JXTGの静岡LNG火力発電、地元の反対で白紙撤回

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JXTGエネルギーはこのたび、静岡市清水区で計画していた清水天然ガス発電合同会社のLNGガス火力発電新設計画の白紙撤回を決めた。景観を損ねると反対した地元の声に配慮した。
石炭火力発電所の建設計画に対しては環境省などが厳しい姿勢を示しているが、LNG火力に対する反対は珍しい。


計画は2015年1月に東燃ゼネラル石油が清水油槽所内での建設を発表した。(東燃ゼネラル石油は2017年1月にJXTGの完全子会社となった。)

清水天然ガス発電合同会社はJXTGが85%、清水建設が10%、静岡ガスが5%を出資する。

当初は発電容量最大200万キロワットとしていたが、2度の計画変更を経て、現在は60万キロワット級と50万キロワット級の各1基、合計110万キロワットとなっている。2018年に着工し、2022年に運転開始を目指すとしていた。

建設用地の清水油槽所は清水港及びJXTGが出資する清水エル・エヌ・ジー㈱の袖師基地に隣接し、LNGの調達が可能な場所である。
同時に、東日本地域(50Hz)・西日本地域(60Hz)の両方に送電可能な場所に位置していることから、この有利な既存インフラ及び戦略的な立地を活かす。

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この計画に対し、2017年8月に静岡市長が反対の意向を伝えた。
清水都心で進めるまちづくりの方向性とLNG火力発電計画は一致しないと判断した。

計画地はJR清水駅から約400メートルの位置にあり、市が発表した新しい市役所清水庁舎建設予定地にもほど近い。
隣接地にはフェリーターミナルの整備構想もあり、清水港への国際クルーズ船の寄港を起爆剤に都心のにぎわいを作る「国際海洋文化都市構想」にふさわしくないとの結論に至った。

川勝静岡県知事も8月23日の記者会見で反対を表明した。近くに国際クルーズ船拠点として整備が進む清水港があり、景観、環境、住民意思の3点から「ふさわしくない」と述べた。

JXTGは9月15日、環境アセスメントに絡む準備書提出の延期を発表し、県と静岡市、地元との話し合いを優先する方針を表明した。「街づくり構想との両立、共存は可能だ」との立場で、地元との話し合いを通じ計画実現を目指すとしていた。


今回、計画を白紙に戻し、
関東など他地域での発電所建設に向けて戦略を変更する。

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