富士フイルム、米Xerox を提訴 

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富士フイルムホールディングスは6月18日、同社による買収合意を破棄した米事務機器大手 Xeroxを相手取り、正当な理由なく当該契約を終了することは契約違反であるとして、10億ドル超の損害賠償などを求める訴訟を米 ニューヨーク州南部連邦地方裁判所に起こした。

Xerox の取締役会は5月13日、富士フィルムと経営統合する合意を破棄した。

買収に反対する大株主のCarl Icahn、Darwin Deason と5月1日に和解したが、5月3日に撤回、5月9日に株主宛ての書簡で富士フィルムと再交渉するとしていたが、株主側と再度和解し、買収契約自体を終了させた。

富士フィルムは今回の訴状で、「この心変わりは間違いなく外的圧力が原因だ。Xeroxは最近、物言う投資家のCarl Icahn、Darwin Deason 両氏の気まぐれに影響された。両氏は少数株主であるにもかかわらず、Xerox取締役会をありとあらゆる方向に振り回した」と述べた。

買収の実現によって富士フイルムの株主が得られたはずの利益に懲罰的な賠償を上乗せし、計10億ドル超の支払いを求めた。
これとは別に、違約金として1億8300万ドルを Xerox から受け取る権利があるとも主張している。

富士フィルムでは、両社の経営統合は、ワールドワイドで一貫した経営戦略に基づくオペレーションを展開することにより、事業成長の更なる加速と顧客への新たな価値の提供を実現できることから、富士ゼロックス及び Xeroxの未来にとって最良の選択肢であると考えているとしている。

これに対しXeroxは、富士フイルム子会社の富士ゼロックスで起きた不正会計問題が未解決なことが合意破棄の主な理由だと主張、「契約上の明白な権利を正しく行使したという絶対の自信がある」と反論し、全面的に争う構えをみせた。

同社は5月13日に富士フィルムに契約終了を通知したが、理由として以下を挙げている。

①富士ゼロックスの監査済決算を4月15日までに提出しなかったこと、
②監査済の財務数字が契約締結前にもらっていた監査前の財務数字と著しく違っていること、
③その後の事態の変化で契約の実行が難しくなったことを勘案した。

1月22日、Carl IcahnとDarwin Deasonは共同声明を発表したが、そのなかで、富士ゼロックスの経理スキャンダルに鑑み、JVを解消するか、Xeroxに有利なように改定すべきであるとしていた。

富士ゼロックスの財務スキャンダルはXeroxの他の株主の間でも問題になっていた。

富士フィルムHDは2017年6月12日、傘下の富士ゼロックスの販売子会社で起きた不適切な会計処理を受けて375億円の損失が発生したと発表した。

調査報告書によると、不適切会計の主な舞台となったのは富士ゼロックスのニュージーランドの販売子会社。中堅幹部であるマネージングディレクターが中心となって、複写機などのリース契約で問題のある取引を繰り返していた。

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これとは別に、Darwin Deasonが富士フィルムによるゼロックス買収は不正だとして、差し止めを求めた裁判で、4月27日に米国ニューヨーク州裁判所が、Darwin Deason の主張を認め、買収手続きの一時差し止めを認める仮処分命令を下した。

裁判では、富士フィルムとXeroxのメールが開示され、裁判官は、複数のメールを引用したうえ、当時のXerox社長らについて「自身の地位を守ろうとして富士フイルム側と協力した」などと認定し買収の暫定差し止めを命じ た。

Xerox は5月4日、異議申し立てをした。
「差し止め命令はニューヨークの法律に反する。買収提案を認めるかどうかは裁判所ではなく、Xerox の株主が決めるものだ」と主張し、裁判所による差し止めの無効を訴えた。

富士フィルムホールディングスも同日、異議申し立てをした。

米ニューヨーク州の裁判所は、上訴の審理を9月から始めると決めた。 この裁判も続く。

2018/4/30 富士フイルムの Xerox買収、NYの裁判所が差し止め仮処分

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富士ゼロックスは6月20日の定時株主総会で、米XeroxのJohn Visentin CEOを取締役に選任した。

Visentin氏は、富士フイルムによるXerox買収に反対している大株主らの意向を受け、5月16日にCEOに就任した。

米Xeroxは富士ゼロックスの25%を保有しており、取締役を3人出すのが通例だが、今回は買収に反対する大株主に近い人物が取締役に就くことで、買収計画への影響が注目される。

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