記のAlereのいろいろの問題点を理由に、Alereの価値が大幅に減少したとして、買収を取り消すことを求め、訴えた。

これに対し、Alereは同日、反論を発表した。

Abbott自身が分かっているように、挙げている問題点は買収を取りやめる根拠にはならない。

Alereは契約に基づく義務をすべて果たしており、株主を守るため必要な手続きを取る。

Abbottは、契約では有害事象がAlereの長期の見通しを著しく変える場合は解約できるとなっており、これらの事態はそういう有害事象であると再反論している。

2017年1月25日、欧州委員会が合併を承認した。


その後の経緯についての発表はないが、両社の間で協議を行い、買収価額を引き下げることで合意し、両社とも訴えを取り下げることとした。

中国とEUは既に合併を承認しており、米国その他の承認を得て、買収が完了する。

Abbottは、Alereを53億ドルで、St. Jude Medical Inc. を250億ドルで買収することとなる。

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Abbott Laboratories は2016年9月16日、子会社の Abbott Medical Optics (AMO) をJohnson & Johnson (J&J)に 43億2500万ドルで売却すると発表した。

AMOは売上高11億ドルで、眼科分野で3つのセグメントを持つ。

 ・白内障・緑内障手術
 ・レーザー屈折矯正手術(近視、遠視、乱視の矯正)
 ・眼科関係消費者用製品:ドライアイ用目薬、ソフトコンタクトレンズ用ケア用品

Abbott は「選択と集中」を加速させ、循環器系の医療器具や診断分野に経営資源を集中させるとしていた。

2016/9/20 Johnson & Johnson、Abbott Medical Optics を買収 

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