日立の英国の原発事業の戦略

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日立製作所は6月8日、投資家向けイベントで、英国で進めている原発の新設計画について、「リスクを最小化するベストな体制を敷いている」と説明した。東芝のWestinghouse との違いを強調した。

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日立製作所は2012年10月30日、ドイツのエネルギー会社のE.ON及びRWEから英国で原発の建設を計画している原発事業会社Horizon Nuclear Power の全株式を買収する契約を締結した。
買収額は
6億7000万ポンド(約850億円)。

Horizonは、北ウエールズのAnglesey島のWylfa Newydd とSouth Gloucestershire のOldbury-on-Severn の2カ所で、5,400MW級以上の原発(1,300MW級をそれぞれ 2~3基)を建設する。
第三世代原子炉である改良型沸騰水型原子炉(
ABWR)技術を用いる。

日立は事業遂行のため、日立ニュークリア・エナジー・ヨーロッパを設立した。

2012/11/1 日立製作所、英の原発会社買収


Horizonと日立は、Horizon初のプロジェクトとなるWylfa Newydd 原発建設において、2018年までに全ての許認可を英国政府から取得し、2019年に着工、2020年代前半の初号機運転開始をめざしている。

2基にかかる総事業費を現時点で約190億ポンド(約2.6兆円)と想定。日立が総事業費の1割程度、英国政府が25%以上を出す案が出ている。

日英両政府は2016年12月22日、原子力分野で包括的に協力する覚書を結んだ。

日本政府は原発の輸出を促進するため、今後英国側と資金支援の詳細な検討を進める方針で、覚書では、日立傘下のHorizon Nuclear Power が英中部Wylfa Newydd で、東芝傘下のNuGenが英中部 Moorside(Sellafield)でそれぞれ計画する原発について言及した。

2016/12/27 日英、原発建設協力で覚書、日立・東芝の案件対象

日立は本事業のため、多くの企業と提携している。

建設プロジェクトの計画・推進に向け、英国で原子力業界有数のBabcock InternationalRolls Royce、カナダの建設エンジニアリング会社SNC-Lavalin と協力覚書を締結した。

日本原子力発電(日本原電)は2016年7月7日、日立製作所及びHorizon との間で、Wylfa Newydd の新規原発建設プロジェクトに関し、許認可段階における協力協定を締結した。

日本原電が培ってきた経験やノウハウを活かして、Wylfa Newydd 原発の建設費評価やEPC (設計・調達・建設) 契約締結に向けた作業、サイトライセンス、建設前安全性影響評価報告書を含む許認可取得、試運転の計画、運転開始後の各種メンテナンス計画の策定などを進める。

2016/7/9 日本原子力発電、日立の英国の原電事業に協力 

日立GEニュークリア・エナジーは先行エンジニアリング(FEED) 契約のもと、3年間にわたって本プロジェクトを支援してきたが、請負契約を締結し、 ABWR技術を提供する。

Horizon Nuclear Powerは2016年5月、日立ニュークリア・エナジー・ヨーロッパとベクテル日揮の3社が設立したコンソーシアム「Menter Newydd」(ウェールズ語で「新しいベンチャー」を意味)をEPC契約締結までのエンジニアリング業務を遂行するサプライヤーに指名した。

Horizon Nuclear Power は2017年2月、米国の発電事業者で北米最大規模の原子力発電所を運営するExelon Generation との間で原発運営に関して協力することで合意したと発表した。


2017/2/21 日立、英原発事業で米電力大手と協力


今回明らかにされた日立の戦略は次の通り。

日立 東芝(Westinghouse)
出資比率 パートナーを募り、連結子会社から外せない場合は計画を中止する。

出資パートナー候補との本格交渉はこれから。
Westinghouseは実質東芝100% (他株主は簿価で東芝に譲渡するオプションを持つ)

親会社保証
6700億円を引き当てしているが、これを超える可能性、訴訟リスクを抱える。
採用技術

稼働実績が豊富な日立GEニュークリア・エナジー のABWR技術

GE Hitachi Nuclear Energyが高経済性・単純化沸騰水型原子炉(ESBWR)の設計認証を申請中だが、実績を優先した。

次世代型PWR(加圧水型軽水炉)「AP1000」

米国では初めてで、他に中国で建設中
(米国では原発建設は30年以上なし)

大容量なのにコンパクトにしたため、配管の設計が難しく、かつ、長期間建設実績がないため、何度もやり直しが必要となり、建設期間が延び、コストが急増した。 (配管を変更すると場合により安全計算をやり直す必要もある)

報道では中国では配管を無理やりにスパゲッティのように入り組ませて建設したという。安全上、問題がないのか、疑問。

建設リスク 最強のパートナーが一体感を持って取り組む

ベクテルと日揮と組み、工事遅延などで損失が発生する場合は個社の過失を問わず、事前に決めた割合で全社が責任を負う 。

東芝がリスク負担。

Shaw Group 子会社のStone & Webster を起用したが、CB&IがShaw Group を買収し、原発事業からの撤退を決めた。

建設遅れ・コストアップで電力会社とWestinghouse/Stone & Webster で訴訟問題となり、WestinghouseがStone & Webster を買収し、電力会社には追加コストを求償しないことで解決した。CB&Iを免責したことで、巨額赤字を負担することとなった。

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