米、中国への追加関税を90日猶予

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トランプ米大統領と習近平中国・国家主席は12月1日、G20出席のため訪問中のBuenos Airesで夕食会形式で首脳会談を開き、米国が中国への追加関税を猶予することを決めた。


ホワイトハウスの発表は下記の通り。

トランプ大統領は、2000億ドル分の中国製品について、2019年1月1日に追加関税を25%に引き上げるのを止め、当面 10%に留める。

トランプ米政権は2018年9月17日、中国からの輸入品2千億ドルを対象に第3弾の制裁関税を9月24日に発動すると発表した。


家具や家電などに10%の関税を上乗せする。当初計画の25%上乗せを先延ばしにすることにより、米企業が代替サプライチェーンを探すなど対応策を講じるための時間的猶予を与える。中国が対米黒字削減や国内産業保護策の見直しなど、踏み込んだ政策変更に応じない場合、2019年以降は25%に引き上げる。

2018/9/20 米国、対中関税第3弾を9月24日発動 


これに対し中国は、金額はまだ合意できていないが、非常に多くの農産物、エネルギー、工業製品その他を米国から購入し、貿易のインバランスを減らす。
中国は米国の農家から直ちに農産物を購入し始めることに同意した。

両国は直ちに、(1)米企業への技術移転の強要 (2)知的財産権の保護 (3)非関税障壁 (4)サイバー攻撃とサイバー犯罪 (窃盗)(5)サービスと農業の市場開放 の5分野での構造変化の協議を開始し、90日以内に結論を得ることで合意した。

この間に合意できない場合、追加関税は25%に引き上げられる。

付記 
トランプ大統領は対中協議の責任者にアメリカ合衆国通商代表(USTR) のLighthizer 代表を指名した。政権きっての対中強硬派。90日は12月1日起算で、2019年2月末までの短期交渉となる。

(その他の事項)

習首席は、麻薬(強オピオイド)のFentanyl を規制物質とすることに同意した。米国に販売した場合、中国法で重刑に処せられる

大統領と主席は、北朝鮮に関して大きな進展があったこと、両者は金正恩委員長とともに、核のない朝鮮半島にすべく努力することで意見の一致を見た。大統領は金委員長に対する friendship and respect を表明した。

主席は、以前に承認しなかった米Qualcommによるオランダの NXP Semiconductors 買収について、再申請されれば承認すると述べた。

本年4月、米Qualcommによるオランダの NXP Semiconductors 買収を巡り、中国商務部は承認にはさらなる是正が必要だと指摘した。

7月26日午前0時が中国当局の承認を得る期限とされていたが、承認が得られず、Qualcommは買収を断念した。

2018/4/24 中国商務部、QualcommによるNXP買収の承認に慎重


トランプ大統領は、この会談を、米中の限りない可能性を示す素晴らしい、生産的な会合と呼んだ。



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