インドネシアのアサハンアルミ、銅鉱山運営のFreeport Indonesiaの株式の51%を取得

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インドネシアのジョコ大統領は7月12日、米鉱山大手 Freeport-McMoRan Inc.の現地法人 PT Freeport Indonesiaの株式の51%を国営鉱業大手のアサハン・アルミ(PT Indonesia Asahan Aluminium:Inalum)が取得すると明らかにした。世界第2の銅鉱山のGrasberg鉱山を取得する。

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アサハンアルミ(Inalum)はインドネシア国有のアルミニウム精錬会社であるが、2017年に政府の方針で、国有の鉱工業企業の持株会社となった。

2017年11月の政令で、非鉄金属のPT Aneka Tambang (ANTM) の65%、石炭のBukit Asam (PTBA)の65%、錫のTimah Tbk PT (TINS)の65.2%の政府持ち株がアサハンアルミに譲渡された。
各社固有の経営資源と技術の相乗効果を狙う。

シナジー効果の一つは、後述のアルミナ生産計画の加速化である。また、PTBAがこれら他の国有会社と共同で発電所を開発することにより、ANTMのフェロニッケル製錬所やInalumのアルミニウム製錬所に電気を供給するプロジェクトも計画されている。その他には、港湾建設の下流事業への投資も拡充する予定。

インドネシア政府は、国内の豊富な鉱石をそのまま輸出するのではなく、国内での加工を推進しようとしている。

2014年1月12日、国内での加工推進を目的とし、未加工の鉱石の輸出禁止措置を導入した。

2014/1/16 インドネシアが鉱石禁輸実施、直前に緩和 

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大統領は、世界第2の銅鉱山(金、銀も産出)のGrasberg鉱山を運営するFreeport-McMoRanに対し、採掘権や輸出を認める代わりに、株式の51%超を譲渡するよう求めていた。

今回の合意で、政府は現在 9.36%のFreeport Indonesiaの 持株を51.38%に引き上げる。将来的にはGrasberg鉱山があるパプア州政府や地元自治体も一定の株式を持つ見通し。

実際の取引にはRio Tintoも絡む。

Grasberg鉱山の運営会社は、Freeport Indonesiaが60%、Rio-Tintoが40%所有するJVである。

Rio Tintoはインドネシア政府の資源ナショナリズムに
対応し、離脱を模索していた。

Inalumは、JVのRio権益持分(40%)を35億ドルで 買収する。これをFreeport Indonesiaに譲渡し、見返りにFreeport Indonesiaの株式32.66%を取得する。

別途、InalumはFreeport Indonesiaに9.36%を出資するFreeport-McMoRanの投資会社PT Indocopper Investamaを3.5億ドルで買収する。

この結果、既存の政府持ち株を合わせ、Inalumは51.38%を取得する。

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アサハンアルミ(Inalum)は、日本とインドネシアのJVとして設立された。

1975年7月に日本側参加12社とインドネシア政府間の基本協定が締結された。

同年末に日本側投資会社の「日本アサハンアルミニウム」が設立された。

国際協力銀行 50%
精錬5社 各7.5%、計37.5%
7商社合計 12.5%

1976年1月、日本アサハン 90%、インドネシア政府 10%の出資で、P.T. Indonesia Asahan Aluminium (INALUM)が設立された。

北スマトラ、Kuala Tanjung地区にアルミニウム年産225千トンの製錬工場(75千トン3系列)
トバ湖から流れるアサハン川の上流のSiguragura、Tanggaの両瀑布に最大出力513千kwの発電所
原料アルミナは輸入(Alcoa of Australia)

2010/10/14  インドネシア、アサハンアルミの将来

インドネシアと日本のJVのアサハンアルミが操業30年を迎える2013年11月以降、インドネシア政府は日本の出資分を買い取る権利を持つ。

2010年現在の出資比率は日本側 59%、インドネシア側 41%となっている。
JV協定は「生産開始」(1983年11月1日)から30年後に満了、設備は簿価などの補償を条件として、インドネシア政府に移管されることとなっている。

日本の企業連合とインドネシア政府は2013年12月9日、日本側が全保有株を同政府に5億5670万ドルで売却するとの合意文書に調印した。
合弁は解消され、インドネシアが事業を国有化した。

2013/12/11 日本企業連合、アサハンアルミから撤退 

アサハンアルミの現在の能力は26万トンである。

同社は現在、ボルネオ島Kalimantan の新立地で、次の通り35億ドルの拡張を計画している。

アルミ精錬第二工場(20万トン) 7億ドル
 (当初の構想は、
アルミ精錬能力を2020年に50万トンに、2025年に100万トンとする というものであった。

800MW水力発電 10億ドル

アルミナ工場 50万トン 18億ドル

原料アルミナは現在輸入しているが、自製を開始し、輸入依存を減らす。

立地は西カリマンタン。

今回Inalumの子会社となった非鉄金属のPT Aneka Tambang (ANTM) とInalum のJV PT Inalum Antam Alumina が中国のAluminium Corporation of China (CHALCO) と合弁で生産する。
インドネシア側が過半数を持つ。

ANTMがカリマンタンで採取するボーキサイトを原料とする。

これまでANTMはボーキサイト全量を 中国などに輸出、アサハンはアルミナを全量、オーストラリアとインドから輸入している。(インドは最近)

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