イタリア・ドラギ首相辞任、議会解散 9月25日に選挙

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イタリアのドラギ首相は7月21日、マッタレッラ大統領に再び辞表を提出し、受理された。
大統領は上下院の解散を表明、政府は9月25日に前倒し総選挙を実施することを決めた。

大統領はドラギ氏に暫定的に首相にとどまるよう求めた。

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2018年6月1日に 「五つ星運動」と「同盟」の連立で、法学者で政治経験のないGiuseppe Conteの第一次内閣が発足したが、2019年8月に「同盟」が離脱、連立が崩壊した。ライバル関係にあった「五つ星運動」と野党の「民主党」、その他が連立を組み、第二次Conte内閣が誕生したが、2021年に「民主党」から独立した少数政党「イタリア・ ヴィーヴァ」がConte首相を批判、連立を離脱した。

Conte首相は大統領に辞表を提出、新たな連立政権で第3次内閣を目指したが失敗した。

欧州中央銀行(ECB)の第3代総裁を務め、'Super' Mario と呼ばれたMario Draghi は2021年2月13日、イタリア首相に就任した。

連立与党の中核だった「五つ星運動」と中道左派「民主党」に加え、1月に連立離脱した「イタリア・ヴィーヴァ」や、これまで野党であった中道右派の「同盟」や「フォルツァ・イタリア」なども含めた大連立内閣が発足した。

考え方が異なる多くの党の連立である。

合従連衡の経緯             
与党〇、野党X
第一次
コンテ内閣
第二次
コンテ内閣

2021/1

ドラギ内閣
五つ星運動
同盟

 離脱

民主党 民主党  分離
イタリア・ヴィーヴァ

 離脱X

フォルツァ・イタリア
混合会派
自由と平等
イタリアの同胞(極右)


2021/2/15 
イタリア、ECB前総裁のマリオ・ドラギ氏が次期首相に 

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イタリアでは議会最大勢力で、ドラギ首相が率いるテクノクラート政権を支える左派ポピュリスト政党「五つ星運動」が6月21日に分裂した。

同党内ではウクライナへの武器供与などを巡って、政権の積極方針を支持する前党首のディマイオ外相を中心としたグループと、武器供与が紛争長期化につながるとして反対する現党首のコンテ前首相を中心としたグループとの間で意見相違が続いてきた。51名の下院議員と11名の上院議員が同党を離党し、ディマイオ外相を党首とする新党「未来に向けてともに(IpF)」を結党した。

IpFはドラギ政権を今後も支えることを明言しているが、「五つ星運動」内には来年に予定される総選挙を前に政権への協力を取り止めるべきとの声も浮上し た。

物価高騰による家計負担の軽減措置を巡って政権が崩壊の危機に瀕していた。

ドラギ内閣はインフレ対策として230億ユーロの支援パッケージ案を提出した。これには、「五つ星運動」が以前から反対してきたローマ市内のゴミ焼却場建設条項が含まれている。

五つ星運動は最低賃金の導入など政府の物価高騰支援策の修正を求めており、こうした要求が通らない限り、法案採決に棄権するとした。但し、政権不信任の立場ではないとしていた。

イタリアではこの法案の採決を内閣の信任投票とみなし、ドラギ首相は五つ星運動が参加しない形での政権維持が難しいとして、同党が信任投票に参加しない場合、首相を辞任する可能性を示唆していた。


イタリア議会上院は7月14日、ドラギ内閣の経済対策案への投票を実施した。 経済対策案は賛成172、反対39で可決されたが、連立与党の中心の「五つ星運動」が投票をボイコットした。

選挙を経ていない実務家出身のドラギ首相は、連立の結束を重視し、「大統領に辞表を提出する」とし、「政権を支えてきた国民的な統合連立はもはや存在しない」と述べた。

しかし、マッタレッラ大統領は政局の不安定化を懸念して首相辞任を認めず、議会での解決を指示した。

イタリアの議会上院は7月20日、ドラギ首相が率いる内閣の「信任投票」を実施した。首相は上院での演説で、政府を維持する唯一の方法は「信頼に基づいた合意を再構築することだ」と強調し、各政党に協力を求めた。

今回も95対38の賛成多数で可決したものの、与党の左派「五つ星運動」と中道右派「フォルツア・イタリア」、極右「同盟」は投票前に離席し、事実上の「不信任」を示した。

ドラギ首相は7月21日、マッタレッラ大統領に再び辞表を提出し、受理された。
大統領は上下院の解散を表明、政府は9月25日に前倒し総選挙を実施することを決めた。

世論調査では、極右政党「イタリアの同胞」率いる保守連合が過半数を獲得する可能性が高まっている。

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