JXTG、室蘭の化学品工場を閉鎖、物流拠点に転換

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JXTGエネルギーは9月27日、室蘭製造所での石油製品および石油化学製品の生産を2019年3月末で停止したうえで、同年4月より、北海道を中心とした石油製品の物流拠点(出荷基地)として事業を再構築すると発表した。

2017年4月のJXエネルギーと東燃ゼネラル石油との経営統合により、国内16カ所に製油所・製造所を有することとな ったが、新たな最適生産・供給体制について様々な検討を重ねた結果、本件を決めた。

室蘭製造所 は2018年4月に室蘭事業所として運営を開始する。主な事業内容は、石油製品の受入・備蓄・出荷(油槽所機能)である。

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室蘭製造所は1956年に室蘭製油所として操業開始した。

当初の原油処理能力は日量7,500バレルであったが、1973年に110,000バレルに、1999年に196,000バレルにアップした。
しかし、2001年に180,000バレルまで削減した。

経済産業省は2010年7月5日、通称「エネルギー供給構造高度化法」に基づき、告示を出した。

日本の重質油分解装置の装備率を2013年度までに10%から13%程度まで引き上げることを目標に基準を定め、引き上げを義務化した。

重質油分解装置の装備率 改善率
10%未満の企業  45%以上
10%以上13%未満の企業  30%以上
13%以上の企業  15%以上
重質油分解装置の装備率=重質油分解装置の処理能力÷常圧蒸留装置(トッパー)の処理能力


重質油分解装置の新設には500億円以上かかるとされ、内需が縮小する中で新増設は非現実的で、実質的にはトッパー能力削減しかないとされた。

2010/7/7 エネルギー供給構造高度化法で重質油利用促す新基準、石油業界の再編圧力に

これに基づき、JXグループは580千バレルを削減したが、このなかに室蘭の180千バレルが含まれている。

2014/3/14 エネルギー供給構造高度化法 処理期限

室蘭製油所は2014年3月の原油処理停止に伴い、同年4月に室蘭製造所に改称した。

現在の製造設備は次の通り。

ナフサ水素化精製装置 64,000バレル/日
接触改質装置(PL装置) 36,000バレル/日
ベンゼン抽出装置 9,000バレル/日
粗キシレン製造装置 20,000バレル/日
キュメン製造装置 4,200バレル/日
灯油水素化精製装置 45,000バレル/日
流動接触分解装置(FCC装置) 30,000バレル/日
減圧軽油水素化脱硫装置(MHC装置) 45,000バレル/日
水素化分解装置(HDC装置) 30,000バレル/日
水素製造装置 1,230,500Nm3/日
硫黄回収装置 250トン/日

             

JXと韓国のSK Innovationは2011年8月5日、韓国でパラキシレンと潤滑油ベースオイル製造のJV設立製造に係る合弁会社を設立することで合意した。

パラキシレン製造JV 潤滑油ベースオイル製造JV 
1.社名 Ulsan Aromatics Yubase Manufacturing Asia
2.所在地 蔚山広域市(SK Energy 蔚山コンプレックス内) 蔚山広域市(SK Energy 蔚山コンプレックス内)
3.設立時期 2012/6/8 2012/10
4.出資比率 JXエネルギー    50%-1株
SK Global Chemical 50%+1株
JXエネルギー 28%
SK Lubricants 72%
5.事業内容 パラキシレンの製造 潤滑油(ベースオイル)の製造
6.生産能力 約100万トン/年 (世界最大) 135万kl/年
7.商業生産 2014年予定 2012/10
8.総投資額 約1兆ウォン(約800億円) 約3,500億ウォン(約280億円)


2011/8/9 JXエネルギーとSKグループ、韓国でパラキシレンと潤滑油ベースオイル製造のJV設立

2014/4/30 JXエネルギーとSK総合化学のパラキシレンJV : 韓国の法改正

室蘭製造所はパラキシレンの原料の粗キシレンをUlsan Aromaticsに供給しているが、これが赤字要因になっているとされている。

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現在の JXTGエネルギーの製油所・製造所体制は次の通り。

以 上

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