豪州のエネルギー会社 Santos、米投資会社EIG 傘下のHarbour Energyから買収提案を受け、情報開示の守秘契約を締結 

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豪州国内やインドネシア、パプアニューギニアなどに石油や天然ガスの権益を有する豪州のエネルギー会社 Santos Ltd は4月3日、Harbour Energy Ltdから株式100%を104億米ドルで買収したいとのオファーを受け、前向きに交渉することとし、守秘契約を締結したと発表した。

1株4.98米ドル(6.50豪州ドル)での買収で、これは3月末までの1カ月の平均株価に30%を上乗せしたものとなる。
1株当たり 現金 4.70米ドルプラス 特別配当 0.28米ドルから成る。

これは4度目のオファーで、最初は2017年8月に1株当たり4.55豪州ドル、2度目は2018年3月22日の6.25豪州ドル、3度目が3月27日の6.37豪州ドルで、今回の6.50豪州ドルの提案は3月29日に受けた。

Harbour Energy によると、104億ドルのうち、77.5億ドルは J.P. Morgan とMorgan Stanleyからの借入金、残りはHarbour Energyと親会社のEIGのファンド及び欧州のエネルギー関連商社のMercuria Global Energy からの出資となる。

Santosの取締役会は、今回の提案は株主の利益になるものと考え、更に交渉することとした。守秘契約を締結し、Harbour Energyに対し due diligenceのための資料を提供することとした。

今後、両社の交渉が成立しても、豪州にはエネルギー供給不安から海外企業への売却は政治的問題となり、手続き上、簡単ではない。

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Harbour Energyは2014年に、EIG Global Energy Partners (1982年設立で、エネルギー分野で36か国で324件、253億ドルを投資してきたファンド)とNoble Group Limited (香港に本拠を置く資源・農産物の商社)により、グローバルにエネルギーの上流、中流部門で長期的に事業を行う会社として設立された。

Noble はHarbour Energyの経営に参加するとともに、Harbour Energyの製品の引き取り、販売でも協力する。

Harbour Energyは2017年11月に、Shell U.K からU.K. North Sea の石油・ガス資産を30億ドルで買収した。

今回の買収はこれに次ぐもの。

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Santos の社名は、South Australia Northern Territory Oil Search の略号に由来する。

Santosは豪州一帯とパプアニューギニア、インドネシアで石油、天然ガス等の採掘を行っている。

パプアニューギニアのPNG LNGや、豪州・東ティモール共同石油開発海域内 Bayu Undanガス田のDarwin LNG計画などでは日本企業も参加している。

付記

Santos は5月3日、ベトナム、インドネシア、マレーシア、バングラにもつ非コア事業を221百万ドルで Ophir Energy plc に売却すると発表した。

  • ベトナムのBlock 12W (Chim Sáo and Dua oil fields)の31.875%
  • インドネシアのMadura Offshore (Maleo and Peluang gas fields)の67.5%
  • インドネシアのSampang (Oyong and Wortel gas fields)の45%
  • マレーシアのDeepwater Block R (Bestari oil discovery)の20%
  • バングラデシュのSS-11の45%
  • ベトナムの Block 123 の50%と、Block 124 の40%

なお、インドネシアのNorth West Natuna (Ande Ande Lumut) の50% も売却対象だが、別途売却する。


PNG LNG の参加者は以下の通り。

権益比率
ExxonMobil  33.2% オペレーター
Oil Search  29.0% PRL 15、Papua LNGにも参画
Santos  13.5%
Nippon Papua New Guinea LNG
(JX 98.4%、丸紅)
  4.7%
政府  16.8%
Mineral Resources Development   2.8% パプアニューギニア政府系企業

Bayu Undan / Darwin LNG project

ConocoPhillips(56.9%)、ENI(11.0%)、Santos(11.5%)、国際石油開発帝石(11.4%)、JERA(6.13%)、東京ガス(3.07%)


なお、Santosには中国の投資会社のHony Capital (弘毅投资)が4.8%、中国の天然ガス販売会社ENNが10.3% の合計15.1%を出資しており、Santosは2017年6月に両社とStrategic Relationship agreement を締結している。

Strategic Relationship agreementは両社が15%以上の出資を続ける限り有効で、両社はSantosの将来の投資を支持し、Santos はSantos株主の利益となる限り、将来の投資に両社を参加させるよう努力するとなっている。

Hony Capital (弘毅投资)は2015年11月にSantosが借入金返済のため30億豪ドルの増資をした際に出資し、約15%の株主となった。

ENNは中国のビリオネアの王玉鎖(Wang Yusuo)が設立した企業で、CNOOCへのLNG依存を和らげるため、LNG供給元への出資を検討しており、2016年3月にHony Capitalから750百万ドルでSantosの株の11.7%を買収した。その後、ENNとHony は現在の出資比率となり、共同でSantosと提携することとした。

ENNは現在、舟山市に年間300万トンのLNGを扱う受入ターミナルを建設しており、2018年に稼働させる。

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