東芝、英原発事業を清算

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東芝は11月8日、英国における原子力発電所新規建設事業からの撤退を決定し、連結子会社のNewGeneration (NuGen)を解散すると発表した。

これまで売却交渉を続けてきたが、2018年度中のNuGen社の株式売却完了の見通しが立たないこと、及びNuGen社維持費用の継続負担等を勘案し、経済合理性の観点から、今般、解散を決めた。

連結税引前損益ベースで約150億円の損失を計上する見込み。

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東芝は2014年1月15日、スペイン大手電力会社Iberdrola S.A.から、英原子力発電事業会社 NewGeneration (NuGen)の株式50%を、GDF Suez から同社保有のNuGen社株式10%を、それぞれ譲り受けると発表した。取得額は総額で約1億ポンド。

NuGenは東芝 60%、GDF Suez 40%の出資となった。(GDF Suezは2015年4月24日にEngieに改称した。)

NuGen は、英中部Sellafield で合計出力360万キロワットの原発建設を予定している。

東芝は 原発設備を納入した後に経営権を売却することを想定しているとされている。

2013/12/27 英国が原発建設再開、固定価格買取制度導入、東芝と中国企業が計画に参加

日英両政府は2016年12月22日、原子力分野で包括的に協力する覚書を結んだが、覚書では、日立傘下のHorizon Nuclear Power の英中部Wylfaの原発計画に加え、東芝傘下のNuGenが英中部 Moorside(Sellafield)で計画する原発について言及している。

2016/12/27 日英、原発建設協力で覚書、日立・東芝の案件対象

東芝は2017年4月4日、同社が60% 所有する英国の原発事業会社 NewGeneration (NuGen) の残り40%をフランスのEngieから買収すると発表した。

2017年7月25日に買収が完了した。買収額は158.62億円(108.8百万ポンド)。

NuGen はいったん東芝の完全子会社となるが、東芝はNuGenの完全売却も視野に入れており、「引き続き出資者の募集や持ち分売却を検討する」としていた。

東芝は2017年12月、英国で原子力発電所の新設事業を行うために保有している NewGeneration (NuGen)の株式100%の売却について、韓国電力公社(KEPCO)を優先交渉対象者に選定した。

しかし東芝は本年7月31日、KEPCOにNuGen売却優先交渉先から解除すると通知した。

韓国側はまだ諦めておらず、英政府が本年6月に原発事業への適用を発表した新たな事業モデルについて、そのリスクや収益性などに関する共同研究を東芝に提案している。

2018/8/4 東芝の英国原発計画の現状 

東芝は8月に、交渉先をカナダの投資ファンドのBrookfield Asset Managementに変えた。

Brookfield Asset Management Inc.の傘下のBrookfield Business Partnersが2018年1月に東芝の元子会社の米原発大手Westinghouse を46億ドルで買収した。

2018/1/9 カナダの投資ファンド、米Westinghouseを買収

2018/1/19 東芝、Westinghouse関連の株式と債権を売却

しかし、Brookfield Asset Managementとの交渉もまとまらなったとみられる。

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東芝は11月8日、東芝Nextプラン(2019~23年事業計画)を発表した。

4つの改革の①構造改革の一つが非注力事業からの撤退で、本件と次項のLNG事業が例示されている。

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