2011年12月アーカイブ

Chevron Phillips Chemical は12月24日、テキサス州のメキシコ湾岸で大規模エタンクラッカーと誘導品設備を建設する計画のFSが完了したと発表した。

同社は本年3月に、シェールガス開発で得られる有利な原料を利用する計画のFS実施を進めることを発表していた。

テキサス州BaytownのCedar Bayou工場が新しいエチレンプラントの建設場所となる。年産150万トンのエタンクラッカーで、Shaw Energy and Chemicals の技術を使用する。設計契約を締結している。

更に自社技術を使用して2基のポリエチレンプラントを建設する。能力はそれぞれ年産50万トン、合計100万トンで、Cedar Bayou工場か、テキサス州Old Ocean市のSweeny facility工場の近くかに建設される。最終建設場所は2012年第1四半期に決める。

温室効果ガスや排気などの環境関連の申請は年内に行う。

本計画の完成時期は2017年となっている。

Chevron Phillipsでは、シェールガスが米国の化学業界に与える有利な立場を活用していきたいとしている。

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Chevron Phillips Chemical は2000年にPhillip Petroleum のオレフィン、ポリマー、芳香族事業とChevronの同事業と統合し、50/50のJVとして設立された。
(Phillips Petroleumの本体は2002年にConocoと合併し、ConocoPhillipsとなっている。)

Chevron Phillips Chemical はサウジのSaudi Industrial Investment Group との50/50JVを3つ持っている。

Chevron Phillips Chemicalは12月7日、Saudi Polymers Company(エチレン1,165千トンのコンプレックス)の建設完了を発表した。商業生産は2012年第1四半期の予定。

2008/1/25 Chevron Phillipsのサウジ石化事業

Chevron Phillips Chemicalは住友化学とのポリプロピレンのJVのPhillips Sumika Polypropylene の工場を永久停止することを決めたが、Saudi Polymers Companyの製造するPPを米国で販売する。

また、カタールではQatar Petroleum とのJVのQ-Chemを持つ。

2006/6/1 湾岸諸国の石油化学ー2 カタール

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既報の通りLyondellBasellは低コストのエタンを利用してエチレンの増設を計画している。

2011/12/20   LyondellBasellの成長戦略

Shellは6月に、Appalachia地方でエチレンクラッカーと誘導品プラントの建設を検討していることを明らかにした。
豊富なMarcellus Shaleガスからのエタンを原料とする。

2011/6/14 Shell、アパラチア地方でエチレンクラッカー建設へ 

Dowも4月エチレンとプロピレンの能力増強を発表したが、Marcellusや南テキサスのEagle Ford などのシェールガスから価格面で競争力のあるエタンとプロパンを確保する目処がついたとしている。

2011/4/26 ダウ、エチレンとプロピレンの拡張計画を発表 
 

 

 

中国商務部は12月27日、公告第1133号で、2012年のレアアースの輸出方針を発表した。

1)2012年以降、軽希土と中重希土別に輸出枠を設定する。

ハイブリッド車(HV)用の高性能磁石に不可欠なジスプロシウムなどは第一次(80%)で3,204トンに限定され、年間でも4000トン程度に止まる。

2)第一次輸出割当は、厳しい環境検査を既に通過した五礦集團公司など11社に10,546トンを認める。これは年間の約80%になる。

明細  http://wms.mofcom.gov.cn/accessory/201112/1324971083368.xls

配分は過去3年の輸出数量比率と輸出金額比率の平均

3)仮割当は包鋼集團公司など20社に合計14,358トン。年間の約80%となる。

   2012年7月末までに中国環境保護部の環境レビューを終えれば与えられる。
   それまでにレビューにパスしない場合、枠は与えられず、その分は他に配分される。

明細 http://wms.mofcom.gov.cn/accessory/201112/1324971090733.xls

この結果、年間の輸出枠は2010年、2011年とほぼ同量の31千トン程度となる。
商務部は、「国際市場の需要を保証し、レアアース供給の基本的安定を保つため」、2011年と同水準に維持するとしている。

  2009 2010 2011 2012
  承認
 (11社)
仮承認
(20社)
合計
 (31社)
上期 25千トン 14,446トン 22,282トン 一次
(80%)
軽希土 9,095トン 12,605トン 21,700トン
中重希土 1,451トン 1,753トン 3,204トン
合計 10,546トン 14,358トン 24,904トン
下期 25千トン 15,738トン 7,976トン 二次
(20%)
      約6,000トン
年間 50,145トン 30,184トン 30,258トン 年間       約31,000トン

 

2011年1-9月で中国のレアアース輸出は1万1000トンで、昨年同期比65%減となっている。 

付記 2011年11月末現在の輸出量は1万4750トンで、通年の輸出枠の49%にとどまった。

中国工業情報化部では以下の通り述べている。

2011年のレアアース輸出割当は、余りが出るだろう。
中国はレアアースの輸出を制限していない。レアアース業界に対して行った規制強化も市場供給に影響しなかった。

輸出割当分の輸出が行われなかったのは、需要が減少したためである。
この主な理由はレアアース価格の高騰による需要の減少だ。これまでレアアース価格が低く見積もられていたが、現在はそれが是正された。

 

 

 

1) チッソ、セシウム除去・回収技術の開発に成功

JNC株式会社(チッソ)は12月26日、海水を含むセシウム汚染水を対象としたラボスケールでのセシウム(安定同位体)の除去・回収の技術開発に成功したと発表した。 

JNCは2012年2月20日、ベンチスケールでのセシウムの連続分離に成功したと発表した。

放射能汚染された土壌の洗浄水からセシウムを除去する方法に用いることも考えられるとしている。

セシウム汚染水に水溶性のフェロシアン化物を加えセシウム結合体とし、さらにセシウム結合体に磁性体原料となる塩化鉄を加えて反応させ、アルカリ水溶液を用いて磁性を持つセシウム結合体としたのち、磁石を用いてセシウム結合体を磁気分離することにより、汚染水からセシウムを除去・回収する。

フェロシアン化物はシアン(青酸)化合物の一種。鉄イオンとシアンが強く結びついており、毒性は低い。
フェロシアン化鉄(プルシアンブルー:紺青)が放射性セシウムには最も有効とされている。

本年4月に、東京工業大原子炉工学研究所が、汚染水に紺青を混ぜ、遠心力で分離した後、セシウムとともにフィルターでこし取るシステムを開発したと報じられた。

今回の技術は、磁気分離法を用いるため、迅速な分離操作の実現と密閉環境や遠隔操作による処理が可能となる。

海水を混合したセシウム濃度10ppm 程度の水溶液を用いたラボスケールの試験では、磁性を持つセシウム結合体を生成させる反応時間と磁気分離時間を合わせた処理操作は10分以内で完了し、1回の操作でセシウムが99.5%除去された。

JNCでは、ゼオライト等の固形吸着剤を使用する場合と比較して、短い処理時間で高いセシウムの除去率が得られ、さらに廃棄物量の低減が期待され、工業的に入手が容易で安価な材料のみであり、セシウム除去費用の削減も期待されるとしている。

現在、大量の汚染水処理を目的とした工業的なセシウム除去プロセスの確立を目指し、ベンチスケールの技術開発を進めている。

 

2) 可搬型の放射能汚染水処理システム「SARRY-Aqua」

東芝とIHIは12月22日、可搬型の放射能汚染水処理システム「SARRY-Aqua」を共同開発したと発表した。

福島第一原発で稼働する汚染水処理装置「SARRY」を小型化したもので、低濃度の汚染水をポンプで汲み上げ、吸着材が入った容器の中で汚染水から放射性セシウムを除去する。

処理能力は、汚染水1トンを1時間で処理することができ、処理装置をトラックに積載することにより、移動が可能となり、様々な場所で、放射性セシウムを含んだプール水や農業用水、除染で発生した水等の処理を行う。

 

3) 移動式土壌浄化装置

東芝は12月26日、移動可能な放射能汚染土壌の浄化システムを開発したと発表した。

シュウ酸溶液でセシウムを土から溶かし出し、吸着材が入った容器に通して回収する。処理能力は1日1.7トンで、元の場所に土を戻せる水準まで除染できるという。

 

 

付記 (2012/3/1)

土壌の放射性セシウムを、加熱処理で99.9%除去する技術を太平洋セメントや中央農業総合研究センター(茨城県つくば市)などの研究チームが開発した。

福島県内の農地の汚染土に2種類のカルシウム化合物を加え、1350度まで加熱。セシウムの99.9%が揮発してフィルターで回収できることを確かめた。カルシウム化合物の添加で、土壌の粒子とセシウムの結びつきが弱まるのが今回の技術のポイントという。

 

第一三共は12月21日、インド子会社のRanbaxy Laboratoriesが米国FDAと同意協定書を締結したと発表した。
メリーランド地区合衆国連邦地方裁判所の承認を条件としている。

第一三共は2008年6月11日、インドのジェネリック医薬品大手 Ranbaxy Laboratories 及び創業家一族との間で、同社の議決権総数の50.1%以上を取得する契約を締結したと発表、11月7日、Ranbaxy株の63.9%を取得したと発表した

しかし買収手続き中の2008年9月16日に、米国FDAはRanbaxyの医薬品30種以上の輸入を一時停止した。

医薬品の安全性に問題はないが、Ranbaxyのインドのデワスとパオンタ・サヒブにある2つの工場で、製造器具の洗浄状況、生産管理、品質管理などに関する記録の保存に関して問題が改善されていないためとしている。
また、FDAが1月から3月にかけて問題の2工場を査察した際、抗生物質の取り扱い方法にも問題が発見されたという。

2009/1/8 第一三共、ランバクシーの評価損計上

Ranbaxy Laboratoriesは本年11月30日に、高コレステロール血症治療剤アトルバスタチン(Atorvastatin ) 「リピトール」の後発薬を米国で発売した。
同社は当初、
インドでの原体生産を検討していたが、米国への輸入が認められていないため、Teva Pharmaceuticalに原体の生産を委託せざるを得なかった。

2011/12/5  第一三共子会社 Ranbaxy、米国で「リピトール」の後発品を発売

今回の同意協定書で、Ranbaxyは、データの信頼性を確実にするための手段や方針を更に強化し、現行の適正製造基準を遵守することを確約することとなった。

また、これまでの行為に対し、米国司法省との案件の解決で罰金の支払いが必要となるが、Ranbaxyはこのため、500百万米ドルの引き当てを行う。

第一三共では、5億ドルの引き当てにより、Ranbaxyでの税引後で375億円の利益減、少数株主持分控除後の純損益で240億円の利益減を見込み、損益予想の修正を行った。

第一三共では、Ranbaxyの全ての施設が、法規制を遵守した高い水準で事業遂行することに引続き取組み、患者や消費者に価値ある製品を提供するよう、積極的に関与していくとしている。

また、本件解決後に Ranbaxyは製品の米国輸入を再度認められることになるが、世界最大の医薬品市場である米国において、アトルバスタチンを含む既存品の拡大に加え、重要新製品の上市に向けて事業活動を強化するとしている。

 


 

九州電力の玄海4号機が12月25日深夜、定期検査のため運転を停止、これにより、九電管内の全6基の原発が止まった。
再稼働がなければ、来年春には全原発が停止することとなる。

現在、全国の54基中、稼働は以下の6基のみ。
  北海道電力 泊3号
  東京電力   柏崎刈羽5号(2012/3定修)、6号(2012/4定修)
  関西電力   高浜3号(2012/2/20定修)
  中国電力   島根2号(2012/1/下旬定修)
  四国電力   伊方2号(2012/1/下旬定修)

 参考 2011/6/13 原発の再稼働問題


このうち、泊3号機は3月7日に定修を終えて原子炉を起動し、調整運転に入ったが、営業運転開始の手続きをせず、5か月間運転を続け、問題となった。(関西電力大飯1号機も同様で、3月10日に調整運転に入った。)

2011/7/13 原発の調整運転問題

政府は調整運転中の泊原発3号機について、「最終検査は再稼働ではなく、運転継続である」とし、ストレステストは運転中の原発を対象にした2次評価のみを実施するとした。
これを受けて、北海道電力は泊3号機の定検の最終検査を国に申請、8月17日に営業運転を開始した。

本年3月7日からの運転のため、来年春には定修入りとなる。

なお、同様に調整運転中であった大飯1号機は7月16日に緊急炉心冷却システムを構成するタンクの圧力が低下するトラブルがあり、保安規定に基づき原子炉を手動停止した。 
再稼働にはストレステストが必要となる。

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停止中の原発の再稼働には、7月11日に政府が発表した再稼働の可否などを判断する新たな安全評価が必要となる。

1) 一次評価(先行実施)
   対象:定期点検中で起動準備が整った原発
   目的:再稼働の可否を判断
   内容:大規模な地震や津波など設計上の想定を超える事象に対し、
      重要な施設、機器などがどの程度の安全度を有しているかを評価

2) 二次評価
   対象:全原発
   目的:運転継続または中止の必要性などを判断
   内容:欧州のストレステスト
実施状況や福島原発の事故調査・検証委員会の検討状況などを踏まえ、
       今後、内容や実施時期を確定

2011/7/12 原発の安全性基準に関する「政府統一見解」

12月21日現在で、8基について一次評価の報告書が提出されているが、原子力安全・保安院での評価はまだ終わっていない。

原子力安全・保安院ではストレステストの審査状況をウェブサイトで公開している。
国と電力会社とのやりとりを載せて審査の透明性を高める狙いで、一般からの質問や要望も受け付ける。

http://www.nisa.meti.go.jp/stresstest/stresstest.html

 

Dowとトルコのアクリル繊維メーカーのAksa Akrilik Kimya Sanayiiは12月20日、カーボンファイバーと誘導品を製造販売するJVを設立する契約を締結した。

両社は6月にカーボンファイバーと誘導品を製造するJV設立の覚書を締結したと発表している。

2011/6/17 SABIC、カーボンファイバーの技術導入;DowもJV設立の覚書 

今回の発表では、出資は50/50で、投資額は(将来の第三者の出資も含め)5年間で10億米ドルに達する見込み。

JV はYalova市にあるAksaの既存のカーボンファイバープラントを拡張、大規模プラントを建設する。
Dowではカーボンファイバー複合材料の市場は世界で100億ドルだが、2022年までに400億ドルに達すると予想している。

能力は明らかにしていないが、Aksaの既存プラント能力は年産1,500トン、現在第2系列2,000トンを建設中で、2012年には合計3,500トンとなる。

Aksaでは将来の目標能力を15,000トンとしており、これをJVで達成しようとしている可能性がある。

なお、PAN系炭素繊維では東レ、東邦テナックス、三菱レイヨンの3社が海外の拠点を持ち、世界市場のほとんどを押さえている。

    現在の能力

東レ  17,900トン 2013/1 21,100トン 
東邦テナックス 13,500トン    
三菱レイヨン 8,150トン    
3社 計 39,550トン    


2006/9/9
炭素繊維 

昨日の「回顧と展望」に記載の通り、日本の3社は長年にわたる技術の積み重ねと、日米欧に製造拠点を持つ供給体制で、サプライチェーンの中での「主導権の確保」を行っており、DowやSABICが頑張っても、追い付くのには時間がかかるであろう。

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Aksa は、化学、エネルギー、不動産、繊維の各部門で活躍するAKKÖK Group の一員で、アクリル繊維(カーボンファイバー原料)の製造能力は年産308千トンで、1プラントでは世界最大。世界市場で14.2%以上のシェアを持っている。

同社
1968年に設立され、Yalova市に1971年に年産5千トンのアクリル繊維プラントを建設、1986に100千トンに、1997に200千トンに拡大、2007年に現在の能力に引き上げた。

売上高は2010年が850百万ドルで、2011年には900百万ドルを超える見込み。

 

 

石化の不振を受け、日本の化学メーカーは液晶材料やリチウムイオン二次電池用材料等のハイテク材料分野に注力している。

これについて2006年3月のハイテク材料バブル説」のなかで、下記の通り述べた。

ハイテク材料は以下の問題を内包している。

・化学以外の他の業界からも殺到するため、過当競争となる。

・需要分野の進展が急で、新製品・新製法の開発により折角投資した材料の需要が急になくなる可能性がある。

・供給先が競争に敗れ撤退する可能性(他社に供給できればよいが・・・)

・新製法等での競合材料の出現

・需要家自体が材料分野に進出する可能性

・需要自体がバブルである可能性 (光ファイバーの例)

最先端を走っていた液晶材料が早くも問題に直面している。

日本の大型液晶パネルメーカーは韓国、台湾勢に押され、各社とも生産を縮小している。
加えて2012年以降、
中国企業が建設中の大型パネル工場も相次いで稼働するため、世界の液晶パネルは2012年に約1600万台の供給過剰になると言われる。

既に、液晶パネルで世界の上位4位を占めるSamsung、LG、友達、奇美の4社が本年7~9月期に赤字となった。

パナソニックは茂原工場を売却、約3千億円を投資し2010年1月に稼働した姫路の最新プラントも一部は中小型パネルに切り替える。シャープも亀山工場をモバイル向けを中心に転換する。

2011/10/31 液晶パネル事業の現状と課題

更に、パナソニックは2012年前半にも姫路工場に有機ELパネルの製造設備を導入する方針を固めた。
(有機ELについてはソニーが2007年末に世界で初めて11型テレビを発売したが、2010年に国内向け販売を終えた。)

韓国のサムスン電子は有機ELテレビ市場に来年後半までに参入する方針で、まず55型などの大型テレビから投入し市場の動向を見極める。LG電子も55型の同テレビを同時期に発売する予定。

付記 LD Display は12月26日、有機ELパネルでTV用の55型を開発したと発表した。
        LG電子が2012年後半に有機ELテレビを発売する。

中小型液晶パネル事業については官民ファンドの産業革新機構が70%、東芝・日立・ソニーが各10%出資して「ジャパンディスプレイ」を設立するが、ソニーは業務用の有機ELパネル事業のうち中小型品の生産を同社に移管する。

付記
ジャパンディスプレイは2012年4月に発足した。
有機ELパネルについて日立製作所から取得した茂原工場に試験設備を設けて研究を進めており、12年度中にも製品のサンプルを通信機器メーカーなどに出荷し、2013年度にもスマートフォン向けの量産を始める。

有機ELの権威、山形大学の城戸淳二教授はブログ「大学教授のぶっちゃけ話」で以下の通り述べている。

ジャパンディスプレイといい、パナソニックといい、日本勢が有機ELで反撃開始です。
でも、これで一番困るのは液晶メーカー。
これまでサムスン1社で中小型有機ELを供給してたけど、これで需要と供給のバランスがあって、セットメーカーは液晶にサヨナラできる。 
液晶一本足打法だとパネルメーカーの寿命はあと5年、と見た。 

住友化学など液晶材料メーカーは競争による値下がりで大きな影響を受けているが、今後、需要そのものの減退→消失で先の見込みがなくなることとなる。 

三井金属は液晶パネル用のフィルム基板「チップ・オン・フィルム」で一時は世界で4割のシェアを誇ったが、12月22日、2013年3月末までにこの事業から撤退すると発表した。国内2位だった日立電線も3月に撤退済み。


リチウムイオン二次電池用材料については需要はこれからさらに増えることは確実で、 三菱化学など各社は争って原料の増設を行っている。

経産省などは10月に「2011年版ものづくり白書」を発表したが、その中にリチウムイオン電池の状況がある。

2004年と2008年における日系企業の世界シェアを比較すると、最終製品については、特にシリンダ型電池、リチウムイオンポリマー二次電池における低下が目立っている。これは、韓国・中国企業の躍進によるところが大きい。

一方、部素材においては、負極材、セパレータ、バインダー等、2008年においても80%を超えるシェアを維持しているものも多い。 

しかし、ヒアリングの結果によると、至近では部素材分野でも韓国・中国企業等のシェアが拡大し、日本製品のシェアは下降傾向にある。その背景としては、大規模集中投資や品目の絞り込みによるコスト競争力の強化を通じた、韓国・中国製最終製品の世界シェア拡大を指摘する声が聞かれた。

リチウムイオン二次電池用材料での懸念はこの韓国・中国製最終製品の世界シェア拡大である。

日本の化学業界は材料から入っている。多くの企業が相次いで参入し、競っている。

これに対し、韓国のLG化学は、材料ではなく気自動車用バッテリー分野で世界1位となり、韓国の現代・起亜車と電気自動車メーカーのCT&T、米国のGMと自動車用部品メーカーのEaton Corporation、中国の長安汽車、スウェーデンのボルボの6社と電気自動車用バッテリー供給契約を結んだ。

更に、LGとGMは8月25日、LGによるGMへのバッテリー供給での協力関係を拡大し、電気自動車を共同で開発すると発表した。
   
2011/8/29 韓国LG、GMと電気自動車の共同開発へ 

二次電池用材料については上記の通り日本が抑えているが、韓国政府は2010年に、二次電池(充電式電池)を次世代の基幹産業に育てる2020年までの長期計画をまとめ、材料についても日本を追撃する態勢を整えている。
    
2010/7/15 韓国、「二次電池の競争力強化に向けた統合ロードマップ」を確定

LG自身、二次電池用材料への上流進出を匂わせている。

現在では、特殊なノウハウを握ることで技術を抑えるのは難しく、韓国や中国が日本に追随するのは時間の問題である。
最終製品で日本企業のシェアが低落するなかで、最終製品を支配するLGなどが材料に遡れば、日本の材料メーカーは早晩、苦しい立場に追いやられることとなる。

伊丹敬之・東京理科大学教授は、産業の中心科学が物理学から化学へとシフトしており、多くの化学素材が様々な消費財や産業財の中で、必須の部分として使われ、産業が化学化しつつあるとするが、同時に、イノベーションを担うのが化学企業となるかどうかは別の問題であると指摘している。

多数のメーカーが流行を追って進出し競合するのではなく、LGのような戦略思考が必要であろう。

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今年、新しい本が出版された。

   

化学産業の時代
日本はなぜ世界を追い抜けるのか

橘川武郎(一橋大学大学院商学研究科教授)
平野 創(成城大学経済学部専任講師)/共著

 

 

日本の化学会社の各事業を分析、①事業規模の拡大、②サプライチェーンの中での「主導権の確保」による高付加価値化の果実の収益化が必要であるとし、以下のとおり結論づけている。

日本の化学メーカーが採用しうる高収益シナリオは、
① 特定の高機能品事業に集中する「特定機能化学」、
② エチレン製造設備を擁しながら軸足を高機能事業に移す「総合機能化学」、
③ 特定の汎用品事業をグローバルに展開する「グローバル汎用化学」、
④ エチレン製造事業をグローバルに展開する「グローバル総合化学」、
の4つに分けることができる。 

日本の化学産業が次のリーディング・インダストリーとなるためには、ハイエンド市場(高付加価値化の果実の収益化)とローエンド市場(事業規模の拡大)とを同時に攻略する2正面作戦の展開が必要不可欠で、2正面作戦を展開し、2つの課題を同時に達成することができれば、日本の化学産業は、次のリーディング・インダストリーとなり、世界を追い抜くことができる。

 

実際の日本の化学産業はリーディング・インダストリーとなるには難しい状況にある。

まず、高付加価値化が高収益につながらないことである。

上の液晶材料や二次電池用材料にみられるように、高付加価値製品を多くの企業が競って供給するだけで、サプライチェーンの中での「主導権の確保」には至らず、暫くすると韓国・台湾・中国に追い上げられることとなる。

①の特定機能化学の成功例にはニッチ狙い(競争者が少ない)が多いが、成功すれば新規進出のおそれが出てくる。

二次電池でのLGのように、サプライチェーンの中での主導権を確保する「戦略」が必要である。

日本の化学業界で数少ない成功例は炭素繊維である。

PAN系炭素繊維では東レ、東邦テナックス、三菱レイヨンの3社がそれぞれ日・米・欧に拠点を持ち、世界市場の75%を押さえている。

1970年代に釣竿やゴルフシャフトから始め、当初参入した多くの欧米の企業が1990年代に相次いで撤退する中、長年にわたり開発を続け、飛行機や自動車 用に採用されるに至った。

全日空が今秋、世界で初めて就航させた米ボーイングの新型中型旅客機「787」は炭素繊維複合材料を全体重量の50%に用い、従来機「767」に比べて20%軽くし、燃費と航続距離の向上、CO2の排出削減につなげた。
東レのプリプレグだけがボーイングの1次構造認定を取得しており、東レがプリプレグを全量供給する。

自動車では帝人がコンポジット製品を1分以内で成形する量産技術を確立し、GMと組んで、量産車向けの開発を行う。

東レも炭素繊維複合材料 (CFRP)の革新的成形技術である「ハイサイクルRTM成形技術」を活用し、ダイムラーAGとCFRP製自動車部品を製造・販売する合弁会社を設立した。

三菱レイヨンもドイツの炭素繊維メーカーのSGL TechnologiesとJVを設立し、BMW向けの炭素繊維のプレカーサーの供給を行っている。

2011/12/15 自動車向け炭素繊維複合材料の開発が進展

長年にわたる技術の積み重ねと、日米欧に製造拠点を持つ供給体制で、サプライチェーンの中での「主導権の確保」を行っており、他社が追い付くのには時間がかかるであろう。

 

次に、②の軸足を高機能事業に移す「総合機能化学」の基礎であるエチレン製造設備が、このままでは破綻しかねない。

三菱など総合化学大手5社の石油化学部門の業績が急減速している。欧州債務危機を機に世界景気の減速懸念が強まるなか、石化製品の市況は大幅に悪化した。業界ではエチレンの11年生産量は16年ぶりの低水準にとどまるとみられており、設備再編の圧力が高まりそうだ。(12/13 日本経済新聞)

ベースのエチレンセンターが破綻すれば、総合機能化学はあり得ない。

国内エチレン生産は500万トンまで縮小するのが明らかなのに、能力は800万トンのままである。

この問題はこれまで何度も述べてきた。(過去の「回顧と展望」)

石油化学に関しては、日本の現状は世界の動きと異にしている。筆者は「ガラパゴス鎖国」論として述べた。

三菱化学では2015年の国内エチレン生産は500万トンまで縮小、その後も更なる縮小を懸念しており、エチレンや汎用品事業を再編・再構築事業としている。

しかし、水島のエチレンの対応は、旭化成との折半出資の西日本エチレン有限責任事業組合で両社のエチレンを統合するが、どちらのエチレンも止めず、単に減産体制をとるだけである。

出光興産と三井化学の「千葉ケミカル製造有限責任事業組合」も同様である。

欧米の大企業なら、今後成長の見込みがないなら、早急にその事業を止め、経営資源を他の事業に向けるであろう。
三菱化学によると、海外での説明会で、どうして石油化学をやめないのかとの質問を受けたという。

仮に事業を縮小しながらも継続するなら、(水島や千葉のケースなら)、どちらかの設備を廃棄して残りをフル稼働し、もし不足があれば購入すればよい。

実際には、どちらも自社の設備の廃棄に応じず、一時は交渉が破綻しかけたとされる。

上記の「ものづくり白書」では、これが「グローバル競争に向けた再編」として取り上げられ、「事業統合により、最適な生産体制・効率的な事業運営の実現を目指す」と誇らしげに書いている。

有限責任事業組合(LLP)制度
2005年8月に創立されたが、それ以前に実質的に同様な運営は株式会社または有限会社で実施されている。
産構法後の石化増設に当たり、大規模設備をつくる必要から、数社が生産枠を持ち寄ってJVとして建設し、原価基準、生産枠によるTake or Pay 方式で運営した。エチレン30万トン時代の輪番投資も同様である。
(いずれも需要増大に合わせ、JVを解消した。)
これらの場合は、個別に需要に合わせた小規模設備を建設するのと異なり、全く合理的なものである。

しかし、縮小均衡のための統合でありながら、設備を廃棄しないのであれば、少々のコストダウンが出来るだけで、「最適な生産体制・効率的な事業運営の実現」とは言えず、「グローバル競争に向けた」抜本的な解決にはならない。

三菱化学はPP(日本ポリプロ)では、鹿島にチッソ気相法による300千トンの最新鋭プラントを建設し、同能力の老朽スラリープラントを停止した。

しかし、PEの日本ポリエチレンもPPの日本ポリプロについても、いずれも4社の5工場を抱えたままで、なかには小規模のプラントもある。

合理的に考えれば、事業の統合を行う場合、S&Bを通して最適体制(例えば東西2工場など)をつくるのがよい。
しかし、三菱化学は両JVに50%以上を出資する支配株主であるが、他社のコンプレックス内にあるプラントを自由に処分できない。

現在の体制は、参加各社の設備を守るということを前提にしているように思われる。
結果的には、三菱化学によるPE、PPの大統合が、各社のエチレンの存続を保証する形になっている。

恐らくは、PEやPPの停止がエチレンの停止につながり、そのコンビナートが立ち行かなくなるからであろう。上記の水島の例も同様である。

その背後には、日本では従業員を簡単に解雇することが出来ず、他の事業への転用も難しいことがある。

他のコンビナートも同様である。

丸善石油化学のコンビナートの場合、旭硝子は早くに千葉の電解とVCM(京葉モノマー)を止め、鹿島の電解に集中したいとの意向を表明した。
宇部興産も千葉のPEを停止する意向を示した。

しかし、丸善石油化学がこれに反対し、京葉モノマー(丸善石化も株主)は存続させ、PEについては丸善石化とのJVの宇部丸善ポリエチレンとして存続させた。

コンビナートの維持が最適体制確立に優先し、しかも、それを当然のこととして誰も問題視しないのは、まさにガラパゴス鎖国といえる。(海外の石化の状況と異なるだけではなく、大胆な改革を行っている国内の他の業界とも異なる。)

このままでは、エチレンの需要が激減しても、エチレンの能力は変わらないままで、各社が共倒れになりかねない。

なお、住友化学の戦略はかなり合理的である。

同社のエチレンは1基415千トンだけである。エチレン需要増大を受け、(自社での増設ではなく)1995年に丸善石油化学のつくった京葉エチレンに三井化学とともに参加し、25%の引取権を得た。
合わせて1998年に千葉塩ビモノマーを停止し、原料エチレンを高採算品にまわした。
(PVCからは2001年に撤退、プラントは残して、トクヤマの新第一塩ビから製造受託している。)

PE、PPについては当初は他社とのJVの千葉ポリエチレン、千葉ポリプロで増設したが、需要増大に伴い、JVを解散し、自社設備とした。(見返りに設立した宇部ポリプロはその後、停止した。)

早くも1984年にシンガポールのエチレンコンプレックスが稼働、1997年に2期計画が稼働した。

その後サウジに進出、PetroRabighが2009年に稼働を開始した。
現在Aramcoとの間で、多くの新規誘導品を含めた第2期計画の検討を行っている。

同社はエチレンや誘導品の国内での規模にこだわらず、自社の枠内で最適化を図るとともに、海外で規模を拡大し、研究開発費の負担を軽減している。


日本のエチレンの需要が減少しても、依然として石化製品の需要はあり、石油化学事業はなくならない。機能製品の開発は常に日本が先行しており、国内での生産は必須である。

生産体制の改革が出来れば、2正面作戦により次のリーディング・インダストリーとなりうる可能性はある。


 

 

米科学誌Scienceは12月23日号で、2011年のBreakthrough of the Year を発表した。

付記 Nature News Blogに各成果の簡単な解説と、詳細記事の案内がある。

1位は HIV Treatment as Prevention で、抗レトロウイルス薬 (Antiretroviral drugs) 療法でパートナーへのHIV感染リスクを96%減らせることを示した臨床試験が選ばれた。

本年5月に、米ノースカロライナ大医学部のMyron Cohen所長率いる国際研究チーム(HIV Prevention Trials Network)が発表した。

日本から2つが入った。

Hayabusa

小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワから持ち帰った微粒子の分析で、太陽風が小惑星を変色させることが分かった。
The samples helped to settle the mystery about why asteroids are a different colour than most of the meteorites that fall to Earth (answer: the solar wind has discoloured the asteroids).

Photosystem II

神谷信夫・大阪市立大教授や沈建仁・岡山大教授らが、植物の光合成を担うタンパク質の働きを解明した。 

光合成のうち、酸素と電子などを発生させる水分解の過程は、葉緑体に含まれるタンパク質複合体で行われていることが判明しているが、沈教授らが藻類からタンパク質複合体だけを取り出して純度の高い結晶を精製。これを神谷教授らが大型放射光施設「スプリング8」に持ち込み、構造を解析した。

タンパク質複合体が水を分解する根幹部分には、マンガン原子4個、カルシウム原子1個、酸素原子5個が歪んだ椅子の形に結合していたという。

同じ化学構造の触媒を人工的に作ることができれば、「人工光合成」として太陽光から電気を効率よく取り出せる可能性が生じるといい、神谷教授は「エネルギー問題を一気に解決する足がかりになれば」と話している。 

 

その他は以下の通り。

Ancient Interbreeding

2010年に発表されたヨーロッパ人とアジア人がDNAの2~6%をネアンデルタール人から受け継いでいるとの研究成果に引き続き、ネアンデルタール人との性交渉が現生人類の免疫機能を高めたことが新分析で分かった。

Pristine Gas

ビックバンから数億年後の初期宇宙に見られるような原始的な水素ガス雲が発見された。

Microbiome

人間の腸に宿る微生物には、高たんぱく食を好むものと野菜を好むものの2種類がいることが分かった。

Malaria Vaccine

アフリカで大規模な臨床試験が行われている世界初のマラリアワクチン「RTS,S」について、子供の感染リスクが半減したとする有望な初期結果が得られた。

Exoplanets

深宇宙で不思議な太陽系外惑星(主星を周回する密集した6個の大型惑星、主星の自転方向と反対の向きに公転する巨大ガス惑星、主星を持たないと見られる10個の惑星、主星が2つある惑星など)の発見が相次いだ。

Designer Zeolites

多孔質の天然鉱石ゼオライトの孔の大きさを変更し、薄くて安価な皮膜を開発した。

Senescent Cells

マウスの実験で、老化細胞を体内から取り除くと白内障の発症や筋力の衰えが遅れることが分かった。古い細胞を除去すると生活の質を向上できる可能性が示された。

 

 

元Dow AgroSciencesの研究者のKexue Huang(黄科学)は12月21日、経済スパイ法(Economic Espionage Act)違反で 7年3か月の禁固刑の判決を受けた。 

黄科学は中国で生まれ、米国の永住権を持つカナダ国民で、吉林農業大学で生物学を専攻し、日本で博士号を取得した後、Texas A&M University、Rice Universityで研究生活を送り、2003-08年にDow AgroSciencesに勤務し、殺虫剤の開発に従事した。

2008年にバイオ技術者としてCargill に移った。

Dow AgroSciences時代に秘密情報を少なくとも2人に流した。そのうちの一人は湖南師範大学の研究者。

Cargill でも同社の秘密情報(新しい食品の製造のための主材料)を盗んだことを認めている。

 

付記

2012年1月12日、元Dowの研究員であったWen Chyu Liu (刘文秋:通称 David W. Liou) がDowの塩素化塩ビの秘密を盗み、中国企業に売った罪でルイジアナ州Baton Rougeの連邦地裁で禁固5年の判決を受けた。

1965年から1992年までDowに勤務していた。

ーーー

同様の事件はこれまでに多数起こっており、DuPontでは元社員二人が有罪になっている。

2007年に中国生まれで、後に米国の市民権を取得したGary Min(闵盖里)が同社の最も有名な製品(複数)についての推定4億ドルの価値のある情報をデータベースから盗み、懲役18ヶ月の判決を受けた。

2009年にはDuPont は同社の有機ELに関する企業秘密を盗んで母校の北京大学に持ち帰ろうとした中国生まれの研究員Hong Meng (孟鸿)を解雇した。孟鸿は有罪を認め、2010年10月に禁固14か月となった。

2009/9/12 DuPont、産業スパイを摘発

 

 

2011年の日本の「今年の漢字」は「絆」となった。

2007年 「偽」 (食品表示偽装、年金記録問題、TV番組捏造問題)
2008年 「変」 (オバマ次期大統領のChange !)
2009年 「新」 (民主党政権発足、オバマ新大統領就任)
2010年 「暑」 (記録的猛暑)

 

中国でも2006年から「今年の漢字」が発表されている。

昨年は 物価や利息、不動産の値上がりを表す「(2007年に次いで2回目)であったが、本年は「控」となった。

」はコントロール、抑制の意味で、昨年のの流れを受け継ぎ、物価上昇を抑えるという政府の努力と国民の期待を反映したものとされている。 

 

これまでの漢字は以下の通り。

2006年 「」(マスコミを利用した大々的な宣伝や投機的な売買)
2007年 「」(物価や株、不動産の値上がり)
2008年 「」(北京五輪の開催)
2009年 「」(させられる、受身的な生活)
2010年 「」(物価や利息、不動産の値上がり) 


合わせて、「今年の単語」と「中国メディア十大新語」も発表された。

「今年の単語」は中国の単語が「傷不起」(「つらいよ!」「大変!」の意味)、世界の単語が「欧債危機」(欧州債務危機)となった。

「2011年度中国メディア十大新語」は以下の通り。

「傷不起」   「つらいよ!」「大変!」
「起雲剤」    食品添加物。台湾品に可塑剤成分DEHP含有が見つかり、大問題になった。
虎媽」   中国式のスパルタ教育ママ(イェール大学 の中国系チュア教授の超スパルタ教育が話題に)
「政務微博」   政府公式マイクロブログ
「北京精神」    北京市発表の愛国・創造・寛容・道徳を主とする北京魂
「走転改」    組織の末端を歩き、習わしを変え、体制を改めると銘うった政府の活動
「微電影」   短期間・低予算制作の短編映画
「加名税」   不動産名義追加税。結婚後に夫婦双方の名義に変更する場合にかかる税金
「淘宝体」   大手ショッピングサイト・淘宝(タオバオ)で、出品者が商品説明文で使う独特の言い回し
「雲電視」   クラウドコンピューティングを利用したテレビ

 

 

 

英科学誌 Nature は12月21日号で「今年の10人:Ten people who mattered this year」を掲載した。
 

そのなかに、東京大学アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授が選ばれた。
「フクシマのうるさ方(
Fukushima's gadfly)」のサブタイトルがついている。 

教授は放射線体内被曝の専門家で、7月27日の衆議院厚生労働委員会で意見を述べた。

「どうやって本当に除染をやるか。
7万人の人が自宅を離れて彷徨っているときに国会は一体何をやっているのですか。

 

他の9人は以下の通り。

Dario Autiero: Relativity challenger

ニュートリノ振動を検証する国際共同実験(OPREA実験)のコーディネーター

研究グループは、ニュートリノよりも早い可能性があると発表 した。

Sara Seager: Planet seeker

   太陽系外惑星の研究を行っているマサチューセッツ工科大学の天文学者(女性)

Lisa Jackson: Pollution cop

米国EPA長官(女性)

Essam Sharaf: Science revolutionary

エジプト暫定内閣の元首相、カイロ大工学部教授の経歴

デモ隊と治安部隊の衝突が続くなか、11月21日、 「一連の混乱は遺憾」として、暫定統治に当たる軍最高評議会に対し辞表を提出した。

Diederik Stapel: Fallen star

長期にわたる論文データ捏造が話題となった社会心理学者

データのねつ造は過去10年近くにわたり繰り返し行われていたことが判明した。

Rosie Redfield: Critical enquirer(女性)

NASAの「リンの代わりにヒ素を使う生物発見」の論文をブログで批判したカナダ人微生物学者
 

 
NASAはこの会見を「宇宙生物学上の発見」と予告していたが、このことから「宇宙人発見か」と誤解され、話題になった。

 「この論文の著者は、単に無能な科学者なのか。それとも、『地球外生命を発見した』と大声で叫びたがるNASAの片棒をかついでいるのだろうか」

Danica May Comacho: Child of the times

「70億人目の赤ちゃんたち」のひとり

Mike Lamont: The Higgs mechanic

欧州原子核研究機構(CERN)の技術者

CERN
は12月13日、大型粒子加速器「LHC」を使って、あらゆる物質に質量を与えたと考えられる仮説上の素粒子「ヒッグス粒子」の存在を確認する手がかりを得たと発表した。

John Rogers: Tech exec

「表皮電子装置」を開発した物理学者で起業家

皮膚と同じくらい柔らかく、重さはゼロに近い。皮膚に貼ればワイヤレスでその人の脳や心臓、筋組織の活動を監視でき、喉に貼れば、音声作動式のコンピューターゲームを90%以上の精度で操作できるという。
 

EUとウクライナは12月19日、キエフで首脳会議を開いたが、目指していた自由貿易協定を含む連携協定の調印を見送った。

 

EUとウクライナの自由貿易協定交渉は、2008年2月5日にウクライナのWTO加盟手続が終了したことを受け、同年2月18日に開始された。

「EUはウクライナの (他を遥かに凌ぐ)最大の輸出先であり、経済関係の緊密化を通じて通商と投資を増大させるにあたって、明白なパートナーである。」(EU発表)

2009年9月には協定名称を「連合協定 (Association Agreement)」とし、政治・経済面の協力強化を図るものとすることが決まった。

別途、2009年5月にはウクライナを含む旧ソ連6か国(他にアルメニア、アゼルバイジャン、グルジア、モルドバ、ベラルーシ)とEUの間で「東方パートナーシップ」が発足した。関税や査証の撤廃など、協力関係の強化のために定期的に会合を開いている。

2010年3月、ヤヌコーヴィチ大統領はウクライナ外交にとって欧州統合が優先課題であることを改めて表明した。

ウクライナはFTA創設合意、連合協定、EU査証廃止の3つの目標を掲げ、2011年9月の東方パートナーシップ首脳会合において、包括的FTA創設交渉は2011年中の終了が可能と確認された。
(EU査証廃止についても、2012年の欧州サッカー選手権大会までに実現すべく、積極的に国内改革及び欧州側との交渉を進めている。)

今回のキエフで首脳会議で、自由貿易協定を含む連携協定の調印を行う予定であった。

EUのファンロンパイ大統領は、連携協定の交渉はほとんど終わっているとし、署名するかどうかはロシアとの天然ガス取引をめぐり職権乱用罪で禁錮7年の判決を受け控訴中のティモシェンコ前首相に対するウクライナ側の扱いにかかっていると指摘し、前首相の釈放がなければ署名は難しいとの認識を示した。

ーーー

ウクライナの首都キエフの地区裁判所は10月11日、ロシアとの天然ガス取引を巡り職権乱用罪を問われたティモシェンコ前首相に禁錮7年の有罪判決を言い渡した。

2009年1月1日、ロシアの独占天然ガス会社 Gazprom は、ウクライナへの天然ガス供給を完全に停止した。

両国は、20億ドル以上とする天然ガス供給の代金未払いや債務、滞納の罰金支払いの調整及び2009年からの価格について年末から協議していたが、31日までの交渉が不調に終わったため、強硬措置に訴えた。

2008年のウクライナ向け天然ガス価格は179$/1000m3 だが、ガスプロムは2009年の価格を一気に「国際価格」の418ドルに引き上げた。
背景には、グルジア紛争の際に、ウクライナのユーシェンコ大統領がグルジアに戦車やミサイルなどを提供したとの疑惑や、ウクライナのNATO加盟問題など、ウクライナとロシアの対立があるとみられる。

ウクライナ向け天然ガス供給停止により、天然ガス需要の約25%をロシアに依存し、その7割をウクライナを経由する欧州にも混乱が拡大した。

2009/1/2 ロシア、ウクライナ向け天然ガス供給停止

1月18日、ロシアのプーチン首相とウクライナのティモシェンコ首相(女性)がガス価格の引き上げに大筋で合意、19日に今後10年間のヨーロッパ向けガス輸送と、ウクライナへのガス供給を確認する合意文書に調印した。

 ・2009年のガス料金は欧州向け価格より20%割り引く。
 ・2010年以降のガス料金は欧州並とする。(石油価格と連動)

ーーー 

2010年にティモシェンコ前首相の政敵のヤヌコビッチが前首相との決戦投票で大統領になると、当局はティモシェンコ前首相が2009年にロシアが求めるガス価格の引き上げに応じ、15億フリブナ(約140億円)の損害を国庫に与えたとして 職権乱用罪で起訴し、2011年8月には審理妨害で逮捕した。

ウクライナの裁判所は政権の強い影響下にあるとの指摘が多く、禁錮7年の判決も検察側の求刑通りとなった。
前首相は刑期終了後、3年間公職に就くことも禁じられた。15億フリブナ(約140億円)の賠償も命じられた。

ティモシェンコ前首相は法廷で「判決は裁判官ではなくヤヌコビッチ大統領が下している」と批判し、控訴した。
大統領による政敵排除のための政治的リンチだと述べている。

ウクライナでは2012年秋に議会選が予定されており、親欧米派のティモシェンコ前首相の参加を阻止したい現政権の思惑が働いているとされる。3年間公職禁止はこのためとみられている。

 

EUは有罪判決の背景にヤヌコビッチ現政権との政治対立があるとの見方を強め、判決を批判する声明を発表した。

ウクライナによる民主主義基準の遵守に一定の疑念が生じている旨懸念すると表明し、「司法システムの全面的な改革」や「政治的動機による裁判や恣意的な裁判への対策」が不可欠だと強調した。

米国や人権グループも批判している。

ーーー

一方でロシアは、ウクライナとEUとの連携協定交渉の進展に合わせ、ウクライナを自国の影響下に置くため、ウクライナにガス供給価格を一部引き下げる譲歩をした。ロシア・カザフスタン・ベラルーシで結んでいる関税同盟への参加も求めている。

上記の契約では2012年の天然ガス価格は原油価格に連動して416ドル(1000m3当たり)に上昇する見通しで、ウクライナは約224ドルへの値下げを要望している。

しかし、ガスプロムは条件としてウクライナ国内のガス輸送システムへの50%の出資受け入れを求めているとされる。ウクライナ側は出資比率を3分の1にとどめたい意向で、溝が残っている。

この交渉の最中に、2009年にティモシェンコ首相がロシアのプーチン首相と締結した天然ガス契約が違法と判断され、ロシア側は強く反発、プーチン首相も、「契約に異議を唱えるのは危険で逆効果」と指摘した。

ウクライナは今後、EUとロシアとの双方と厳しい交渉をもとめられる。

ーーー

なお、ウクライナはNATO参加を希望、1997年には「ウクライナ・NATO間の特別な関係に関する憲章」に署名し、NATOとの関係強化を明確にした。

2008年4月のNATOブカレスト・サミットにおいてウクライナの将来の加盟については合意された。

しかし、2010年2月に就任したヤヌコーヴィチ大統領は、ウクライナはNATOに加盟する計画を有していないと発言し、2010年7月には、ウクライナの地位を「非同盟」と規定し、あらゆる軍事政治ブロックへの参加を拒否する内容の「ウクライナの内外政方針に関する」法律が発効した。
これにより、ウクライナのNATO加盟は不可能となった。

 

 

世界貿易機関(WTO)は12月16日の公式閣僚会議で、ロシアのWTO加盟を正式に承認した。
1993年のロシアの加盟申請以来、18年後の承認となった。実際の加盟は2012年夏になる見通し。

中国は10年前の2001年12月11日に加盟した。(加盟申請は1995年10月)
  2011/12/13 中国、WTO加盟から10年

領土問題でロシアと対立するグルジアが拒否権を行使してきたが、債務危機と景気低迷に直面する欧米諸国が、WTO非加盟国として最後の大国であるロシアの加盟を強く求め、スイスの仲介でグルジアが態度を軟化させた。

グルジアの南オセチアでは、多くのオセット民族がグルジアからの分離を希望し、グルジアとの間で度々紛争が起きている。
2008年8月には、南オセチアをめぐりロシアとグルジアの間で武力衝突があった。
南オセチア側は独立国として、グルジア側はグルジアの自治州としている。

ロシアの加盟で、加盟国・地域の貿易は世界全体の98%に達する。

ロシアは関税の一方的引き上げや輸入差し止めが目立つが、枝野幸男経済産業相は、ロシアのWTO加盟により「日本にとって地理的に近い国が国際的なルールに入ることで経済関係が強化される」と期待を示した。

加盟後のロシアの上限関税の平均は現在の10.0%から7.8%に下がる。
農産品は13.2%から10.8%、工業製品は9.5%から7.3%になり、コンピューターなどIT製品は税率ゼロにする。
金融などサービス貿易では116分野で段階的に規制を緩和し、流通業は外資100%の企業進出を容認する。
外国銀行も子会社の設置が可能になる。


ーーー

WTOは本年10月の一般理事会でバヌアツの加盟を承認しており、12月16日のロシア加盟承認に続き、12月17日の公式閣僚会議でサモアとモンテネグロの加盟を承認した。

加盟国の増加は2008年6月のカボヴェルデ以来で、今回、加盟国・地域は4つ増え、157になる。

 

2008/6 加盟 2011/10 加盟承認
2011/12/17 加盟承認 2011/12/17 加盟承認
 

 

 

日本化学工業協会はホームページに、化学年表「日本および世界の化学史」を掲載している。

10月27日~28日に学術総合センターにて開催された「世界化学年記念特別シンポジウム・講演会」の化学産業展示コーナーでパネル展示されたもので、江戸時代の1774年から現在に至るまで、化学の発明・発見と初事業化などを日本と世界にわけてまとめている。

http://www.nikkakyo.org/documentDownload.php?id=4636

 

 

 

富士フイルムは12月15日、携帯型超音波診断装置の大手企業SonoSite, Inc.をTOBにより友好的に買収することについて合意した。
SonoSiteの発行済普通株式の総数を総額約995百万米ドルで取得する。

SonoSiteは携帯型超音波診断装置のリーディングカンパニーで、ワールドワイドで高いシェアを持つ。

特に、
患者がいる医療現場で、直接医師が治療方針の判断・処置を行うPoint Of Careにおいて、医療現場における医師のニーズを的確にとらえて、他社に先駆けそのニーズにこたえる機能を製品に搭載することにより、超音波診断装置の新たな応用分野を開拓してきた。

また、装置の超小型軽量化に寄与するASIC(特定用途向け集積回路)の設計技術を持つ技術力の高い会社で、高精細な「高周波プローブ」や新たな診断価値を生み出す「光超音波技術」など、次世代の超音波診断装置の開発において優位性のある高い技術も保有している。

超音波診断装置は、体表にプローブを当てて超音波を発生させ、体内で反射した超音波を受信し、画像データとして処理することで、臓器・血管・神経などの様子を可視化することができ、非侵襲で、かつ、大掛かりな設備が不要な画像診断装置。

また、超音波検査は、腹部、頸部、心臓、乳房、血管、神経などさまざまな部位をリアルタイムで診ることができる非常に汎用性の高い検査であり、X線画像診断が不得意とする軟部組織の描写力に優れるので、X線画像診断と極めて高い補完関係にある。

超音波診断装置の市場は、ワールドワイドで5000億円弱/年と、全医療画像診断装置で最大規模となっている。

ーーー

富士フイルムは、メディカル・ライフサイエンス事業を重要な成長分野として位置付け、「予防~診断~治療」の全領域をカバーする総合ヘルスケアカンパニーを目指した事業展開を進めている。

ーーー

上場廃止の声も聞こえているオリンパスは内視鏡事業で高いシェアを有しており、富士フィルムもこの事業を買収する可能性がある企業として名前が挙がっている。 

富士フイルムの古森重隆社長は12月16日の会見で、質問に対し、「オリンパスの件は、まだ、内容が確定されていない。第三者委員会が調査しており、どういう背景があるのか、どういうことだったのか確定していない段階で、我々がとやかく言うことは時期尚早」と述べた。

オリンパスにはソニーやパナソニックも関心を抱いている。
パナソニックはオリンパスとともにデジカメの「マイクロフォーサーズシステム規格」を策定し、関連する要素技術とキーデバイスを共同で開発している。

 

LyondellBasellは12月8日、投資家説明会を開催し、現状と今後の戦略を説明した。

今後の成長戦略のなかで、SinopecとのJVで中国でのPO/TBA計画のFS実施を決めたことや、米国で安価なエタンを使用したエチレンの増強などを明らかにしている。

1)中国 PO/TBA計画

LiondellBasellはSinopecとの間で、浙江省寧波市にワールドスケールのPO/TBAプラントを建設するために共同でFSを実施する契約を締結したことを明らかにした。
新しいJVプラントの最終的なスコープ、建設費、スケジュールを決める。

両社は50/50JVのNingbo ZRCC Lyondell Chemical を持ち、シノペック鎮海煉油化工(ZRCC)の寧波市鎮海地区のエチレン100万トンのコンプレックスの中にSM/POとPGプラントを持っている。

エチレン 1,000千トン
HDPE/LLDPE  450 千トン
PP  300 千トン
MEG  650 千トン
BTX  500 千トン
Butadiene  150 千トン
SM (jv)  600 千トン
PO (jv)  280 千トン
PG (jv)  100 千トン


2007/2/26
 Lyondell とシノペック鎮海煉油化工、寧波で PO/SM 生産

今回は既存のPO/SMに加え、PO/TBAを建設するもの。

Lyondellは世界のPO技術リーダーで、拠点は次の通り。

地区 場所 能力
(千トン)
併産 備考
米国 Bayport, Tex   545 TBA  
Channelview, Tex   530 SM  
欧州 Fos-Sur-Mer, France   220 MTBE  
Botlek, the Netherlands   250 TBA  
Maasvlakte, the Netherlands   318 SM Lyondell/Bayer 50/50
アジア 日本オキシラン(千葉)   181 SM 住化 60%/Lyondell 40%
Ningbo ZRCC Lyondell Chemical   280 SM Lyondell/Sinopec 50/50


ーーー

POの製法は以下の通り。

1)塩素法
従来からの製法で
プロピレ塩素と水を反応させ、生成したクロルヒドリンを水酸化カルシウム或いは水酸化ナトリウムで処理する方法。(併産物:塩化カルシウム or 塩化ナトリウム)

本では現在、旭硝子(鹿島)とトクヤマ(徳山)が生産している。

2)ハルコン法(→LyondellBasell)
イソブタン又はエチルベンゼンを酸素と反応させて得られたハイドロパーオキサイドでプロピレンを酸化する方法で、イソブタンを使った場合はTBA or MTBE、エチルベンゼンを使った場合はスチレンモノマーを併産する

3)住化新法
上記2)の方法でイソブタン或いはエチルベンゼンの代わりにイソプロピルベンゼン(クメン)を用い、生成するクミルアルコールを脱水/水素化してクメンに戻すことにより併産物を生成しない新しいプロセスの構築に成功した。

4)過酸化水素法
過酸化水素を酸化剤とする方法。

2006/3/24 「ダウとBASF、POを新製法で生産」 
 

LyondellBasellでは現状の各製法のシェアを以下の通りとみている。

2) 米国のエチレン、プロピレン 

同社の米国の現状は以下の通り。

エチレン:能力 9,600百万lbs(4,360千トン)で北米1位
      原料はエタンが3/4、ナフサ/コンデンセートが1/4。
プロピレン:1,500百万ポンド(680千トン)
        Methathesisが1,000百万ポンド、リファイナリーグレードが500百万ポンド。
PE:2,640千トン(北米3位)
PP:2,000千トン(北米1位)

計画は以下の通りで、低コストのエタンをフル利用する。
Channelviewではエタンの処理能力を500百万ポンド増強してエチレンコストの低減を図り、合わせて、エチレン増強も検討する。(2012年)
②同じくChannelviewではMethathesis新設でプロピレン500百万ポンドを増産(同量のエチレンを使って)(2014年)
La Porteでは低コストのエタンを使い、850百万ポンドを増設(2014年)
Midwestでデボトルネッキングでエチレン/プロピレンを100百万ポンド増強(2013年)

(単位:百万ポンド:1ボンドは1/2.2kg)
  能力 原料 計画
Channelview, TX  3,850 flexible +α 
原料エタン増強
La Porte, TX 1,740 Gulf Coast NGL +850
Corpus Christi, TX 1,700 Flexible  
Morris, IL 1,250 Midwest NGL エチレン/プロピレン
    +100
Clinton, IA 1,050 Midwest NGL
エチレン合計 9,600    
プロピレン 1,000 Methathesis Channelview +500
500 Refinery grade  

 

3)メタノール再稼働

低コストの天然ガスを活用し、Channelviewの年産780千トンのメタノール設備を再稼働する。

ーーー

LyondellBasellの事業概況については、投資家説明会資料を参照。

  1. Meeting Agenda
  2. Welcome and Introduction - Jim Gallogly, CEO 
  3. Perceptions and Reality
  4. Olefins & Polyolefins - Americas
  5. Olefins & Polyolefins - Europe, Asia & International and Technology 
  6. Intermediates and Derivatives
  7. Refining and Oxyfuels
  8. Financial Review
  9. Wrap Up and Closing - Jim Gallogly, CEO

 

 

公取委は12月14日、新日本製鉄と住友金属工業の合併計画に関し、問題とした2点について両社の問題解消措置を前提とすれば、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないと認め、審査を終了した。

公取委は本年5月31日に本計画の届出を受理して第1次審査を開始し、6月30日に第2次審査を開始した。
両社から12月9日に問題解消措置に関する変更報告書の提出を受けた。

なお、公取委は6月14日に企業合併の新たな審査指針(ガイドライン)を公表した。

審査の目安となるシェアについて、国内だけでなく世界的な競争状況を勘案する。
また、市場規模が縮小している場合は合併を認めやすくすることも明記した。

   2011/6/21 公取委、企業合併の審査指針を公表 

公取委は本件について、このガイドラインの公表前の5月31日に審査を開始しているが、改正後の基準を前倒しで適用した。

また、7月施行の「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」改正では、「公正取引委員会との協議制度」が創設され、「主務大臣が計画を認定をしようとするに際して、当該計画に従って行おうとする措置が、事業者の営む事業の属する事業分野における適正な競争が確保されないおそれがある場合として政令で定める場合に該当するときは、あらかじめ公正取引委員会に協議するものとすること」となった。

新日本製鉄と住友金属工業は7月に改正産活法の適用を経産省に申請した。

ーーー

公取委の審査では、①無方向性電磁鋼板、②高圧ガス導管エンジニアリング業務、③鋼矢板、④スパイラル溶接鋼管、⑤熱延鋼板、⑥H形鋼の6品目が取り上げられた。

いずれも合算シェアは第一位で、水平型企業結合のセーフハーバー基準に該当しない。
競争を実質的に制限することとならない範囲:セーフハーバーの指標はHHI2,500超の場合はHHIの増分150以下)

公取委は①、②のみを問題とし、他については「競争を実質的に制限することとはならない」とした。
①、②については、両社の問題解消措置を認めた。

以前の評価と比べると、非常にフレキシブルになっている。

①無方向性電磁鋼板

平成22年度シェア
順位 会社名 シェア
新日鉄 約40%
A社 約40%
住友金属 約15%
  輸入 約 5%
 合計 100%
合併後
 HHI     約 4,600
 HHI増分 約 1,100
約55%

  評価:競争を実質的に制限

・有力な競争事業者が存在するが、十分な供給余力を有しない。
・高グレードの製品については、輸入圧力は認められない。
・低グレードの製品については、一定程度輸入があるが、十分な品質でなく、安定調達の面で不安。
・調達先メーカーの変更は容易でなく、需要者からの競争圧力も認められない。

 問題解消措置:

① 合併後5年間、現在住友金属が販売する全グレードを住友商事にフルコストベースで販売。
② 住友商事に対し、住友金属の国内ユーザー向けの商権を譲渡。
③ 合併後5年間、1事業年度に1回、前記措置の実施状況を公取委に報告。

②高圧ガス導管エンジニアリング業務

平成18年度~22年度シェア
順位 会社名 シェア
B社 約35%
日鉄パイプライン 約30%
住友金属パイプエンジ 約30%
  その他 0-5%
 合計 100%
合併後
 HHI     約 4,900
 HHI増分 約 1,800
約60%

 評価:競争を実質的に制限

・入札に参加する事業者は基本的に高炉系エンジ会社のみで、入札参加事業者は3社から2社になる。
・参入圧力が働いていない。
・需要者からの一定程度の競争圧力はあるが、ガス会社等は競争性を高めるための施策を十分に持たない。

 問題解消措置:

(1) UO鋼管の安定供給
① 新規参入者から要請があれば、子会社に供給する場合と実質的に同等・合理的条件でUO鋼管を提供。
② 上記措置について合併の日までに周知。5年間、実施状況を公取委に報告。

(2) 自動溶接機の供給及びその取扱いに係る技術指導
① 新規参入者から要請があれば、合理的な条件で自動溶接機の新品を譲渡し、or 中古品を譲渡・貸与。
② 新規参入者から要請があれば、自動溶接機を取り扱うに必要な技術指導を行う。
③ 5年間、実施状況を公取委に報告。
 

③鋼矢板

平成22年度シェア
順位 会社名 シェア
新日鉄 約40%
C社 約30%
住友金属 約25%
D社 0-5%
  輸入 0-5%
 合計 100%
合併後
 HHI     約 5,100
 HHI増分 約 1,900
約65%

  評価:競争を実質的に制限しない。

有力な競争事業者が存在し、十分な供給余力を有する。
・参入圧力や隣接市場である代替工法からの一定程度の競争圧力が働いている。
     鋼矢板の価格が5~10%上昇した場合、代替的な工法に切り替わる可能性
・需要が縮小していく中で需要者からの競争圧力が働いている。(新ガイドライン)

④スパイラル溶接鋼管

平成22年度シェア
順位 会社名 シェア
新日鉄 約40%
E社 約30%
住友金属 約15%
F社 約15%
 合計 100%
合併後
 HHI     約 4,000
 HHI増分 約 1,300
約55%

 評価:競争を実質的に制限しない。

・有力な競争事業者が複数存在し、供給余力を有する。
・隣接市場からの競争圧力が一定程度働いている。

⑤熱延鋼板

平成22年度シェア
順位 会社名 シェア
新日鉄 約30%
G社 約20%
H社 約10%
住友金属 約10%
I社 約5%
J社 約5%
K社 0-5%
L社 0-5%
M社 0-5%
10 N社 0-5%
  輸入 約15%
 合計 100%
合併後
 HHI     約 2,200
 HHI増分 約   500
約40%

 評価:競争を実質的に制限しない。

・有力な競争事業者が複数存在し、供給余力を有する。
・輸入圧力や需要者からの競争圧力が十分に働いている。
    関税は無税、韓国や中国からの輸入品は国内品に比べ安価、流通上の問題も存在しない。

◎国内市場には、新日鉄が10%超・単独第1位の議決権を持つ中山製鋼所、日新製鋼、大同特殊鋼がいる。
  これらは実態から結合関係があるとは認めらなかった。(シェア計算に含めない)

⑥H形鋼

平成22年度
順位 会社名 シェア
新日鉄
(含 トピー工業、合同製鉄)
約30%
O社 約20%
P社 約20%
Q社 約15%
住友金属
(含 住金スチール)
約15%
  輸入 0-5%
 合計 100%
合併後
 HHI     約 2,800
 HHI増分 約  1,100
約40%
 

合算シェアは45%となるが、公取委は約40%としている。 トピー工業、合同製鉄のシェアを外したか?

 評価:競争を実質的に制限しない。

・有力な競争事業者が複数存在し、これらの事業者は十分な供給余力を有している。
・新日鉄とO社は活発な競争をしており、合併後もその構図に変化はないと考えられる。
・合併後も、合併会社とトピー工業・合同製鉄との間には一定程度の競争関係が維持されると考えられる。
・輸入圧力、隣接市場からの競争圧力が一定程度働いている。
・需要者からの競争圧力が一定程度働いている。

 

 

ソウル大学生命科学部の白盛喜(Sung Hee Baek)教授をはじめ浦項工科大学、淑明女子大学で構成される共同研究チームは12月12日、癌細胞を殺す働きのタンパク質を発見したことを明らかにした。生命科学専門誌「Molecular Cell (2011/12/9)に掲載された。

P53タンパク質は損傷を受けた細胞の自然死(アポトーシス)によって癌の進行を食い止めるが、癌患者の5割以上は、このP53タンパク質に突然変異が生じたり、その働きに異常があったりする。

今回、癌によって正常なDNAが損傷を受けると体内ではDNA損傷信号が作られ、「RORα」というタンパク質の活性化が行われ、このタンパク質がP53タンパク質を安定化させて、究極には癌発生を抑える働きをすること明らかにした。

白教授は「今回の研究はRORαタンパク質が、P53癌抑制遺伝子の細胞死滅機能を直接コントロールし、癌抑制に中心的な役割を果たすことを初めて究明したところに意味がある。」とし、「P53を利用した癌治療剤の開発可能性を高めた」と語った。

RORαタンパク質は小脳発達に重要な発現物質であり、教授と淑明女子大学生命科学部の金教授の研究チームチームが2010年2月、このタンパク質に大腸癌を抑制する働きがあることを初めて明らかにした。

プロテインキナーゼ酵素の活性化
     ↓
RORαのアミノ酸・セリンの
リン酸化を促進
     ↓
タンパク質のベータカテニンと結合、ベータカテインの機能を抑制
     ↓

大腸がんの抑制

同チームが大腸がん患者から確保した30組の大腸の正常な組織とがん組織で調べたところ、大腸がん組織でRORαのリン酸化が70%以上減少 していることが分かった。研究チームはRORαのリン酸化有無を大腸がんの主要診断基準として用いることができるとしている。

今回の研究は、大腸癌だけでなく他の癌の抑制課程にもこの物質が関わっていることを初めて明かしたことになる。

白教授(女性)は2000年から3年間、米カルフォルニア州立大学で研究教授を務め、2003年ソウル大教授に採用された。

白教授のチームは2006年、がん転移過程とかかわる「SUMO」タンパク質の機能を世界で初めて究明した.

レプチンは癌転移を促すタンパク質として知られているが、どんな過程を通じてそうなるかが不明であった。
チームは次の点を明らかにした。

SUMOタンパク質がレプチンと結合すると、がん転移を阻む遺伝子(KAL1)が働かなくなる。
レプチンからSUMOが落ちると、KAL1が活性化し、癌拡散を阻止する。

レプチンとSUMOの分離にSENP1が酵素の役割を果たす。

白教授は、「正常の細胞に影響を与えずにがん細胞のみを選んで攻撃する新しい概念の抗がん剤の開発に応用できるだろう」と述べた。
 

白教授は、世界初の癌転移抑制遺伝子と調節のメカニズムを解明し、抗がん治療の新たな転機を作ったことが功績として認められ、2011年9月に「韓国ロレアルーユネスコ女性生命科学賞」振興賞を授与された。

 

 

 

三菱化学は12月8日、事業説明会を行い、①経営の課題、②新中期経営計画「APTSIS 15」初年度進捗概況、③APTSIS 目標、④APTSIS 事業トピックスの説明を行った。
(APTISについては http://www.mitsubishichem-hd.co.jp/group/motto.html 参照)

その中で、石油化学については、 2015年の国内エチレン生産は500万トンまで縮小、その後も更なる縮小を懸念しており、対策を前倒しで実施するとしている。

同社の石油化学事業の再編の状況は以下の通り。

水島コンビナート:
     旭化成との一体運営とダウンサイジングによるフレキシビリティの拡大

鹿島コンビナート:
     構造改革と地域連携による競争力強化

エチレン系:EO強化(EOセンター)、PE強化(高機能化)
プロピレン系:PP強化(S&B 下記参照)
アロマ系:ベンゼン一部停止

 電解・塩ビ再編(協議中)
北共同発電設備最適化検討、石油精製との連携模索

事業再編

1)SMチェーン

ポスト産構法時代には三菱油化がSMの手直し増設で鹿島で205千トン、四日市で271千トンの能力をもち、輸出価格の高騰で莫大な利益を上げた。
(2年間で500億円の利益といわれた。これを利用して時価発行増資を行い、エチレンを増設したのが、結果として同社の足を引っ張った。)

1994年に三菱化学はシェルのシンガポールPO/SM計画に参加した。

社名:Seraya Chemicals Singapore
・出資&引取比率:シェル 70
%/三菱化学 30%
・立地:Seraya島
・能力:SM 290千トン 、PO 129千トン

その後、シェルは第二期計画ではBASFと50/50JVのELLBA Easternを設立し 、SM 550千トン、PO 250千トンを建設したが、三菱化学はこれを機会にSeraya Chemicalsの出資とPO引取権をシェルに譲渡、代わりに2期分を含めたSM 38万トンの引取権を確保した。

その後の状況の変化で、SMと誘導品のPSの赤字が増大、最終的にSMチェーン全体を停止した。

 SM 

2006年5月、油化セラヤのシェルからのSM引取権を解消する方針を固めたことを明らかにした。
2008年度に油化セラヤ解散。

2009年5月、スチレンモノマー事業からの撤退を決定したと発表した。
鹿島のSM 371千トンを2011年3月に停止。
(四日市のSM 180千トンはエチレン停止時に停止済)

 PS

三菱化学は1998年10月に旭化成との50/50JVのA&Mスチレンを設立し、両社のPS事業を統合した。
両社と出光石油化学は2002年7月、
A&Mスチレンと出光のPS事業を再編・統合、合弁会社を設立することで合意し、2003年4月、PSジャパンが営業開始した。

三菱化学は2009年10月、PSジャパンから撤退した。

  統合前 処理 統合後 出資比率 新出資
比率 
A&M
スチレン
旭化成・水島   108     108   45.0%  62.07%
旭化成・千葉   207     207
三菱化学・四日市    85      85   27.5%
合計   400     400    
出光石化・市原   130  -85    45   27.5% 37.93%
合計   530  -85   445   100.0% 100.0%

 ABS

三菱化学は1996年7月1日、JSR 60%、三菱化学 40%出資の合弁会社としてテクノポリマーを設立した。
JSRの四日市にABS 20万トン、三菱化学の四日市にABS 9万トン、AS樹脂 約3万トンの能力を持つ。

三菱化学とJSRは2008年11月25日、合弁事業に関する業務提携を解消し、2009年3月31日付けで三菱化学が保有する全株式をJSRが取得し、同社をJSRの全額出資子会社とすることで基本合意したと発表した。

2)塩ビチェーン

三菱化学と東亜合成は塩ビ事業を統合、2000年4月1日にヴイテックが営業開始した。
当初は三菱化学 60%、東亞合成 40%であったが、2005年3月、損益の悪化を受け、三菱 85.1%、東亜 14.9%に変更した。

2008年5月に水島のPVCを停止、輸出を止め、四日市、川崎2工場生産による国内販売に集中した体制に移行。
2010年9月に四日市のペースト塩ビ 20千トンを停止した。

  立地 能力(千トン)
当初 2007/12 2008/5 2010/9
電解 水島 ソーダ
 135
180 180 180
VCM 水島 300 400 400 400
PVC 水島 100 110 0
四日市 110 100 100 80
川崎 180 95 120 120
合計 390 305 220 200

 

三菱化学は2009年5月、ヴイテックが全製造設備を2011年3月末までには停止することを決定したと発表した。

ただし、東亞合成の川崎の設備は、東亞合成がヴイテックから引取り、カネカから年間70~100千トンの製造受託を行う。

ヴイテックは2011年9月末に解散した。

3)ナイロンチェーン

三菱化学は2005年3月末にカプロラクタムの外販事業国内販売・輸出から撤退し1系列50千トンを同年9月末で製造停止したなおシクロヘキサノンについては、カプロラクタム1系列停止後も生産量を維持し、国内及び中国を含むアジアマーケットへ拡販を目指した。

2009年5月、同社はカプロラクタム事業からの撤退を発表した。

工場 製品 能力  
水島 シクロヘキサン
  ↓
110千トン 2010年3月停止
黒崎 シクロヘキサノン
  ↓     
120千トン 2010年3月停止
カプロラクタム 
  ↓
60千トン 2010年3月停止
ナイロン
  
30千トン DSMへの譲渡

 

三菱化学は2010年2月、Royal DSMとの間で事業の交換(ポリカーボネート事業の買収及びナイロン事業の売却)で合意したと発表した。

4)界面活性剤

三菱化学は2008年12月に中期経営計画の見直しを発表した。

石化事業全般として、C3/C4誘導品は戦えるが、C2誘導品は厳しいとの見方を示し、アルファオレフィン(及び高級アルコール)とエトキシレートは2009年に停止するとした。

三菱化学は、2010年末に四日市事業所のグリコールエーテル設備を停止し、事業から撤退した。
これまで原料のEOを鹿島から輸送していたが、安全上の問題などから輸送を停止するため。

5)テレフタル酸

三菱化学は2009年2月、テレフタル酸事業の事業構造改革を発表した。
国内生産から撤退、本社機能を海外に移す。

 

6)PP

三菱化学と東燃化学はポリオレフィン事業を統合し、1996年9月から日本ポリケムとして事業を行った。
2003年10月、日本ポリケムとチッソの合弁会社・日本ポリプロが発足した。

日本ポリプロでは2008年に鹿島にチッソ気相法による300千トンの最新鋭プラントを建設し、同能力の老朽スラリープラントを停止した。

  2008/1   2010/12 2011 2011/12  
三菱化学・鹿島 346 +300 646 -90 556 2008  
 300千トン新設
2011/5 
 90千トン停止
東燃化学・川崎 227 -138 89   89 2009/3
 2系列 138千トン停止
三菱化学・四日市     2002/12
 37千トン停止(エチレン停止で)
三菱化学・水島 100   100   100  
チッソ・千葉 329   329 -79 250 2011/6
 79千トン停止
チッソ・四日市 80   80   80  
合計 1,082 +300
-138
1,244 -169 1,075 (+300-307)

参考 PE

PEについては、鹿島コンビナートの項で、PE強化(高機能化)を挙げているが、能力について老朽・少量設備の廃棄の動きはない。

三菱化学と東燃化学はポリオレフィン(PE+PP)事業を統合し、1996年9月から日本ポリケムが営業開始した。
別途、昭和電工と日本石油化学はPE事業を統合し、1995年10月から日本ポリオレフィンが営業開始している。

20016月、日本ポリケムと日本ポリオレフィンはポリエチレン事業について両社の事業を統合することにつき検討を開始することで合意したと発表した。

しかし公取委は、東燃化学がダウとの合弁会社の日本ユニカーの株主でもあることから難色を示したため、三菱化学が日本ポリケムの東燃持分を(東燃のPEプラント込みで)買取り、2003年9月に日本ポリエチレンが営業開始した。
    2006/10/2 日本のポリオレフィン業界の変遷-3 

現在の能力は以下の通り。(単位:千トン)

    LDPE LLDPE HDPE 合計  

日本ポリケム
三菱・鹿島 62 261 10 333  
三菱・四日市 - - - - LDPE (75)
 2004/9/末で停止
三菱・水島 66 53 94 213  
東燃・川崎     50 50  

日本ポリオレフィン
昭電・大分 123   200 323  
日本石油・川崎 94 50 121 265  
    +2     +2 工場不明
合計   347 364 475 1,186  

 

 

 

帝人は12月9日、GMとの間で今後GMが世界で市場展開する量産車に向けて共同で熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRP)の製品開発を行う契約を締結したと発表した。

東レはドイツのダイムラーと生産JVを設立することで合意しており、三菱レイヨンもドイツのBMWの電気自動車用にプレカーサーを供給している。
今回の帝人の提携で、炭素繊維の世界シェアの約7割を握る3社が欧米の大手自動車メーカーと組むことになる。

炭素繊維は、通常の鉄に比べて10倍の強度と4分の1の軽さを有することから、熱可塑性CFRPが車両の部品に使用されることで、劇的な車両の軽量化が期待できる。

炭素繊維と、3社の炭素繊維事業の状況については、2006/9/9 炭素繊維 参照。

1)帝人

帝人は11月30日、熱可塑性樹脂を使用した炭素繊維複合材料(CFRP)によるコンポジット製品の事業化を加速するため、松山事業所内にパイロットプラントを設置すると発表した。
世界初となる「炭素繊維からコンポジット製品の成形加工までを1分以内で連続一貫生産するパイロットプラント」としている。

設備投資額は20数億円で、速やかに着工し、2012年年央の稼働開始を予定する。

同社は世界に先駆けて、既に熱可塑性CFRPによるコンポジット製品を1分以内で成形する量産技術を確立しており、コンポジット製品の量産成形技術に加え、独自のCFRP接合技術を用いることで、極限まで車体骨格を軽量化したオール熱可塑性CFRPのコンセプトカーを製作している。

自動車業界での理想的なタクトタイム(工程作業時間)は1分前後と言われている。

同社は本年3月に、複合材料開発センターと、100%子会社で炭素繊維・複合材料事業の中核会社の東邦テナックスとの連携により、熱可塑性CFRPを1分以内で成形する画期的な量産技術を世界に先駆けて確立した。

従来は5~10分程度かかっており、生産性の面から量産車向けの部品として使用するには課題があった。

今回のGMとの共同開発契約締結に伴い、帝人はこのコンポジット製品を量産する技術を活用することにより、今後GMが世界で市場展開する乗用車、トラック、クロスオーバーなどの量産車に向けて共同で熱可塑性CFRPの製品開発を行う。

帝人は共同開発の場として、複合材料の用途開発機能とマーケティング機能を集約した「Teijin Composites Application Center」を来年早々に米国北東部に設置、GMの研究員を受け入れる。

共同開発により、GMは、主力車種に熱可塑性CFRPによるコンポジット製品を導入するポテンシャルを持つことになる。
一方、帝人は、一部の高級車などに限られてきたCFRPの用途を量産車へと拡大する。

帝人はGMを選んだ理由として、高級車ではなく、量産車に炭素繊維を搭載するという目標が一致したためとしている。
2020年頃には年100万台の自動車に搭載し、1500億~2000億円の売上高を目指す。

なおGMとLGは8月25日、LGによるバッテリー供給での協力関係を拡大し、電気自動車を共同で開発すると発表している。
  
2011/8/29 韓国LG、GMと電気自動車の共同開発へ 

帝人の炭素繊維・複合材料事業については http://www.teijin.co.jp/about/fields/carbon/index.html

ーーー

東レ

東レは2008年に名古屋事業場にオートモーティブセンター(AMC)を開所し、炭素繊維、熱可塑性樹脂、製造プロセス、評価・分析技術等を融合した、自動車向けの最適材料の開発を続けている。

東レは9月9日、次世代型の電気自動車(EV)「TEEWAVE AR1」を試作したと発表した。
車体基本構造には熱硬化炭素繊維複合材料(CFRP)製のRTM一体成型モノコックとCFRP製衝撃吸収体を採用、車体重量は846kgと、鋼板主体の従来型のEVに比べて4割以上軽量化し、同時に高い車体剛性と衝突安全性を実現した。

2011/9/14 東レ、次世代型電気自動車を試作

同社は2011年1月、ダイムラーAGとの間で、東レが開発した炭素繊維複合材料 (CFRP)の革新的成形技術である「ハイサイクルRTM成形技術」を活用してCFRP製自動車部品を製造・販売する合弁会社(東レ 50.1%、ダイムラー 44.9%、その他 5.0%)を設立する契約を締結した。

また同社は2011年6月、オランダのTenCate Advanced Compositesとの間で、航空機用途向け熱可塑性樹脂複合材料用の炭素繊維の長期供給基本契約を締結したが、合わせて、自動車に使用される熱可塑性複合材料における市場開拓および製品の共同開発を検討していくことにも合意した。

東レの炭素繊維複合材料事業については http://www.toray.co.jp/ir/pdf/lib/lib_a144.pdf

ーーー

三菱レイヨン

三菱レイヨンはドイツの炭素繊維メーカーのSGL TechnologiesとJVを設立し、BMW向けの炭素繊維のプレカーサー(ポリアクリルニトリル繊維)の供給を行っている。

The Carbon Companyとの愛称を持つSGL TechnologiesとBMWは2010年1月、炭素繊維複合材料の展開のため合弁会社SGL Automotive Carbon Fibersを設立した
BMWが2015年までに発売を予定している電気自動車 "Megacity Vehicle"の基幹部品用炭素繊維を製造する。

三菱レイヨンは2010年4月、SGL Automotive Carbon Fibersに炭素繊維のプレカーサーを供給するため、SGL Technologiesとの間で合弁会社MRC-SGLプレカーサー」を設立した。

出資比率は三菱レイヨンが66.66%、SGLが33.34%で、製造拠点は 三菱レイヨンの大竹事業所内とする。
2011年4月に量産を開始した。商業生産開始はで、生産能力は、当初3年間に7千トン/年規模まで高める。

モノの流れは以下の通り。

MRC-SGLプレカーサー 大竹 プレカーサー
SGL Automotive Carbon Fibers  米ワシントン州 焼成→ラージトウ炭素繊維
  同上(中間材工場) 独 バイエルン州 →各種織物
BMW部品工場   成形加工→炭素繊維複合材料
BMW   次世代環境対応車"Megacity Vehicle"


三菱レイヨンの炭素繊維・複合材料については http://www.mrc.co.jp/pyrofil/   

 

Qatar Petroleum とShellは12月4日、カタールの石化計画でHeads of Agreement を締結した。
カタールの
Ras Laffan Industrial Cityでのワールドスケールの石油化学コンプレックス開発の範囲や原則を決めた。

両社は2006年2月に覚書を締結、2010年12月にMOUを締結し、共同でFeasibility study を実施してきた。

計画には以下のものを含む。主にアジアの成長市場での販売を目指す。

・ワールドスケールのスチームクラッカー:原料はカタールの天然ガス
・モノエチレングリコール:能力150万トン、シェルのOMEGA法使用
・リニアアルファオレフィン:能力30万トン、シェルのSHOP法使用
・オレフィン誘導体

Qatar Petroleum が80%、Shellが20%を出資する。

 OMEGA法:

ShellのEOプロセスと三菱化学の触媒によるMEG法を統合したもので、MEGの選択率を99%以上まで高めた
一般的にはEO触媒でエチレンと酸素を反応させてEOをつくり、そのEOを水と反応させグリコールをつくるが、OMEGA法では触媒プロセスのみでEGをつくる。

韓国の湖南石化、サウジのPetroRabigh、シンガポールのShellで使用している。

 SHOP:Shell Higher Olefin Process

Shellが開発した linear alpha olefinsの製造プロセスで、エチレンのオリゴマー化とオレフィンメタセシスで製造する。

Qatar PetroleumとShellは2007年に戦略的パートナーシップ契約を締結し、川上から川下全般で、双方が関心を持つインターナショナルな計画を一緒に行うこととしている。

Qatar Petroleum InternationalとShellは2009年11月に、両社が50/50JVQPI and Shell Petrochemicals (Singapore)を設立し、シンガポールの住化主導の2つの石化会社、Petrochemical Corporation of Singapore (PCS) とThe Polyolefin Company (TPC)のShell持分を肩代わりする契約に調印した。

2009/11/26 カタール石油、シンガポールのPCS、TPCに出資

Qatar PetroleumとShellは現在、カタールで2つのプロジェクトを行っている。

1)Pearl GTL:世界最大のGTL(Gas-To-Liquids)計画

立地:Ras Laffan Industrial City  
所有:カタール政府とのDevelopment and Production Sharing Agreement 
     資金負担は全額Shell
運営:Shell
製品:GTL 日量14万バレル(2系列合計)
   天然ガス液とエタン 原油換算日量12万バレル
開発費:180ー190億ドル
建設:日揮/KBRのJV

2) Qatargas 4

立地:Ras Laffan Industrial City  
所有:Qatar Petroleum 70%、Shell 30%
運営:Qatargas Operating Company
製品:LNG 年産780万トン
   天然ガス液 日量7万バレル
建設:千代田化工/TechnipのJV

参考 2010/12/21 カタール、LNG増産工事完了で年産 7,700万トン体制 

ーーー

カタールの既存の石油化学については、

    2006/6/1 湾岸諸国の石油化学ー2 カタール

 

 

 

中国は1995年10月にWTO加盟を申請、2001年11月10日にカタールでのWTO閣僚会合が加盟を承認、12月11日に加盟が発効した。

国務院新聞(報道)弁公室は12月7日、中国のWTO加盟10周年にあたり、白書「中国の対外貿易」を発表した。

この30年余り、中国は対外開放を拡大し、外資を導入、利用し、先進技術を導入し、国内産業の改造・高度化を進め、国際分業・競争に全面的に加わり、対外貿易の飛躍的発展を実現した。
モノの輸出入総額は1978年の206億ドルから2010年には2兆9740億ドルに増え、2年連続で世界のモノ貿易の輸出第1位、輸入第2位の大国となった。

しかし、中国は輸出産業がグローバル産業チェーンのローエンドに位置し、資源、エネルギーなど要素投入と環境コストが比較的高く、企業の国際競争力、一部業種のリスク抑制能力が相対的弱い。

WTO加盟後、中国の対外貿易体制は徐々に国際貿易ルールに合致したものになり、統一、開放の、多国間貿易規則にかなった対外貿易制度を確立した。

対外貿易の発展は中国経済の近代化と総合国力の向上を促すだけでなく、中国経済を世界経済の一部にし、経済のグローバル化を世界各国・地域の共同の繁栄にプラスの方向に進めている。

中国政府は対外貿易の不均衡問題を非常に重視し、一連の政策・措置をとり、貿易黒字の急増を抑え、大きな成果を収め、対外貿易が均衡しつつある。

中国政府は対外貿易にまだ不均衡、不調和、持続不可能の問題のあることをはっきり認識しており、貿易発展パターンの転換を急ぎ、対外貿易の持続可能な発展を実現している。

第12次5カ年計画期(2011―15年)に中国は開放を一段と拡大する。
中国は貿易パートナーと共に世界経済・貿易の発展において直面しているさまざまな挑戦(試練)に共同で対応し、繁栄を共有し、ウィンウィン(共に勝者になる)を実現する。

12月9日付の人民網日本語版は「WTO加盟から10年間の十大ニュース」を掲載した。

(1)中国が世界一の輸出国、世界2位の輸入国に

2009年に中国が世界一の輸出国になるとともに世界2位の輸入国になった。

WTO加盟以来、貨物貿易の輸出入規模は2001年の5098億ドルから2010年は約3兆ドルに増加し、輸出は約 6倍、輸入は5.7倍、それぞれ増加した。

(2)中国が世界の多国間貿易体制の中核メンバーに

2008年7月、中国はWTOの多角的貿易交渉(ドーハラウンド)におけるさまざまな形式の話し合いに初めて参加した。
同年11月には、中国の指導者が初めて主要20カ国・地域(G20)による首脳会合(金融サミット)や経済サミットに出席した。

(3)対外貿易経営権の開放が民間企業の国際市場開拓を推進

2004年7月1日、中国は計画を半年前倒しして、WTO加盟時の承諾事項の対外貿易の経営権を開放、50年にわたって行われてきた対外貿易権の審査許可制が廃止され、登録制が取って代わった。

民間企業の国際市場開拓への意欲をかき立て、また中国の対外貿易の輸出の大幅増加や民間経済の急速な発展に新しい動力を提供することになった。

(4)関税めぐる承諾の履行で企業や国民にプラス

2005年1月1日、WTO加盟時の承諾事項を踏まえて、WTOルールに合致しない非関税措置(輸入割当制や許可証の発行など)を全面的に撤廃し、これにより中国のWTO加盟後の過渡期が基本的に終了した。

同時に、中国は承諾事項を踏まえて、関税の全体的な水準の引き下げに努めている。
  1986年 43.2%→2001年(WTO加盟時)15.3%→2011年現在 9.8%

(5)WTOルールに合致した市場経済法律システムを構築

2004年7月1日、「中華人民共和国対外貿易法」の修正が施行され、中国がWTO加盟時に承諾した関連の法律法規の全面的な整備を履行した。WTOルールに合致した貿易体制が徐々に構築され、社会主義市場経済の法律システムが一層整えられた。

(6)政府の職能がWTO理念の浸透を加速

2004年7月1日、行政許可の範囲、権限、プロセスを設定するとともに、行政許可に対する審査や監督などについて明確な規定を打ち出した「中華人民共和国行政許可法」が施行された。

WTOが提唱する「非差別的」、「透明性」、「公平な競争」、法律制度に基づく精神といった原則的な理念が、ますます人々の間に浸透するようになった。

(7)国内企業・外資系企業の所得税率を一体化

2008年1月1日、「中華人民共和国企業所得税法」が施行された。
   
2008/1/4 中国、新企業所得税法施行

これにより国内企業・外資系企業に統一的な所得税率を適用し、各種の企業が平等を土台として公平な競争を展開できるようにし、国内企業に実質的な恩恵を与えただけでなく、海外から導入する投資の質を引き上げ、外資系企業の投資構造を改善するのにもプラスになった。

(8)伝統的な優勢産業のエネルギーを発揮

WTOのデータでは、2010年の中国の繊維製品輸出額は770億ドルで、世界市場に占めるシェアは30.7%、衣料品の輸出額は1300億ドルで、世界シェアの36.9%を占めた。

WTO加盟からの10年間に、繊維製品・衣料品、家電製品、電子情報製品といった中国の優勢産業の潜在能力が極めて大きく発揮され、国内需要を満たしただけでなく、「メードインチャイナ」の名を世界にとどろかせることになった。

(9)自動車社会へと進む中国 生産・販売は世界一

中国は2009年に初めて米国を抜き、世界一の自動車生産・販売大国になった。

2001年の生産台数はわずか246万7千台だったが、2010年の生産台数は1826万4700台、販売台数は1806万1900台に達した。

(10)紛争解決機関を利用した経済的権利の防衛が当たり前のことに

WTO加盟からの10年間、中国の対外貿易規模が急速に拡大するのに伴い、貿易摩擦も増え、紛争解決機関を利用して経済的権利を貿易することが、当たり前のことになりつつある。

WTO加盟後、海外で中国に対して発動された貿易救済措置としての反ダンピング調査、反補助金調査、反保障措置調査は累計約 690件に達し、対象金額は約400億ドルに上り、中国は何年も連続して世界で反ダンピング・反補助金調査を最も多く発動された国となった。

保護主義に反対し、多国間貿易制度を保護することが、長期的な任務となっている。

 

 

EU首脳会議は12月9日、ユーロ圏の政府債務危機への総合対策を盛り込んだ議長総括を採択し閉幕した。
財政規律強化のための新条約の制定は英国の反対で決定できず、ユーロ圏を中心とした条約とする。
(EU条約改正には加盟27カ国の全会一致の批准が不可欠)

付記
EUは12月16日、新条約の原案をまとめ、加盟27か国に送付した。来年1月中の条約案合意を目指す。
ユーロ圏17か国のうち少なくとも9か国が批准した後で発効するという手順となっている。

参考 2011/11/7   EU 金融危機

EU首脳会議のポイントは以下の通り。

1) 財政規律強化のための新条約の制定(通貨統合から「財政統合」への一歩)

構造的な財政赤字の水準に新たな基準を導入、将来の財政赤字をゼロにする「均衡予算」の達成・維持を各国憲法や基本法などで義務づける。
一時的な景気悪化で税収が落ち込むなどの場合は、名目GDP比で0.5%の構造的財政赤字まで容認する。

財政赤字がGDP比で3%を上回った国には自動的に制裁
(もともとユーロ圏諸国には財政赤字がGDP比3%以下など厳しい財政規律が義務付けられ、罰則もあるが、過去に違反した独仏両国を含む各国は制裁はされておらず、骨抜きになっていた。)

  ドイツは「EU司法裁判所による各国への執行の強要」案を取り下げ
  フランスは欧州委員会に強大な権限を与えるドイツの案を拒否 

財政計画のEUへの事前提出

ーーー

英国が主権制限を懸念して拒否、孤立化。

英国の下記主張を独仏が拒否。
・欧州銀行監督機構(EBA)が英当局の権限を抑えるのをやめる
・EBAの本部の所在地をロンドンから別の場所に移さない
・各国で金融規制に関するEUルールの適用を柔軟に変えられるようにする

ユーロ圏17カ国に非ユーロではブルガリア、デンマーク、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、チェコ、スウェーデン、ハンガリーの9か国が参加の検討を表明 、最大26か国で制定。
2012年3月までの署名を目指す。

キャメロン英首相は次のとおり述べた。
・条約改正は英国の利益にならないから賛成しなかった。
・単一通貨に入っていなくて良かった。
・ユーロ圏諸国が団結して問題を解決することを願う。
 しかし、英国の利益に対する保護措置がなければ、条約改正ではなく、別の取り決めが望ましい。
・EUに加盟していることは英国の利益。英国のEUへの影響力は維持される。

仏独が推進する金融取引税の導入に対する強い反対が背景とされる。

2) 欧州安定メカニズム(ESM)の稼働前倒し

欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の後継となる欧州安定メカニズム(ESM)を予定より1年前倒しし2012年7月に設立。
資金力の上限を5,000億ユーロに制限し、銀行免許を付与しない。

欧州金融安定基金(EFSF)を2013年半ばまで存続させ、4400億ユーロ規模のEFSFとの併用で、イタリアやスペインなどの国債購入、欧州銀行への資本増強、資金繰り難に陥った国への緊急融資などに充てる財源を多めに確保。

但し、債務残高は以下の通りで、イタリアなどの危機打開には不足。
  ポルトガル 1,613億ユーロ
  ギリシャ  3,294億ユーロ
  スペイン  6,418億ユーロ
  イタリア  18,428億ユーロ

3) 国際通貨基金(IMF)を使った新安全網の整備

ユーロ圏各国などが、IMFに計2000億ユーロを融資
うち1500億ユーロはユーロ圏加盟国が拠出
IMFは、この資金で財政悪化国を金融支援

日本など先進国や中国など新興国の協力による規模拡大を期待 

付記 12月19日、各国財務相は電話会談を開いたが、英国が反対し、1500億ユーロの合意に止まった。
    このため、G20などに資金要請を行った。

4) 財政悪化国の再建支援

民間金融機関に借金の棒引きを求める措置は、ギリシャ救済に限定する

5) 「ユーロ共同債」導入は検討継続

ドイツが強硬に反対 

 

ーーー

クロアチア政府は2011年12月9日、EU加盟条約に調印した。28か国目の加盟で、2013年7月に加盟する。

クロアチアはEU加盟に向け、民主化・経済改革を進めてきた。観光業を中心に2000年以降は毎年4~5%の経済成長を遂げたが、2008年の世界的な金融危機で失速。景気回復に手間取る一方、政府債務が拡大しており、財政の健全化と景気対策の両立という難しいかじ取りを迫られる。

EU首脳会議はセルビアが目指しているEU加盟候補国入りについて来年3月まで決定を先送りすることを決めた。
セルビアがコソボとの関係正常化交渉を再三中断してきたことなどを受け、コソボとの協力協定を来年2月までに締結するようセルビアに求めた。

他に候補国となっているのは、マケドニア旧ユーゴスラビア、トルコ、アイスランド、モンテネグロ。

 

ゆっくりと上昇していた人民元は、11月4日に終値としては最高の6.3392人民元/ドル(一時最高値は11月9日の6.3365人民元)をつけたが、その後下落している。

12月9日の人民元終値は6.3647人民元/ドルとなった。
同日朝に中国人民元が設定した中心レートは6.3352人民元/ドルで、これに対し0.47%安となり、値幅制限の下限の0.5%ギリギリとなった。

11月末から連日、下限に張り付いている。

エコノミストは人民元のこの動きの原因として、大企業による強いドル需要や、国内市場でのドル資金不足が要因とみており、複数のディーラーは、外国人投資家が最近、ドル先高観を背景に米ドルに対し元を売っていると指摘している。

この動きを受け、国務院新聞弁公室は7日、以下の通り説明した。

中国政府はこれまでレートを操作したことはなく、人民元レートは市場の動きや市場の需給に伴って変動するものであり、市場が調節するものである。

レートは市場の変動に伴って変化するものであるため、人民元レートはさらに上昇する可能性もあれば、さらに低下する可能性もある。

12月9日のレートは、中国が「人民元相場の弾力性を強化する」とし、2008年8月から固定していた人民元を再び管理フロート制に戻した2010年6月19日の前日の終値 6.8262人民元に比して 7.25%の人民元高となっている。

外資系投資銀行のエコノミストらは一様に最近の動きを「一時的な現象に過ぎない」との見方を示しており、長期的には人民元レートの上昇が続いており、2012年の対米ドル上昇率は3―5%になると予想している。

 

 

東京電力は12月3日、福島第1原発敷地内の放射性汚染水処理システムで、米Kurion社製装置の放射性物質吸着用部品を取り換えることで、浄化能力を向上させる計画を発表した。 12月6日に交換する。


従来は、放射性物質を吸着するゼオライトを入れた鉄製の容器に汚染水を通し、放射性物質濃度を数万分の1~数十万分の1に低減していたが、新しい部品は吸着性能が高い「フェロシアン化合物」を添加したものとする。

これまで、Kurionのセシウム吸着設備とArevaの除染装置をつないだ系列と、8月に採用したセシウム吸着設備Sarryの系列を並行して運転していた。

2011/7/5  循環注水冷却が本格稼働

2011/8/20  福島原発、汚染水浄化装置 サリー 本格稼働へ

ところが、11月30日の朝日新聞の報道によると、Arevaの除染装置は9月以降、使われていないという。

この結果、Kurionのセシウム吸着設備単体では性能が低下したため、部品を取り換えることとしたもの。

フェロシアン化合物を添加したものを使うことで、Kurionの装置単体でも安定的に数十万分の1程度まで除去できる ほか、従来部品より使用期間が長いため、交換頻度が減り、放射性廃棄物も抑制できるという。

Arevaの高速凝集沈殿装置では汚染水に薬剤を注入し、放射性物質を凝集沈殿させ、上澄みを次工程に回す。
沈殿した超高濃度の放射性廃液(スラッジ)は現在、建屋の貯留槽内に仮置きしている。

スラッジの表面の放射線量は毎時1シーベルトを超えるとみられ、これの処理方法が決まっていない。
仮置き量が増大したため、休止を決断したという。

KurionやSarryの場合は、凝集沈殿ではなく、ゼオライトなどの固形物に放射性物質を吸着させ、上澄みを次工程に回す。
廃棄物は貯めて容器ごと捨てる仕組みで、
容器の線量は毎時4ミリシーベルト程度スラッジより扱いやすいが、廃棄物の総量は膨大になる。
これの最終処分も決まっていない。

Arevaでは、毎回容器を交換するなど手間のかかるSarryに比べて、スラッジは扱いがシンプルであるとし、経駿を重ね、廃液の処理法を知っていると主張している。東電に協力を提案したが、受け入れられていないという。
(東電では「廃炉に向けた中長期的な計画の中で取り組んでいきたい」と話すにとどめている。)

これまでのトラブルについては、緊急に対応する必要があり、十分に準備できなかったため(Sarryは準備に2か月ほど多くかけた)としている。

ーーー

東京電力は12月4日、淡水化装置(蒸発濃縮装置)周辺の堰内に水が溜まっていることを確認したと発表した。堰内に溜まっている漏えい水は約45立方メートルと推定している。 

蒸発濃縮装置のVVCC蒸発器上流に設置されている廃液予熱器(熱交換器)出口側のRO濃縮水(蒸発濃縮装置の処理原水)配管との接続フランジ部から漏えい跡が確認されたため、当該箇所からの漏えいの可能性が高いと推定している。

その後の調査で、コンクリート製の堰にひび割れがあり、そこから堰外の側溝に漏えいした水、約300リットルが漏れ出ていることを確認した。

4日時点の放射性セシウムは1リットル当たり18ベクレルで、海洋への放出限度以下だったが、ストロンチウムについては除去されておらず、海に流出した放射能の量は260億ベクレルと推定されている。
 東京電力は、「放射性物質は海で薄まるため、排水路近くの海にいる魚を毎日食べても、1年間の被ばく量は3.7マイクロシーベルトで、人の健康や環境への影響はほとんどないと考えている」としている。

逆浸透膜型淡水化装置は継続運転しており、淡水化処理した水は十分にあることから、「原子炉注水への影響はない」としている。

淡水化システムは当初、放射性物質を吸着、沈殿させた後に「逆浸透膜」の装置に通して作られた真水を原子炉の冷却に再利用していたが、汚染水を4割しか再利用できていなかった。

東電は8月から蒸発濃縮装置を導入した。
この蒸発濃縮装置は逆浸透膜を通した後に出る濃い塩分の廃液からさらに真水を取り出すことができ、2段階で淡水化すれば、再利用率が8割まで上がる。

                  (Sarry導入による2系列化で処理量は上記から倍増している)

ーーー

東電は12月5日、福島第1原発で貯蔵している低濃度汚染水を来年3月にも海洋に放出する計画をまとめ、全国漁業協同組合連合会に説明した。
全漁連の服部会長は、漁業に深刻な影響が出かねないとして、東京電力に抗議、海に放出しないよう伝えた。

放出するのは建屋地下などに流入した汚染水から放射性物質を分離処理後の水で、原子炉への注水などに利用しているが、注水に必要な量以上の処理水が発生しており、来年3月にも貯蔵しきれなくなるおそれがあるという。

9万6000トン余りが放出の対象で、放射性ストロンチウムなども処理し、法令で定める周辺海域での基準値以下まで下げるとしている。

 

 

 

国際純正及び応用化学連合(IUPAC)は12月1日、本年6月に新元素であることを認めた2つの元素(原子番号114と116)の名前を発表した。意見募集などを経て半年後に正式に決まる。

この2つの元素は10年以上前に、ロシアのドゥブナ合同原子核研究所(Joint Institute for Nuclear Research in Dubna)と米国のLawrence Livermore National Laboratoryがドゥブナでの共同実験で発見した。

両研究所の科学者が、原子番号114をFlerovium(記号Fl)、原子番号116をLivermorium(Lv) と命名した。

Fleroviumはロシアの核物理学者Georgiy N. Flerov (1913-1990)から取った。

ドゥブナ合同原子核研究所の創設者で、その中の研究所はFlerov Laboratory of Nuclear Reactionsと名付けられている。
1989年に FlerovとLawrence Livermore のKen Huletが両研究所の共同研究を始めた。

LivermoriumはLawrence Livermore National Laboratoryの名前 と、研究所所在地のLivermore市(カリフォルニア州)から取った。

なお、原子番号103のLawrencium(Lr)はLawrence Livermore National Laboratoryの創設者のE.O. Lawrenceから名付けられた。

ーーー

これまで認められた最新の元素は原子番号112のCopernicium(Cn)で、1996年にドイツ Darmstadt の重イオン研究所(Centre for Heavy Ion Research、GSI)の加速器で初めて合成された。Sigurd Hofman 教授のチームは、荷電した亜鉛イオンビームを鉛原子に衝突させることで、これを生成した。

同研究所はコペルニクスに因んでCoperniciumと命名した。

2009/8/26 112番目の元素 Copernicium

原子の核は重くなると壊れやすく、放射線を出しながら分裂などにより、より軽い原子核に変わってしまう。
このため天然にはほとんど存在せず、93番元素の
Neptunium(Np)以上の元素は原子核反応によって人工的に合成されている。

今回の二つ以外にも原子番号113、115、117、118の4種が報告されているが、IUPACはまだ認定していない。

2004年2月に上記の米ロ共同研究チームが、「115番新元素の原子核の初合成に成功し、その崩壊連鎖上の原子核として原子番号113の原子核も発見した」と発表した。
しかし、崩壊連鎖が既知の原子核まで到達していないため、現在はこれら元素の命名権を獲得するに至っていない。

理化学研究所は2004年9月に原子番号113の発見に成功したと発表した。
世界最高のビーム強度を有する理研線形加速器
で原子番号83のビスマスに、1秒間に2.5兆個の原子番号30の亜鉛ビームを80日間照射し続け、約100兆回の衝突を行わせ、原子番号113の原子を1原子合成し、確認することができた。

原子番号117と118は上記の米ロ共同研究チームが発見している。

 

 

丸紅は11月29日、カナダ・ケベック州投資促進公社との間で、 Aluminerie Alouette製錬所の6.66%権益を約1.8億米ドルで追加取得することで合意したと発表した。
これにより丸紅の権益比率は現在の6.67%(アルミ権益数量:38千トン)から13.33%(同:76千トン)に増加する。

Alouette 製錬所はケベック州の水力発電電力を利用して高エネルギー効率・低環境負荷の操業を行う、年産能力575千トンを誇る米州最大のアルミ製錬所で、1992年に操業を開始した。

株主は以下の通り。

丸紅   13.33%(6.67%)
ケベック州投資促進公社     6.67%(13.33%)
Rio Tinto Alcan   40%
Norsk Hydro   20%
Austria Metall   20%

Alouette 製錬所は現在の年産能力575千トンを930千トンに増強する計画を推進しており、事業化調査を 2012年に開始する予定。
必要な追加設備投資は約20億カナダドルの見込みで、ケベック州電力公社との間で追加電力供給に関する基本合意書を締結している。
 

丸紅はAlouetteのほか、ベネズエラのVenalum、豪州のBoyne 及び Portlandのアルミ精錬計画などに参加しており、今回の追加権益取得により、丸紅が全世界で保有するアルミ権益数量は年産約16万トンから約20万トンまで増加する。 

2016年には権益は277千トンとなり、日本の商社では三菱商事を抜いて首位になる見通しという。(日本経済新聞)

丸紅のアルミ権益 ソースMETI 非鉄金属産業戦略(2006/6)
精錬会社
(主導会社)
国名 生産能力 引取比率 地金引取量
Alouette カナダ 550,000 6.67% 36,700
Boyne Ⅱ
(
Comalco)
豪州 250,000 8.00% 20,000
Portland
(Alcoa)
豪州 345,000 22.50% 77,600
Asahan
(日本アサハン)
インドネシア 235,000 3.00% 7,100
Albras
(Vale)
ブラジル 430,000 1.80% 7,700
合計       149,100

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なお、住友商事は2010年9月にマレーシアのアルミニウム製錬事業に参画した。

2010/10/6 住友商事、マレーシアでアルミニウム製錬事業へ参画

 

 

米国とカナダを除く米州33カ国の首脳らが12月2日、「中南米カリブ海諸国共同体Community of Latin American and Caribbean Nations:CELAC」設立のためベネズエラの首都カラカスで会合を開いた。

米国の影響力が強大で、「中南米支配」の象徴とみられている米州機構(Organization of American States:OAS)に対抗した組織で、米国とカナダを排除し、この地域の諸国の自決権を促し、経済、政治、社会の結束を図る。

反米左派のベネズエラのチャベス大統領は演説で「植民地化され、500年以上、搾取され耐えてきた。我々で団結し、貧困や格差を無くし、平和と民主主義を守るために協力しあおう」などと語った。
キューバのカストロ国家評議会議長は「うまくいけばラテンアメリカ諸国の独立後200年で、最も大切で歴史的な出来事だ」と語った。

一方、米国との関係悪化を望まない穏健路線の首脳たちは「米国抜き」を強調することを避けている。メキシコのカルデロン大統領は、「調和と繁栄を目指そう」と述べるにとどまった。

2008年12月にブラジルに33カ国の代表が集まり、米国の支配から自立した平和の地域統合をめざす「サルバドル宣言」が採択された。

2010年2月に首脳会議を準備する外相会議がメキシコ南東部で開催された。
会議では、メキシコの外相が米国・カナダを除く自主的地域新機構の創設は歴史をつくるものだと挨拶した。

2011年7月にベネズエラで第三回会合を開催。チャベス大統領は「独立200年に当たるこの年には機構発足の合意にこぎつけたい」とコメントした。 

首脳会議は3日、「カラカス宣言」を採択し、CELACが正式に発足した。

ブラジルのルセフ大統領は、「我々が最も懸念すべきことは、経済、金融危機だ」と指摘し、「ラテンアメリカ諸国が経済成長を続けるためには、近隣諸国とより密接な関係を結ぶことが重要だ」と強調した。

カラカス宣言は、独立200年を迎えるラテンアメリカの国々が、政治、経済、社会、文化の統合を目指し、経済格差を減らすため South-South economic cooperation を進めるという目標を打ち出した。地域間の経済協力を深めることや、バイオ燃料など環境面で協力するなどの具体的な計画も示した。

22のコミュニケの中には、
・キューバに対する米国の経済・商業・金融封鎖の中止の必要性
・アルゼンチンのフォークランド諸島への権利の承認
に関するものがある。

ーーー 

この地域には現在、以下の組織がある。

1)南米南部共同市場 (Mercosur)

   加盟国
    (1)正式加盟国:アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラ
    (2)準加盟国:ボリビア,チリ,コロンビア,エクアドル,ペルー

   目的
    (1) 域内の関税及び非関税障壁の撤廃等による財、サービス、生産要素の自由な流通
    (2) 対外共通関税の創設、共通貿易政策の採択及び地域的、国際的経済・貿易面での立場の協調
    (3) マクロ経済政策の協調及び対外貿易、農業、工業、財政・金融、外国為替・資本、サービス、税関、
        交通・通信などのセクター別経済政策の協調
   (4)
統合過程強化のための関連分野における法制度の調和

2)ラテンアメリカ統合連合(Latin American Integration Association:ALADI)
  GATTに正式に承認された地域経済統合体
 
  加盟国(13カ国)
   アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、キューバ、エクアドル、メキシコ、ニカラグア、パラグアイ、
   ペルー、ウルグアイ、ベネズエラ 
   (パナマが加盟手続き中) 

  目的
   1)域内特恵関税の設定、
   2)全域協定(全加盟国が参加する協定)、
   3)域内部分協定(域内の一部の国のみが参加する協定)、
   の3点を通じた経済的特恵地域の設置により、漸進的かつ段階的にラテンアメリカ共同市場を達成

3)ラテンアメリカ経済機構(Latin American Economic System:SELA)

  加盟国 27か国

  目的
   共通の経済問題を協議し、全世界的な視野で経済戦略を検討し、資源開発を効果的に行う

4)中米統合機構(Sistema de la Integracion Centroamericana:SICA) 

  加盟国:グアテマラ、エルサルバドル、コスタリカ、ニカラグア、ホンジュラス、パナマ、ベリ-ズ
  準加盟国:ドミニカ共和国
  域内オブザーバー:メキシコ、チリ、ブラジル、アルゼンチン、ペルー
  域外オブザーバー:台湾、スペイン、ドイツ、イタリア、日本、オーストラリア、韓国

  目的
   地域の経済社会統合を図り,和平・自由・民主主義・開発を達成

5)カリブ共同体(Carribbean Community:CARICOM)

  加盟国:15か国
  準加盟国:5か国

    目的
    1) 加盟国間の経済及び貿易関係の調整と法制度の強化、持続的発展と経済的統合の継続及びそれらの利益の公平な分配、加盟国の経済的自立等を目的とした共同市場制度の設立により、加盟国の経済統合を目指す。
    2) 加盟国間の外交政策の調整
    3) 国民の利益となる共通のサービスや事業の効果的実施や、国民間の理解と、社会的・文化的・技術的発展の促進等を含む機能的な協力


6) 
米州機構(Organization of American States:OAS

  加盟国 35か国(日本を含む59カ国とEUが常任オブザーバー
      うち、キューバは1962年除名、2009年に
除名決議無効を決定
          但し、キューバは復帰を拒否
      ホンジュラスは2009年に軍事クーデターで構成国資格停止

   目的
  南北アメリカの国々の平和と安全保障・紛争の平和解決や加盟諸国の相互躍進

7) 北米自由貿易協定(NAFTA)

  米国、カナダ、メキシコ3国間の自由貿易協定

 

各組織の参加国は以下の通り。

    CELAC Mercosur ALADI SELA SICA CARICOM OAS NAFTA
北米 Canada            
USA            
中米 Belize      
Costa Rica        
El Salvador        
Guatemala        
Honduras       ○*  
Mexico    
Nicaragua      
Panama      
カリブ Anguilla              
Antigua and Barbuda          
Bahamas          
Barbados        
Bermuda              
British Virgin Islands              
Cayman Islands              
Cuba        
Dominica          
Dominican Republic        
Grenada        
Haiti        
Jamaica        
Montserrat              
Saint Lucia          
Saint Kitts and Nevis          
Saint Vincent and the Grenadines          
Trinidad & Tobago        
Turks and Caicos Islands              
南米 Argentina    
Bolivia △→○      
Brazil    
Colombia      
Chile    
Ecuador      
Guyana        
Paraguay      
Peru    
Suriname        
Uruguay      
Venezuela        
 
合計 加盟国 33 5→6 13+1 27 7 15 35 3
準加盟国   △ 5→4     △ 1 # 5    
オブザーバー         * 5      

 


 

 

第一三共は12月1日、連結子会社のインドのRanbaxy Laboratoriesが高コレステロール血症治療剤アトルバスタチン(Atorvastatin )を米国にて発売したと発表した。

11月30日にPfizerのアトルバスタチン(商品名Lipitor)の特許が切れた。Ranbaxyは同日付で、略式新薬承認申請に対する販売承認を米国食品医薬品局(FDA)より取得した。また、同社は発売から180日間の独占販売期間を得た。

Ranbaxyは、今回の米国での発売に際し、Teva Pharmaceutical USAとのコラボレーションに関して合意、Tevaに対して、発売から180日間の独占販売期間の売上高に応じた一定の支払いを行なう。

Ranbaxyは2003年以降、長期間にわたり、Pfizerとの間でLipitor の特許について争っていた。

2008年6月、両社はこれに関して和解を行った。
これは両社間だけのもので、Pfizerと他社との間の特許抗争には無関係としている。

対象となる特許は以下の通り。
 基本物質特許 (米国で2010年に失効)
 光学異性体特許(同 2011年)
 プロセス、結晶型特許(同 2016、2017年)
 多剤混合薬特許(同 2018年)

和解により、Ranbaxyは2011年11月30日にLipitorの後発薬を発売する。
RanbaxyはLipitor特許にチャレンジした最初の後発薬メーカーであるため、発売に当たり180日の独占期間の権利を得ることとなる。

Ranbaxyはまた、時期は異なるが、これをカナダ、ベルギー、オランダ、ドイツ、スウェーデン、イタリア、豪州で販売する権利を得る。両社の間の各国での特許紛争は終結する。

ーーー

アトルバスタチン(商品名Lipitor)は高コレステロール血症治療剤で、Pfizerより創製され、日本ではライセンス契約によって2000年5月からアステラス製薬(契約当時は山之内製薬)が製造・販売している。

セジデム・ストラテジックデータ㈱の調査では2010年の世界の大型医薬品売上高のNo.1で、売上高は12,023百万ドルとなっている。米国では9月までの9か月で7,890百万ドルを売っている。

アトルバスタチンは2008年に米ラスカー賞を得た遠藤章・東京農工大名誉教授が発見したスタチンの一種で、スタチンはHMG-CoA還元酵素の働きを阻害することによって、血液中のコレステロール値を低下させる。

遠藤氏は三共(現第一三共)の研究者だった1973年、コメの青カビがつくるスタチンを発見。これが血液中のコレステロール値を下げることを動物実験で確認した。

2008/9/16 米ラスカー賞に遠藤章・東京農工大名誉教授

略式新薬承認申請(ANDA=abbreviated new drug application)は米国でのジェネリック医薬品の承認手続きで、その参照とする先発医薬品との化学構造および生物学的同等性を示すデータなどの提出だけで製造・供給を承認する。

ANDAを申請する場合、後発版の製造・使用・販売により先発医薬品の特許が侵害されないとの証明書(下記の4つのケース)をFDAに提出すれば、特許権者である先発企業に通知され、証明書を提出した最初の後発企業に180日のジェネリック薬先発(独占)期間が与えられる。(先行者利益を与えることにより、訴訟費用を負う誘因を与えるのが趣旨)

1. 新薬に関する特許情報がFDAに提出されていない(パラグラフI)、
2. 新薬の特許はすでに有効期限が切れている(パラグラフII)、
3. 今後特定の日付に新薬の特許の有効期限が切れる(パラグラフIII)、
4.  新薬の特許が、無効、法的強制力がない、
  または後発薬の製造、使用、もしくは販売によって侵害されることはない(パラグラフIV)

Ranbaxyは長期間にわたり、Pfizerとの間でLipitor の特許について争い、2008年6月に和解を行ったため、Lipitor特許にチャレンジした最初の後発薬メーカーとして180日の独占期間を獲得した。

今回、RanbaxyはTeva Pharmaceutical とのコラボレーションを行うが、その背景は以下の通り。

米国食品医薬品局(FDA)は2008年9月16日、Ranbaxyの医薬品30種以上の輸入を一時停止した。
これを解除するには数百億円の罰金を払う必要があるとの見方がある。

医薬品の安全性に問題はないが、Ranbaxyのインドのデワスとパオンタ・サヒブにある2つの工場で、製造器具の洗浄状況、生産管理、品質管理などに関する記録の保存に関して問題が改善されていないためとしている。
また、FDAが問題の2工場を査察した際、抗生物質の取り扱い方法にも問題が発見されたという。

2009/1/8 第一三共、ランバクシーの評価損計上

Ranbaxyは当初、後発品の原体をインドでの生産を検討していたが、現状では米国への輸入が認められていないため、Teva Pharmaceuticalに原体の生産を委託する。製剤は米国子会社のOhm Laboratories, Inc. で行う。

これにより、RanbaxyはPfizerの特許切れの翌日から直ちに販売することが可能となった。
Teva はこの代償として、
Ranbaxyの利益の一部を受け取る。

また、RanbaxyはTevaの米国の強力な流通チャネルを利用して拡販するメリットもある。

Tevaは12月1日、FDAからアトルバスタチンの略式新薬承認を得たと発表した。2012年5月にRanbaxyの180日の独占権が終了した時点で販売する。

ーーー

Pfizerはこの動きに対応し、対応策を取っている。

11月初めには、今後出てくる後発品に対応するため、値下げを行った。
Pfizerは、RanbaxyのFDAとのトラブルを材料にして、値下げの代わりに医療保険会社に対して後発品を使用させないようにしようとした。
(しかし最大の医療保険会社のWellPointは後発薬の使用をサポートすることを発表し、Pfizerの試みは失敗した。また3人の上院議員がPfizerのこの動きを問題視している。)

また、PfizerはWatson PharmaceuticalsにPfizer製の低コスト版の「公式後発薬」を供給した。これはPfizer製のため、FDAの承認は必要としない。
Wal-Mart はWatsonの後発薬を扱うと発表した。

この結果、Ranbaxyの後発薬の販売価格は当初想定より40%は低くなると見られており、米国での製造コストがインドで製造するより高いこともあり、Tevaへの支払いも含め、同社の利益は当初想定よりかなり少なくなる。

Tevaが承認を得たのに続いて、MylanやインドのDr. Reddy's Laboratories などもRanbaxyの6か月独占が過ぎた後の販売を狙い、FDAの承認を求めている。

 

 

Saudi Aramcoはバングラデシュに25億ドル程度を投資し製油所を建設することを計画、バングラ政府の経済関係局(Economic Relations Division)に提案した。
経済関係局はエネルギー省にAramcoの意向を伝えており、エネルギー省ではこれを検討中で、間もなく結果をAramcoに伝えるとしている。

バングラ国営Bangladesh Petroleum Corporationの子会社のEastern Refinery Ltd の能力は年140万トンだが、Aramcoの計画はこれをはるかに超える年産700~800万トンとされる。
Aramcoでは一部をバングラ国内で販売、残りを海外に輸出する考え。

Bangladesh Petroleum は原油を中東に頼っており、現在の輸入元はAramcoとUAEのADNOCが主で、2011年に原油を125万トン輸入したが、2012年にはこれが140万トンに増える。

他方、石油製品については、Bangladesh Petroleum は本年度(2011/7-2012/6)に前年度比で27%増の650万トン程度の輸入が必要となる。

バングラ政府が電力ソースとして天然ガス依存を減らすため石油燃焼発電所を建設しており、石油の輸入は増大している。
産業、輸送部門での石油需要も増大している。

本年度の石油製品輸入のために約62億ドルが必要で、値上がりもあって前年度比で53%も増大しており、Bangladesh Petroleum では資金不足に陥り、Islamic Development Bank Groupに融資を求めている。

このような状況下で、Aramcoの製油所計画はバングラにとって好ましいものとなっている。

Aramcoの計画にBangladesh Petroleumが一部参加する可能性もある。

 


 

ロシア、カザフスタン、ベラルーシの首脳は11月18日、ユーラシア経済同盟に関する文書に調印した。

ユーラシア経済同盟は、来年3月のロシア大統領選に立候補を表明し大統領職復帰が確実視されているプーチン首相が先月に創設を提唱、まず3カ国で経済統合を進め、旧ソ連中心の地域統合「ユーラシア同盟」につなげようとのプーチンの長期的外交戦略実現の第一歩になる。

最終的には統一経済圏の創設へと移行する。

ユーラシア経済同盟は、加盟を希望する国々へ扉を開く。有力な加盟候補として、タジキスタンとキルギスが挙がっている。

2012年1月1日から3国の圏内では、統一経済圏を形成する17の合意が発効するが、それとともに関税タリフ政策、関税調整がスタートする。共通の国境を形成するなかで、具体的なタリフ政策、自然独占、通貨および信用貨幣政策の調整が新たな方向性となってくる。

ーーー

1991年12月8日、ソビエト社会主義共和国連邦の消滅と独立国家共同体(CIS:Commonwealth of Independent States)の創立が宣言され、1993年にはソ連邦を構成していた15か国のうち、バルト三国を除く12か国が加盟した。

その後、トルクメニスタン、ウクライナ、モルドバが事実上の準加盟国(あるいは加盟国としての任務の拒否)になり、2008年8月の南オセチア紛争(ロシア-グルジア戦争)により2009年8月にグルジアが脱退したため、現在の正式加盟国は8か国である。

バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)はCIS設立前に独立したため加盟せず、2004年5月1日にEUに加盟した。(NATOにも参加)

加盟国は必ずしも利害が一致せず、調印された数百の協定も強制力がないために有名無実となっている。

2000年11月、ベラルーシ、カザフスタン、タジキスタン、キルギス、アルメニアはロシアとの緊密な関係を保ち、「関税同盟」を基礎にしてユーラシア経済共同体を結成した。

これに対して、グルジア、ウズベキスタン、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバはロシアから距離を置く政策を取り、これら諸国の頭文字を取ってGUUAMと称される組織を形成した。その後、ウズベキスタンが離脱、GUAMとなった。

ーーー

ロシアのプーチン首相は10月3日、旧ソ連のベラルーシとカザフスタンの3カ国で結成した関税同盟をベースに、将来的には超国家連合「ユーラシア連合」(ユーラシア・ユニオン)にまで拡大・発展させる構想を明らかにした。
共通の経済政策や為替政策を持った超国家連合を目指す。

2010年1月1日から関税同盟の加盟国(ロシア、ベラルーシ、カザフスタン)は原則統一された税率を適用し、加盟国間の輸出入は免税となる。

キルギスの参加についてはすでに承認されており、タジキスタンも参加への関心を示しているほか、モンゴルも幾度となく関心を表明している。

ソ連崩壊を「20世紀最大の地政学上の悲劇」と公言するプーチンにとって、ロシアと周辺国を束ねて米欧や中国との対抗軸にするのは悲願で、大統領復帰後のロシアの針路を示したもの。

プーチン首相が新聞「イズベスチア」に寄稿した論文で、関税同盟と統一経済圏が、将来のユーラシア経済同盟の基礎となるとし、「我々は、現代世界における極の一つとなり、ヨーロッパとアジア太平洋を結ぶ役割を担うような、強力な国家間組織のモデルを提案する」と述べている。

2011年11月18日、CIS諸国は、CISの枠内に自由貿易ゾーンを創設することに関する条約に調印した。

ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、モルドバ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、アルメニアの計8カ国が署名。
比較的ロシアと距離を置くトルクメニスタンやウズベキスタン、アゼルバイジャンの3カ国は、年末までに条約加盟を検討するという。

更に、ロシア、ベラルーシ、カザフスタンは、ユーラシア経済同盟についての宣言草案をまとめた。
(3国の首脳は11月18日、ユーラシア経済同盟に関する文書に調印した。)

CIS首相評議会では又、CIS諸国内での通貨調整や通貨管理政策の基本的原則についての合意や、2020年までの鉄道輸送の戦略的発展のコンセプトに関する決定にも調印がなされた。 

付記

EUは12月5日、2012年からグルジア及びモルドバとFTA締結交渉を始める方針を発表した。

 

旧ソ連邦


  準加盟
   モルドバ   永世中立宣言、EU加盟を標榜
   ウクライナ  CIS合意に調印したが、正式的にCIS憲章を承認せず
   トルクメニスタン 1990年永世中立国、2005年CIS加盟資格を永久停止

  脱退
   グルジア   1993年CIS参加、2009/8 ロシア-グルジア戦争により脱退

    非加盟
   バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)
           CIS設立前に独立、2004年5月EUに加盟、NATOにも参加

 

ーーー

ロシアはこれまで非ロシアの姿勢をとるCIS諸国に対しては、石油や天然ガス価格の引き上げ措置を取り、これが欧州諸国にも影響を与えてきた。

2007/1/10 ロシア・ベラルーシ 石油抗争

2007/1/15 ロシアーベラルーシ石油抗争 解決

2009/1/2 ロシア、ウクライナ向け天然ガス供給停止

ロシアとベラルーシは2011年11月、天然ガスの販売価格を引き下げることで合意した。
両国政府は2012年の天然ガスの販売価格について、2011年比で3割安い1000立方メートルあたり164ドルで合意。ベラルーシにとり20億ドルの値下げにつながる見込み。

ベラルーシはロシアが主導する旧ソ連諸国の経済統合を支持しており、ロシアはその見返りとして値下げに応じた。   

ロシアの国営ガス企業ガスプロムが、ベラルーシの国営パイプライン運営会社ベルトランスガスの株式の5割を保有するが、残りの株式5割を25億ドルで取得し完全子会社にすることでも合意した。

 

 

中国商務部は11月25日、米政府による自国の再生可能エネルギー業界への政策支援や補助金拠出が貿易障壁に当たるかどうか、調査を始めたと発表した。

来年5月25日までに調査結果を公表し、貿易障壁が存在すると判断した場合は、WTOへの提訴など相応の措置を講じるとしている。

米商務省が11月9日に、反ダンピング課税と相殺関税について調査すると発表、ITCが12月5日までに反ダンピング課税などを課すか仮決定する。

これに対し、中国商務部は11月10日、これに対し、「重大な関心を寄せている」とのコメントを出した。

今回の調査はこれに対する対応と見られている。

ーーー

米商務省は10月にドイツの太陽電池大手SolarWorld の米国子会社など7社から、「中国メーカーは政府支援を受けて生産・販売コストより安くパネルを販売している」として、関連調査と100%超の関税適用をするよう請願を受けた。

 SolarWorldは本年初めに太陽電池パネルの大幅値下がりによりカリフォルニアの工場を閉鎖しており、中国の輸出業者のダンピングで米国のメーカーは根こそぎにされると批判している。

米商務省によると、中国からの太陽電池パネルの輸入は2009年の640百万ドルから2010年に1,500百万ドルに急増した。

ダンピング課税に賛成するグループは、免税、安い原料、安い土地代や電気水道代、有利な借入金、輸出保険、輸出支援など、中国政府による実質的な補助金に対し、相殺関税を課するよう求めている。

他方、中国からの安い輸入パネルで太陽発電を推進している米国のメーカー25社The Coalition for Affordable Solar Energyはこれに反対し、太陽電池の価格上昇で米国の需要は減少し、10万人の職が失われるとしている。

ループには、米国のMEMC Electronic Materials やSolar City、中国のSuntech Power(尚徳電力)やYingli Green Energy(英利緑色能源)の子会社が含まれる。

中国最大の太陽発電ディベロッパーCECEP(節能環保集団公司は早速、関税によりコストが高くなり過ぎるとして、カリフォルニア、ニュージャージー、テキサスでの5億ドルの太陽発電計画を中
断した。

 中国のSuntech Power(尚徳電力)やYingli Green Energy(英利緑色能源など大手4社の会長は11月29日、北京で会見を行い、「我々の成功は技術とマネジメントの結果であり、中国の業界は特別な扱い、特別な支援を得ていない」とし、米国勢は経営判断の誤りを中国勢に押し付けていると主張した。

中国商務部は、米国の太陽電池メーカーは自身の競争力からくる問題を中国製品との競争のせいにしていると強調、米政府が中米経済貿易関係を傷つけないことを望む」とけん制した。

11月22日には、中国の複数の太陽電池メーカーが米国製ポリシリコンの輸入に関して反ダンピングと反補助金調査を行うよう求めた。

中国商務部は今回の調査開始について、中国の企業が米国の政策は中国の再生可能エネルギー製品の米国への輸出に対する貿易障害になると主張していると述べた。

中国の業界団体は、ドイツのSolarWorld の米国子会社が2007年に米国で新工場を建設した際に4300万ドルの補助金を得ていると指摘している。

調査対象にはワシントン、マサチュセッツ、オハイオ、ニュージャージー、カリフォルニア州の政策も含まれ、風力発電、太陽発電、水力発電関連の製品も含まれる。

 米国の太陽電池の全世界輸出は56.3億ドルで、輸出と輸入の差のネットでは18.8億ドルの輸出となっており、対中国でも輸出の方が多い。中国からの輸入も米国メーカーによるものも多い。
 紛争がエスカレートすると米国メーカーに悪影響を与える可能性もある。

ーーー

なお、太陽電池市場は供給過剰により価格下落が進み、中国の主要メーカーも全社が赤字になっており、各社とも年間出荷予想を下方修正している。

中国メーカー自身が過当競争で疲弊しており、サンテックのCEOは「今後6カ月から9カ月内で業界再編が進む」と予測している。

 

 

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