大日本住友製薬ほか、新規結核ワクチンの共同開発のクリエイトワクチンを解散

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大日本住友製薬は12月21日、日本ビーシージー製造および官民ファンドの産業革新機構(INCJ)との共同出資の㈱ クリエイトワクチンの解散を決定したと発表した。

医薬基盤・健康・栄養研究所 およびNPO法人Aerasと、組換えヒトパラインフルエンザ2型ウイルスベクター技術を用いた新規結核ワクチンの共同開発を実施してきた。

しかし、開発が進まず、本共同開発を終結した。

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下記3社は2013年711月8日、ヒト パラインフルエンザ(Human parainfluenza viruses )2 型ウイルスベクター技術を用いた新規結核ワクチンの共同開発を実施することについて基本的に合意したと発表した。
2013 年12月26日に共同開発契約を締結した。

独立行政法人医薬基盤研究所 「次世代ワクチンの研究開発」を重点領域の一つとして位置付け、次世代ワクチンおよびその免疫反応増強剤(アジュバント)の開発ならびにそれらの投与法の研究開発を行っている。
NPO 法人 AERAS 本部:米国メリーランド州
世界中のパートナーと協力して結核ワクチンを開発する非営利団体
アカデミア、製薬企業、バイオベンチャーとのグローバルな提携を通じて、6 つの結核ワクチン候補品の開発に関与、前臨床、臨床開発、免疫学およびワクチン製造における専門知識・技術を提供している。
クリエイトワクチン
(右2社のJV)
その後、INCJが参加
大日本住友製薬 ワクチン事業への参入を計画
日本BCG製造 BCG ワクチンの、製造、販売、輸出を通じて、結核ワクチン事業に関する豊富な経験を有す。
産業革新機構 官民ファンド


既存のワクチンにおいては、乳幼児に対しては極めて高い効果が認められるが、成人の肺結核に対する効果は乏しく、新規結核ワクチンの開発が望まれている。

既存の結核予防ワクチン(BCG)は、牛に感染する牛型結核菌を時間をかけて弱めたもの。

青年や成人にBCG を打っても、肺結核の感染を予防する効果は認められていない。

本剤は、基盤研の有するヒトパラインフルエンザ 2 型ウイルスベクター技術を臨床応用した粘膜ワクチンであり、開発に成功すれば本技術を用いた世界初の結核ワクチンとなる。

官民ファンドの産業革新機構は2014年5月22日、「当該新規結核ワクチンは、既存のワクチンにおいて感染予防効果の乏しい成人の肺結核に対する効果が期待され、また、医薬基盤・健康・栄養研究所の独創的なシーズとAerasの結核ワクチン開発における卓越したノウハウの結集というオープンイノベーションの創出意義がある」とし、クリエイトワクチンに2億8305万円の投資を行った。

同日、大日本住友製薬が2億8,135万円、日本ビーシージー製造が2億8,060万円(3社合計で総額8億4,500万円)の共同出資を実施、出資後の株式保有比率は大日本住友 33.4%、INCJと日本ビーシージーがそれぞれ33.3%となった。

2013/11/13 独立行政法人医薬基盤研究所と大日本住友製薬ほか、新規結核ワクチンの共同開発に向け基本合意

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産業革新機構は12月21日、出資したクリエイトワクチンが解散し、産業競争力強化法に定める特定事業活動を行わなくなったため、支援決定を撤回したと発表した。

出資した2億8305万円は戻らない。

産業革新機構では、新規結核ワクチンの共同開発は終結したものの、今回のプロジェクトを通して、民間事業者からの資金供給の実現や、アカデミア、製薬会社、海外NPOによる共同開発を実施するなど、創薬分野における投資にとっての有用な経験を得ることが出来たとしている。

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産業革新機構は同日、他の1件についても解散したため、支援決定を撤回したと発表した。

出資先は㈱ INCJ検索で、産業技術総合研究所と産総研技術移転ベンチャーによって研究開発された音声検索技術の事業化を検討する目的で、2012年2月に INCJ全額出資(6000万円)で設立した。

対象となる音声検索技術は、インターネット上の動画サイト、音楽サイトなどマルチメディアコンテンツに含まれる音声をテキスト化せずに検索することが可能。

同技術は、動画サイトへの広告配信事業に活用できる可能性があり、ライブ映像配信サイトを経営する事業会社と協力し新たな音声検索エンジンのプロトタイプ開発を目指した。

約1年間の事業化検証を経て、事業パートナーとなる候補20社強と協議を行ったが課題が多く、本格的な協業に移行することが出来なかった。

その後も単発的に事業提携候補先が出てきたものの、グーグルやアマゾンなどが圧倒的に先行していることもあり、解散することになった。

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