米政府機関の一部閉鎖、年明けまで続く

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米議会上院の与野党は12月21日午後8時30分に、新たなつなぎ予算案を可決することなく22日正午まで休会に入った。 国土安全保障省、司法省、住宅都市開発省など、連邦政府の約4分の1にあたる機関では 12月22日午前0時1分に予算が失効した。

上院共和党は、下院が議決した「国境の壁」費用として57億ドルを盛り込んだ2019年2月8日までのつなぎ予算を通そうとしたが、民主党は壁の予算は一切認めないとしている。

2018/12/21 米政府機関 一部閉鎖の恐れ 


上下両院は12月27日、政府閉鎖を終わらせることなく数分で閉会した。 多くの議員がワシントンに戻らず、この日の審議を欠席した。米議会は12月31日に再開されるが採決の予定はなく、来年1月1日は休会となる。閉鎖解除が年明けにずれ込むのは確実な情勢である。

ホワイトハウスは声明で「民主党は米国民でなく不法移民を守るために、政府閉鎖の継続を選んだ」と糾弾、それに対し民主党の上院議員はツイッターで、「無駄遣いで効果のない50億ドルの壁建設という言語道断の要求のため、トランプ氏は政府を人質に取っている」と応酬し、大統領と民主党が責任を押し付け合う構図となっている。

トランプ大統領は12月24日、ツイッターで ぼやいた。


I am all alone (poor me) in the White House waiting for the Democrats to come back and make a deal on desperately needed Border Security.
At some point the Democrats not wanting to make a deal will cost our Country more money than the Border Wall we are all talking about. Crazy!

12月29日には、 「野党は大統領いじめに忙しい」と述べた。

I am in the White House waiting for the Democrats to come on over and make a deal on Border Security.
From what I hear, they are spending so much time on Presidential Harassment that they have little time left for things like stopping crime and our military!

付記

トランプ大統領は1月1日のツイッターで、3日からの新議会で下院議長に就く予定の民主党のNancy Pelosi 院内総務に対し、「壁建設費や政府閉鎖の問題で下院議長の任期を始めたくないだろう! 取引をしようか?」と述べた。

Border Security and the Wall "thing" and Shutdown is not where Nancy Pelosi wanted to start her tenure as Speaker! Let's make a deal?


現議会は1月2日正午までとなり、11月の中間選挙で選出された新議員が同日宣誓して就任する。

上院は共和党勝利だが、60票には満たない。下院は野党民主党が過半数を獲得。

  共和 民主 欠員 未確定
上院

任期6年
1/3ずつ改選

体制 51 47+2#     100
新体制 53 45+2#     100
 
下院

任期2年
過半数は218

体制 235 193 7   435
新体制 199 235   1 435


上院民主党の # 印は民主党系無所属(Vermont州のBernard Sanders とMaine 州のAngus King 議員)

下院ノースカロライナ州第9選挙区は共和党勝利となっていたが、不正投票の疑いがあり、未確定、再投票の可能性も。 


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2019会計年度(2018年10月~2019年9月)の米連邦予算は異例のものとなっている。

トランプ大統領は、壁建設費50億ドルの歳出予算を盛り込むことを求めているが、民主党はこれに反対しており、上院民主党はかねてから、国境の壁建設予算16億ドルなら支持する方針である。

トランプ大統領は7月29日のツイッターで、「民主党が壁を含むBorder Securityに賛成しなければ、政府を閉鎖する」と述べた。

米議会の共和、民主両党は、政府機関閉鎖の回避を目指し、面白い案を考えた。

トランプ大統領も賛成する部分(国防省、労働省、教育省、保健福祉省などの予算)については正式予算を作成する。

壁の建設を担当する国土安全保障省や、国務省や商務省、司法省、科学関連省庁の予算については、11月6日の中間選挙の結果を待つこととし、正式予算ではなく、12月7日までのつなぎ予算とし、現行の予算水準を維持する。

2018/10/2 米国、10月からの政府閉鎖回避

1980年以降の政府機関の閉鎖は次の通り。


2013/10/1 米国、予算成立せず、政府機関を一部閉鎖

2018/1/20 米政府機関、閉鎖 
  
2018/1/23 米国、政府機関閉鎖解除へ 
2018/2/10 米国政府機関、再度の閉鎖、数時間後に予算合意で解除

付記 2019年1月12日、一部閉鎖は22日目に入り、これまでの最長(21日)を超えた。

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2018年中間選挙で下院の1議席(North Carolina 州 第9選挙区)が未定となっている。

投票結果は次の通りで、共和党候補が僅差で勝利した。

Mark Harris (共和党) 139,246
Dan McCreay (民主党) 138,341
905

しかし、共和党候補者の側に不正投票があることが明らかになり、調査が始まった。

次の点が報道されている。

  • 第9選挙区のうちの2つの地区で異常に多くの不在者投票の要求があった。多くが実際には投票がなかった。
  • 選挙民の数人が宣誓書で、身元不明の女性が自宅を訪問し、不在者投票表を回収したと述べた。代わりに出しておくからと言って回収した。不在者投票表はサインも封もしていない。
  • 来訪した女性がLisa Brittであったとする選挙民がいる。彼女は共和党候補の選挙事務所で不在者投票を担当するLeslie McCrae Dowless Jr.の養女である。
  • Britt ともう一人の Dowlessの親戚Jessica Dowlessは選挙期間中に事務所でDowless のために働いたと述べている。
  • 彼らに不在者投票表を渡した選挙民は実際に投票していない。

 しかし、次の点は不明である。

  • 投票がなかった不在者投票分が実際にどう処理されたのか?
  • Harris候補の陣営が Dowlessの行動を知っていたのか?
  • 異常な活動は2地区だけなのか、他の地区でも疑いがあるのか?


共和党のMark Harris候補は12月28日、選挙結果を認めるよう緊急要請書を提出したが、North Carolina 州の選挙管理委員会は、その直後、9区の結果を決めることなしに解散した。
12月1日付でHarris側に資料提出命令を出したが、ごく一部しか提出しなかったとしている。何度も提出すると言いながら、提出しなかったとする。

民主党は2019年1月3日にMark Harris候補が議員として宣誓するのに反対するとしている。

あとは、裁判所が選挙結果を認めるかどうかとなる。再選挙の可能性もある。


  

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