次期FRB議長に Jerome Powell FRB理事

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トランプ米大統領は11月2日、米連邦準備理事会の次期議長にJerome Powell FRB理事(64)を正式に指名した。
大統領は現体制の低金利政策を支持しており、FRB執行部で共和党主流派に唯一近いPowell 理事の起用を決めた。


FRB議長人事は上院の承認が必要で、可決されれば来年2月に就任する。

Powell 理事は「人事が承認されれば、物価の安定と雇用の最大化に全力を尽くす」と述べた。

これまでPowell FRB理事のほかに、Janet Yellen 現議長の再任やGary Cohn NEC (National Economic Council) DirectorKevin Warsh元FRB理事、John Taylor Stanford University教授が候補に挙がっていた。

Janet Yellen 現議長については、大統領は低金利政策で景気拡大と株高を呼んだ議長の手腕を評価し議長再任も検討してきた。しかし、民主党政権で要職に就くなどリベラル色が強く、Obama大統領の指名であることから、独自色を出すこととした。

Gary Cohnはバージニア州Charlottesvilleで起きた暴力事件を巡る大統領の発言を公然と批判したことで外れた。

米政治メディアは、トランプ大統領と定期的に協議する関係者の話として、指名候補がPowell 理事とTaylor 教授に絞られたと報じていた。

経済成長を重視するトランプ大統領はFRBの低金利政策を支持しており、穏健派のPowell 氏を起用する決め手となった。

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Powell理事は投資ファンドThe Carlyle Groupの共同経営者を務めるなどウォール街での経歴も長く、George H.W. Bush 政権下で財務次官を務めたこともあり、官民ともに豊富な経験が強み。

もともとは政治学や法律を専攻した法律専門家で、過去30年ほどの歴史の中で経済学の博士号を持たない唯一の議長となる。
2012年にFRB理事に就任し、
Bernanke 及び Yellen 議長のもとで理事を務めた。

これまでのFRBの理事会ではYellen議長の方針にすべて賛成しており、Yellen 議長が進めてきた穏健な低金利路線を継承すると見られる。

Janet Yellen 現議長は来年2月で任期切れを迎え、1期4年の異例の短さで退任する。

最近のFRB議長は次の通りで、Miller議長を除き、2期(8年)以上である。

任期 大統領
10 Arthur F. Burns 1970/2/1 ~1978/1/31 8年 Richard Nixon
11 William Miller 1978/3/8 ~1979/8/6 1年半 Jimmy Carter
12 Paul Volcker 1979/8/6 ~1987/8/11 8年
13 Alan Greenspan 1987/8/11 ~2006/1/31 18年半 Ronald Reagan
14 Ben Bernanke 2006/2/1~2014/1/31 8年 George W. Bush
15 Janet Yellen 2014/2/1~2018/2 4年 Barack Obama
16 Jerome Powell Donald Trump


William Millerは1978年3月に
カーター政権のFRB議長に就任、悪性インフレ撲滅のために、積極的な利上げを行った。しかし、早急な利上げに反対する議員から議会でつるし上げに遭い、利下げに転じてしまった。1年5ヶ月余りという極めて短期間で辞任した。

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