韓国と中国、通貨スワップを延長

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ワシントンを訪問中の韓国の金東兗・副首相兼企画財政相は10月12日、記者団に対し、中国との「通貨スワップ協定」を3年間延長することで合意したと明らかにした。

金融危機の際に、両国の中央銀行同士で最大560億ドルを融通しあう仕組みで、韓国の全体通貨スワップ(1168億ドル)の約半分を占める。
2009年4月に締結され、2011年に融通枠を拡大し、2014年に3年延長した。

今回も韓国は延長を求めていたが、米軍のTHAADの韓国配備を巡って両国関係が冷え込む中、期限を迎える10月10日になっても、延長の発表がなかった。

朝日新聞は10月11日、「中韓通貨スワップが終了 韓国の延長要求、中国拒否か」と報じた。

実際には延長で合意していたが、THAADの韓国配備を巡って中国国内で韓国に対する反感が出ている中、中国政府に配慮し、正式発表をしなかったとされる。

しかし、「スワップが終了」との情報が広まったため、今回の形での公表となった。

韓国の中央日報は次の通り報じている。

韓国の外貨準備高は9月末現在3847億ドルに達し、すぐに外貨不足を心配する状況ではないが、国際経済の変動性が大きくなり、韓国経済の弱点も少なくなく、あらゆることで最悪のケースに備えていくのが正しい。
両国代表が延長交渉で終始 「政経分離」を強調したのも適切だった。中国がこの論理を受け入れたのも評価に値する。

もうひとつ注目すべきことは韓中通貨スワップが中国にも必要な協定という点だ。人民元の国際化という中長期戦略に韓国の助けは切実だろう。
中国は外貨準備高も多く、9月末現在3兆1090億ドルに達するが、昨年初めにヘッジファンドの「為替攻撃」を受けた時は人民元相場が揺らぎ、外貨準備高が急減したりもした。


なお、日本と韓国の通貨スワップは2015年2月に終了した。

2015年2月、日本政府と韓国政府は「日韓スワップ協定を延長せず、予定通り2月23日で終了する」と発表した。これによりチェンマイ・イニシアチブ下の100億ドルの融資枠が延長されず、2001年7月に始まり13年半の間続いた日韓スワップ協定が終了した。

財務省は「両国の金融情勢・経済情勢から判断した」と説明し、韓国企画財政省幹部は「経済指標が良好であり、延長しなくても特別な悪影響はない」とした。

一方で日本政府関係者は「(その時点で出国禁止になっていた)産経新聞前ソウル支局長の問題があり、日本政府として延長を断った」との見方を示した。


付記

韓国銀行とカナダ中央銀行は11月15日、韓国通貨ウォンとカナダドルの貨幣間の限度と満期のない通貨スワップ協定を締結した。協定後、効力が開始した。

韓国が外国と無期限・無制限に通貨スワップ協定を結んだのは初めて。

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