東芝、パソコン事業をシャープに売却

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シャープは6月5日、東芝のパソコン事業を買収すると発表した。東芝の子会社の東芝クライアントソリューションの株式80.1%を40億500万円で取得する。

買収にともない、パソコン事業やモバイルエッジコンピューティング事業、ドライブレコーダー事業といった事業、商品、ブランド、人材、技術、販売チャネルなどを継承する。
東芝クライアントソリューションの社員(子会社を含め約2200人)の雇用は維持され、東芝のノートパソコンブランド「ダイナブック」も継承される。

東芝のパソコンの出荷台数は、ピークの1,767万台(2011年度)から2017年度は142万台に減少している。同年度の売上高は前年度比245億円減の1673億円で、営業損益は96億円の赤字だった。
富士通などとの事業統合も模索したが、交渉は決裂した。

東芝はパソコン事業の売却に伴う費用や税金で、約17億円の売却損を計上する見込み。

シャープの発表によると、子会社化は10月1日の予定で、シャープが持つ超高精細画質(8K)、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)などの技術を生かした商品開発を強化する。

シャープはかつてノートパソコンを販売していたが、2009年発売のネットブック「Mebius PC-NJ70A」を最後に、コンシューマ向けPC市場から撤退した。(法人向けには2014年にWindowsタブレットを投入している。)

しかし、2016年にシャープの親会社となった台湾の鴻海精密工業がパソコンの受託生産を行っており、効率的な生産のノウハウを持つ。東芝の事業を買収することで生産の効率化や事業の拡大につなげられると判断した。

シャープの戴正呉社長は、東芝のパソコン事業について「必ず黒字化できる。1~2年で黒字化して投資を回収したい」と意欲を語った。2017年度に96億円の営業赤字だった。

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東芝は2016年3月に東芝メディカルシステムズをキヤノンに売却する契約を締結した。

2016/3/18 キヤノン、東芝メディカル買収を発表、独禁法対策で奇手 

2016/7/4   公取委、キヤノンによる東芝メディカルシステムズの株式取得を承認

また、白物家電を中国美的集団(Midea Group) に売却した。

東芝は2017年4月24日、4つの社内カンパニー、インフラシステムソリューション、ストレージ&デバイスソリューション、インダストリアルICTソリューション、エネルギーシステムソリューションを分社化すると発表した。

2017/4/25 東芝、主要事業を分社化

東芝は2017年11月14日、東芝映像ソリューションの発行済株式の95%を、中国ハイセンスグループに譲渡することを決定し、2018年2月28日に譲渡を完了した。

カナダの投資ファンドのBrookfield Asset Management Inc.は2018年1月4日、 傘下のBrookfield Business Partnersが東芝の元子会社の米原発大手Westinghouse (WH) を46億ドルで買収すると発表した。

2018/1/9 カナダの投資ファンド、米Westinghouseを買収

2018/1/19 東芝、Westinghouse関連の株式と債権を売却

2018年6月1日、東芝メモリの売却が完了した。

2018/6/4 新生東芝メモリ


東芝の現状は次の通り。

非継続事業を遡及して除外した各部門の営業損益実績は下記の通り。(億円)

今後、東芝をどの部門が支えるのであろうか。

17/3 18/3 増減
営業損益
 エネルギーシステムズ -417 -148 269
 インフラシステムズ 584 480 -104
 東芝テック 163 270 107
 デバイス&ストレージ 576 473 -102
 デジタルソリューションス 71 13 -58
 others -171 -487 -316
 全社 15 39 25
 合計

820

641 -179
継続事業 税引前 449 824 374

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