華為技術(Huawei Technologies)の副会長の逮捕

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カナダ司法省は12月1日、中国の通信機器最大手、華為技術(Huawei Technologies )の創業者 任正非(Ren Zhengfei)の娘である孟晩舟(Meng Wanzhou)副会長 兼 最高財務責任者(CFO)をバンクーバーで逮捕した 。12月5日に明らかにした。

付記 

裁判所は12月10日、保釈の可否を巡る審問を開いたが、判断を示すことなく休廷した。現地時間11日午前10時(日本時間12日午前3時)に再開する。

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カナダの裁判所は12月11日、同氏の保釈を認める決定を下した。

条件として1000万カナダドル(約8億5千万円)の保釈金を支払ったり追跡装置を身につけたりする。夜間の外出は禁じられ、パスポートは押収される。

カナダの裁判所は来年2月に、米国の正式な要請に基づいて身柄を引き渡すかどうかを別途判断する。

米側は逮捕から60日以内に具体的な証拠を裁判所に示す必要がある。
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トランプ大統領は12月11日、ロイターとのインタビューで、米国の安全保障と対中貿易協議の進展に資するなら、この問題に介入するとの考えを示した。

"If I think it's good for the country, if I think it's good for what will be certainly the largest trade deal ever made - which is a very important thing - what's good for national security - I would certainly intervene if I thought it was necessary."

( Meng 副会長が釈放される可能性について)

"Well, it's possible that a lot of different things could happen. It's also possible it will be a part of negotiations. But we'll speak to the Justice Department, we'll speak to them, we'll get a lot of people involved."

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国際シンクタンク The International Crisis Group(ICG)は12月11日、同団体の上級顧問を務めるカナダの元外交官、Michael Kovrigが中国で拘束されたとの情報が入ったことを明らかにした。

カナダ外務省は12月13日、カナダ人実業家 Michael Spavor氏が中国の国家安全保障に脅威を与えた疑いで中国当局に拘束されたことを認めた。

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付記

カナダのトルドー首相は2019年1月26日、同国のジョン・マッカラム駐中国大使が同日付で辞任したと発表した。首相が辞任を要請した。

マッカラム氏は1月22日に中国語メディアとの会合で孟氏の逮捕にはトランプ米大統領の政治的な意向が反映されていると指摘。逮捕容疑であるイラン制裁違反に関して「カナダは(米国が求める)イラン制裁措置に署名していない」とし、引き渡しが行われない可能性を示唆していた。


米司法省は、イランへの輸出に対する米国の制裁にもかかわらず、華為技術が同国に製品を販売したかどうかについて捜査を始めていた。 今年8月22日に孟氏の逮捕状を取り、11月29日に孟氏がバンクーバーに立ち寄ることを把握し、犯罪人引渡協定に基づき、カナダに逮捕と身柄引き渡しを求めていた。(なお、今回の件が犯罪人引渡協定の対象になるかどうかについて議論があるという。)

逮捕の12月1日には、トランプ米大統領と習近平中国・国家主席 が、G20出席のため訪問中のBuenos Airesで夕食会形式で首脳会談を開き、米国が中国への追加関税を猶予することを決めている。


ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、孟氏が12月1日に逮捕されることを「事前に知っていた」と明らかにした。 大統領が知っていたかどうかは不明だが、ボルトン補佐官は米中首脳会談に出席しており、逮捕情報を知りつつ習氏ら中国側に情報開示をしなかった可能性が出てきたことで、中国側が今後の通商協議で態度を硬化させる恐れがある。


報道によると、米当局は少なくとも2016年から、Huawei がイランとの違法取引に関わっていないか捜査してきた。
英金融大手HSBCがHuawei の関与の疑いのある取引を見つけ、米捜査当局に報告したとされる。

12月7日にバンクーバーの裁判所で孟氏の保釈をめぐる聴聞会が開かれた。カナダ司法当局は拘束理由を明らかにし、逃亡の恐れがあるため保釈しないよう求めた。

カナダ当局によると、米司法当局は、Huawei が2009~14年に香港に拠点を置く関係会社のSkycom Techを通じて米国のコンピュータ機器をイランの携帯電話の会社に販売したとみている。これは米国製品をイランに販売することを禁じる法律に違反するもの。
しかし、孟氏は2013年に米金融機関に対して、
Huawei とSkycom Techが「無関係だ」と虚偽の説明を行い、違法な金融取引に関与させた疑いがある。

米司法当局の調べでは、Huawei は2009年にSkycom Techを売却したように装っていたが、少なくとも2014年まで管理下に置いていた。
Skycom Techの登記簿によると、孟氏は2008年2月~2009年4月に同社取締役を務めていた。

カナダの裁判所は12月10日にも聴聞会を開き、保釈の可否を判断する。米国に身柄を送還するかどうかは、裁判所が判断したうえでカナダの司法相が決める。米国で有罪となれば最大30年投獄される可能性があるという。


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Huaweiは12月6日、「現時点で逮捕に関する情報は少しもないが、不正行為の認識はない。カナダと米国の司法制度が最終的には公正な判断を下すことを信じている 。Huaweiは、事業を営む場所全てで、国連と米国とEUの輸出管理と制裁の法律・規則を含め、法と規則を遵守している」と述べた。

The company has been provided very little information regarding the charges and is not aware of any wrongdoing by Ms.Meng. The company believes the Canadian and US legal systems will ultimately reach a just conclusion.
Huwai complies with all applicable laws and regulations where it operates, including applicable export control and sanction laws and regulations of the UN, US and EU.

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孟氏はHuaweiの創業者、任正非(Ren Zhengfei)(74)の長女で1972年生まれ 。16歳の時に母親の姓に改姓した。

1992年に大学を卒業後、1年間、国有銀行大手「建設銀行」で勤務した後、Huaweiに入社 し、秘書として商品リストの打ち込みや営業サポートなどを経験した。
1997年から1年半休職し、華中理工大学で会計学を学び、その後は社内の財務部門で昇進した。

社内では2011年の役員就任時に任会長の長女であることを初めて明かした。

本年3月に副会長に就任したことで、後継有力候補と目されるようになった。

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Huaweiは中国最大の民営企業で、習近平指導部が進めるハイテク産業育成策「中国製造2025」で重要な役割を占める。
次世代通信規格「5G」のインフラに注力しており、世界66カ国の通信会社向けに約1万件の基地局をすでに出荷している。

輸出管理法を管轄する米商務省が違法と判断すれば、米国企業との取引を規制する制裁を科す可能性がある。

HuaweiはGoogleのスマホ用基本ソフト(OS)Androidや米Qualcommの半導体を採用するなど米国企業と幅広く取引して おり、米国が制裁に踏み切れば、同社の経営には大きな打撃となる。

米商務省は2016年3月、中興通訊(ZTE)が2010年にイランや北朝鮮に禁輸措置品を輸出し、その事実を隠ぺいしたとして、輸出禁止の対象とした。

その後、トランプ大統領と習主席の話し合いで、ZTEが罰金を支払うことで7月に制裁を解除した。

2018/6/8 米政府、中興通訊(ZTE)の事業再開認める


Huaweiの問題が米中協議に悪影響を及ぼすとの懸念が市場で広がっている。

トランプ米大統領と習近平中国・国家主席は12月1日の首脳会談で、両国は直ちに、(1)米企業への技術移転の強要 (2)知的財産権の保護 (3)非関税障壁 (4)サイバー攻撃とサイバー犯罪 (窃盗)(5)サービスと農業の市場開放 の5分野での構造変化の協議を開始し、90日以内(2019年2月末まで)に結論を得ることで合意した。

この間に合意できない場合、現在は追加関税が10%の2000億ドル分の中国製品について、追加関税は25%に引き上げられる。

トランプ米大統領は7日「米中協議はとても順調だ!(China talks are going very well!)」とツイッターで強調した。
米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は、Huawei 問題は「安全保障の問題」であり、米中協議とは「別の問題だ」と主張した。


米国政府・議会は、中国の通信・監視カメラなどハイテク企業を排除すべく、動いている。日本をはじめ、各国もこれに引き込まれつつある。

米上下両院は2018年8月、華為技術(Huawei)や中興通訊(ZTE)と、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(HIKVISION )、浙江大華技術(Dahua Technology)、海能達通信(Hytera)の計5社への締め付けを大幅に強化することを盛り込んだ「2019年度米国防権限法(NDAA2019)」を超党派の賛成で可決 し、8月13日にトランプ大統領が署名し成立した。2020年からは、これら各社の製品を使用する世界の企業は米国政府との取引を禁止される。(詳細 明日の記事)

豪州政府は8月に、次世代通信規格「5G」の通信網について、「安全保障上の懸念」から、Huawei とZTEの参加を認めない方針を出した。

ニュージーランドでは同国大手通信事業者が11月下旬、5Gの整備で華為製品を使用しないと発表した。同国政府が、華為製品の使用は「国家安全保障上の重大な危機」があると警告したため。

日本政府は、Huaweiなどを念頭に、中央省庁が情報通信機器を購入する際、価格だけでなく、安全保障上のリスクを低減できるかどうかを考慮するという調達指針を策定することとした。

各省庁や自衛隊などが使用する情報通信機器について、安全保障上の懸念から、中国通信機器大手HuaweiとZTEの製品を「事実上」排除する方針を固め与党関係者によると、「政府がファーウェイの製品を分解したところ、ハードウェアに"余計なもの"が見つかった」という。

EUの欧州委員会の副委員長は12月7日、Huaweiなどの中国のIT企業は中国の情報機関との協力を義務付けられているとし、欧州の安全保障上のリスクを懸念する必要があると述べた。

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