タカタ元社員、自動車安全公益通報者法で報奨金

| コメント(0)


米国のConstantine Cannon法律事務所は3月27日、同事務所の依頼人のタカタ元従業員2名が、米国政府によるタカタの刑事捜査で政府に提供した情報に基づき、113万米ドル余の報奨金を受け取ることになると発表した。

2015年12月に自動車安全公益通報者法(Motor Vehicle Safety Whistleblower Act)が成立した。
米国議会におけるタカタ聴問会の後、共和党の John Thune 上院議員と民主党のBill Nelson 上院議員が提出した。

このプログラムでは、安全に関わる深刻な違反を報告した自動車業界関係者に対し、政府が徴収する100万ドル以上の罰金の10%~30%を報奨金として与えるとしている。

2名は同法に基づき、報奨金を受け取る。

ーーー

2004年以降、硝酸アンモニウムを使用したタカタ製エアバッグのガス発生装置(インフレータ)が異常破裂し、金属片が飛散する不具合が発生した。

米国では、爆発で22名の生命を奪い、全世界で1億台近いリコールを出し、経営破たんしたタカタが捜査対象となった。

米司法省は2017年1月13日、タカタが自動車メーカーに虚偽の検査データを伝えたことで有罪を認め、罰金など10億ドルを支払うことに合意したと発表した。

司法省によると、タカタは1990年代後半から、硝酸アンモニウムを使ったエアバッグの開発を開始した。このエアバッグが自動車メーカーが要求する基準に満たないことや、作動時に破裂のおそれがある欠陥を認識ながら、自動車メーカーに示す検査データから破裂の事例を取り除くなどしていた。
またタカタの幹部らはデータの捏造について繰り返し協議し、欠陥による死者が出た後も正確なデータを隠し続けたという。

タカタは罰金2500万ドル、犠牲者の家族らへの補償金として1億2500万ドル、自動車メーカーへの補償金として8億5000万ドルの合計10億ドルを支払う。
またタカタの元幹部3人を訴追したことも明らかにした。

ーーー

タカタの元従業員の Mark Lillie 氏および匿名のもう1人の公益通報者は、2015年12月に新しく制定された自動車安全公益通報者法(Motor Vehicle Safety Whistleblower Act)のもと、政府捜査官による捜査に協力した。

Mark Lillie 氏は2001年にトップレベルのエンジニア職から辞職する前に何度も、タカタの幹部に対し、タカタのエアバッグが死亡事故を招く可能性があると警告した。 
エアバッグを膨らますガス発生剤に廉価だが危険な硝酸アンモニウムを採用した時、抗議し辞職した。タカタの上層幹部に対し「このままでは死者が出る」と警告したが、無視された。

同氏が米国政府に提供した証拠は、タカタのエアバッグが死亡事故を招きかねないことを同社が1999年から知っていたことを示している。
Eメールや設計書、証言者リストほか、刑事訴追を助ける決定的情報を提供した。

第二の公益通報者は、タカタがデータ操作していたこと、試験手続を無視していたこと、エアバッグ欠陥の可能性を指摘した報告を隠蔽していたことを証明するため協力を申し出た。
また、不正な製造方法に異議を唱えた従業員をタカタが組織的に免職していたことも語った。
(タカタは最終的にロット受け入れ検査過程を大幅に操作していたことを認めた。)

コメントする

月別 アーカイブ