中国人のApple 元社員、自動運転車の企業秘密窃盗で 起訴

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米当局は7月10日、企業秘密の窃盗で米Appleの元社員 Xiaolang Zhang を起訴した。自動運転車に関連した設計図を個人のパソコンにダウンロードし、出国しようとしたという。

最高10年の懲役と25万ドルの罰金を科される可能性がある。

Xiaolang Zhang は、2015年12月に 自動運転車のソフトウエアとハードウエアの開発者として採用され、回路基盤の設計やテストに携わった。

Appleの 自動運転車プロジェクトのデータアクセス権限を持つ従業員はざっと5000人で、その中でもZhangは、より高度なアクセス権を認められた約2700人の「コア従業員」だった 。


本年4月に子供が生まれ、4月1日~28日の間、父親としての育児休暇をとり、家族と中国に一時帰国した。

米国に戻り、4月30日に上司に、Appleを辞めて病身の母親のいる中国に戻り、中国の電気自動車会社のXMotors (Xiaopeng Motors:小鵬汽車) に転職する意思を伝えた。

小鵬汽車は電気自動車のスタートアップ企業(2014年設立)で、インターネット通販のAlibaba と世界大手電子機器受託製造企業の鴻海科技(Foxconn Technology)から出資を受けている。

上司は 彼の言動を不審に感じ、社内のセキュリティ部門に連絡、調査を開始した。

その結果、下記が判明した。

4月30日までの数日間にAppleのネットワークへのZhangのコンタクトが過去2年と比べて「指数関数的に増加」して いる。
大部分は膨大な資料探索と秘密データベースからの情報のダウンロードである。

休暇中の筈の4月28日の午後に、自動運転車のソフトウエアとハードウエアの研究所に現れ、1時間後にコンピューターのキーボード、ケーブルと大きな箱を持ち出すのが映っていた。

AppleはZhangを呼び出し、証拠を示して尋問すると、下記を認めた。

Apple在籍中にXMotorsに移籍の話をしていたこと。
休暇の前に、ハードウエア研究所からの2枚の回路基板とLinuxサーバーを持ち出したこと。
その理由は、Appleの他の部署への異動の話があり、新職場で役立つと思ったためであること。
持ち出したデータは妻のパソコンにダウンロードしたこと。

そして、自宅に取りに戻り、妻のパソコンと持ち出した回路基板とLinuxサーバーを提出した。

AppleはFBIに通報、データの60%が問題を含むものであると伝えた。

Zhangは5月5日にAppleを退職、XMotors のMountain Viewオフィスに入社した。

FBIは6月27日、自宅の捜査令状をとり、尋問した。

FBIは7月7日に、Zhangが同日の北京行き飛行機の予約を取ったことを知り、空港で逮捕した。

小鵬汽車はZhangの起訴について、「非常に驚いており、事態を遺憾に思う」との声明を出している。法律事務所の協力の下で独自の社内調査を実施しており、Zhang はすでに「正式に解雇した」という。

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Appleが自動運転技術の開発に取り組んでいるという噂は数年前からあったが、詳細は不明だった。

今回の事件で、研究体制の概要が明らかになった。

Appleは本年4月、社内ブログで、昨年のうちに「29件の情報 漏洩が発覚し、12人が逮捕された」と述べるとともに「失業するだけでなく、他社での再雇用も非常に困難になるかもしれない」と警告したと報じられてい る。

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小鵬汽車(広東省)は4月23日、同社初の市販車「G3」を発表した。

人工知能(AI)を駆使し、ドライバーが降りたあと、リモコンのボタン一つで車が自動で縦列駐車をするなど便利な機能を搭載した。

価格は20万~28万元(約340万~約480万円)だが、政府の補助金を受けられるため、価格は実質200万円台となる。納車は年末になる見込み。

車の屋根部分に360度回転するカメラを搭載、風景を撮影しながらドライブし、車内のタブレット画面やスマホで見て楽しめるようにするといった工夫をした。
20分で、8割の急速充電ができる。

何小鵬・董事長は日経(2018/2/27)のインタビューで次のように話している。

来年半ばに年産20万台の自前の新工場も完成し、事業を本格化する。

米テスラからは自動運転の責任者を採用し、シリコンバレーに開発拠点を設け、優秀な人材を集めている。
日本メーカーの経験者も多く、元マツダのデザイナーもいる。
年内には自動運転の技術者は6倍の600人にする予定。

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