2017年11月アーカイブ

新潟水俣病をめぐり、新潟市の審査で患者と認められなかった住民など9人が起こした裁判で、2審の東京高等裁判所は、1審の新潟地裁が認めなかった2人についても水俣病と認めるよう市に命じる判決を言い渡した。

付記 

新潟市長は12月2日、新潟市内で記者団に対し週明けにも上告断念を正式に発表する意向を明らかにした。

市が上告せず、12月14日に確定した。今後、正式な手続きを経て認定される。

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新潟地裁は2016年5月30日、新潟市から法律に基づく水俣病の患者認定申請を棄却された市内の9人(故人1人を含む)が市に処分の取り消しと患者認定を求めた裁判で、市の処分を一部取り消し、原告7人を水俣病と認定するよう市に命じた。2人については請求を退けた。

原告は新潟市の50~80代の男女で、1人は申請後に死亡した未認定患者の遺族。阿賀野川のメチル水銀に汚染された魚を食べ、しびれなどの症状があるとして市に認定申請し2007~13年に棄却された。

水俣病の行政認定を巡る判決は最高裁が認定の幅を広げる判断を示した2013年4月の判決以来で、新潟水俣病では初めて。

裁判長は、軽度の水俣病の場合、手足の感覚障害の症状だけのものが存在すると指摘し、最高裁の見解 を踏襲した。

その上で、請求を認めた7人について「阿賀野川の魚介類を摂取するか、摂取した母親の胎内にいたことにより、高度のメチル水銀の暴露を受け、水俣病になった」と判断した。
また、メチル水銀が取り込まれてから数年後に発症した例や、発症後10~20年後に症状が悪化した例があるとして、長期間経過後、老化に伴い症状がはっきり現れる「遅発性水俣病」があり得ることも認めた。 

認められた7人は、症状は感覚障害だけだったが、同居する家族に認定患者がおり、食生活が同じという点からもメチル水銀を摂取した可能性が大きいとし、水俣病と判断した。

7人は2015年3月、国や県、原因企業の昭和電工に未認定患者らが損害賠償などを求めた新潟水俣病第3次訴訟の地裁判決で、水俣病と判断されている。

一方、請求を棄却された2人は、感覚障害はあるが、家族に認定患者がおらず、「汚染された阿賀野川の魚を多食した確かな証拠がない」とした。

判決後、記者会見を開いた高島章・原告弁護団長は、訴えを退けられた2人については「7人と同じような症状がある。家族が認められているかの違いしかない」と複雑な表情を見せ、「家族の有無による線引きがいかに非科学的で根拠がないか、今後も主張していきたい」と述べた。

2016/6/2 新潟水俣病の患者認定申請、7人の請求認める 


今回、東京高等裁判所の河野清孝裁判長は水俣病を引き起こす有機水銀が感覚障害の原因となったかどうかについて「ほかに原因があると疑わせるような事情がなければ、有機水銀が原因となった蓋然性が高い」という判断を示し、1審で訴えを退けられた2人も含め、9人全員を水俣病と認めるよう命じた。

高裁は、「医学的見地に照らし、水俣病の可能性が50%以上なら水俣病と認定する」とした公健法の前身の水俣病被害者救済法の趣旨を重視すべきと指摘した。

さらに、原告が訴える感覚障害について、市側は感覚障害の原因は水俣病以外にあると反論していたが、「市の指摘は抽象的」と退けた。「他の原因がうかがえなければ、メチル水銀が影響した可能性が高いとすべきだ」との判断を示した。

2人について、「証言などによると、週に3回は食べていたと認められる」とした。同居していた家族の中に認定患者ではないものの、特別措置法で救済の対象になった人がいたことや、親戚が持ってきた魚を食べ、その親戚の親族に認定患者が複数いることなどを踏まえて有機水銀を摂取した可能性を否定できないとして、水俣病と認めた。

Saudi AramcoとSABICは11月26日、サウジ国内での原油から化学品までの統合コンプレックス(COTC Complex : Crude Oil To Chemicals complex ) 設立のMOUを締結したと発表した。

本件は2016年5月にSaudi Aramco のCEOが近くMOUを締結するとしていたもので、2016年6月にHeads of Agreement を締結し、FSを行ってきた。

今後、基本設計(Front End Engineering Design)を行い、その後で最終決定を行う。

日量40万バレルの原油を処理し、年産約 900万トンの化学品やベースオイルを生産するもので、2025年の生産開始を見込んでいる。

Yousef Al-Benyanとのインタビューを報じたが、本件について次の通り述べている。

SABICと Aramco は既に原油から化学製品を生産する投資額200億ドル以上のJV構想を明らかにしている。

原油やガソリン・ディーゼルの価格が石油化学品の価格よりも下がっているため、原油をガソリンにするより、原油から石油化学品を生産しようとするもので、Arabian Light やExtra Light 原油を原料とする。

日量40万バレルの原油蒸留設備や水素化などの原油処理設備とクラッカー、PE、PP、ブタジエンなどの設備を建設する。

この計画はCOTCと呼ばれる。(Crude Oil-to-Chemicals の意味)

立地としては、当初はYanbu かJubail か、Aramco/Dow JVのあるSadara かとしていたが、今回、この計画の立地が紅海沿岸のYanbuに決まった。
「これは戦略的な立地だ。アフリカや欧州へのポジションを強化できる。Jubail もまだ成長のオプションを持つが、設備を一か所に集中しない方がよい」と述べた。

2017/11/3

 

サウジ政府は2016年4月25日、ムハンマド皇太子が作成した 2030年までの経済改革計画「ビジョン2030」を国王主宰の閣議で承認した。石油依存型経済から脱却し、投資を増やし、経済を多角化し、サウジ人の雇用を増やそうというもの。本件は以下の点でそれに沿ったものとしている。
・石油化学製品の製造と統合し、原油生産からの価値を最大化する。
・半製品、最終製品に産業転換し、経済の多角化を行う。
・先端技術、イノベーションの開発。
・National Transformation Program に合わせ持続可能な発展を可能にする。

塩野義製薬は11月11日、塩野義とGlaxoSmithKline、Pfizer のJVのViiV Healthcareの2剤配合錠(Juluca®)について、FDAが抗HIV治療における維持療法として承認したと発表した。

同剤については2017年2月に、医療現場のニーズが高い場合に適合される「優先審査」の対象となるとの通知をFDAから受けている。通常より審査期間が4カ月前後短くなる。

Juluca®はViiV社のHIVインテグラーゼ阻害薬 Dolutegravir 50mgとJanssen Therapeutics社の非核酸系逆転写酵素阻害薬 Rilpivirine 25mgの合剤。

HIV治療薬には、
・核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸型逆転写酵素阻害剤(いずれもウイルスのRNAをDNAに変える逆転写酵素を阻害)、
・プロテアーゼ阻害剤(ウイルスのタンパク質を作る過程を阻害)、
・インテグラーゼ阻害剤
(インテグラーゼの動きを止め、ウイルスDNAがヒトDNAに侵入することを防止)、
・CCR5阻害剤(HIVとCCR5受容体との結合を邪魔する)
などがあり、それぞれ作用が異なる。

   http://www.hiv-resistance.jp/knowledge01.htm ほかを編集


既存のインテグレース阻害薬は、ウイルスの耐性化や1日2回投与またはブースター(薬剤を代謝する酵素を阻害する薬剤)が必要という服用の煩雑さ等があるが、Dolutegravir は、1日1回投与でブースターが不要、優れた耐性プロファイルを示すなど、次世代のインテグレース阻害薬とされる。

非核酸系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、およびインテグラーゼ阻害剤を含む3剤以上を用いる多剤併用療法は、強いウイルス増殖抑制効果を示す。

ViiV とJanssen Sciences Ireland UC(Johnson & Johnson 子会社の Janssen Pharmaceutical Companiesの一つ)は2014年6月に2剤の合剤での開発で協力することで合意した。

塩野義は2001年9月に、GlaxoSmithKline plc.(GSK)との間で、両社の所有する複数の疾患領域における開発化合物を開発・販売することを目的とした合弁会社Shionogi-GSK Healthcare を設立した。

2002年8月に、両社はこのJVでHIV インテグレース阻害薬(Dolutegravir)に関する共同研究を開始した。

2009年10月に、GSKとPfizerは両社のHIV 治療薬を供出し、英国にViiV Healthcareを設立した。(GSK:85%、Pfizer:15%)
GSKはShionogi-GSKHealthcareの持分をViiVに譲渡し、名称をShionogi-ViiV Healthcareと改称した。

塩野義製薬は2012年10月29日、HIV治療薬JVの枠組み変更を発表した。
塩野義のShionogi-ViiV Healthcareの50%持分をViiV Healthcareに譲渡し、見返りにViiV Healthcareの10%の権利を取得する。

2012/11/2 塩野義製薬、HIV治療薬JVの枠組み変更

なお、ViiV Healthcareは2015年12月18日、米国のBristol-Myers Squibbから、開発中のHIV治療薬(最終開発段階のものと、臨床試験前の研究段階の一連のもの)を最大15億ドルで買収する契約を締結している。

2015/12/23 GlaxoSmithKline子会社ViiV Healthcare 、Bristol-Myers Squibbの開発中のHIV治療薬を取得

今回FDAの承認を得た2剤配合錠(Juluca®)は Shionogi-GSK Healthcare で開発したインテグレース阻害薬を使うもの。

非核酸系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、およびインテグラーゼ阻害剤を含む3剤以上を用いる多剤併用療法は、強いウイルス増殖抑制効果を示す。
これまでは、3剤以上の治療薬の服用で、エイズの発症を軽減し、長期の服用によりHIV非感染者に近い余命を期待できるようになっていた。

今回の承認は世界初の2剤のみによる抗HIV療法で、医療従事者と患者に、長期間にわたる治療薬の総曝露を軽減できる新たな治療選択肢を提供する。


楽天の三木谷浩史会長兼社長は、新しいがん治療法として注目される「光免疫療法 : Photoimmunotherapy」の商業化を進めている米ベンチャー企業、Aspyrian Therapeutics, Inc.に2割超出資して持ち分法適用会社とすることを明らかにした。11月28日付の日経が報じた。


現在の癌治療では「手術」「放射線療法」「化学療法」の3つの方法が主流になっているが、これらの治療にはいずれも副作用が付いてくる。 「放射線療法」「化学療法」は癌細胞を殺すが、正常細胞も殺す。 副作用を最小限にするため、「分子標的薬」が開発されてきたが、その数はまだ少ない。

米国立衛生研究所(NIH)の小林久隆・主任研究員らの研究チームは2011年11月6日のNature Medicine で初めて「光免疫療法」を報告した。

この報告は注目を集め、オバマ大統領が2012年の一般教書演説で「米政府の研究費によって、癌細胞だけを殺す新しい治療法が実現しそうだ」と紹介し、2014年にNIH長官賞を受賞した。

小林主任研究員は2011年設立のバイオベンチャー企業のAspyrian Therapeutics, Inc. と組み、2015年4月30日にFDAの計画承認を受け、治験を開始した。

研究チームは 2016年8月17日付けの米医学誌 Science Translational Medicineで、光免疫療法(PIT)により、癌細胞を免疫の攻撃から守っている仕組みを壊し、癌を治す動物実験に成功したと発表した。

概要は次のとおり。

1) 癌にくっついて熱で殺す

癌が生体で増殖し続けるのは、癌の周りに「制御性T細胞」が集まり、異物を攻撃する免疫細胞の活動にブレーキをかけて守っているためである。

制御性T細胞に結びつく性質を持つ「抗体」に、波長700nmの近赤外線を受けると光エネルギーを吸収し、化学変化を起こして発熱する「IR700」と呼ばれる色素をつけ、肺癌、大腸癌、甲状腺癌をそれぞれ発症させたマウスに注射した。

体外から近赤外光を当てた結果、約1日で全てのマウスで癌が消えた。
光を当てた約10分後には制御性T細胞が熱で大幅に減り、免疫細胞「リンパ球」のブレーキが外れて、癌への攻撃が始まったためとみられる。

このための光は、光化学反応を効率よく起こせるだけの波長の短い光で、なおかつDNAに損傷を起こさないために可視光よりも長い波長の光である必要と、体内の光吸収物質に吸収されずに体の深部にまで到達する光である必要があり、その条件に合致するのが700nm あたりの近赤外領域の光である。

2) 光を当てない癌も消える

さらに、1匹のマウスに同じ種類の癌を同時に4カ所で発症させ、そのうち1カ所に光を当てたところ、全ての 癌が消えた。
光を当てた場所で癌への攻撃力を得たリンパ球が血液に乗って全身を巡り、癌を壊したと考えられる。

この治療で壊れなかった局所のがん細胞や近赤外光の到達できなかった場所のがん細胞、ひいては遠隔臓器に転移したがん細胞にも効果を起こせる可能性があり、「転移があっても効果的に治療できる方法になると期待できる」と話す。

3) 癌だけを殺せる!

この薬は癌細胞にくっつかない限り、体に害を与えない。
癌細胞にくっついて初めて、近赤外線を当てるとそのくっついた癌細胞を殺す。

2016/8/22 光免疫療法による癌治療 

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今回、楽天が2割超出資するが、実は楽天の三木谷 浩史・会長兼社長が個人としてAspyrian Therapeuticsに出資し、筆頭株主として資金面で支援するとともに、同社の代表取締役会長として経営にも携わっている。

同社のホームページでの小林久隆・主任研究員との対談のなかで、以下の通り述べている。

父がすい臓がんを患いました。ーーー どうすれば父のがんを治せるか、あらゆる可能性を探しました。

小林先生に「近赤外線光免疫療法」の原理を聞いた瞬間、「楽天市場」を始めた時と同じように、「これはいける」と思いました。賭けてみる価値のある革新的な治療法であると、確信したのです。父は2013年に亡くなり、治療には間に合いませんでしたが、研究段階のこの治療法が実用化されれば、「父のかたきをとれる」「がんで苦しむ世界中の多くの患者さんを救うことができる」と。

小林先生から、臨床で実用化するための資金集めに苦労しているという話を聞き、資金面でのサポートをすることを決めました。

まず私自身がアスピリアンの経営に深く参画しており、サンディエゴにあるアスピリアンの本社に足繁く通っています。アスピリアンの経営を通じて、近赤外線光免疫療法の実用化を主導していきます。事業化に向けては、楽天も支援していくことになると思います。

小林主任研究員も、「三木谷さんの支援がなかったら、近赤外線光免疫療法の臨床への応用は全く進んでいなかったかもしれません。事業化に向けて楽天とのパートナーシップは、極めて重要と思っています」と述べている。

https://rakuten.today/mickeyvoice-ja/aspyrian-cancer-treatment-j.html?lang=ja



日本ペイントは11月22日、同業の米Axalta Coating Systemsに買収を提案したことを明らかにした。

付記 全株式買取で、提示した価格は1株37ドルとされる。総額92.5億ドル(1兆円超)となる。
   日本ペイントの2017年9月末の現預金・有価証券は1340億円で、多額の借り入れが必要となる。

Axalta も同日、日本ペイントと交渉していることを明らかにした。しかし双方とも合意できるかどうか不明としている。

付記  日本ペイントは12月1日、買収交渉を打ち切ったと発表した。買収金額などの条件面で折り合わなかった。

Axaltaは、自動車用塗料や同補修用塗料を主に手がけ、2016年の売上高は41億ドル。

Axalta Coating Systemsは150周年を迎えた。自動車OEM、商用車両、補修用アプリケーションから、電気モーター、ビル、パイプラインまで扱う。

日本ペイントは売上高の6 割を中国などアジアに依存しており、Axalta と組んで北米での展開を急ぐ。

しかし、Axalta の時価総額は 9600億円に及んでおり、日本ペイントが何割を取得しようとしているのか、多額の買収資金をどうするのかなど、不明な点が多い。


ペイント業界の状況は以下の通り(日経による)で、日本ペイントは売上高で世界5位、Axaltaは同7位で、買収が成功すれば4位になる。

世界の塗料業界では規模拡大でコスト競争力を強めようと、大型のM&Aが続いている。


首位のAkzo Nobel は、2008年1月にICIを買収している。

1994年2月に Nobel Industries AB とAKZO N.V. が合併し Akzo Nobel N.V. となった。

世界有数の総合化学会社であったICIは、1997年に、事業を化学品のなかでも付加価値が高く、投下資本が少なく、景気変動の影響が少なく、研究開発により重点を置いた事業に急速に転換することを決めた。

既存事業を順次分離・売却していき、スペシャリティ化学品を中心とした「新生ICI」に生まれ変わった。塗料のほかは、Unileverから購入したNational Starch、Quest、Uniqemaが中心である。

2006年にはQuest、Uniqema を売却し、売却代金を退職年金不足額の充当と負債の返済に充てた。

そして、塗料事業はAkzoに買収され、National Starch はHenkel とCorn Products International に売却された。

2007/8/13 Akzo が ICI を買収

Akzo Nobel は2016年12月、BASFの工業用塗料事業を買収した。

BASFの工業用塗料事業は、コイル、パネルコーティング、壁紙用塗料や風力向け等の工業用塗料を欧州・中東・アフリカ地域で行っていた。
2015年のBASFコーティングス事業部の世界売上高は32億ユーロで、Akzoに売却した工業用塗料事業の売上は、全体の1割にあたる約3億ユーロであった。

なお、BASFのコーティングス事業部は、引き続き既存の自動車用OEM塗料、自動車補修用塗料、ブラジルでのSuvinil® ブランドによる装飾用塗料の事業を展開していくとしている。


Axalta 自身、塗料世界首位のAkzoNobel と経営統合に向けた交渉をしていたが、11月21日 交渉を打ち切った。11月22日に日本ペイントとの交渉を発表。

10月30日に、Axalta はAkzoNobel との間で対等合併の交渉を行っている発表した。

11月21日、同社の基準に沿った条件での交渉が出来ないと判断し、交渉を打ち切ったと発表した。代替案の追及を続けるとしていた。


世界3位であった米 Sherwin-Williamsは2017年6月に米の同業の
The Valspar Corporation を買収し、2位に浮上した。

2016年3月、113億ドルでの買収契約を締結した。相互に補完的であるとしている。

米国FTCとカナダのCompetition Bureau の審査の結果、Valsparの北米の Industrial Wood Coatings事業をAxalta Coatings Systems に売却した。

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日本ペイントと、シンガポール国籍のGoh Cheng Liangが設立した Wuthelamグループは、1962年にJVのNippon Paint Southeast Asia グループ(NIPSEAグループ)をつくり、その後、アジア各国で自動車や建築用塗料などを中心に、日本ペイントが技術、Wuthelam がマーケティングを担当して合弁事業を展開してきた。

日本ペイントは2014年2月、Wuthelam Groupを引受先とする約1000億円の第三者割当増資を実施すると発表した。
Wuthelam は日本ペイントの筆頭株主で14.5%を出資するが、増資により出資比率は30.3%に高まる。
更に、Wuthelam は、第三者割当後の2年間に限り、市場での購入で出資比率を39.0%まで増やすとした。(2016年末時点で38.99%を所有している。)

Wuthelam Groupは2013年1月21日、日本ペイントへの出資比率を約45%まで高めて傘下に収めるため、720億円を投じて8千万株を取得する提案を日本ペイントの取締役会に提出した。

しかし、日本ペイントとの協議の結果、Wuthelamは3月12日付で日本ペイントへのTOB提案を取り下げた。
両社は、Wuthelamの日本ペイントに対する持株比率の引き上げと、両社のJVの日本ペイントによるマジョリティ化について協議してきた。

Wuthelam Groupが日本ペイントに38.99%出資する見返りに、日本ペイントは両社のJVの出資比率を引き上げた。

2014/2/6 日本ペイント、Wuthelam Groupとの戦略的提携の基本合意 

日本ペイントとWuthelam Groupのアジアの連携の全貌は以下の通り。

 
既に 51%保有  
 
2014年 51%に
 
      日本ペイント  
本部 シンガポール Nipsea Management 50% アジア地域統括
Nipsea Technologies 50%→51% 研究開発
一般

 

 

シンガポール Nippon Paint (Singapore) 40%→51%  
スリランカ   (60%) Nippon Paint Lanka   Silicon Coatings 40%
マレーシア Paint Marketing Co. (M) 25%→51%  
Nippon Paint (Malaysia) 25%→51%  
バングラデシュ   (90%) Nippon Paint (Bangladesh)   現地10%
タイ Nippon Paint (Thailand) 40%→51%  
Nippon Paint
Decorative Coatings (Thailand)
51% 上記から分離
韓国 Nipsea Chemical 40%→51%  
台湾 Asia Industries 34.8%→51%  
香港 Nippon Paint (H.K.) 40%→51% 中国統括&塗料販売
中国   (100%) Nippon Paint China Holdings (40%→51%)  
  (100%)Langfang Nippon Paint  
(100%) Nippon Paint (Tianjin) 廊坊立邦立東塗料&
天津立邦聖連達粉末塗料を統合
Nippon Paint (China) 40%→51%  
Guangzhou Nippon Paint 40%→51%  
Nippon Paint (Chengdu) 40%→51%  
Guang Li Chemicals (Shanghai) 38.65%  
Nipsea Chemical (Shanghai) 51%  
フィリピン Nippon Paint Philippine 51%  
インド Nippon Paint (India) 50%  
パキスタン Nippon Paint (Pakistan)    
船舶 日本 日本ペイントマリン 60% Nipsea Pte.,Ltd 40%
シンガポール   Nippon Paint Marine (Singapore)    
マレーシア Nippon Paint Marine (Malaysia)
韓国 Nippon Paint Marine (Korea)
台湾 Nippon Paint Marine (Taiwan)
中国 Nippon Paint Marine (China)
Nippon Paint Marine (Zhangjiagang)
Nippon Paint Marine (H.K.)

香港のSP Chemicals Holdingsの子会社SP Chemicals (Taixing) は 江蘇省泰興市で 中国初のエタンクラッカー計画を進めているが、11月17日付化学工業日報はその現状を報じている。

それによると、当初能力はエチレン年産65万トンの計画であったが、実際は 2割増しの78万トンで、2019年第1四半期の稼働を予定している。
エチレンは半量を自社で引き取り、残りは周辺企業へ供給する。

ーーー

SP Chemicals (Taixing) は2016年3月、Technip SAとの間でエタン原料のエチレンプラント建設の技術ライセンス、設計の契約を締結した。

江蘇省泰興市に年産65万トン(当初計画)のエチレンプラントを建設するもので、北米の安価なエタンとプロパン(合計年110万トン)を輸入し、原料とする。
Technipは同社のエチレン技術、プロセスデザインのパッケージ、技術サービス、機器を供給する。

Technip はSP Chemicals に対し、Badger法のエチルベンゼン/スチレンモノマー技術を提供して以来、親密な関係にある。


SP Chemicals (Taixing)は中国で4番目に大きいクロルアルカリメーカーで、イオン交換膜法では最大のメーカー。

SP Chemicalの概要は次の通り。


1990/11 シンガポールで Panasia Investment (汎亞控股設立
  1995/12 Asiawide Chemicals (汎亞化学と改称
  2003/2 Singpu Chemicals と改称
  2005/4 SP Chemicalsと改称

1995/12 中国に100%子会社 Singpu Chemicals Industries (Taixing) を設立
        中国名 新浦化学(
泰興)
  2005/4 SP Chemicals (Taixing) と改称
     中国名 新浦化学(
泰興)

現在の生産品目と能力は次の通り。(単位:千トン)

苛性ソーダ 750 当初 150千トン
塩素 660 当初 132千トン
アニリン 135 当初 45千トン
VCM 500

Solvay技術 当初能力200千トン 2007年完成

スチレンモノマー 300 2013年生産開始


120MW のコジェネプラントを持つ。 (2005年に60MW、その後倍増)


同社の変遷については下記を参照。

2007/10/16 中国のSP Chemicals、スチレンモノマーに進出


同社は2007年4月にベトナムのPhu Yun 省との間で、同省のHao Tam-Vung Roに石化コンプレックスを建設する覚書を締結した。

12億ドルを投じて、クロルアルカリ、アニリン等の工場を建設する計画で、詳細はFSの結果次第としていたが、その後の報道はない。

EUは11月22日、東海理化、タカタ、丸高、豊田合成、およびスウェーデンのAutoliv の5社に対し、日本の自動車メーカー向けのシートベルト、エアバッグ、ハンドルでのカルテルに参加したとして合計34百万ユーロの制裁金を課したと発表した。

5社はカルテル参加を認め、示談に同意した。

摘発されたカルテルは、トヨタ向けシートベルト、トヨタ向けエアバッグ、スズキ向けシートベルト、ホンダ向けのシートベルト・エアバッグ・ハンドルのカルテル。

5社は欧州経済領域(EEA:EU +EFTA加盟のアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー)にプラントを持つ自動車各社への部品供給でカルテルを結んだ。シートベルト、エアバッグ、ハンドルの供給について価格や市場について談合し、重要な情報を交換した。談合はEEA外の主として日本で行われた。

最初のカルテルは東海理化がカルテルの存在を伝え、15百万ユーロを免除された。
残り3つのカルテルでは、タカタがカルテルの存在を伝え、合計74百万ユーロを免除された。

他社も協力の程度により減額されたほか、全社が制裁に同意し、同意決定手続 (settlement procedure)」による制裁金10%の減額を受けた。

同意決定手続2008630日に制定され、同年71日から運用された。
裁判所への控訴による長期の争いを避け、他の事件の摘発に要員を向けることが目的。

各社の制裁金の内訳は次の通り。

   数字は順に、Leniencyによる減額率、同意決定手続きによる減額率、制裁金(千ユーロ)

トヨタ向け
シートベルト
トヨタ向け
エアバッグ
スズキ向け
シートベルト
ホンダ向け
合計
東海理化 100% 10% 0 46% 10% 1,818 1,818
タカタ 50% 10% 12,724 100% 10% 0 100% 10% 0 100% 10% 0 12,724
Autolive 30% 10% 265 50% 10% 4,957 50% 10% 2,829 8,051
丸高 0% 10% 156 156
豊田合成 28% 10% 11,262 11,262
合計 13,145 16,219 1,818 2,829 34,011

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自動車部品カルテルは各地で摘発されている。

EUは既に、下記の摘発を行っている。

2016/2/1 EU、自動車部品カルテルで日本メーカーに制裁金

2017/3/11 EU、自動車用エアコンカルテルで制裁金

東芝、増資を決定

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東芝は11月19日開催の取締役会において、第三者割当による新株式の発行を決議した。

新株式の発行総額は約 6000億円(新株式1株あたりの発行価格262.8円) で払込みは12月5日に完了する予定。

経営再建の途上にある東芝が、公募増資を実施するのは事実上 困難なため、第三者増資を行う。旧村上ファンド出身者が設立したシンガポールのEffissimo Capital Management や米King Street Capital Managementなど、Goldman Sachs が集めた海外約60社の投資家に割り当てる。

主な投資家は次の通りで、「物言う株主」も多い。Effissimo は昨年の川崎汽船の総会で社長再任議案に反対したとみられる。

増資全体の比率 東芝持株比率
Effissimo Capital Management 14.0% 9.89%→11.34%
Segantii Capital Management 13.1%
Harvard Investment 7.4%
Elliot Management 5.6%
King Street Capital 4.2%
Cerberus Capital Management 2.3%
Third Point Management 2.3%
Oasis Management 1.7%

調達した資金は、Westinghouseの米国原子力発電所建設プロジェクトに関する親会社保証の一括弁済に充てる。

現在は保証損失を有税で引当てしているが、一括弁済によりこれを損金算入することにより、税金を 3400億円圧縮する。

これにより債務超過額の大部分を占める税負担が減るため、6000億円の新規調達で資産が債務を上回る見通しで、2期連続の債務超過による上場廃止を回避することが確実となる。


東芝は9月20日の取締役会で、東芝メモリの売却先について、Bain Capital が率いる「日米韓連合」にすることを決議した。

売却額は2兆円、税引前利益で1兆800億円を見込む。メモリ事業承継に係る課税影響を加味しても約7400億円の増益が見込めるため、2017年度末には債務超過状態を解消できるとみている。

2017/9/22 東芝、東芝メモリの「日米韓連合」への売却発表

しかし、各国の独禁法当局の承認が2018年3月末までに取得できなければ、売却益を計上できず、2期連続の債務超過となり、上場廃止となる。

今回の増資が完了すれば、東芝メモリ売却が完了しなくても、債務超過を免れる。

この場合も、東芝メモリの売却は実行する。

取引銀行はこれまで融資の条件として東芝メモリの売却を提示している。
東芝メモリは今後も毎年 多額の投資が必要で、東芝として対応が難しい。

ーーー

東芝は8月10日、PwC あらた監査法人から2017年3月期の有価証券報告書について監査法人から「限定付き適正」の監査意見を受領し、有価証券報告書を関東財務局に提出した。

確定した2017年3月期及び2017/4-6月期決算と、現時点での2018年3月期決算予想の概要は次の通り。(億円)

  16/3 17/3 増減 6/23発表
見通し
増減 17/1Q 18/3
売上高 51,548 48,708 -2,840 48,708 0 11,436 49,700
営業損益 -4,830 2,708 7,538 2,708 0 967 4,300
(うち東芝メモリ) (1,100) (1,866) (766) (903) (3,712)
(東芝メモリ以外) (-5,930) (842) (6,772) (64) (588)
非継続事業純損益 -1,298 -12,801 -14,099 -13,065 264
純損益 -4,600 -9,657 -5,057 -9,952 295 503 2,300
株主資本 3,289 -5,529 -8,818 -5,816 287 -5,043 -4,100

2017/8/14 東芝、有価証券報告書を提出、決算発表


東芝は9月20日の取締役会で、東芝メモリの売却先について、Bain Capital が率いる「日米韓連合」にすることを決議した。

売却額は2兆円、税引前利益で1兆800億円を見込む。メモリ事業承継に係る課税影響を加味しても約7400億円の増益が見込めるため、2017年度末には債務超過状態を解消できるとみている。
上の表の株主資本は -4100億円 + 7400億円=+3300億円となる。

2017/9/22 東芝、東芝メモリの「日米韓連合」への売却発表 

同社は10月23日、業績予想を修正した。営業損益等は上図と同じである。

東芝メモリの売却では、売却額が2兆円、税引前利益が1兆800億円、税金が3400億円、差引税引き後損益が+7400億円であるが、今回の業績予想では、税金3400億円 のみを追加計上した。売却利益 1兆800億円については、各国の承認が得られていない状況であるため、保守的会計原則により、計上しなかった。

この結果、この時点での債務超過は7500億円に拡大する。来年3月末までに承認が得られれば、株主資本は3300億円になり、債務超過を免れるが、ダメな場合は2年連続債務超過となり、上場廃止となる。

今回、6000億円の増資と、増資資金による親会社保証の一括弁済で税金が2400億円減ると、資本勘定は8400億円増加し、差引 プラス 900億円となり、東芝メモリの売却益なしでも、債務超過を免れる。

不足する場合は、東芝が保有債権の一部を売却するなどして賄う方針。ただ、さらなる財務基盤の健全化のため、増資額を上積みする可能性もある。

  18/3

2017/10/23

今回
売却の税額影響 (株式売却) 売却なし
増資のみ
売上高 49,700
営業損益 4,300
(うち東芝メモリ) (3,712)
(東芝メモリ以外) (588)
株式売却(税引前) (10,800)
売却関連税金 -3,400
引当損失の損金算入 2,400
非継続事業純損益
純損益 2,300 -3,400 (+10,800)
増資 6,000
株主資本 -4,100 -7,500 (3,300) 900

この後、東芝メモリの売却が完了すれば、株主資本は1兆800億円増える。

 

メルケル独首相の与党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が自由民主党(FDP)や緑の党と進めていた連立協議が11月19日、決裂した。
メルケル氏の首相4選に暗雲が漂い始めた。

9月24日の連邦議会(下院)選挙で、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は709議席のうち246議席しか確保できなかった。大量の難民受け入れへの世論の反発があるとされる。

メルケル氏はキリスト教民主同盟 (CDU) の党首。バイエルン州のみを地盤とするキリスト教社会同盟 (CSU) と連携している。

第一次と第三次政権で連立を組んだドイツ社会民主党(SPD)も大敗し(153議席)、連立離脱を宣言している。

このため、メルケル首相は、緑の党(67議席)、第二次政権で連立を組んだ自由民主党(FDP)(80議席)との3党連立を協議してきた。
3党連立で393議席となり、過半数(355)を上回る。

しかし、環境保護を党是とする緑の党はシリア難民の家族の受入、石炭火力発電の廃止を主張、経済界寄りの自由民主党(FDP) はこれに反発し、連立協議からの離脱を表明した。

先に連立離脱を表明しているドイツ社会民主党(SPD)(153議席)は、改めて連立を否定した。

キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と緑の党だけでは、313議席で過半数(355)を下回り、少数与党となる。

しかしメルケル首相は11月20日、少数与党政権について懐疑的だと語り、再選挙を示唆した。しかし、再選挙で更に議席を失う可能性もある。

ドイツ下院選挙の結果は次の通り。

第一次
2005/11
第二次
2009/10
第三次
2013/12
今回選挙
キリスト教民主同盟 (CDU) キリスト教
民主・社会同盟
(CDU/CSU)
連立 連立 連立 246 連立協議 少数与党?
キリスト教社会同盟 (CSU)
ドイツ社会民主党(SPD) 連立 連立 153 離脱表明
緑の党 67 連立協議 少数与党?
自由民主党(FDP) 連立 議席 0 80 連立協議→離脱
ドイツのための選択肢(AID) 議席 0 92
左派党 69
無所属 2
合計 709


ドイツのための選択肢(AID)は、2013年のギリシャ経済危機を契機に反EUを掲げて結党され、ドイツのEU離脱を最大の目標として掲げている。移民問題についても強く反対しており、極右政党ともされる。
議席ゼロから92議席を獲得、注目されている。

米通商代表部(USTR)は11月17日、NAFTA再交渉での目標を見直したと発表した。

発表は次の通り。
  https://ustr.gov/sites/default/files/files/Press/Releases/Nov Objectives Update.pdf


USTRは7月17日に、再交渉に向け、貿易赤字の削減など22項目の協議目標を公表した。

米国の製品、農産品、サービスのカナダとメキシコへの市場アクセスを改善することにより、米国の貿易赤字を減らし、全ての米国民にとってフェアな、はるかに良い協定を目指すとし、次のように述べている。

USTRは初めて、NAFTA交渉の目的として貿易赤字縮小を含めた。

NAFTAは1994年に発効したが、それ以来、メキシコとの間の貿易収支は13億ドルの黒字から、2016年には640億ドルの赤字になった。

カナダとの間では、乳製品、ワイン、穀物、その他製品に関して市場アクセスの問題が生じている。貿易障壁の問題は現在の協定には含まれていない。

Digital Trade (ソフトウエア、音楽、ビデオ、e-bookなど)が新しく加わる。

現在、付帯条項となっている労働・環境義務も取り入れ、強化する。

またアンフェアな補助金、国営企業による市場を歪める慣行、知的所有権に対する重い制限などを取り除く。


2017/7/19 米通商代表部、NAFTA再交渉の協議目標を公表


これまでに4回の会合を終えた。

3カ国は8月20日、再交渉の第1回会合を終えた。年内の決着を目指し、政府間の協議を加速することで合意した。
3カ国は再交渉で野心的な成果を上げることで一致し、NAFTAのルールを改正する重要性を再確認した。初会合では20以上の交渉分野について協議した。

9月5日、第2回会合を終えた。

メキシコの経済相によると、25項目のうち電子商取引、中小企業対策など7項目について協議が進展しており、次回会合でまとまる可能性もある。一方、原産地規則に関しては米国側から具体的な提案はなかったとしている。

第3回会合は9月23~27日にカナダのオタワで開いた。

第4回会合は10月17日 閉幕した。3カ国は2017年内の妥結を断念し、2018年1~3月に先送りすることで一致した。

米国は自動車の関税をゼロにする条件として、現在の域内部材の62.5%以上使用を85%以上とするとともに、米国製部材を50%以上使うよう求めたほか、5年ごとに協定を見直す条項の導入などを提案したが、カナダ、メキシコが反発した。

なお、第5回会合は11月17日、開幕した。担当閣僚は参加せず、首席交渉官を中心に交渉する。

付記

第5回会合は11月21日に終了したが、重要項目では新たな対案や妥協はほとんどなく議論は平行線が続いた。

米国は、これまでの4回の会合で米国が出した要求を踏まえて再交渉での目標を見直し、今回発表した。

USTRのLighthizer 代表は声明で「これらの目標を達成できれば、NAFTAを近代化し、再びバランスが取れた協定にし、労働者、農家、牧畜業者、企業の利益に資するものとなる」と述べ、要求が通らない場合は脱退する可能性を示唆した。

主な目標は次の通り。

カナダが乳製品や鶏肉加工品、卵製品にかけている関税を撤廃するよう求め、米国からの輸出増をめざす。

補助金の支給や価格操作など、米国の輸出を阻むような不公正な政策もやめるよう求める。

企業の投資については、受け入れ国が技術を渡すよう強制したり技術の現地化を求めたりするのを禁じる。

知的財産では、特許や著作権で米国の基準並みに厳しく保護するよう要求する。

関税をかけない条件として域内での部材の調達比率を定めた「原産地規則」では、特に米国の生産品を使う規則をつくる。  
Update and strengthen the rules of origin, as necessary, to ensure that the benefits of NAFTA go to products genuinely made in the United States and North America.
Ensure that the rules of origin incentivize production in North America as well as specifically in the United States.

11月20日付の日経新聞のコマツの安崎元社長の広告が話題になっている。

付記  2018年5月26日逝去

日本原子力発電(原電)が、廃炉のために準備しておくべき資金を流用し、残高が大幅に不足している。11月17日付 朝日新聞が報じた。

原電では現有の3基が全て停止中。

敦賀第一は2015年に廃炉を決定した。

敦賀第二は2013年5月に直下の断層が活断層と断定された。その場合、再稼働は認められない。
原電側は活断層ではないと主張し、現在も審議中。

東海第二は再稼働審査が停滞しているが、2018年11月に40年となる。
原電は60年への延長申請を11月24日に規制委員会に申請する。
30キロ圏内に約100万人が住むが、避難計画は難航している。申請が認められるかどうか、不明。

(これまで延長申請は、関西電力の高浜①、②と美浜③の3基のみで、いずれも加圧水型。福島と同じ沸騰水型では初めて)
仮に認められた場合、安全対策費が1700億円超必要とされる。(付記 他にテロ対策で1000億円程度)

敦賀第三、第四については、安全審査が棚上げされ、敷地が造成した段階で止まっている。

発電所名 運転開始 型式 能力
(万KW)
再稼動申請 状況 廃炉費用 要積立額
日本原子力
 東海
1966/7/25 英国製黒鉛減速
ガス冷却炉
16.6 1998/3/31運転終了
2020年度に廃炉解体終了予定
490億円

合計
1800億円

現預金残
187億円

1978/11/28 BWR 110.0 2014/5/20 PWR優先で審査停滞
2018/11 に40年経過
 60年への延長申請準備中
 (安全対策費 1700億円超が必要)
530億円
日本原子力
 敦賀
1970/3/14 BWR(Mark-I) 35.7 2015/3/17 廃炉決定 340億円
1987/7/25 PWR 116.0 2014/11/5 2013/5/27 敦賀2号機直下の断層を活断層と断定 440億円
計画中 APWR 153.8   2010/3 敷地造成完了
福島事故で安全審査が棚上げ、工事中断のまま
計画中 APWR 153.8
会社側は2013年7月、データに基づき「D-1 破砕帯は活断層ではない」とする報告書を提出、現在、原子力規制委員会の評価会合で審議が進められている。

原発は廃炉費用の積み立てが義務付けられている。朝日新聞報道では、総額1800億円程度の引当金がある計算だが、福島第一原発事故の前に、敦賀第三、第四の建設費に流用することを決めたという。
事故後、全原発が停止し、資金繰りが苦しくなり、流用が続いた。

2017年3月末での現預金残は188億円に過ぎない。(他に、内容不明の「短期投資」が460億円)

廃炉費用の引当金は、他の引当金と同様、現金で残す必要はなく、どのように資金運用するかは企業の判断に任されている。

原電の場合も、その意味では流用は問題ではない。

しかし、金融機関は、原電の全原発が止まっている状況では、新たな融資はしない。

このため、規制委が東海第二の再稼働や運転延長を認めない場合、廃炉費用がなく、廃炉できないこととなる。
再稼働が認められても、原電は1700億円超の安全対策費を調達する必要があり、廃炉資金を調達できないこととなる。

東海第二の運転延長申請は、廃炉費用が確保できないためともされる。

原子力規制委員会の運転延長の審査会合で、審査官が安全対策費について、「しっかりとした債務保証の枠組みを確認させて頂く必要がある」と告げたとのこと。

経産省内部でも、解体引当金の流用を規制するようルールの見直しが必要との意見が出ているという。

ーーー

日本原子力発電は日本で最初の原発を建設・運営するために電力9社が中心で設立したもので、発電した電力は電力9社が引き取っている。

原発停止で電力の引取はないが、Take or Pay の形で固定費分の支払いを続けている。(各電力会社の分工場の位置づけ)

同社の決算は次の通り。(単位:億円)

2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度
売上高 1,524 1,258 1,328 1,149 1,099
経常収益 1,550 1,280 1,327 1,165 1,109
経常費用 1,540 1,193 1,277 1,101 1,060
経常利益 10 87 69 63 48
当期純利益 -5 16 -30 12 -64



国際石油開発帝石(INPEX) は11月14日、アブダビの上部ザクム油田の開発・生産を行っているINPEXとアブダビ国営石油(ADNOC)、ExxonMobil の3社が、油田の生産能力を日量100万バレルまで引き上げる計画に合意したと発表した。

2014年1月に同油田の権益期限が2041年12月31日まで延長されているが、今回の合意により、2051年12月31日まで更に10年延長された。

3社は2006年より、本油田上の人口島をベースとした革新的な開発方式と大偏距掘削技術(井戸を垂直に掘削した後、水平方向に遠くはなれたターゲットに向かって掘削)を用いて、本油田の生産能力を日量50万バレルから75万バレルに引き上げるための検討を行っている。

浅海に4つの人工島を建設し、沖合に実質的な陸上環境を構築することで、人工島に12基の掘削リグ、掘削・生産機材、オフィス・住宅施設を備えるもの。

100万バレルへの引き上げでは、人工島からの大偏距掘削技術を引き続き使用する。

ーーー

日本の原油輸入量(2015年で日量337万バレル)のうち、アブダビを主とするUAEに25%を依存し、サウジアラビア(33%)に次いで2番目に多い。
中でもアブダビ海上油田は日本が持つ油田権益の約4割を占める。

これらの油田の権益は次々と期限が到来する。


ーーー

アブダビ石油(コスモ 64.4%、JX石油開発 32.2%、関電、中電)の権益は2012年に45年間の期限を迎えたが、新利権協定が発効した。

アブダビ石油が同国において操業中の既存3油田(ムバラス油田、ウルアルアンバー油田およびニーワットアルギャラン油田)の利権が今後30年にわたり更新されるとともに、既存3油田と同程度の生産規模が見込まれる既発見未開発の新鉱区(ヘイル油田)について、新たに30年の権益が確保された。

2009/1/23 アブダビ石油の油田権益 20年延長へ


ーーー

石油公団の子会社であったジャパン石油開発(JODCO)はADMA鉱区に権益を持つが、Inpexは2004年5月にJODCOを100%子会社とした。

同鉱区の油田の概要は下記の通り。

契約地域(鉱区)

権益比率

INPEX ADNOC その他
ウムシャイフ油田 12% 60% BP    14.67%
TOTAL  13.33%
ナスル油田
ウムルル油田
下部ザクム油田
上部ザクム油田 12% 60% ExxonMobil 28%
ウムアダルク油田  12%
(→40%)
88%
サター油田 40% 60%

このうち、上部ザクム油田は、上記の通り 2041年12月31日まで延長されているが、今回の合意により、2051年12月31日まで更に10年延長された。

ウムアダルク油田とサター油田については、世耕経済産業相が2017年1月15日、アブダビ国営石油会社(ADNOC)のCEOと会談し、両油田(合計生産量:日量約3.5万バレル)の権益期限の延長(25年間)とウムアダルク油田の権益比率増(12%→40%) に基本合意した。

2017/1/18 アブダビ2油田の権益25年延長


問題は残る油田で、2018年3月に期限がくるが、生産コストが安く探鉱リスクもないことから、BPやTOTALが比率拡大を狙うほか、中国も新規参入を目指しており、今後、激しい国際競争が予想される。

ADNOCは8月7日、他数(more than a dozen )の相手と交渉中であると発表した。

ーーー

なお、国際石油開発帝石は2015年4月27日、アブダビ首長国の陸上のADCO鉱区の5%の参加権益を取得し2015年1月1日からの40年間を契約期間とする利権契約を同国政府及びアブダビ国営石油(ADNOC)と締結したと発表した。

ADCO鉱区は同国陸上に位置する11の生産油田と4つの未開発油田から構成されており、本鉱区全体で日量約160万バレルの原油が生産されている世界でも有数の巨大油田群。

1)SE Hub (South East Asset)

Asab 油田 
Sahil 油田 
   
Shah 油田    
Qusahwira 油田
Mender 油田  開発中、2017年生産開始予定

2)Bab Asset

3)Bu Hasa/Huwaila/BQ Assets

Bu Hasa 油田  
Huwaila 油田   
Bida Al-Qemzan (BQ) 油田 

4) North East Bab (NEB)

Dabbiya 油田
Rumaitha 油田
Shanayel 油田


2015/4/29 国際石油開発帝石、アブダビ首長国の陸上ADCO鉱区の権益取得  

アブダビの陸上油田は1939年以降、外国の石油会社に採掘権を与えられてきた。
1971年の独立を機に、Abu Dhabi National Oil Company
(ADNOC)が参加し、Abu Dhabi Company for Onshore Oil Operations (ADCO)を設立した。

当初 ADNOCの出資比率は15%であったが、1974年に60%となった。
他のメンバーは以下の通り。

BP、Shell、Exxon Mobil、Total  各9.5%、計38%
PortugalのPatex Oil and Gas 2% (
Mr. 5% と呼ばれた石油商人 Calouste Gulbenkian の権益を引き継ぐ)

これら各社の権益は2014年1月10日に期限切れで失効した。

新しく40%分の40年間の権益が外国企業に与えられることとなり、各社が応札した。

2015年1月1日付けでフランスのTotal が10%の権益を取得した。

上記の通り、2015年4月27日に国際石油開発帝石が5%を取得、その後、韓国のGS Energyも 3%を取得した。

BPは2016年12月17日、アブダビ政府とアブダビ国営石油(ADNOC) との間で、BPがADCOに10%の出資をすることと、ADCOが保有する陸上権益の10%を取得する契約に調印したと発表した。
見返りにアブダビ政府はBPに2% 出資する。

2016/12/28 BP、アブダビの権益取得、見返りにアブダビ政府がBPに出資

今後ADNOCは海外パートナーに割り当てられた40%の権益の残り12%分について、パートナーを探す。

英国とカナダの両政府は11月16日、ボンで開催中の第23回気候変動枠組み条約締約国会議(COP 23)で、CO2 排出量が多い石炭火力発電所からクリーンエネルギーへの移行を促す国家連合 "Powering Past Coal Alliance" を立ち上げたと発表した。


20カ国と米国の2州、カナダの5州・市の27国・組織が参加、CO2を回収・貯留する設備がない従来型の石炭発電の速やかな全廃を目指す。
1年後のCOP 24までに参加国・組織を50に伸ばす計画。

参加国は以下の各国:

(欧州)英国、フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、デンマーク、イタリア、オーストリア、スイス、ポルトガル、フィンランド、
(北中米)カナダ、メキシコ、コスタリカ、エルサルバドル、
(オセアニア)ニュージーランド、マーシャル諸島、フィージー、ニウエ(Niueはニュージーランドの北東の島国)
(アフリカ)アンゴラ

他の参加組織:

カナダの アルバータ、ブリティッシュコロンビア、オンタリオ、ケベック各州とVancouver 市
米国のオレゴン、ワシントン州

*欧州の主要国では、石炭火力が盛んなドイツは参加していない。

英国の気候変動・産業担当大臣のClaire Perry は、「発電方法のうちで石炭は最もダーティで最も環境汚染を引き起こすものである。石炭消費を減らすことが全ての国や州にとって重要で緊急の優先事項である。"Powering Past Coal Alliance" は石炭の時代が終わったことを世界に示す。英国は2025年までに石炭火力を完全に無くす。各国がこれに従うことを望む」と述べた。

また、再生可能エネルギーのコストが下がっており、石炭からの切り替えは Win-Lose ではなく、Win-Win の状態であるとしている。

Alliance は石炭火力を順次無くしていき、石炭火力建設の資金を制限し、低カーボンの代替電力やCCUS(カーボン回収・貯留・利用)技術を進める政策を奨励する。 

ーーー

これは、米国がクリーンな石炭技術が途上国にとって実行可能なエネルギー政策であるとするのと対照的である。

日本も、「日米戦略エネルギーパートナーシップ(JUSEP)」で、先進的な原子力技術の促進、高効率の石炭火力技術 (HELE) の展開などを掲げていることや、途上国の石炭火力発電所建設を支援していることで、批判されている。

世界各国の環境NGO でつくる「気候行動ネットワーク」(CAN:Climate Action Network)は11月9日、地球温暖化対策に後ろ向きな国に贈られる「化石賞 (Fossil of the Day Award)」を発表したが、日本は化石賞の常連で、本年も与えられた。

「気候行動ネットワーク」は11月16日、「パリ協定」から離脱宣言した米政府に、温暖化対策に極めて後ろ向きだとして「特大化石賞」(Colossal Fossil Award)を贈った。

米国はトランプ政権はパリ協定から離脱し、石炭火力を推進するが、米国の123の市・9つの州・902の企業と投資家・183大学などが、「We are still in」(われわれはパリ協定に残る)としている。

2017/11/14 日本の石炭火力支援への批判

今後、"Powering Past Coal Alliance" に加盟する国は増加すると見られており、石炭火力発電を国内で続けるだけでなく、開発途上国に石炭火力技術を提供する日本は、孤立し、世界から批判されることにもなりかねない。

既に、温暖化ガス削減を妨げる勢力ともみられ始めている。産業界には世界の潮流に取り残されれば国際競争上、不利になるとの懸念もある。 

ーーー

"Powering Past Coal Alliance" の宣言

In 2015, the world gathered in Paris and committed to take action to spur clean growth and avoid catastrophic climate change.

Coal-fired power plants produce almost 40 per cent of global electricity today, making carbon pollution from coal a leading contributor to climate change.
The health effects of air pollution from burning coal, including respiratory diseases and premature deaths, impose massive costs in both human and economic terms. Recent analysis has found that more than 800,000 people die each year around the world from the pollution generated by burning coal.

As a result, phasing out traditional coal power is one of the most important steps governments can take to tackle climate change and meet our commitment to keep global temperature increase well below 2°C, and to pursue efforts to limit it to 1.5°C.

To meet the Paris Agreement, analysis shows that coal phase-out is needed no later than by 2030 in the OECD and EU28, and no later than by 2050 in the rest of the world.

The cost of generating electricity from wind and solar have plummeted, with the result that clean power is the low-cost option in a growing number of jurisdictions worldwide. Global investments in new renewable power now significantly surpass those in new coal-fired electricity, and clean growth represents an opportunity worth trillions of dollars.

Countries moving to low-carbon, climate-resilient economies are already seeing environmental, economic and human health benefits. Our coalition wants to help accelerate that transition.

Powering Past Coal brings together a diverse range of governments, businesses and organisations that are united in taking action to accelerate clean growth and climate protection through the rapid phase-out of traditional coal power. We commit to achieve that phase-out in a sustainable and economically inclusive way, including appropriate support for workers and communities.

More specifically:
・Government partners commit to phasing out existing traditional coal power in their jurisdictions, and to a moratorium on any new traditional coal power stations without operational carbon capture and storage within their jurisdictions.

・Business and other non-government partners commit to powering their operations without coal.

・All partners commit to supporting clean power through their policies (whether public or corporate, as appropriate) and investments, and to restricting financing for traditional coal power without carbon capture and storage.

To support these goals, the partners in Powering Past Coal will work together to share real-world examples and best practices to support the phase-out of coal, including through climate financing, and to adopt practical initiatives to support this transition, including developing clean energy plans and targets.

We will also encourage our peers to join us in powering past coal to build a better world for our kids and grandkids.

As founding partners, we will work to grow the alliance to 50 partners by COP24, to continue the momentum towards a safer climate, healthier people, and a clean economy.


 

 

 


Bain Capital PartnersがDowのスチレン系事業を買収して設立したTrinseo(旧称 Styron )はこのたび、Latexを生産している中国の張家港工場でMAGNUM™ ABSの生産を開始した。11月21日に式典を行う。

能力については明らかにしていない。

中国で生産されているABSと比較し、高品質のMAGNUM™ ABSを中国で製造、販売する計画の検討は2015年に開始され、2016年10月に発表された。

MAGNUM™ ABSは連続塊状重合方法で生産され、製品の安定性が高く、品質も向上する。射出成型、押出成形などのコスト低減が可能としている。

ーーー

スチレン系の大手であったDowは2010年3月2日、Styron DivisionをBain Capital Partnersに16.3億ドルで売却する契約を締結したと発表した。ポリカーボネートや合成ゴムも含まれる。

Dowは2007年にChevron PhillipsとのSM/PSの50/50JV、Americas Styrenicsを設立、米国と南米のPS工場を拠出したが、この持分も売却対象に含まれる。

Bain Capital Partnersは買収した事業会社をとりあえずStyron とした。

住友ダウのDow Chemical 持ち分も2010年10月にStyronに売却され 、「住化スタイロンポリカーボネート」と改称した。
なおDowは、韓国のPCのJV LG Dow Polycarbonate についてはStyronへの売却ではなく、2010年10月にLG Chem に売却している。

2010/6/18 ダウ、スチレン系事業売却完了

StyronはSMやPS以外にも事業を展開するため、2011年末に社名をTrinseoと改称した。

TrinseoはIntrinsic (「固有の」、「本質的な」、「内在する」)から取った。
同社の製品や技術が、需要家の製品にintrinsic な役割を果たし、需要家の成功に不可欠なものになるという意味。

なお、PSの商標は従来通り Styron を使用する。

住友化学と Trinseo は2017年1月26日、両社のポリカーボネートの50/50合弁会社「住化スタイロンポリカーボネート」について、住友化学が Trinseoの持ち株を買い取る契約を締結した。
2017年1月31日に取引完了の予定で、社名を「住化ポリカーボネート」と改称する。

今回の住友化学への売却については、Trinseoが環境に優しいタイヤに経営資源を集めることとし、住友化学に持ち掛けたとされた。

しかし、一方で中国でのABS新設を検討していたこととなる。

2017/1/31 住友化学、ポリカーボネートJVを100%子会社化


現在のTrinseoの製造拠点は下記の通り。

PS
ABS
SAN
PC SM Latex 合成ゴム 機能樹脂
USA Midland, Michigan
Dalton, GA
Midland, MI
Brazil Guaruja
Limao
台湾 新竹
中国 張家港 ABS
香港
韓国 蔚山
インドネシア Merak
ベルギー Tessenderio
ドイツ Boehlen
Schkopau
Stade
Rheinmuenster
オランダ Temeuzen
フィンランド Hamina
イタリア Livomo
スウェーデン Norrkoping


合成ゴム:E-SBR、S-SBR、Lithium-Butadiene Rubber、Nickel-Butadiene Rubber

機能樹脂:自動車用プラスチック、消費財(Electrical、Lighting、Medeical Devices、Consumer Electronics)

TPP 11 と RCEP

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米国を除く環太平洋パートナーシップ協定(TPP)署名11カ国は11月11日、新協定(CPTPP 旧称 TPP 11)について大筋合意の詳細な内容を発表した。

東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉参加16カ国(ASEAN 10+日・中・韓・印・豪・NZ)は11月14日、フィリピンで首脳会合を開き年内合意の先送りを決めた。

TPP

米国を除く環太平洋パートナーシップ協定(TPP)署名11カ国は11月11日、新協定(TPP 11)について大筋合意の詳細な内容を発表した。

大筋合意は英文では「agreed on the core elements」である。

2015年10月のTPP閣僚声明も、政府説明は「大筋合意」であるが、この時の英文は「come to an agreement 」である。

今回は継続協議分がある。

11月9日の閣僚会議では大筋合意されたが、10日に予定されていた首脳会合での合意は、カナダが難色を示し、先送りされた。
米国と北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を進めるカナダやメキシコは TPP 11に慎重で、最終合意を不安視する声がある。


一連の交渉では「凍結項目」の取り扱いが最大の焦点となった。

各国が米国に配慮し譲歩を余儀なくされた計60項目超を米国が復帰するまで「凍結」するよう要求したが、調整の結果、最終的に20項目の凍結が決まった。
このうち11項目は医薬品の開発データの保護期間など知的財産分野だった。

しかし、4項目については、凍結対象とするかどうか決めきれず、交渉を継続する。

新協定の名称は「包括的および先進的なTPP」(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership :CPTPP)に改める。

大筋合意の内容は下記の通り。

・著作権の保護期間など知的財産や投資の規定を中心に20項目の効力を凍結する。

植物由来の発明への特許
特許を与える当局の不当な遅延についての特許期間調整
生物製剤医薬品のデータ保護期間を実質8年に統一
著作権の保護期間(日本は現在50年)を米国並みの「作者の死後70年」に統一
急送貨物のうち、少額貨物の関税免除
投資家と国との紛争解決手続き(ISDS)のうち、「投資合意」と「投資許可」
その他

 農産物などの輸入関税の撤廃・削減などは変更せず。
 また、繊維で関税撤廃・削減の対象を厳しく制限する原産地規則に関する項目も含まれなかった。

・4項目は継続協議

マレーシア:国有企業の優遇策の制限
ブルネイ:石炭産業のサービス投資ルール
カナダ:文化保護のための国内企業優遇
ベトナム:労働の紛争処理

・ 農産物の緊急輸入制限(セーフガード)の発動基準などは発効後に見直し可能

・ 新協定は11カ国が署名後、6カ国の国内承認手続き完了してから60日後に発効
  (元の協定にあった「参加国のGDP総額の85%以上」という条件は削除した。)

・ 新協定の正式名称は「包括的および先進的なTPP」


ロス米商務長官は11月14日、ワシントンでの講演で、「TPP11」に関して 、「米国という巨大市場の存在が多くの国にとってTPPに加わる動機だった」と指摘し、「最終合意は難しいだろう」との見通しを示した。

ーーー

RCEP

東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉参加16カ国は11月14日、フィリピンで首脳会合を開き「年末までに重要な成果を達成すべく最大限努力する」との声明を採択した。
年内合意の先送りを確定させ、新たな合意時期は明示しなかった。経済発展の度合いごとに「特別かつ異なる待遇」を設けることや、各国の政策に配慮することも明記した。


共同声明は「現代的・包括的で、質が高く互恵的な協定を達成する」という目標を掲げた。一方で交渉は「引き続き複雑で困難な作業」であるとの認識を示し、妥結を急ぐ考えを暗に否定した。

RCEPの概要を示す付属文書も公表された。一般的な自由貿易協定(FTA)に盛り込まれる章のほかには、インドが重要視する域内の自由な人の移動を保障する「人の移動章」や、日本が重視するデータの自由な流通を促す「電子商取引章」が盛り込まれている。

ASEANの一部の国は中国と歩調を合わせ、議論を関税引き下げに絞って年内妥結に導こうとしていたとされる。
これに対し、日本はオーストラリアなどは、貿易・投資ルールを含め質の高い協定を目指した。

閣僚会合の席上、世耕弘成経済産業相が「関税に比べ、ルール部分の内容が乏しい。バランスが取れていない」と述べた。その後の討議でASEANの閣僚の1人が知的財産権の保護や貿易手続きの円滑化などルールを議論する時間が足りなかったと認め、年内妥結の機運は後退した。

大塚製薬と米国の Proteus Digital Health は11月13日、世界初のデジタル錠剤「エビリファイ マイサイト (Abilify MyCite®)」の承認を米国FDAから取得したと発表した。

大塚製薬によると、このような医薬品と医療機器を一体化した製品の承認は世界初という。

「エビリファイ マイサイト」は、 抗精神病薬のエビリファイの錠剤に摂取可能な約3mmの極小センサー Ingestible Event Marker sensor を組み込んだもので、同剤の適応である成人の統合失調症、双極性Ⅰ型障害の躁病および混合型症状の急性期、大うつ病性障害の補助療法において使用され る。

この錠剤を服用するとセンサーが胃内でシグナルを発し、患者の身体に貼り付けたシグナル検出器「MYCITE Patch」がそれを検出する。
この検出器は、患者の服薬データだけでなく、活動状況などのデータを記録し、専用のアプリケーション「
MYCITE APP」を備えたスマホなどに送信する。
アプリには、睡眠や気分などを患者が入力することもできる。

これらのデータはスマートフォンなどのモバイル端末に転送され、患者の同意があれば医療従事者や介護者との情報共有も可能にな る。
医師の処方通りに患者が薬を飲んだかどうかを第三者が確認でき、効果的な治療ができ、医療費の削減にもつながると期待される。

① センサー入りの薬を飲む。

② 錠剤が胃に到着

③ 薬が溶け、センサーが胃に残る。

④ センサーが胃液に反応、身体に貼り付けたMYCITE Patchに信号を転送。

⑤ MYCITE Patchがスマホなどに いつ薬が飲まれたかを送信

⑥ センサーは排泄される。


米国内の試算では、処方通りに薬を飲まなかったことで病気が悪化したり、別の治療が必要になったりして年間に計1千億ドルのコストがかかっているという。

一方、 患者の様子を遠くから監視することにもつながりかねないとの懸念があり、患者のデータ管理や利用にはより慎重さを求める声が上がる。

両社は、このシステムにより、服薬や活動の状況を把握できることで、患者と介護者および医療者のコミュニケーションを促進し、それぞれの患者により適した治療の選択に寄与 するとしている。

米国において、まずは少数の患者の使用経験を通じ、製品の価値を確認していくとしている。日本での販売は現在予定していない。

化学会社各社の9月中間決算がほぼ出揃った。

多くの企業が前年同期比増益となっている。特に石油化学部門が好調である。原料価格が安定するなか、販売価格が上がり採算が改善した。

各社の実績については、下記参照(過去からの推移の表とグラフ)

https://www.knak.jp/kessan/

営業損益 (斜線の企業はIFRS方式採用で、営業損益総額でコア損益以外も含む)

経常損益 (斜線の企業はIFRS方式採用で、税引前損益で、日本方式の場合の特別損益を含む)

当期損益  (斜線の企業はIFRS方式採用で、範囲は日本方式の場合と同じ)



しかし、問題は今後である。

米国でシェールガス利用の大規模石化が相次ぎ完成した。

Chevron Phillips Chemicalは9月19日、テキサス州のPE 50万トン2基がスタートアップしたと発表した。
DowDuPont は9月21日、テキサス州のエチレン150万トンとEnhanced PE 40万トンがスタートし、第4四半期にフル稼働すると発表した。
今後も、巨大な新設備が次々に完成する。

米国だけで新設のエチレンは8,500千トンで、新設分だけで現在の日本の全能力(定修なしで6,824千トン)より大きい。

更にサウジではSadara Chemical とPetroRabigh 第2期が建設を完了した。高機能製品を含めた生産がいよいよ始まる。

米国(シェール)もサウジ(エタン)も、ナフサをベースにする日本と比べ、格段にコストが安い。

これらの低コストの製品のアジア向け大量輸出が始まると、製品価格が大幅に下落し、状況が一変するとみられている。

2017/5/30 日本の石油化学に迫るXデー 

2017/9/26 米国でシェールガス利用の大規模石化が相次ぎ完成

番外編 本の紹介

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Sam Bourne "To kill the president"

まだ翻訳はでていないようですが、ジャーナリストのJonathan Freedland がSam Bourneの筆名で書いた小説です。

トランプと思しき新大統領が、北朝鮮の挑発に頭にきて、中国と北朝鮮を核攻撃する命令を下すが、担当者の機転で数秒前に停止。

首席補佐官と国防長官が、国の危機として手を打つが、万策尽き、大統領暗殺を計画。

Steve Bannon元上級顧問と思しき人物がホワイトハウスを牛耳るなかで、これを察知したホワイトハウスの法律担当で前大統領を尊敬する女性が、国のためか、大統領暗殺阻止かの板挟みで悩む。

彼女は現大統領の対抗馬(クリントンを想定)が公務に個人の携帯を使ったことを調べ、明らかにして、現大統領の当選に至った過去がある。

話はどんどん展開し・・・

際物ですが、なかなか面白いです。

アマゾン
https://www.amazon.co.jp/Kill-President-Most-Explosive-Thriller/dp/0007413734/ref=tmm_pap_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=1510137809&sr=8-1

丸紅は韓国電力公社とともに、ベトナム北部のタインホア省の大型火力発電所をBOT(建設・運営・譲渡)方式で建設する。(11月8日付 日本経済新聞)

ベトナム初となる「超臨界」高効率の石炭火力発電所(発電能力120万キロワット)で、2018年に着工し、22年から運転する。運営も両社が担い、発電した電力はベトナム電力公社に販売する。
総事業費は25億ドルで契約期間は29年間。

両社は2013年3月に優先交渉権を取得した。

ーーー

『国連気候変動枠組み条約』(UNFCCC)の第23回締約国会議(COP23)が11月6日 ドイツのボンで開幕した。

米国政府はパリ協定から離脱したが、米国の123の市・9つの州・902の企業と投資家・183大学などが、「We are still in」(われわれはパリ協定に残る)とする以下の声明を出した。

「ワシントン(連邦政府)からのリーダーシップがないのであれば、米国経済の相当な規模を代表するわれわれ ー 州・自治体・大学・企業・投資家 ー が積極的な温室効果ガス削減の目標を追求していく。われわれはともに手をとり、アメリカが削減の世界的リーダーとして踏み止まれるよう、力強く行動していく」。  

日本の経団連、米国の国際ビジネス評議会や欧州のビジネスヨーロッパ、世界鉄鋼協会など欧米やインドなどの13の経済団体は11月12日、ドイツのボンで会合を開き、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の運用に企業の積極的な関与を促す意見書をまとめた。「パリ協定は企業の意味ある参加が無ければ成功しない」と指摘し、企業や産業には温暖化ガスの排出量が少ない経済を作る責任があるとした。

ーーー


世界各国の環境NGO でつくる「気候行動ネットワーク」(CAN:Climate Action Network)は11月9日、COP 23の会合に合わせ、地球温暖化対策に後ろ向きな国に贈られる「化石賞 (Fossil of the Day Award)」を発表した。

1位 先進国全体(現在の気候変動に歴史的責任を持つ)

今回のCOP23は、2020年以降の温室効果ガス削減目標を世界規模で達成するためのルール作りなどを焦点 とする。

本年も世界中で異常気象となった。2020年まで待てず、今すぐ行動する必要があるのに、先進国は2020年までをどうするかの議論に反対した。

2位 日本

安倍晋三首相とトランプ米大統領は11月6日、エネルギー分野での協力強化を目指し、「日米戦略エネルギーパートナーシップ(JUSEP)」を日米経済対話の枠組みの中で進めることで一致した。
先進的な原子力技術の促進、二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)を含む高効率の
石炭火力技術 (HELE) の展開などを掲げた。

気候行動ネットワークは、これに触れ、東南アジア、南アジア、サブサハラ アフリカなど途上国での原子力と石炭火力技術の展開を問題とする。再生可能エネルギー支援については一切触れていないことも問題とした。

日本はパリ協定を実行するとしているが、本当か?と疑問符を付けた。
日本は米国政府とともに、原子力と石炭火力を推進しており、これは途上国での再生エネルギー拡大努力に水を差す。日本は原子力と石炭というアナクロ政策を変更すべきだとする。

3位 Kuwait

補助機関会合(SBI)での損失と被害(Loss and Damage)交渉にオブザーバーの参加を認めないことを主張した。

日本政府代表団は「民間団体がやっていることの一つ一つにはコメントしない」などとした。

付記

「気候行動ネットワーク」は11月16日、「パリ協定」から離脱宣言した米政府に、温暖化対策に極めて後ろ向きだとして「特大化石賞」(Colossal Fossil Award)を贈った。


日本は化石賞の常連。

2015年の国連気候変動交渉会議(SB42/ADP2-9)の場で、気候行動ネットワークから次の理由で 3つの化石賞を受賞している。

ワンストライク!1つ目の「本日の化石賞」を受賞するのは、極めて低い温室効果ガス排出削減目標案を発表した日本です。煙と鏡を使って(基準年をずらして)見かけ上の排出削減の数値をかさ上げし、この2030年目標案が「先進国で2050年までに80%削減」という長期目標に沿うと大胆にも言い張っているのです。日本の安倍晋三首相は、今週末のG7サミットで、1990年比でたった18%削減という弱い目標案の言い訳をし、世界中の人々の目を誤魔化そうとしているのでしょう。日本の国別目標案「26%」は、野心的でもなければ、公平でもありません。

ツーストライク!2つ目の化石賞は、これも日本が受賞です。開発援助銀行が「世界気温上昇2℃未満」に沿うように作業させようというG7の国々による提案を日本が妨げたのです。日本は、世界を破滅的な気候変動に導こうというのでしょうか?

スリーストライク!3つ目の化石賞は、途上国において、CO2を大量に排出する石炭火力発電プロジェクトを資金支援している日本です。国際社会からの高まる批判にもかかわらず-日本はリマでもこのひどい行動によって化石賞を受賞しました-、これを続けているのです。日本がこの汚い石炭政策を維持する限り、化石賞を受賞し続けることになるでしょう。日本は汚い石炭にではなく、再生可能エネルギーによる解決策に資金支援するべきです。

2016年の受賞では、気候行動ネットワークは、1,2位を日本に贈った。

1位を受賞したのは日本、トルコ、ロシア、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、インドネシアの7カ国。

これらの国が石炭を採掘、推進し、各国の気候変動対策を「文字通り掘り崩している」と訴えた。

2位は日本の単独受賞で、新規の石炭火力発電所約50基の建設計画を持ち、国際協力銀行がインドネシアで反対運動がある石炭火力にも投資していると批判した。

ーーー

ゴア米元副大統領 は、約10年前に世界的に大ヒットしたドキュメンタリー映画「不都合な真実 (An Inconvenient Truth)」の続編 「不都合な真実2:放置された地球」(An Inconvenient Sequel : Truth to Power) が11月17日から日本で公開されるのに合わせて来日した。

前作の公開から10年が経った現在、地球はかつてないほどの危機に瀕していることを訴える。 "エコムーブメント"を巻き起こした前作から僅か10年の間に、地球に何が起こっているのか? 今も世界中を飛び回り、環境問題に取り組む人材の育成に励むゴア元副大統領が、再び"衝撃の真実"を突きつける。

前作では見られなかった、必死の形相で、声を荒げ、祈るように使命を全うしようとするゴアの姿も追う。

朝日新聞はインタビュー内容を報じている。

日本が途上国の石炭火力発電所建設を支援していることにふれ、「ショッキングだ」と懸念を表明。トランプ大統領がパリ協定から離脱すると表明したことについて、「それでも米国内の対策は進む」と見通しを語った。

日本が国内だけでなく、インドネシアなど途上国で石炭火力建設を支援していることについて、「日本国民の税金を汚い石炭に投入するのはやめるべきだ」と批判。中国が再生可能エネルギーへの転換で主導権を狙っているとして、「世界から悪く見られることは、いまの日本にとって得策だろうか? 私が日本人なら違う答えを示すだろう」と語った。

温暖化対策に否定的なトランプ氏の発言は「汚染する側の人たちに配慮した政治的なものではないか」との見方を披露した。パリ協定からの離脱を思いとどまるようトランプ氏に説得を試みたと明かし、「私なりに最善を尽くしたが、だめだった」。

トランプ氏の発言にかかわらず、国内の多くの州や市、企業などが独自にパリ協定を守ると約束しているとして、「私は楽観的だ。この戦いには勝てる」と話した。

ーーー

日本の主張は、日本の石炭火力発電技術は低公害で、高効率であり、温暖化対策に貢献するというものだが、世界では通らないようだ。

 

既報の通り、 米与党・共和党の議会指導部は11月2日、30年ぶりの税制改革に向けた詳細な法案を公表した。

2017/11/6 米共和党の税制改革案


米議会予算局は11月8日、この税制改革案を実施した場合、2018会計年度からの10年間で財政赤字が1.7兆ドルに拡大するとの試算を発表した。

上院及び下院が議決した「予算決議案」 では、税規模は 10年間で1.5兆ドル規模と しており、これを上回る。このため、法人税率引き下げを1年遅らせるなどの案も浮上した。


米下院歳入委員会は11月9日、共和党がまとめた税制改革法案について、予算決議で定められた1.5兆ドル以内に抑える内容の修正案 (Tax Cuts and Jobs Act) を可決した。

採決は賛成24、反対16で、反対は全て民主党の所属議員。

主な修正は次の通りで、向こう10年間の総コストは1.4兆ドルとなる。

修正法案は議事運営委員会での審議で修正される可能性もあり、そのプロセスを経て下院本会議に送付される。

1) パススルー事業体向け税制

 原案

個人事業主やパートナーシップなどの場合、企業そのものには課税されず、オーナーの個人所得となるため、多くは個人所得税の最高税率の39.6%が課せられることとなる。

今回、Pass-through企業の税率を25%とする。

但し、金持ちが Pass-through企業を設立して、本来の所得税率よりも低い税率とするのを避けるためのルールも入れた。この結果、法律、会計、コンサルタントなどの特定の個人サービス企業は新税率の対象外とする。

 修正案

修正案では中小企業の成功と成長を容易にするとした複数の条項が盛り込まれた。

所得が75千ドル未満の企業に対し新たに9%の税率を導入。優遇措置は課税所得が150千ドルを超えると段階的に減り225千ドルで完全になくなる。

パススルー事業体向けに新たに設ける25%の税率の適用範囲を事業体の所得の30%だけに限定し、残る70%は事業主の賃金として扱い、個人所得税対象とする。
なお別に、その事業体の設備投資額によるフォーミュラで、所得の何割をパススルー税制の対象にするかを決めるオプションもある。

2) 海外留保利益の還流時の税率(Repatriation Rates)

 原案

現金など流動資産で保有するものは一回限りの12%の課税、固定資産で保有する部分については5%の課税

 修正案

現金など流動資産で保有するものは一回限りの14%の課税、固定資産で保有する部分については7%の課税


他方、米上院共和党は11月9日、法人税の税率を現行の最高35%から20%に引き下げ、2019年に実施することを盛り込んだ減税計画を公表した。
上院財政委員会が11月13日の週に同案の審議を始める。

下院が先に発表した税制改革法案では、法人税減税の実施時期は2018年となっていたが、実施を1年遅らせる。

その他の主な変更点は次の通り。

1) 個人所得税

下院案:現在は約48万ドル以上が39.6%だが、これを100万ドル以上とする。26万ドルから100万ドルまでは35%となり、9万ドルから26万ドルまでは25%、それ以下は12%となる。

上院案:税率区分は10%、12%、22.5%、25%、32.5%、35%、38.5%の7つ。

2) 州税等の控除の廃止

下院案:固定資産税の控除は認めるが、州や地方の所得税やSales Tax の控除を認めず、控除の限度額を1万ドルとした。

上院案:州・地方税控除は廃止。

3) 住宅ローン金利の控除

下院案:現在のローンの金利は今後も控除できるが、新規分については、これまでの100万ドルの限度が50万ドルに下げられる。

上院案:住宅ローン利子の控除を適用できる借入額の上限を現行の100万ドルで維持。


今後、下院及び上院でそれぞれ審議を行い、双方の最終案を両院で調整し、調整後の法案を再度議決する必要がある。

下院で11月中、上院でも 12月中に可決し、年内に成立というトランプ米大統領の希望が通るかどうか疑問である。


付記

米下院は11月16日、連邦法人税率を2018年に35%から20%に引き下げる税制改革法案を賛成多数で可決した。

  共和党 民主党 合計
賛成 227 0 227
反対 13 192 205
棄権 2 2
合計 240 194 434

カナダ肥料大手のPotashCorp (Potash Corporation of Saskatchewan Inc.) とAgrium Inc. は11月7日、両社の合併について条件付きで中国政府の承認を得たと発表した。

既に、ブラジル、カナダ、インド、ロシアの承認を得ており、米国の手続きも進行中で、年内に手続きが完了するとみている。

両社は2016年9月に経営統合を発表した。統合会社の売上高は約210億ドルで、世界最大の肥料会社として経営基盤を強化する。

形式的には対等合併で、新設会社が両社を保有する形となる。PotashCorp 株主は1株につき新会社株式 0.400 株を、Agrium 株主は 2.230 株を受け取る。
PotashCorp 株主は新会社の株式の約52%を、Agrium 株主は48%を保有することとなる。

2016/9/16 カナダ肥料大手2社が統合 世界最大に

今回、統合会社の社名をNutrien とすると発表した。農家が持続可能な形で食料生産を増やすのを支援し、米国政府の進める「食料安全保障イニシアチブ(Feed the Future)」で重要な役割を果たすとしている。

ーーー

中国商務部の付けた条件は下記の通り。

・PotashCorpは、下記企業の少数株主としての持ち株を売却する。

Arab Potash Company、Sociedad Quimica y Minera de Chile S.A.  18カ月以内
Israel Chemicals Ltd. 9 カ月以内

・PotashCorpの中化化肥(Sinofert Holding Limited)の持ち株を受動的投資( passive investment)とし(経営に口を出さず)、PotashCorp とAgriumの参加するカリの輸出会社 Canpotexが 中国へのカリの安定した、信頼できる、献身的な供給者であり続けることを保証する。(Canpotexが中化化肥と組んで勝手なことをしないこと)

Sinofert は旧称 Sinochem Hong Kong Holding Limited で中国最大の肥料供給者。

Canpotexについては下記参照

輸出会社 構成メーカー
Canpotex Potash Corporation of Saskatchewan(カナダ)54%
The Mosaic Company(米) 37%
Agrium(カナダ) 9%


2013/8/8 加里の国際輸出カルテル 崩壊?

ーーー

中国では「11月11日」は「光棍节」で、「独身の日」。

未婚者が自分のために買い物をする日として定着している。

多くの銀行がクレジットカードの与信額を一時的に引き上げており、利用額が普段よりかなり多くなって、中には3倍以上になるケースもある。

ここ数年は「ネットショッピングの日」として知られるようになっている。




ハンファ総合化学は11月2日、 韓国農漁村公社が忠清南道唐津の石門湖に計画している水上太陽光発電所の建設で優先交渉対象者に選ばれたと明らかにした。

ハンファは韓国中部発電とコンソーシアムを構成して入札した。

水上太陽光発電所の規模は100メガワットで、約14万人が同時に使用できる規模。

石門湖の水面上 120万平方メートルに造成され、世界で稼働中の水上太陽光発電所のうち最大規模であり、韓国内で稼働する太陽光発電所のうちでも最大となる。

水上太陽光発電所は、 広い面積が使用できるとともに、日影がなく、水面による冷却の効果で発電量の向上も見込める。

ハンファ総合化学は80メガワットを韓国中部発電と共同で建設し、残りの20メガワットは韓国農漁村公社が自主的に建設する。
認可などの準備過程を経て2019年に工事に着手し、2020年から本格稼働の予定。

ハンファでは、「2030年までに再生可能エネルギーの比率を20%まで高めるという新政権のエネルギー政策目標に歩調を合わせて事業を支障なく進めていきたい」とし ている。



現在 世界で最も大きい水上太陽光発電所は中国安徽省にある40メガワット規模の発電所。

安徽省の発電所は、中国のSungrow が淮南市に建設した。
建設された地域には以前、炭鉱があり石炭を採掘していた。多雨な気候のため洪水によって水没してしまい、現在の水深は4~10mという。
鉱害による水質汚濁が深刻なため、この地域の土地には価値がないとされていた。


現在、韓国の最大の太陽光発電は江原道の寧越の40メガワット。


日本の現在の最大の太陽光発電は下記の通り。


ユーラス六ヶ所ソーラーパーク


青森県上北郡六ヶ所村 (
むつ小川原開発地区内の鷹架地区、千歳平北地区)

2か所合計で115メガワット  2015年10月1日運転開始

ユーラスはトーメン (現 豊田通商)グループの電力事業としてスタート、現在は豊田通商 60%、東京電力 40%。

ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク

北海道勇払郡安平町

111メガワット  2015年12月1日運転開始

ソフトバンクグループのSBエナジーと三井物産の共同事業


中韓両国は10月31日、対立していた在韓米軍への最新鋭迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」配備問題で双方の立場に留意し、「戦略的パートナー関係」への発展を推進することで同意した。
習国家主席と文大統領は11月10、11日にベトナムで開かれるAPEC首脳会議に合わせ、会談することでも合意した。


中国は、11月8日からのトランプ米大統領の中国訪問を前に、在韓米軍へのTHAAD配備問題が議題化しないよう棚上げを図ったものとみられる。

但し、中韓両政府の発表文には、(1) 米国のミサイル防衛体系構築、(2) THAADの追加配備、(3) 日米韓軍事協力について中国が自らの立場を表明したことも明記された。米韓、日米韓の軍事協力の深化に反対する姿勢を明確にした。

これに対し、韓国の外相は10月30日に国会で、米国のミサイル防衛体系構築に参加しないことやTHAADの追加配備の計画がないことを明言し、日米韓の軍事協力については「北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対する抑止力強化の範囲で進め、軍事同盟には発展させない」と述べた。

今後、中国で続く韓国企業などへの「報復」の影響がどうなるかが注目される。

韓国系スーパー「ロッテマート」が当局による営業制限を受けて中国事業からの撤退を決めたほか、韓国・現代自動車も激しい不買運動にさらされている。

2017/9/21 韓国ロッテマート、中国から撤退へ


その中で、中国の成都市は10月30日、ロッテ成都複合団地の第2期工事に着工するための許可証を発給した。ロッテが11月3日に明らかにした。

THAAD 報復措置で10カ月にわたり中断していたが、ロッテは基礎工事を再開し、間もなく骨組みの工事も始める。

ロッテ成都複合団地は、66千平方メートルの敷地に1兆ウォン(約1023億円)を投じ、マンション団地(第1期)とホテル・デパート・ショッピングモール・映画館など商業施設(第2期)を建てるという大規模プロジェクト。建物の延べ床面積は54万平方メートルに達する。

およそ1400世帯分のマンションを建てる第1期事業は終わったが、商業施設建設に向けた2期工事は、ロッテがTHAAD基地の敷地を提供したというニュースが伝えられる中、昨年末に中断された。

ロッテは今回の成都の工事再開を起点として、ほかの事業も間もなく正常化するものと期待している。

ロッテが3兆ウォン(約3068億円)を投じて遼寧省瀋陽市で建設を進めている「瀋陽ロッテタウン」プロジェクトもその一つ。

瀋陽ロッテタウンは、大型ショッピングモール、ホテル、テーマパーク、住居団地などを造成する大型プロジェクトで、2014年にまず第1期としてロッテデパート、ヤングプラザ、映画館をオープンさせた。

第2期として、マート、モールと室内テーマパークであるロッテワールドの2018年完工を目指していたが、昨年12月に工事が中断した。
瀋陽市当局は安全措置が不十分なことなどを理由に挙げたが、THAADの敷地提供に伴う報復措置だった、というのが一般的な解釈である。

サウジアラビア政府は11月4日、11人の王族を含む約50人を汚職などの疑いで逮捕した。

政府は王族たちの逃亡を防ぐため、プライベートジェットが発着する首都リヤドの空港を閉鎖した。

11月5日、マンスール・ビン・ムクリン王子(Mansour bin Muqrin)ら8人のサウジ高官が乗ったヘリがイエメン国境近くで墜落し、王子は死亡した。王子は2015年4月に皇太子を解任されたムクリン王子の息子。国外逃亡を図った際に墜落したと噂される。

逮捕対象には、著名な投資家で富豪のアルワリード・ビン・タラール 王子(Alwaleed bin Talal)やアブドラ(Abdullah)前国王の息子で後継候補の1人だった国家警備隊長のミテブ王子Mutaib bin Abdullah)らが含まれる。

アルワリード・ビン・タラール王子は初代国王アブドゥルアズィーズ・イブン・サウード(Saud)の息子 のタラール王子Talal )の息子。

父親のタラール王子 は1960年代初めに財務大臣を務めたが、政治改革を主張し、Red Princeと呼ばれた。王位継承権を放棄して亡命した。

アルワリード・ビン・タラール王子は、株式および土地への投資によって富を築いた。資産はおよそ200億米ドルで、世界で8番目、アラブ世界では一番の資産家である。『タイム』誌によって「アラブのWarren Buffett」と名づけられた。王子が95%を保有するKingdom Holdingは、Citigroup、Apple、21st Century Fox、Twitterといった企業の大株主でもある。

1991年に不良債権を多く抱え業績不振に陥っていたCiti Bankの株式10%を5億9000万ドルで取得し、救済した。その後、Citi の経営は持ち直し株価は上昇、王子は高いリターンを得て、次の国際投資へとつなげた。

政治とは一定の距離を置く一方、ムハンマド(Mohammad bin Salman皇太子が進める経済改革には好意的な発言を続けていた。

2015年12月、イスラム教徒入国禁止発言をした共和党のTrump大統領候補のアカウントに「おまえは共和党だけでなく全米の恥だ。おまえの勝利はありえないから大統領選から撤退しろ」罵るメッセージをおくり、Trumpから「まぬけ王子」と罵り返されるなど応酬を繰り広げて注目された。

ミテブ王子初代サウード国王の息子 アブドラ国王の息子で、王室の警備を担う有力軍事組織、国家警備隊の長を2010年から務めていた。

逮捕されたなかには、初代サウード国王の息子で自堕落な態度のため皇太子になれなかったナセル王子息子のトルキー・ビン・ナセル(Turki bin Nasser)王子(前 気象環境保護庁長官)や、衛星テレビ局アルアラビアを傘下に持つMiddle East Broadcasting Centerワリード・イブラヒム(Waleed Al-Ibrahim)会長、前王宮府長官Khaled Al-Tuwaijri なども含まれる。

サウジ政府は逮捕に先立ち、ミテブ王子 アデル・ファキーフ(Adel bin Mohammed Faqih経済計画相、アブドラ・スルタン(Abdullah bin Sultan海軍司令官を更迭する国王令を発表した。
さらに、
ムハンマド
皇太子を長とする「反腐敗最高委員会」の創設も発表した。

同委員会は11月6日、「不正がはびこっていたこをと示す広範な証拠を握っている」とし、近く裁判にかけると発表した。

サウジで複数の王族が一斉に逮捕されるのは異例で、腐敗撲滅をめざす政府の決意を示したとされるが、他方で ムハンマド皇太子の対抗勢力になり得る有力王族を逮捕し、力を見せつける狙いがあるとみられる。強引な手法にはほかの王族からの反発が強まることも予想される。

ムハンマド皇太子は、副皇太子時代に「ビジョン2030」を作成しているが、下記の通り、「民営化による透明性の向上と汚職抑制」を謳っている。

サルマン(Salman)国王(81)は6月21日、王位継承順位が1位のムハンマド・ナエフ(Muhammad bin Nayef)皇太子(57)を解任し、自身の子である継承順位2位のムハンマド(Mohammad bin Salman)国防相兼副皇太子(31)を皇太子に昇格させる異例の人事勅令を出した。ムハンマド・ナエフ皇太子は副首相や内相などすべての職務を解任された。解任後に自宅軟禁状態にあると報じられている。

国王は2015年4月に、前国王が指名したムクリン(Muqrin)皇太子(当時)を解任している。

第二世代は兄弟が順番に国王になったが、第三世代以降はサルマン国王が自分の直系に引き継がそうとしているように思われる。

2017/6/29 サウジ、副皇太子が皇太子に昇格、副首相に就任、国防相などのポストは継続

サウジ王家の関係は下記の通り。(名前の右の数字は生年) 青字は今回逮捕された王子。 赤字は今回死亡。

第一世代 第二世代
(* Sudairi Seven)
第三世代 国王

皇太子

Abdullah 国王 Salman 国王
Abdulaziz Ibn Saud ①1932/9-1953/11
Saud 1902 ②1953/11-1964/11
Faisal 1906 ③1964/11-1975/3
Nasser 1911
Turki bin Nasser 1948
Khalid 1913 ④1975/3-1982/6
Fahd * 1921 ⑤1982/6-2005/8
Abdullah 1924 ⑥2005/8-2015/1
Mutaib bin Abdullah 1952
Talal 1931
Alwaleed bin Talal 1955
Nayef * 1934 2011/10
- 2012/6 死亡
Muhammad bin Nayef 1959 ②2015/4
- 2017/6 解任
Salman * 1935 ⑦2015/1- 2012/6
- 2015/1 国王に
Mohammad bin Salman 1985 ③2017/6-
Muqrin 1945 ①2015/1
- 2015/4 解任
Mansour bin-Muqrin 1974

Sudairi Sevenは、初代Saud国王が最も寵愛したスデイリー家出身の女性ハッサとの間に生まれた7人の男子。
生存しているのは、6男のSalman国王と、7男のアフマド王子のみ。

ムハンマド皇太子は初代サウド国王の孫世代では初めての国王となる見通し。

副皇太子時代から Council of Economic and Development Affairs (CEDA) を率いており、2030年までの経済改革計画「ビジョン2030」を作成、サウジ政府は2016年4月25日、国王主宰の閣議でこれを承認した。

石油依存型経済から脱却し、投資収益に基づく国家を建設していく。

公的投資基金(PIF)の資産を6,000億リヤールから7兆リヤール(約2兆ドル)に増やす。

目標を達成するための手段として、
・ 国営石油会社Saudi Aramcoの5%未満の新規株式公開(IPO)、
・ 民営化による透明性の向上と汚職抑制
・ 軍事産業の育成による国内調達の軍装備品支出の割合を50%まで拡大、
・ 外国人による長期的な労働・滞在を可能するグリーンカード制度の5年以内の導入
などがあわせて発表された。

サウジアラビアの公的投資基金 (PIF) は1971年の設立以来、サウジ財務省が管轄し、石油精製、肥料、石油化学、電力などの大事なプロジェクトのファイナンスを担ってきたが、2015年3月からはCEDAに移管された。

PIFは2015年7月に韓国のPosco Engineering & Construction の株式の38%を取得、2016年6月には米配車サービス大手Uber Technologies Inc.に35億ドルの出資を行い、発行済み株式の約5%を取得した。
2016年3月に、Saudi Aramcoの所有権が政府から PIFに移管された。

ソフトバンクグループは2016年10月14日、グローバルにテクノロジー分野へ出資することを目的とした私募ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(仮称)の設立を決定したと発表した。

ソフトバンクグループは、今後5年間で少なくとも 250億米ドルを本ファンドに出資、サウジアラビアの公的投資基金(PIF) との間で、主要な資金パートナーとして本ファンドへの出資を検討することについて、覚書を交わした。さらに、本ファンドへの出資を目的に、複数のグローバルな大手投資家たちと協議中で、1,000億米ドルとなる可能性がある。

ソフトバンクグループ 5年間で少なくとも 250億米ドル
PIF 5年間で    最大 450億米ドル
複数の大手投資家   協議中
総額   1,000億米ドルとなる可能性


2016/10/17 ソフトバンクグループ、10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を設立 



トランプ米大統領は11月2日、米連邦準備理事会の次期議長にJerome Powell FRB理事(64)を正式に指名した。
大統領は現体制の低金利政策を支持しており、FRB執行部で共和党主流派に唯一近いPowell 理事の起用を決めた。


FRB議長人事は上院の承認が必要で、可決されれば来年2月に就任する。

Powell 理事は「人事が承認されれば、物価の安定と雇用の最大化に全力を尽くす」と述べた。

これまでPowell FRB理事のほかに、Janet Yellen 現議長の再任やGary Cohn NEC (National Economic Council) DirectorKevin Warsh元FRB理事、John Taylor Stanford University教授が候補に挙がっていた。

Janet Yellen 現議長については、大統領は低金利政策で景気拡大と株高を呼んだ議長の手腕を評価し議長再任も検討してきた。しかし、民主党政権で要職に就くなどリベラル色が強く、Obama大統領の指名であることから、独自色を出すこととした。

Gary Cohnはバージニア州Charlottesvilleで起きた暴力事件を巡る大統領の発言を公然と批判したことで外れた。

米政治メディアは、トランプ大統領と定期的に協議する関係者の話として、指名候補がPowell 理事とTaylor 教授に絞られたと報じていた。

経済成長を重視するトランプ大統領はFRBの低金利政策を支持しており、穏健派のPowell 氏を起用する決め手となった。

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Powell理事は投資ファンドThe Carlyle Groupの共同経営者を務めるなどウォール街での経歴も長く、George H.W. Bush 政権下で財務次官を務めたこともあり、官民ともに豊富な経験が強み。

もともとは政治学や法律を専攻した法律専門家で、過去30年ほどの歴史の中で経済学の博士号を持たない唯一の議長となる。
2012年にFRB理事に就任し、
Bernanke 及び Yellen 議長のもとで理事を務めた。

これまでのFRBの理事会ではYellen議長の方針にすべて賛成しており、Yellen 議長が進めてきた穏健な低金利路線を継承すると見られる。

Janet Yellen 現議長は来年2月で任期切れを迎え、1期4年の異例の短さで退任する。

最近のFRB議長は次の通りで、Miller議長を除き、2期(8年)以上である。

任期 大統領
10 Arthur F. Burns 1970/2/1 ~1978/1/31 8年 Richard Nixon
11 William Miller 1978/3/8 ~1979/8/6 1年半 Jimmy Carter
12 Paul Volcker 1979/8/6 ~1987/8/11 8年
13 Alan Greenspan 1987/8/11 ~2006/1/31 18年半 Ronald Reagan
14 Ben Bernanke 2006/2/1~2014/1/31 8年 George W. Bush
15 Janet Yellen 2014/2/1~2018/2 4年 Barack Obama
16 Jerome Powell Donald Trump


William Millerは1978年3月に
カーター政権のFRB議長に就任、悪性インフレ撲滅のために、積極的な利上げを行った。しかし、早急な利上げに反対する議員から議会でつるし上げに遭い、利下げに転じてしまった。1年5ヶ月余りという極めて短期間で辞任した。

米与党・共和党の議会指導部は11月2日、30年ぶりの税制改革に向けた詳細な法案を公表した。


トランプ米大統領と共和党指導部は9月27日、税制改革案を公表した。

非政府組織(NGO)の「責任ある連邦予算委員会」(Committee for a Responsible Federal Budget)は、この予算案の概要とその影響を発表した。

それによると、2018年~2027年の10年間で、減税規模は2兆2千億ドルと見込まれ、過去最大だった「ブッシュ減税」を上回る。金利を勘案すれば、2兆7千億ドルに達する。

2017/10/2 トランプ政権の税制改革案 


今回の法案の概要は下記の通り。(New York Timesの記事などによる)

減税規模は上院及び下院が議決した「予算決議案」に基づいて10年間で1.5兆ドル(約170兆円)規模とする。
これを守らない場合は
「予算決議案」 に基づかないことになり、上院の議決は過半数ではなく、60票の賛成が必要で、可決される見込みはない。

1) 法人税

① 法人税率は現行の35%から20%に引き下げる。財政悪化を避けるために5年程度かけて段階的に下げる案もあったが、初年度に一気に減税する。

これにより実効税率は下記の通り、日本やフランス、ドイツを下回る。

その代わりにほとんどの費用控除、税額控除を廃止する。但し、研究開発費控除と低所得住宅投資控除は維持する。

分析によると、この結果、実質減税は35%から20%ではなく、28.5%程度になるという。

概要は次の通りで、金額(単位:10億ドル)は10年間の影響額。

Domestic production deduction $152
Exclusion of interest on bonds used for public infrastructure $88
Orphan drug credit for testing drugs for rare diseases $53
Exemption of credit union income $35
Deduction for corporate charitable contributions $35
Energy production credit $28
Reduced rates for the first $10 million of taxable income $25
Special rules for employee stock ownership plans $23
Energy investment credit $18
Exclusion of interest on bonds used for hospital construction $11
42 other expenditures $74
(廃止分 計) $542
Research and development credit $135
Low-income housing investment credit $90
(維持分 計) $225
合計 $767

 企業の海外所得については、現在は米企業の海外子会社が米国内に資金を戻す際、35%の税率(海外での納税分を除く)がかかっていた。このため、企業は利益を米国に戻して米国での投資に向けるのではなく、海外に貯めている。(White House では2.5兆ドル以上が海外に滞留しているとみている。)

法案では初めて、グローバルでの10%のミニマムタックスを提案した。米国の企業の高収益子会社が世界中で儲けた利益に課税する。企業が利益を海外に移すのを防止し、現在は米国に利益を戻すまでは無税となっているのを利益発生時に課税しようとするもの。

現在海外に滞留している利益については、そのうち現金など流動資産で保有するものは一回限りの12%の課税、固定資産で保有する部分については5%の課税を行う。本来なら米国還流時に(減税により)20%が課税されるが、全体について軽減税率を払えばそれで完了することとなる。(今後 米国に還流しても課税されない)

また、海外企業の米国子会社が米国で稼いだ資金を海外に持ち出す際、20%のexcise taxを課税する。 タックスヘイブンなどへの資金移転の防止策だが、制度設計次第では日本企業にも影響する可能性がある。


 Pass-through企業についてのルールも変更する。個人事業主やパートナーシップなどの場合、企業そのものには課税されず、オーナーの個人所得となるため、多くは個人所得税の最高税率の39.6%が課せられることとなる。米国の企業のうち、Pass-through企業は全体の95%を占める。

下図のとおり、最高税率を課せられる企業は数はすくないが、税額は非常に多い。

今回、Pass-through企業の税率を25%とする。

但し、金持ちが Pass-through企業を設立して、本来の所得税率よりも低い税率とするのを避けるためのルールも入れた。この結果、法律、会計、コンサルタントなどの特定の個人サービス企業は新税率の対象外とする。

⑤ その他、設備投資の即時償却や、支払利息の費用控除の縮小などがある。


2) 個人所得税

① 当初案では税率は12、25、35%の3段階に簡素化し、39.6%の最高税率を35%に下げるとしていた。しかし、金持ち優遇の批判を避けるため、最高税率(39.6%)の引き下げは見送った。

税率区分を7段階(10~39.6%)から4段階(12~39.6%)に簡素化する。

現在は約48万ドル以上が39.6%だが、これを100万ドル以上とする。26万ドルから100万ドルまでは35%となり、9万ドルから26万ドルまでは25%、それ以下は12%となる。

② 所得控除

所得税の計算で、現在は所得控除がある。

納税者が対象となるDeduction (単身 6,350$、夫婦は倍) と、子供も含めたExemption (1人 4,050$) がある。

今回、Deductionを2倍弱にし、Exeption を廃止する。

Deduction Exemption 現状合計 新Deduction 増減
単身 6,350 x 1 6,350 4,050 x 1 4,050 10,400 12,000 x 1 12,000 +1,600
夫婦 6,350 x 2 12,700 4,050 x 2 9,100 20,800 12,000 x 2 24,000 +3,200
夫婦 + 子供2人 6,350 x 2 12,700 4,050 x 4 16,200 28,900 12,000 x 2 24,000 -4,900

他方、child tax credit を現在の1,000ドルから1,600ドルに増やす。さらに5年に限り、子供以外の扶養家族に対する300ドルの控除を新設する。

現在の税率10%の家族は、税率は12%に上がるが、所得控除の変更により、負担は軽くなるとみられる。

申告者は個別の費用控除(itemized deductions)をとるか、この standard deductionをとるかを選ぶことができる。現在、約70%がstandard deductionを選んでいる。

③ Alternative Minimum Tax (AMT) の廃止

累進税率で課税される所得税とは別に、AMT(税率 は26%又は28%)を算出し、いずれか高い金額を納付(金持ちに少なくともいくらかは税金を払わせるのが目的)

廃止により、年収20万ドルから100万ドルの家計に有利となる。

 遺産税(estate tax)の廃止

即時廃止ではなく、6年にわたって廃止する。

また、相続資産で課税が免除される金額が549万ドルから1100万ドルに倍増された。

⑤ 州税等の控除の廃止

これまで控除が認められており、特にNew Jersey、New York、California などの税率の高い州のミドルクラスの納税者は恩恵を大きく受けていた。

今回、固定資産税の控除は認めるが、州や地方の所得税やSales Tax の控除を認めず、控除の限度額を1万ドルとした。

New Jerseyなどの出身の共和党議員は反対を表明している。

⑥ 住宅ローン金利の控除

現在のローンの金利は今後も控除できるが、新規分については、これまでの100万ドルの限度が50万ドルに下げられる。


トランプ米大統領は、下院で11月中、上院でも 12月中に可決し、年内に成立させると表明している。

上院及び下院が「予算決議案」を議決しているため、上院では与党共和党(52人)の単独過半数で税制法案を通過させることができる。

2017/10/24 米上院、下院に続き新年度の予算決議を可決 の付記参照

しかし、大型減税で財政の悪化は避けられず、与党議員にも異論がある。上院の「予算決議案」の議決でも共和党から1名が反対に回った。

法案が年内にそのまま実現するかは不透明である。



ワシントンDC の連邦地裁は10月30日、トランプ大統領が7月に発表したトランスジェンダー(心と体の性が一致しない人々)の米軍入隊を禁止する措置について、本審理で判断が下されるまで導入を差し止める決定を下した。

この措置を巡っては、トランスジェンダーの米兵らが8月に「憲法の下で平等に扱われる権利がある」として提訴していた。

原告の米兵らは、トランスジェンダーの入隊禁止が憲法に基づく適正手続きや機会均等の権利に違反すると主張した。判事は、トランプ政権が示す禁止理由が事実に裏付けられているとはみえないとし、原告らの主張が本審理でも認められる可能性が高いとの考えを示した。

なお、連邦地裁の決定は、性適合手術を受ける際の公費支出の禁止の差し止めの訴えに関しては「原告から影響が示されていない」として退けた。


司法省は連邦地裁の決定に失望しているとし、今後の対応を検討していると述べた。上訴する可能性がある。

付記

米国防総省は12月29日、「司法判断に従い、2018年1月からトランスジェンダーの入隊申請の審査を開始する」と発表した。

但し、性転換手術から18カ月間は体調が安定し、業務上支障がないことを証明する必要があるなど条件を付けた。

ーーー

米軍では2011年に、同性愛者であることを公言しない限り軍入隊を認める「聞かない、言わない」規定が撤廃されている。

トランスジェンダーの入隊の承認は、オバマ政権下の2016年6月に当時のカーター国防長官が発表した。方針には、軍ですでに勤務する人々が性転換を希望した場合の医療支援も含まれていた。入隊の条件としては、性転換後、1年半以上安定した状態だったと示せることが挙げられていた。

しかし、トランプ政権のマティス国防長官は今年6月、トランスジェンダーの新兵募集を半年間延期した。国防総省は、米軍の5軍が「入隊計画や、部隊の即応能力や攻撃能力に対する影響について情報を得るため」さらに時間が必要だとした。

その後、トランプ大統領は7月26日のツイッターで、「米軍のいかなる役務でも受け入れないことにした」とツイッターで表明した。

After consultation with my Generals and military experts, please be advised that the United States Government will not accept or allow transgender individuals to serve in any capacity in the U.S. Military.

Our military must be focused on decisive and overwhelming victory and cannot be burdened with the tremendous medical costs and disruption that transgender in the military would entail. Thank you

8月には、トランスジェンダーの入隊を実質禁止するほか、すでに在籍するトランスジェンダーの人が性適合手術を受ける際の公費支出を止めるよう指示する文書に署名した。

トランプ大統領は文書で「前政権は(受け入れ後に)軍の有能性などを妨げないという十分な根拠を示せていない」と前政権を批判し、「マイナス面がないかを判断するにはもっと研究が必要だ」として、判断できるまで無期限に入隊を禁止する指針を示した。

一方で、既に入隊しているトランスジェンダーについては、職務を続けられる可能性を残した。マティス国防長官が「部隊の結束」「予算的制約」などを考慮した上で扱いを決定するとした。

独立系シンクタンクのランド研究所による推計では、2016年時点で、約4,000人のトランスジェンダーが現役もしくは予備役として米軍にいた。
一部の活動家からは1万人以上いるとの指摘もある。


ーーー

トランプ大統領政権は2月22日、自認する性に応じたトイレの使用を許可する、トランスジェンダーの児童・生徒への学校による差別を禁じる政策を撤回すると発表した。

オバマ前政権時代の2016年5月、教育省と法務省は連邦政府から補助金を受けているすべての学校に、「本人が認識している自分の性別を、その児童・生徒の性別として扱わなければならない」という通達を出した。例えば、学校は、トランスジェンダーの児童・生徒が、本人の性自認に対応するトイレを使用できるようにしなくてはならない。

しかし、「出生証明書と同一の性別」のトイレを使うよう求める州法(通称「トイレ法案」)を導入しようとするテキサス州など13の州知事がこの解釈に反対を示し、2016年8月に連邦地裁が通達の一時差し止め命令を出したため、現在は保留になっている。

Yousef Al-Benyanとのインタビューを報じた。

石油化学原料も2015年12月29日から大幅に値上げされた。

メタンの価格はこれまでの100万BTU当たり75セントから1ドル25セントに、エタンは75セントから1ドル75セントに引き上げられた。
(米国の2017/9 のエタン価格は100万BTU当たり2ドル98セント)

2016/1/4 サウジアラビア 10兆円超の赤字予算、石化原料も値上げ


2. 統合について

SABICはすでにその方向に進み始めている。

SABICは本年8月に、Shell とのJVの SADAF の持ち分(50%) を820百万ドルで買収した。

SADAFはサウジのAl-Jubail地区にエチレン(年産110万トン)とエタノール(30万トン)、SM(110万トン)、MTBE(70万トン)、電解(ソーダ 67万トン)、EDC(84万トン)の6つのプラントを持つ。

2017/1/25 Shell、サウジのSABIC とのJV持ち分をSABIC に売却 

また、Jubail で隣接し、原料や管理、メンテナンスを共有する肥料3社の統合を検討している。


3. 海外事業について

SABICは、北米・中国・アフリカで、スぺシャリティとコモディティの両分野で買収を検討している。(詳細は拒否)

SABICはまた、石油価格の変動の影響を避けるため、グローバルに原料の多様化を考えている。

中国では2つの計画があり、本年末までに訪中し、計画を確定させたい。

① Sinopecとのポリカーボネート計画

SABICとSinopecは2011年5月17日、天津の両社の50/50JVSinopec SABIC Tianjin Petrochemical Company (SSTPC)でポリカーボネート(PC)を生産すると発表した。

能力は年産26万トンで、Sabic Innovative Plastics のホスゲンと溶媒塩化メチレンを使わない最新技術を使用する。

2015年の完成を目指す(としていたが、最終合意がされていなかった模様)

2011/5/26 SABICSinopec、天津でポリカーボネート生産 

② 神華寧夏煤業集団と中国でのCoal-to-chemicals 計画

SABICは2016年5月30日、神華寧夏煤業集団 (Shenhua Ningxia Coal Industry Group) との間で中国で石油化学コンプレックスを建設する協定書にサインしたと発表した。

SABICは声明で、寧夏回族自治区での新規のCoal-to-chemicals コンプレックス計画で、神華が供給する石炭を利用出来るメリットがあり、SABICの原料ソース多様化に役立つとしている。

2016/6/4 SABIC、神華寧夏煤業集団と中国での石油化学(石炭化学)計画で合意


③ AramcoとのOil-to-chemicals JV

SABICと Aramco は既に原油から化学製品を生産する投資額200億ドル以上のJV構想を明らかにしている。

原油やガソリン・ディーゼルの価格が石油化学品の価格よりも下がっているため、原油をガソリンにするより、原油から石油化学品を生産しようとするもので、Arabian Light やExtra Light 原油を原料とする。

日量40万バレルの原油蒸留設備や水素化などの原油処理設備とクラッカー、PE、PP、ブタジエンなどの設備を建設する。

立地としては、当初はYanbu かJubail か、Aramco/Dow JVのあるSadara かとしていた。

この計画はCOTCと呼ばれる。(Crude Oil-to-Chemicals の意味)

CEOは今回、この計画の立地が紅海沿岸のYanbuに決まったと述べた。「これは戦略的な立地だ。アフリカや欧州へのポジションを強化できる。Jubail もまだ成長のオプションを持つが、設備を一か所に集中しない方がよい」と述べた。

米ニューヨーク中心部マンハッタン南部で10月31日、小型トラックが自転車専用レーンに突っ込み、自転車利用者らを次々にはね 、8人が死亡、子どもを含む少なくとも11人が負傷した。

捜査当局は車を運転していたウズベキスタン出身のSayfullo Saipovの身柄を拘束。犯行時にアラビア語で「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んだとの目撃証言があり、過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う手書きのメモが見つかっている。

トランプ大統領は事件を非難し、米国が打ち破ったISを米国に入国させてはならないとし、アメリカへの入国許可を求める移民に関して極端な思想の審査を要求した。

We must not allow ISIS to return, or enter, our country after defeating them in the Middle East and elsewhere. Enough!

I have just ordered Homeland Security to step up our already Extreme Vetting Program. Being politically correct is fine, but not for this!
(政治的に正しかろうが、この問題ではダメだ。)

The United States will be immediately implementing much tougher Extreme Vetting Procedures. The safety of our citizens comes first!

また、容疑者の男が移民の多様化を図るプログラム("Diversity Visa Lottery Program")で、2010年に抽選でビザを取得して入国したとして、このプログラムを廃止する必要性を強調した。
この制度を推進したニューヨーク州選出のシューマー民主党上院内総務を厳しく批判した。
シューマー民主党上院内総務は、トランプ大統領の批判にすかさず反論し、「移民は米国のためになると常に信じてきたし、これからも信じ続ける。」と述べた。

The terrorist came into our country through what is called the "Diversity Visa Lottery Program," a Chuck Schumer beauty. I want merit based.

"Senator Chuck Schumer helping to import Europes problems" said Col.Tony Shaffer. We will stop this craziness!

この制度は、連鎖移住として、当選者の親族にも永住権を与えている。大統領は、同容疑者が23人を米国に連れてきた として、その親族も米国にとって脅威となる可能性があると述べた。

CHAIN MIGRATION must end now! Some people come in, and they bring their whole family with them, who can be truly evil. NOT ACCEPTABLE!

なお、ウズベキスタンは、大統領令で命じた入国禁止令の対象国(イラン、シリア、リビア、イエメン、ソマリア、チャド、北朝鮮、ベネズエラの8カ国)には入っていない。

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"Diversity Visa Lottery Program"

移民多様化ビザ抽選プログラムで、毎年国務省により実施されている。

移民国籍法203条(C)項の規定で「DV移民」のカテゴリーを設け、歴史的に米国への移民率の低い国の国民に移民ビザを発給する。
2018年度では50,000枚を発行する。

国務省が、ビザの条件を満たす者(高卒以上か、要求水準を満たす就業経験など)からコンピューターで無作為に選出する。6つの地域ごとに割当数が決められ、1つの国が年間発給数の7%を越えない。

過去5年間で5万人以上の移民を送り出した国(バングラ、ブラジル、カナダ、中国本土、インド、メキシコ、韓国、その他、計18カ国は対象外となる。

この制度は、当選者ばかりでなく、いわゆる連鎖移住(CHAIN MIGRATION)として、当選者の親族にも永住権を与えている。

韓国電力公社(KEPCO:韓国政府が51%保有)は10月26日、北海道千歳市で韓国電力公社社長、LS会長、LS産電会長などが出席し、28MW級の「千歳柏台太陽光発電所」の完成式典を行い、運営を開始した。

韓国電力初の韓国外での太陽光発電事業となり、建設から所有、運営権限、責任一切を事業者が持つ方式にて事業を行う。


千歳柏台太陽光発電所は、日本初のエネルギー貯蔵装置(ESS)連携の融合・複合太陽光発電所で、新千歳国際空港近くの約108平方メートルの敷地に、太陽光モジュール約13万枚と13.7MWh級のESS が構築された。


発電所の建設費用は113億円で、電力販売契約を交わした北海道電力を通じて、今後20年間に渡って、1kWh当たり40 円で販売される。
建設費のうち、約87億円は、韓国の産業銀行、ウリ銀行、サムスン生命などから調達した。

発電所の建設と運転および保守はLS産電(LS Industrial Systems)が引き受けた。

2015年に日本の再生可能エネルギー企業であるエネルギープロダクト㈱ と共同事業協約を結び、事業の妥当性調査と金融交渉を進め、発電所の建設・運営・維持契約を経て2016年4月に着工した。
韓国電力が80%、エネルギープロダクトが20%出資する。

エネルギープロダクトの事業は自然エネルギー・各種プラント・環境関連・システムに係わる設計/施工/運転/保守管理
・ 新エネルギーシステムの設計・施工(太陽光・風力発電)
・ 各種プラント・システムの設計施工
・ 各種プラント・システムの運転・保守管理
・ 各種実験装置・ユニットシステムの設計・製作
・ エンジニアリングサービス(化学装置設計)

太陽光発電については、自らも三沢市や四日市市に発電所を持つ。

LS産電は今回の発電所建設を通じて太陽光分野で技術力を証明し、事業開発のノウハウをもとに、グローバル市場の攻略に注力する。

具滋烈LS会長は、「LS産電と韓国電力が大韓民国の技術力で、北海道最大の太陽光発電所を構築したことは極めて象徴的なことだ」、「今回のプロジェクトの成功をきっかけに、LSが強みを持っている電力分野に新技術を融合させ、エネルギー産業のパラダイムを主導していきたい」と語った。

LSグループは、2003年11月にLG電線グループが分離し、設立した。「LS」はLeading Solutionの意味。

欧州とアジアを繋ぐ主要輸送プロジェクト、Baku-Tbilisi-Kars 鉄道の開通式典が10月30日、アゼルバイジャンの新バクー港にて開催された。


全長846キロの鉄道は戦略的にアゼルバイジャン、ジョージア(グルジア)、トルコをつなぎ、中央経済回廊にて極めて重要な役割を果たす。ジョージア(30キロ)からトルコ(79キロ)へと走行する全長109キロの部分が建設された。新しく開通した鉄道は、中国や極東から地中海地方や欧州へ、より短く、より速い陸上ルート(約14から18日)で貨物を積み替える新たな機会を提供する。



開通式典には、アゼルバイジャンの大統領、トルコの大統領、カザフスタンの首相、ジョージアの首相、ウズベキスタンの首相、その他要人らが出席した。

式典の後には、象徴的に犬くぎが打ち込まれ、 BTK初の貨物を公式に鉄道へと送り出す鉄道スイッチが引かれた。

カザフスタン北西から2846キロ横断し、鉄道フェリーでカスピ海を渡った後、貨物列車は新バクー港へ到着した。バクーからは4日間かけてトルコのメルシン港までさらに2002キロを旅する。

トルコ政府は中国-欧州間の輸送日数が海路の40日以上から2週間前後に短縮できると説明しており、当初の年間輸送能力は貨物650万トンと旅客100万人を見込む。

BTK鉄道が「一帯一路」で重要な意昧を持つのは、中国から欧州への鉄道輸送網において、ロシアを迂回する新たな選択肢となるからだ。

従来の中国と欧州を結ぶ鉄道は全てロシアを経由するが、今回のルートはロシアを経由しない。

BTU鉄道の開通で、ロシアを経由せずに中国から欧州に行けることとなる。カザフスタンの西端、カスピ海の東岸のAktauは中国のカザフ国境からの鉄道が延びており、鉄道フェリーが対岸のバクーと往来する。

厳冬期の温度管理が困難なハイテク製品や、クリミア半島併合に絡む制裁への対抗措置として、ロシアが通過を拒否する欧州産食品などの輸送に適するという。

アゼルバイジャンはBTK鉄道を活用し、自国の石油製品を欧州やトルコに、トルコは家電などの工業製品を中央アジアに拡販する狙いがある。ジョージアは国際的な物流網に参画することで経済面に加え、安全保障上の効果も期待する。

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