格付け会社フィッチは8月1日、米国の外貨建て長期債格付けを「AAA」から「AAプラス」に引き下げた。見通しは安定的。
フィッチは格下げの理由について、「今後3年で予想される財政状況の悪化、高水準で拡大しつつある一般政府債務負担、過去20年間の他のAAおよびAAA格付け諸国・地域と比較したガバナンスの低下を反映している。この間、債務上限の対立と土壇場での解決が繰り返されてきた」と発表資料で説明した。
フィッチによれば、米国の一般政府債務のGDP比率は2025年までに118.4%に達すると予想されており、これはAAA格付けの中央値(39.3%)の3倍近い。
フィッチは少なくとも1994年から米国のAAA格付けを続けてきた。米政府の借り入れを巡る大掛かりな政治闘争と、連邦債務上限を引き上げるかどうかで対立を繰り返す状況を受け、格下げが発表された。
債務上限問題を巡りバイデン政権と議会共和党の対立が続く一方、財務省が特例措置を使い切り、支払い義務を履行できなくなる「Xデー」を迎える危険が取り沙汰された今年5月の段階で、フィッチは格付け引き下げを検討していると警告していた。
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イエレン米財務長官は格下げが「恣意的」であり「最新でない」として、「フィッチの決定に強く異議を唱える」と声明で反論。「世界中の人々と投資家、米国民が既に知っている通り、財務省証券は引き続き世界的に見て卓越して安全な流動性資産であり、米経済は基本的に健全だ。フィッチの決定はそれを変えるものではない」と主張した。
S&Pは2011年に、債務上限危機を受け、AA+に引き下げた。Moody'sは最上級の「Aaa」を維持している。
2023年8月時点
S&P |
Moody's- |
Fitch |
AAA |
ドイツ |
ルクセンブルク |
オランダ |
豪州 |
スイス |
デンマーク |
スウェーデン |
ノルウェー |
シンガポール |
カナダ |
|
|
|
Aaa |
ドイツ |
ルクセンブルク |
オランダ |
豪州 |
スイス |
デンマーク |
スウェーデン |
ノルウェー |
シンガポール |
カナダ |
米国 |
NZ |
|
AAA |
ドイツ |
ルクセンブルク |
オランダ |
豪州 |
スイス |
デンマーク |
スウェーデン |
ノルウェー |
シンガポール |
|
|
|
|
AA+ |
米国 |
NZ |
オーストリア |
フィンランド |
香港 |
台湾 |
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Aa1 |
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AA+ |
米国 (2023/8/1) ↓ |
カナダ |
オーストリア |
フィンランド |
NZ (2022/9) ↑ |
|
AA |
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Aa2 |
|
AA |
|
AA- |
|
Aa3 |
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AA- |
フランス 2023/4 ↓ |
韓国 |
香港 |
ベルギー |
英国 |
チェコ |
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A+ |
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A1 |
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A+ |
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A |
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A2 |
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A |
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A- |
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A3 |
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A- |
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