日・サウジ・ビジョン2030 ビジネスフォーラム

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世耕経済産業大臣は、1月14ー15の両日、サウジアラビア及びアラブ首長国連邦を訪問した。
リヤドでは、サルマン国王及び関係閣僚と会談を行ったほか、「日・サウジ・ビジョン2030 ビジネスフォーラム」に出席した。

アブダビでは、ムハンマド皇太子をはじめ政府要人等と意見交換を行い、ワールド・フューチャー・エナジー・サミット(WFES)に参加したほか、国際協力銀行(JBIC)とアブダビ国営石油会社(ADNOC)との融資契約の調印式に出席した。

国際協力銀行(JBIC)は2018年1月、アブダビ国営石油会社(ADNOC)に30億ドルを新たに融資することを決めた。
日本が保有し、3月に期限が切れるアブダビ沖の油田権益の更新は正念場を迎えており、それを後押しする狙い。三井住友銀行、みずほ銀行、英HSBCとの協調で、JBICは21億ドル程度を負担する。


日・サウジ・ビジョン2030 ビジネスフォーラムは、日本企業67社、サウジ企業130社の出席を得て開催され、二国間でのビジネスを促進するためにリヤドに専門家を常駐させる「日・サウジ・ビジョン・オフィス」の開所式典、3つのサウジアラビアにおける事業ライセンスの付与、6つの日サ企業間の協力文書の交換が行われた。

2017年3月13日、安倍総理とサルマン・サウジアラビア国王との首脳会談において、「日・サウジ・ビジョン2030」が合意された。

2016年9月にムハンマド・ビン・サルマン副皇太子(当時)と安倍総理との間で策定に合意され、政府間対話枠組みである「日・サウジ・ビジョン2030共同グループ」での議論を経て、二国間協力の基本的な方向性と具体的なプロジェクトをまとめたもの。

骨子は次の通り。

(1)新しい日サ協力の羅針盤として、脱石油依存と雇用創出のためサウジが追求する「サウジ・ビジョン2030」と、GDP600兆円の達成に向けて日本が追求する「日本の成長戦略」のシナジーを目指す。

(2)シナジーを最大化させるため、「多様性」、「革新性」、「ソフトバリュー」の3本の柱からなる日本ならではの総合的な協力とする。

(3)日サの41省庁・機関が参加し、具体的連携の重点分野として9分野にまたがる広範な協力分野を設定する。

(4)規制の見直し、インセンティブ等のビジネス促進措置(Enabler)の強化でも連携する。

(5)31件の先行プロジェクトを選定し、実施する。

(6)横断的課題に取り組むサブグループを新設し、サウジアラビアの経済改革のモデルを示す特区の設立に向けた検討を進める。また、東京とリヤドに、ビジョンの実施を継続的にフォローする拠点として、「日・サウジ・ビジョンオフィス」を新設する。

サウジアラビアにおける3つの事業ライセンス

1) 三井住友銀行:金融その他のコンサルタント
2) SB エナジー:再生可能エネルギーのコンサルタント
3) タダノ(クレーンのメーカー):サウジの産業のための科学的、技術的サービス

6つの日サ企業間の協力文書

1) NEDOは、サウジアラビア海水淡水化公社(SWCC)と共同で、省エネルギー型の海水淡水化技術の実証事業を実施する。

日本国内で確立した技術「Mega-ton Water System」を活用し、サウジアラビアのウムルジにおいて、従来型の逆浸透膜(RO膜)を用いた方法に比べ約2割の省エネルギー化と建設コストの低減が可能な海水淡水化システムの優位性を実証する。

NEDOは「Mega-ton Water System」プロジェクトに研究支援機関として参画し、省エネルギー型の海水淡水化技術である「低圧多段高収率海水淡水化システム」を確立した。逆浸透膜法(RO膜法)による海水淡水化をさらに省エネルギー化するもの。新型RO膜法の使用や、膜ユニットの配置を多段とするなどにより、従来のRO膜において必要であった高圧ポンプの稼働等によるエネルギー消費を約2割削減する。

実証規模は1日あたり1万立方メートル(造水量)で、同技術を開発した日立製作所と東レに事業委託する。

2) サウジアラビアの電力会社 Saudi Electricityと東京電力、日産自動車、東光高岳は、サウジアラビアにおいて電気自動車の実証事業を実施する合意書を締結した。

開始時期 2018/4
実証期間 1年間
目的 サウジの環境下(夏に40℃以上、砂塵発生)での電気自動車、急速充電器の性能、電気代やCO2削減量の検討
役割 サウジ電力 電気自動車、急速充電器の運用(社用車として)
日産自動車 新型日産リーフ3台の貸与
東光高岳 急速充電器3台の提供
東京電力 収集データの分析

3) General Sport Authorityと富士フイルムとメディヴァ (医療コンサルタント)がサウジ国内での女性の検診施設の立ち上げ協力で合意した。2月にリヤドでヘルスケアフォーラムを開く。

4) サウジのGeneral Commission of Audiovisual Mediaと中東協力センター:アニメ制作を職業訓練に加える。

5) Saudi Stock Exchange と野村證券

6) Al-Yemani Group と松谷化学工業(澱粉の総合メーカー)


なお、日・サウジ・ビジョン2030 ビジネスフォーラムでの挨拶のなかで、Energy, Industry and Mineral Resources Khalid Al-Falih大臣はSaudi Aramco と住友化学のPetro Rabigh計画の進展に喜びを示した。

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