日立、子会社の日立国際電気を売却

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日立製作所は、中核事業に経営資源を集中する一方、非中核事業は売却し、収益率を高める選択と集中を徹底するため、黒字の連結子会社 日立国際電気の売却を決めた。

日立製作所は4月26日、KKR (Kohlberg Kravis Roberts) の所有するHKEホールディングス合同会社及び日本産業パートナーズが出資するHVJホールディングスとの間で、下記の契約を締結した。

 ①HKEが日立国際電気を完全子会社とする(上場廃止)

HKEはTOBで日立以外の株主から株式を取得、その後、日立国際電気は日立所有の51.67%を907億円で買収する。

 ②そのうえで、日立国際電気を分割し、
   a. 成膜プロセスソリューション事業を独立させてHKEが吸収

   b. 映像・通信ソリューション事業が残る日立国際電気に、日立製作所とHVJが各 20%の出資を行う。
      (HKE 60%、日立 20%、HVJ 20%のJV)

日立国際電気は、日立グループ内で無線通信機器や放送・映像機器の製造販売を手がけていた、国際電気・日立電子・八木アンテナの3社が2000年10月1日に合併して誕生した。(八木アンテナはその後、同社の100%子会社として分社化し、現在、日立国際八木ソリューションズと改称している。)

2009年には日立グループの総合力強化と日立国際電気のグローバルな事業拡大をめざし、日立が公開買付により連結子会社とした。

現在の事業は下記の通り。

  • 映像・通信ソリューションセグメント
    • 無線通信システム
    • 情報処理システム(証券・金融ソリューションシステム、株価通報システム、マルチメディア情報表示システム)
    • 放送システム
    • 監視システム・画像処理
  • 成膜プロセスソリューションセグメント
    • 半導体製造装置

日立および日立国際電気は、下記の状況を鑑み、それぞれの事業ごとに経営の最適化を追求する方が各事業の企業価値の向上に資するとの認識に至った ため、 2016年9月下旬より複数の買手候補先に打診を開始し、入札手続を実施し、2017年4月上旬、KKRおよびJIPを最終買付候補者として選定した。

映像・通信ソリューション 成膜プロセスソリューション
状況 顧客ニーズの焦点が、従来の製品・システムから、課題解決のためのソリューションへとシフト 主要顧客である韓国サムスン電子などアジア向けの販売拡大が続くが、技術革新が著しく、今後一層の競争激化が予想される
課題 コア技術を駆使したIoT高信頼無線や映像セキュリティなどの高成長ソリューションを中核とする事業モデルへの転換による、社会インフラソリューション事業の拡大 競合他社に先行する研究開発・設備投資の拡充
取引後 日立が少数株主として再出資

日立グループによる社会イノベーション事業との協業により業容を拡充する機会がますます増えることも期待される。

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日立はインフラやITへの事業シフトを急いでおり、最近、相次いで非中核事業の売却を進めている。

日立物流
2016年3月30日、日立物流の株式3234万9700株を875億円で SGホールディングスと譲渡契約を締結した。

譲渡により日立物流に対する日立の議決権所有割合は59.02%から30%となり、連結子会社から持分法適用会社となる。


日立キャピタル

2016年5月13日、所有する日立キャピタルの株式 60.6%のうち、27.2%の売却を決めた。

23.0%を三菱UFJフィナンシャルに、4.2%を三菱UFJリースに売却する。

売却により日立キャピタルに対する日立の議決権所有割合は60.6%から33.4%となり、連結子会社から持分法適用会社となる。

日立キャピタルと三菱UFJリースは経営統合を一つの選択肢とした関係強化に向け協議を開始する。


日立工機

2017年1月13日、子会社で電動工具大手の日立工機の株式 (51.24%)を米投資ファンドKKRに売却すると正式発表した。KKRが実施するTOBに応じるもので、売却金額は751億円。

KKR発表によると、日立工機の全株式取得の金額は1,471億円。


日立は売却で得る資金を成長投資に振り向け、中核事業に集中する。2019年3月期までの2年間で、総額 1兆円をM&Aに振り向ける。


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