韓国の検察、李明博元大統領を起訴

| コメント(0)

韓国の検察は4月9日、元大統領の李明博容疑者を、総額約110億ウォン(約11億円)の賄賂を受け取るなどしたとして収賄や横領、職権乱用などの罪で起訴した。

韓国で大統領経験者が退任後に起訴されるのは全斗煥、盧泰愚と4月6日に実刑判決を受けた朴槿恵各氏に次いで4人目。初公判は5月にも開かれる見通し。

2018/4/6 朴前大統領に懲役24年の実刑判決

李容疑者は3月22日に逮捕されて以来、取り調べを拒否していたが、4月9日の声明で「検察は李明博政府がしたことは悪であり、積もり積もった弊害とみなした。文在寅政権の当初から『李明博が目標だ』という言葉は聞いていた」と、一連の捜査は「政治報復」であると主張した。

検察は特定犯罪加重処罰等に関する法律上の収賄、脱税と、特定経済犯罪加重処罰等に関する法律上の横領、職権乱用、政治資金法違反、さらに大統領記録物管理法違反など 計16の罪状で起訴した。

・ 大統領就任前から自身が所有する自動車部品会社 DAS を秘密資金づくりに利用し、総額約349億ウォンを横領
、法人税31億ウォンを脱税
・ DASの米国での訴訟費用(後記)約67億7千万ウォンを韓国最大の財閥サムスングループに負担させ、見返りに不正資金事件で背任罪が確定していた李健熙会長を特別赦免するなどの便宜を図った。
国家情報院の資金10億ウォンの上納を受けたり、公認献金などとして36億ウォンを受けて不法選挙資金・家族の生活費などとして私的に使ったことなど、収賄額は計約111億ウォン。

サムスンの李前会長は2009年8月、背任と脱税の罪で懲役3年・執行猶予5年が確定した。
しかし、政府は同年12月29日の閣議で特別赦免を決めた。李明博大統領は、「国家的な観点から赦免を決心することになった」と述べた。2018年に冬季オリンピックを江原道・平昌に招致するには、李前会長が IOC委員として活動することが欠かせないとする強い要望があったことを理由とした。

付記 横領や収賄罪などに問われている李明博元大統領の判決公判が10月5日、ソウル中央地裁であった。地裁は懲役15年、罰金130億ウォン(約13億円)を言い渡した。


DASの米国での訴訟は次の通り。

2001年に投資運用会社BBKの株価操作事件が発生した。

2007年に、この事件に李明博大統領候補(当時)がかかわっていた疑惑で検察が調査したが、嫌疑なしとなった。
2007年12月に李明博が大統領選挙で当選した。

BBKのキム元代表はBBKの後継会社のオプショナルベンチャーズの金を横領し、米国に逃亡した。

自動車部品会社DASは株価操作で被害を受けたとして、米国に逃亡したキム元代表を相手に8年間にわたって訴訟を行い、2011年2月に140億ウォンを取り戻した。
DASには李明博の甥が役員に入っている。

李元大統領はその過程において、大統領府や外交部を利用しDASを支援したとして職権乱用の疑いが持たれている。


2017年10月に、BBK株価操作事件の被害者であるオプショナルの代表が李元大統領を職権乱用容疑で告発し、検察が本格捜査に乗り出した。

ソウル中央地検は2018年2月8日、ソウルにあるサムスン社屋と同社の元副会長の自宅を家宅捜索した。
検察はDASの投資金返還訴訟の費用を、サムスンが肩代わりしたとの情報を得たとされる。
サムスンとDASに特別な利害関係はない。

コメントする

月別 アーカイブ