三菱化学鹿島事業所の事故で行政処分

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経済産業省原子力安全・保安院は2月15日、三菱化学に対して、鹿島事業所の高圧ガス保安法に基づく完成検査及び保安検査に係る認定を取り消す行政処分を行い、同社あて通知したと発表した。

三菱化学は事故の発生原因として
分解炉内のデコーキング作業が終了し、クエンチフィッティング元弁フランジ部に挿入していた仕切板を取り出し中に、AOV(空気駆動弁)が開き、クエンチオイル(急冷油)が流出
鹿島事業所の「作業保安規則」に基づく「工事安全指示書」では、バルブの施錠確認を行うこととなっていたが、施錠の確認が行われなかった。また、「作業基準」に基づく「作業確認リスト」には、施錠の記載がなく、施錠が実施されなかった
としている。

   2008/1/9 三菱化学鹿島事業所 火災事故 その後 

高圧ガス保安法に基づき、完成検査及び保安検査を自ら実施することができる者(認定完成検査実施者及び認定保安検査実施者)として経済産業大臣の認定を受けている同社について、施錠が確実に実施されなかったことは、鹿島事業所の保安体制において認定基準への不適合があったものと認められることから、認定を取り消す行政処分を行ったもの。

この認定の取消しにより、三菱化学鹿島事業所は、補修等の変更工事を行う際には県知事が行う完成検査を受けることが必要となり、従来は4年に一度でよかった定期修理を毎年実施し、県知事が行う保安検査を受けることが必要となる。

また、同事業所は、今後2年間は、この認定を受けることができない。

再認定を受けるまでの間は鹿島事業所全体(蒸気等の用役が停まるため用役の供給を受ける日本ポリエチレン、日本ポリプロなどの同事業所内の関連会社を含め)が毎年、約1ヶ月の操業停止、定期修理の実施が必要となり、数十億円の定修費と減産損で大きな負担となる。

 

(参考)高圧ガス保安法に基づく完成検査及び保安検査に係る認定について

  完成検査 保安検査
原則 コンビナート等の高圧ガス製造事業者は、その製造設備について、補修等の変更工事を行う際には、都道府県知事の許可を得るとともに、完了時に都道府県知事が行う完成検査を受けなければならない。
(高圧ガス保安法第20条第3項本文)
高圧ガス製造事業者は、その製造設備について、都道府県知事が行う保安検査を年1回受けなければならない。
(同法第35条第1項本文)
認定 自ら変更工事に係る完成検査を行うことができる者として、経済産業大臣が認定を行った者(認定完成検査実施者)については、自ら完成検査を行い、その記録を都道府県知事に届け出れば、都道府県知事による完成検査を受けなくても良い。
(同法第20条第3項第2号)
自ら保安検査を行うことができる者として、経済産業大臣が認定を行った者(認定保安検査実施者)については、自ら保安検査を行い、その記録を都道府県知事に届け出れば、都道府県知事による保安検査を受けなくても良い。
(同法第35条第1項第2号)
1997年4月、要件を満足していると認められた設備については、最高5年の連続運転が可能となった。
取消 「高圧ガスによる災害が発生したとき」、「認定基準に該当していないと認められるとき」等は、経済産業大臣は、認定を取り消すことができる。(同法第39条の12第1項)
認定取消し後2年間は、再び認定を受けることができない。(同法第39条の6第1項第5号)

*2003年6月以降、認定保安検査実施者等の認定を受けた事業所において、法令に定められた検査が適正に行われていなかった事例が続けて報告された。経済産業省は認定保安検査実施者等の認定を受けていた全ての事業所に対し、保安検査の実施状況等を報告するよう指示、同年9月8日までに提出された各事業者からの報告について調査を行い、合計で6社、11事業所が認定を取り消された。

東ソー/四日市事業所、新日本石油精製/麻里布製油所・大阪製油所、三井化学/大阪工場、
日本ゼオン/徳山工場・水島工場、協和油化/四日市工場・千葉工場、
旭化成ケミカルズ/水島製造所B地区・同C地区・川崎製造所


* 総合目次、項目別目次は
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

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