EU、コンデンサーカルテルで制裁金

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EUの欧州委員会は3月21日、日本ケミコンやニチコンなど日本企業9社がコンデンサーの販売を巡ってカルテル行為をしていたと認定した。調査に協力したとして制裁金を免除された旧三洋電機を除く8社に、合計で約2億5400万ユーロ(約330億円)の制裁金を科した。

欧州委によると、9社は1998年から2012年にかけて、スマートフォンから家電製品、自動車部品などに幅広く使われるアルミ電解コンデンサーやタンタル電解コンデンサーを巡るカルテル行為に関与していた。

制裁金は下記の通り。

  Leniencyによる減額 制裁金 
  千ユーロ
三洋電機 & パナソニック 100% 0
日立化成エレクトロニクス &
日立化成
35% 18,476
ルビコン 30% 28,424
エルナー 15% 18,162
トーキン & NEC 15% 16,445
松尾電機 824
ニチコン 72,901
日本ケミコン 97,921
ビシェイポリテック &
Holy stone
782
合計   253,935

三洋電機 &パナソニックはカルテルの存在を伝え、約 32,389千ユーロの制裁金を免除された。

・ 他4社は欧州委員会への協力で制裁金が減額された。減額は、協力のタイミングや提出した証拠により決められた。

・ 当初カルテルの始期は2003年8月と思われていたが、ルビコンの提出した証拠で、1998年6月からであることが分かった。
  この結果、ルビコンの制裁金の計算で、1998/6~2003/8 の売上高は外した。

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公取委は2016年3月29日、家電や自動車に使われる2種類のコンデンサーの価格でカルテルを結んだとして、独禁法違反で、ニチコン、日本ケミコン、ルビコン、松尾電機、NECトーキンのメーカー5社に計約67億円の課徴金納付命令を出した。

自主申告したため課徴金を免除された日立AICは日立化成の子会社。 

台湾の公平交易委員会(公取委に相当)は2015年12月9日、スマートフォンなどに使う電子部品のコンデンサーについて、日本ケミコンなど日本企業とその海外子会社10社が価格カルテルを結んでいたとして、総額約215億円の課徴金を科すと発表した。台湾でのカルテルに対する課徴金としては過去最高額。

日本 
(2016/3/29)
台湾
(2015/12/19)

千円

減免 排除命令

百万円

アルミ電解
コンデンサー
日本ケミコン 1,435,240 8,307
ルビコン 1,067,740 4,618
エルナー 283
三洋電機 3,115
ニチコン 3,362,230 412
日立AIC 0

免除

小計 5,865,210 3社 16,735
タンタル電解
コンデンサー
NECトーキン 127,150 50% 4,507
ニチコン 277,950
ビシェイポリテック 0 免除 115
松尾電機 427,650 90
小計 832,750

3社

4,712
合計 6,697,960

6社

21,447

2016/4/2 公取委、コンデンサーメーカーに課徴金納付命令 

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米国では2015年9月2日に 、コンデンサのカルテルでNEC TOKIN が罪を認め、1380万ドルの罰金を支払うことで合意した。
これとは別に、2015年3月12日に大陪審は日本のコンデンサメーカー(Company A とし、社名を明らかにしていない)の前事業部長のT. I. 氏をカルテルに参加したとして起訴した。

米国司法省は2016年4月27日、日立化成が司法取引を行ったと発表した。
米国子会社が2002年から2010年の間、米国その他で電解コンデンサの価格でカルテルを結んだことを認め、罰金を支払うとともに、調査に協力することを約束した。
司法省と日立化成ともに、罰金額については明らかにしていない。

2016/4/30  日立化成、コンデンサ事業でのカルテルで米国司法省と司法取引 

日立化成もNEC TOKINも調査の協力を約束しており、今後も摘発が続くと思われる。

日本ケミコンは2017年10月20日、コンデンサーの販売を巡り価格カルテルを結んでいたとして、米司法省に反トラスト法違反の疑いでカリフォルニア州の連邦地裁に提訴されたと発表した。

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